著者
大野 健二 住友 伸一郎 毛利 謙三 桑島 広太郎 高井 良招
出版者
一般社団法人 日本顎関節学会
雑誌
日本顎関節学会雑誌 (ISSN:09153004)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.215-217, 2005-12-20 (Released:2010-06-28)
参考文献数
7
被引用文献数
1

陳旧性顎関節脱臼とは関節脱臼後, 整復されず3~4週間放置され, 顎関節に器質的変化が生じ, 整復が困難になる疾患である。患者は26歳の男性。1か月半に及ぶ陳旧性顎関節前方脱臼の整復を求めて紹介来院した。徒手整復のみでの整復は不能であったが, 上関節腔のパンピング療法を施行した後に, 再度ヒポクラテス法を施行することで整復可能であった。
著者
津村 亜紗子 齋藤(大塚) 香織 藤井 範子 藤田 郁尚 久原 丈司 大野 健剛
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.33-40, 2016-03-20 (Released:2017-03-21)
参考文献数
8

整髪剤開発においてセット力およびその持続力は最も重要な特性であり,汗や湿度などの水分がそれらを低減させる最大の要因として認知されている。われわれはこれまで,「頭皮脂」が頭皮から毛髪に移行し,様々な剤型の整髪剤のセット力およびその持続力を低下させるという現象を見出した1)。本研究では,高湿度条件下における頭皮脂のセット力に与える影響,および頭皮脂の毛髪への移行挙動について検証を行った。その結果,高湿度条件下において頭皮脂の毛髪への移行が促進され,湿度によって低下したセット力が,頭皮脂によってさらに低下することが明らかとなった。これまで高湿度下において水分のみが整髪力低下の原因であると考えられてきたが,本研究により,水分と皮脂が共存することによって整髪剤のセット力をより低下させることが明らかになった。
著者
草野 孔希 中谷 桃子 大野 健彦
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.1016-1025, 2014-02-15

本研究ではシナリオを用いたユーザインタフェース(UI)設計を支援するツール,UI-Fillerを提案する.ユーザにとって使いやすいUIを実現するには「誰が,どのような目的で,どのように使うか」といった,ユーザの振舞いを熟慮しながら繰り返しUIを設計することが重要である.そこで,振舞いを物語のようにシナリオとして記述することで,特別な知識がなくてもユーザ像を具体的にイメージすることが可能となる.しかし,従来のシナリオに基づく設計手法には,1.複数の利用シナリオが考えられるインタラクティブシステムにおいて,シナリオどうしの関係性やトレードオフを加味しながらUIを設計することは難しい,2.設計したUIを評価しながら繰り返し改善する際に,シナリオとUIとの対応関係を維持することが難しい,という2つの難点がある.そこで,UI-Fillerはシナリオの階層化およびタグ付けを用いたシナリオの分析と管理の支援,および分析結果の可視化によってUIの反復設計を支援する.
著者
佐藤 陽介 辻 英樹 松井 裕帝 佐藤 和生 小田 和孝 大野 健太郎
出版者
日本マイクロサージャリー学会
雑誌
日本マイクロサージャリー学会会誌 (ISSN:09164936)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.60-64, 2019 (Released:2019-06-25)
参考文献数
5

Purpose: This retrospective case series examined wound complications after Tamai zone V replantation, and describes a potential strategy to increase the finger survival rate and improve function.Methods: Nine patients (22 fingers) underwent Tamai zone V replantation at our institution between 2011/9 and 2017/5. We performed a detailed chart review to identify features of their postoperative soft tissue progress, finger loss rate and details of additional surgeries.Results: Four patients (10 fingers) lost all replanted fingers, whereas in five patients (12 fingers) , all fingers survived. In all four failure cases, tissue necrosis developed gradually in the replantation zone covering the vascular anastomoses, and vascular thrombosis and spasm were observed approximately 1 week after the first replantation. In contrast, 3 out of 5 patients did not develop tissue necrosis. The fingers of the remaining 2 patients were salvaged by performing timely flap coverage of the necrotic tissue overlaying the vascular anastomoses.Conclusion: Early flap coverage to the Tamai zone V replantation area may be effective in preventing vascular thrombosis and spasm leading to finger loss, and it made it easier to perform additional reconstructive surgeries.
著者
高山 千尋 大野 健彦
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2011-HCI-142, no.12, pp.1-8, 2011-03-10

