著者
中島 紳太郎 高尾 良彦 宇野 能子 藤田 明彦 諏訪 勝仁 岡本 友好 小川 雅彰 大塚 幸喜 柏木 秀幸 矢永 勝彦
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.414-422, 2011 (Released:2011-06-02)
参考文献数
20

症例は24歳女性でジェットスキーから転落し,外傷性ショックの状態で他院救急搬送となった.直腸膀胱腟壁損傷と診断され,損傷部の可及的な縫合閉鎖,ドレナージおよびS状結腸人工肛門造設術が施行された.膀胱機能は改善したものの括約筋断裂によって肛門機能は廃絶状態となり,受傷から3カ月後に当院紹介となった.排便造影で安静時に粘性造影剤の直腸内保持は不可能で完全便失禁であった.しかし恥骨直腸筋のわずかな動きと筋電図で断裂した括約筋の一部に収縮波を認めたため括約筋訓練を行った.2カ月後に最大随意圧の上昇を確認,また造影剤の直腸内保持が短時間ではあるが可能であり,恥骨直腸筋の収縮と超音波で断裂部の瘢痕組織への置換が確認された.受傷から6カ月後に瘢痕組織を用いた括約筋前方形成術,9カ月後に括約筋後方形成術と括約筋人工靭帯形成術を実施した.受傷から17カ月後に人工肛門を閉鎖し,便失禁もみられず経過は順調である.
著者
松居 隆 大塚 幸 酒井 浄
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.120, no.10, pp.825-837, 2000-10-01
被引用文献数
1

One century has passed since fugu toxin was named tetrodotoxin (TTX) by Tahara. Chemical problems such as crystallization of tetrodotoxin and subsequent structure determination were solved by research groups headed by Tsuda, Hirata, Woodward, and Mosher. The International Symposium on the Chemistry of Natural Products in Kyoto (1964) was well known as symposium which the structure of TTX was internationally clarified. Since the first isolation of toxin from taricha torosa (imori) as natural source except for fugu fishes, distribution of toxin in nature has been widely investigated. And, it was proved that toxin is not produced by fugu fishes, but rather is formed by sea bacteria (30 sp.) such as Alteromonas sp, Vibrio sp, Shewanella. However, it seems to be difficult to explain the tetrodotoxin accumulation at high concentration in fugu by only toxin production by bacteria. TTX analogues were isolated from natural origins such as crabs, fish, annelids, and algae. Based on the structure of these toxin analogues, the biosynthesis of toxin and the structure-activity relationship (Na^+ channel) were proposed by Yasumoto-Yamashita. The findings of wide distribution of toxin in nature may be attributed to development of highly sensitive detection method for toxin. The interesting proposal for the biosynthesis and the structure activity, and the detection method for toxin are outlined in this review.
著者
松居 隆 大塚 幸 酒井 浄
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.120, no.10, pp.825-837, 2000-10-01 (Released:2008-05-30)
参考文献数
36
被引用文献数
4 11

One century has passed since fugu toxin was named tetrodotoxin (TTX) by Tahara. Chemical problems such as crystallization of tetrodotoxin and subsequent structure determination were solved by research groups headed by Tsuda, Hirata, Woodward, and Mosher. The International Symposium on the Chemistry of Natural Products in Kyoto (1964) was well known as symposium which the structure of TTX was internationally clarified. Since the first isolation of toxin from taricha torosa (imori) as natural source except for fugu fishes, distribution of toxin in nature has been widely investigated. And, it was proved that toxin is not produced by fugu fishes, but rather is formed by sea bacteria (30 sp.) such as Alteromonas sp, Vibrio sp, Shewanella. However, it seems to be difficult to explain the tetrodotoxin accumulation at high concentration in fugu by only toxin production by bacteria. TTX analogues were isolated from natural origins such as crabs, fish, annelids, and algae. Based on the structure of these toxin analogues, the biosynthesis of toxin and the structure-activity relationship (Na+ channel) were proposed by Yasumoto-Yamashita. The findings of wide distribution of toxin in nature may be attributed to development of highly sensitive detection method for toxin. The interesting proposal for the biosynthesis and the structure activity, and the detection method for toxin are outlined in this review.
著者
中島 紳太郎 高尾 良彦 宇野 能子 藤田 明彦 諏訪 勝仁 岡本 友好 小川 雅彰 大塚 幸喜 柏木 秀幸 矢永 勝彦
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.414-422, 2011-06-01