故障修理は日常生活のあらゆる場面で広く行われる.これはトラブルシューティングと呼ばれ,複雑な思考を伴う知的作業である.トラブルシューティングには,ゴールとする状態が明確ではない,解決への手順が明確ではないなどの難しさが存在している.専門化によってトラブルシューティングが行われる故障機器の修理や保守を行うサポートセンタなどには,熟練者と呼ばれるトラブルシューティングを得意とする人が存在する.それでは,熟練者と一般の人との違いは何であろうか?本研究では,熟練者がなぜうまく異常箇所を検出し,正常な状態に修復できるのかを明らかにすることを目指している.その第一歩として,我々はネットワークの故障修理を題材として,実際に熟練者の故障修理に同行し,その具体的な作業を詳細に分析することで,彼らが特にどのような情報に着目してトラブルシューティングを実施しているのかの調査を行った.本稿では,これら調査によって見いだされた,熟練者特有の行動と,そこから推測される熟練者の知識構造について論じる.
著者
田中 康雄 山本 智章 遠藤 剛 岡邨 直人 関根 裕之 西澤 岳之 大野 健太
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Cb1155-Cb1155, 2012

【はじめに】 上腕骨小頭離断性骨軟骨炎(以下OCD)は重症化しやすく,野球選手生命を奪う恐れがある.OCDは早期発見・治療にて完治されることが報告されている.新潟県ではOCDの早期発見を目的に平成19年より野球肘検診を実施している.また成長期の投げすぎは投球肘障害の要因の一つとして重要である.平成20年から学童軟式野球新人戦での投球数報告を義務付け,現在1投手80球の努力目標を掲げている.今回,平成23年の野球肘検診結果,指導者に対するアンケート調査,平成23年の学童軟式野球新人戦の投球数調査をまとめ,今後の障害予防活動の一助とする事を目的とした.【方法】 対象は学童軟式野球新人戦に参加し検診を希望した37チーム485名(5年生271名,4年生153名,3年生49名,2年生9名,1年生3名).大会会場にてPTによる理学所見(肘関節の関節可動域検査,圧痛・外反ストレス時痛検査),医師・検査技師による肘関節の超音波診断を実施した.異常のあった選手に医療機関の受診を勧めた.検診に参加したチームの指導者に対してアンケートを配布し,指導経験,投球数制限,日本臨床スポーツ医学会の提言の認知などについて調査した.また大会期間中の全試合投手の投球数報告を集計し解析した.統計学的分析は対応のないt検定を用い有意水準を5%以下とした.【説明と同意】 事前に文書と口頭で各チームの監督,保護者に対して検診の目的,内容について説明し同意を得ている.【結果】 超音波によるOCD疑いで医療機関への受診を勧めた選手は485名中13名(2.6%)であり,そのうち現在肘の痛みがある選手は3名(23.1%),肘関節可動域制限のある選手は4名(30.8%),腕橈関節の圧痛のある選手は0名(0%),外反ストレス陽性は2名(15.4%)であった.指導者アンケートは29チーム(78.4%)より回答があり,年齢43.6±8.4歳,指導経験7.3±6.8年で,試合における投球数制限を必要と考えている指導者は25名(86.2%),日本臨床スポーツ医学会の提言を知っている指導者は3名(10.3%)であった.大会で計測できた全84試合の1試合平均投球数は79.2球,5回成立試合(時間制限,コールドを除く)29試合83.3球,時間制限試合26試合88.4球,コールド試合29試合66.7球であった.コールド試合の平均投球数は5回成立試合,時間制限試合と比較し有意に少なかった(p<.001).投手一人あたりの投球数をみると,完投投手の平均投球数は67.9球,途中交代をした投手は44.6球で,完投投手の平均投球数は途中交代をした投手の平均投球数と比べ有意に多かった(p<.001).日本臨床スポーツ医学会の提言の認知の有無で投球数をみると,知っているチームの平均投球数は先発投手一人あたり77.2球,中継ぎ投手一人あたり31.0球,知らないチームでは先発投手一人あたり65.4球,中継ぎ投手一人あたり26.8球であった.【考察】 今回,小学5年生を中心にした野球肘検診を行い13名(2.6%)のOCD疑い選手を早期発見できた.腕橈関節の圧痛症状のある選手が0%,そのほかの理学所見も30%程度であることから,初期には無症候性で進行していることが考えられる.症状が出現し病院受診する頃には重症化していることが考えられる.またOCDは小学5年生前後に発症するといわれており,OCDを早期発見するためにはこの時期に野球肘検診が必要である.一試合投球数ではコールド試合が5回成立試合,時間制限試合と比較して有意に少なく,一人あたりの投球数は途中交代をした投手が完投投手と比較し有意に少なかった.過剰な投球数を抑えるためにもコールド試合は有効であり,一試合での投球数の上限を決めた上で複数投手での継投が望ましいと思われる.今回の調査では一試合の平均投球数は目標の80球以内に収まっていた.しかし,今後更に投球数制限を徹底するためには投球数と障害の関係を示すエビデンスを蓄積していくことが求められる.【理学療法学研究としての意義】 小学5年生において野球肘検診を広く実施しOCDを早期に発見することは,OCDの重症化を予防するために重要である.また成長期の選手を指導する指導者に対してスポーツ障害に対する意識調査を行うこと,大会での投球数を調査することは,野球を継続する子供たちを守るための障害予防の一助となると考える.
著者
大野 健次 延原 弘明 有村 聡美 唐澤 秀武 多久島 匡登 塩谷 正弘 井関 明生 森下 孝仁
出版者
Japan Society of Pain Clinicians
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.92-96, 1996-04-25 (Released:2009-12-21)
参考文献数
16

目的: 三叉神経痛に対する小柴胡湯・桂枝加芍薬湯併用療法の有効性を調べるために visual analogue scale (VAS) と4段階評価を用いて prospective study を行った. 対象と方法: 特発性三叉神経痛患者13名を対象とした. 対象患者には朝夕の食前に, 小柴胡湯と桂枝加芍薬湯のエキス顆粒をそれぞれ1包ずつ服用させた. 投与前と2週間後に発作痛の強さをVASで評価し, 痛みの頻度および自覚症状の総合的な強さについて服用開始前を10とする numerical score で回答を求めた. また食事と洗顔について, (1)全く痛まない/(2)軽く痛むが支障なし/(3)痛いがなんとか可能/(3)痛くて不可能/の4段階評価を投与前と2週間後の時点で行った. 結果: 2週間後のVASは有意に低下した (p=0.0030). 食事・洗顔に際しての4段階評価も有意に改善した (それぞれp=0.0158, p=0.0021). 2週間後, 痛みの頻度は平均2.8に, 自覚症状の総合的な強さは平均3.6に低下した. 結論: 小柴胡湯と桂枝加芍薬湯の併用療法は発作痛の強さを軽滅し, その頻度を減少させた. また食事・洗顔に際しての痛みも軽減し, 自覚症状を全体として改善した. 本療法は三叉神経痛の薬物療法として有用であると思われた.
著者
大野 健次 延原 弘明
出版者
社団法人日本東洋医学会
雑誌
日本東洋醫學雜誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.55-61, 1995-07-20
参考文献数
21
被引用文献数
4 1

三叉神経痛の患者34名に, 小柴胡湯と桂枝加芍薬湯のエキス顆粒を同時に投与し, 2週間後における効果を検討した。 漢方薬開始前から carbamazepine (CBZ) を服用していた19名のうち11名において, CBZ を減量または中止することができ, 症状の変化から14名において漢方処方が有効であると考えられた。 漢方薬のみを投与した11名中8名に痛みの消失ないし軽減がみられた。 効果判定不能の4名を除くと, 30名中22名(73%)において小柴胡湯・桂枝加芍薬湯が有効であった。 小柴胡湯合桂枝加芍薬湯は基礎実験と臨床の両面から抗けいれん作用が確かめられており, 三叉神経痛治療の標準薬である CBZ と薬理学的な共通点が多い。 小柴胡湯・桂枝加芍薬湯を単独で, あるいは CBZ と併用して用いることにより, 三叉神経痛の薬物療法がより有効で安全なものとなる可能性があると思われた。
著者
大野 健次 延原 弘明
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.55-61, 1995-07-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
21
被引用文献数
1 1

三叉神経痛の患者34名に, 小柴胡湯と桂枝加芍薬湯のエキス顆粒を同時に投与し, 2週間後における効果を検討した。漢方薬開始前から carbamazepine (CBZ) を服用していた19名のうち11名において, CBZ を減量または中止することができ, 症状の変化から14名において漢方処方が有効であると考えられた。漢方薬のみを投与した11名中8名に痛みの消失ないし軽減がみられた。効果判定不能の4名を除くと, 30名中22名 (73%) において小柴胡湯・桂枝加芍薬湯が有効であった。小柴胡湯合桂枝加芍薬湯は基礎実験と臨床の両面から抗けいれん作用が確かめられており, 三叉神経痛治療の標準薬であるCBZと薬理学的な共通点が多い。小柴胡湯・桂枝加芍薬湯を単独で, あるいはCBZと併用して用いることにより, 三叉神経痛の薬物療法がより有効で安全なものとなる可能性があると思われた。
著者
深山 篤 大野 健彦 武川 直樹 澤木 美奈子 萩田 紀博
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.12, pp.3596-3606, 2002-12-15