症例は24歳女性でジェットスキーから転落し,外傷性ショックの状態で他院救急搬送となった.直腸膀胱腟壁損傷と診断され,損傷部の可及的な縫合閉鎖,ドレナージおよびS状結腸人工肛門造設術が施行された.膀胱機能は改善したものの括約筋断裂によって肛門機能は廃絶状態となり,受傷から3カ月後に当院紹介となった.排便造影で安静時に粘性造影剤の直腸内保持は不可能で完全便失禁であった.しかし恥骨直腸筋のわずかな動きと筋電図で断裂した括約筋の一部に収縮波を認めたため括約筋訓練を行った.2カ月後に最大随意圧の上昇を確認,また造影剤の直腸内保持が短時間ではあるが可能であり,恥骨直腸筋の収縮と超音波で断裂部の瘢痕組織への置換が確認された.受傷から6カ月後に瘢痕組織を用いた括約筋前方形成術,9カ月後に括約筋後方形成術と括約筋人工靭帯形成術を実施した.受傷から17カ月後に人工肛門を閉鎖し,便失禁もみられず経過は順調である. <br>
著者
中島 昌弘 大塚 幸雄
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.107-112, 1965

血液凝固過程において,血小板が重要な役割を演ずることは周知の事実である.しかしそのざい,血小板が如何なる機序にまつて作用するやは現在なお充分には究明されていない.著者らはこの問題を形態学的な面から検索することを企て,多血小板血漿にカルシウムを再加して凝固を進展せしめ,経過を追つて血小板の微細構造を観察した.微細構造上著明な変化を示したのはgranulomer &alpha;およびミトコンドリアである.すなわち前者は初め膨大し,その数も増加し,後減少,消失する.ミトコンドリアも初め膨大し,後減少,消失する.かくて凝固の完結期には,血小板の多くは無構造様となる.右の事実からgranulomer &alpha;およびミトコンドリアに血小板凝血因子の生成或いは局在性が示唆されると思われる.凝固の終末段階になると凝塊中の血小板の膜が消失し,血小板としての形態が判別出来ないようになる。血餅退縮にかんする重要な問題の一つがこゝに伏在すると考えられる.なお血小板にトロンビンを作用させたさいにも, granulomer &alpha;およびミトニンドリアは前記したところと同様の変化を示すが,凝塊を作る血小板の膜は長く保全せられる.
著者
安田 憲二 大塚 幸雄
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.8, no.5, pp.217-224, 1997-07-31 (Released:2010-05-31)
参考文献数
12

都市ごみの燃焼にともなうThermal NOxとFuel NOxの排出挙動を定量的に把握するため, 窒素含有量が異なるように組成を調整した都市ごみを用いてパイロットスケールの実験炉による燃焼実験を行った。その結果, Fuel NOxの変換率は燃焼温度およびO2濃度が高くなるほど増大した。また, ごみの燃焼実験におけるFuel NOxの変換率は1.7~9.3%であり, 化石燃料を燃焼しているボイラでの変換率 (30%程度) と比べて1/3以下と小さかった。燃焼域での02濃度を低くすることによりFuel NOxだけでなくThermal NOxの排出も抑制できる。特にFuel NOxの低減率はThermal NOxに比べて2倍から5倍高かった。さらに燃焼温度との関係では, Thermal NOxの方がFuel NOxよりも強い温度依存性を示した。
著者
木村 聡元 大塚 幸喜 八重樫 瑞典 箱崎 将規 松尾 鉄平 藤井 仁志 佐藤 慧 高清水 清治 畑中 智貴 佐々木 章
出版者
医学書院
雑誌
臨床外科 (ISSN:03869857)
巻号頁・発行日
vol.72, no.8, pp.952-957, 2017-08-20

【ポイント】◆現在漢方薬は,西洋医学的解析が進み,少しずつエビデンスが蓄積され,使用しやすくなってきた.◆大腸癌における漢方薬は,おもに周術期の合併症予防と抗癌剤治療の有害事象対策に用いられることが多い.◆漢方薬は,その特性を理解し利用することで,今後も癌治療における重要な役割を担っていくものと考えている.
著者
高橋 知世 大塚 幸生 服部 陽介 北神 慎司
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.34-34, 2011

これまで,エレベータ開閉ボタンの押し間違いという問題の解決を目的とした研究では,主に,開閉ボタンに用いられているピクトグラム(マーク)のデザイン面に焦点が当てられてきた.しかしながら,押し間違いの原因は,デザイン面のみならず,それを認知する人間側にもあると考えられる.そこで,本研究では,注意研究の基礎的なパラダイムを援用することによって,タイムプレッシャーおよび視点移動という認知的要因が,エレベータ開閉ボタンの押し間違いにどのような影響を及ぼすかを検討した.その結果,マークを単独呈示した実験1,対呈示した実験2のいずれにおいても,視点移動の影響が最も大きく,逆に,タイムプレッシャーの影響は最も小さいことが分かった.これらの結果から,押し間違いというエラーを低減するためには,たとえば,開閉ボタンの配置上の工夫として,視点移動が最小限ですむように配慮すればよいということが考えられる.
著者
岡田 洋平 川上 理 福田 博志 長浜 克志 斉藤 一隆 大塚 幸宏 木原 和徳 森田 隆 大島 博幸 江石 義信 菅野 純
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.43, no.10, pp.739-742, 1997-10
被引用文献数
2

3ヵ月前に無症候性肉眼的血尿に気づいた50歳男で,膀胱左壁の非乳頭状広基性腫瘍を認め,臨床病期はT3N0M0であった.生検材料の病理診断は小細胞癌であった.最初に行ったシスプラチン-アドリアマイシンの動注術前化学療法は無効であり,根治的膀胱摘除を行った.腫瘍組織は明らかに均質で,管状ないし索状に配列した小細胞より成り,pT3bR1L2V0N0であった.電子顕微鏡上,神経分泌顆粒を持つ小細胞癌と確認された.術後,シスプラチン,エトポシド,及びイホスファミドより成るアジュバント化学療法を4クール行った.術後26ヵ月に腫瘍再発の証拠なしに生存しているA 50-year-old man presented with asymptomatic gross hematuria which he had first noticed 3 months earlier. Clinical examinations revealed a non-papillary, broad-based tumor on the left lateral wall of the urinary bladder with a clinical stage of T3N0M0. The pathological diagnosis of a transurethral biopsy tissue specimen was small cell carcinoma. Neoadjuvant intraarterial infusion chemotherapy using cisplatin and adriamycin was initially administered but proved to be ineffective. Thus, we performed a radical cystectomy. The tumor tissue was apparently homogenous and composed of small cells arranged in sheets and solid patterns, and was staged to be pT3bR1L2V0N0. An electron microscopic study confirmed small cell carcinoma with neurosecretory granules. Postoperatively, 4 courses of adjuvant chemotherapy consisting of cisplatin, etoposide and ifosfamide were administered. The patient is alive without any evidence of tumor recurrence 26 months after the operation.
著者
堀中 真子 大類 方巳 芳賀 とし 瀬田 斉 久内 徹 渡辺 菜穂美 大塚 幸男 原 美佳子 石田 基雄 島田 忠人 寺野 彰
出版者
JAPAN SOCIETY OF NINGEN DOCK
雑誌
健康医学 : 日本人間ドック学会誌 (ISSN:09140328)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.249-254, 1997-10-30
被引用文献数
1

1991年8月から1992年3月までに人間ドックを受診した286名を対象として,血清H.pylori抗体(IgG抗体)と血清ペプシノゲンを測定して検討した。同抗体の陽性率は,全年齢層では69%であった。同抗体陽性群は,同抗体陰性群に比べて,有意に血清ペプシノゲンII値が高く,有意にペプシノゲンI/II比が低かった。さらに同抗体価が上昇するに従い,ペプシノゲンII値は増加傾向,ペプシノゲンI/II比は減少傾向が認められた。