本論文では,ユーザに伝わる印象を操作するための,擬人化エージェントの視線制御方法を提案する.人の視線と印象に関する従来研究をもとに印象伝達に関連する3種類の視線パラメータを選び,その値に従ってエージェントの視線を出力する視線移動モデルを構築した.これを実際にエージェントに組み込んで主観評価実験を行った結果から,本視線制御方法を用いることによってエージェントの視線のみからユーザが受ける印象を操作できることを示す.
著者
大野 健夫
出版者
THE ACADEMY OF CLINICAL DENTISTRY
雑誌
日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学 (ISSN:13468111)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.316-322, 2001

総義歯を製作するとき, 咬合床を用いて咬合採得を行う工程があり, 咬合採得によって得られた情報に基づいてロー義歯が製作されることを考えれば, 咬合床の重要性が認識できる.そこで, 望ましい咬合床の備えておくべき条件と製作方法を考えてみた.<BR>咬合床は構造的には基礎床と咬合堤からなり, 次の条件を満たしていなければならない.<BR>(1) 基礎床は作業模型の模型面に対して適合精度がよい.<BR>(2) 咬合堤は提示された垂直的数値, 水平的数値が正確に記入してあること.<BR>このときには顔面正中線が示されていることはないので, 当然として正中口蓋縫線を正中線 (基準軸) として咬合堤が製作される.<BR>そして, ヒトの顔が基本的に対称的であることを前提に考えれば, 有歯顎では, 上顎正中線を中心軸として左右対称の位置に同名部位の歯牙があり, 下顎歯列がその対向関係において上顎歯列と一致するなら, 下顎正中線を中心軸として左右対称の位置に同名部位の歯があり, 上下顎の同名部位の歯は対向関係において一致する.<BR>以上のことから, 上下顎模型の各正中線を中心軸として水平的数値は左右対称であり, 上下顎の咬合堤の水平的数値は同じ大きさであることが望ましく, また, 患者によって顎骨の大きさが一人一人違うことを考えれば, 患者によってその垂直的数値や水平的数値の変化に対応できる製作方法でなければならない.<BR>「また, 同一患者においては, その患者がどの分類に属していようとも上下顎顎堤の間には, 時系列的変化にかかわらず, そこには普遍的な共通性があると考えている」<BR>以上のことを考慮したシンメトリー (左右対称) な咬合床の製作方法を述べる.<BR>咬合床製作の工程は, (1) 作業模型上にガイドラインの記入, (2) 基礎床の製作, (3) 咬合堤の製作, の順序で行う.また, 咬合床を製作するには特別な器具は必要とせず10cmの三角定規があれば十分であるが, より寸法精度を上げるために自家製の器具を開発している.また, 規格模型の制作に関しては「目で見るコンプリートデンチャー」のp.97を参考にしている.
著者
大本 義正 植田 一博 大野 健彦
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.23, 2009

人間と自然なコミュニケーションをする人工物を実現するための問題の一つとして、非言語情報などを用いて無意識に伝達している意図の自動推定がある。本研究では、意図の推定として難しい状況である「嘘」に焦点を当て、コミュニケーション中に機械的に計測された情報を判別分析した結果と、同じ状況において人間が判別した結果を比較検討した。その結果、人間と比較しても高い確率で嘘を自動的に判別できる可能性を示した。
著者
大野 健彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.291, pp.17-24, 1999-09-13
被引用文献数
13

本研究では,視線を利用してウインドウを操作する環境Ewmを提案する.これまでマルチウインドウシステムにおいてウインドウの操作にはマウスなどのポインティングデバイスが一般的に利用されてきた.そのため操作のたびにポインティングデバイスを操作する必要があり,また操作をおこなうための特別な知識を必要とした.我々の提案するシステムはユーザの視線を観察することでウインドウの操作を自動的におこない,またユーザがウインドウを操作する場合はコマンドを視線によって実行することが可能であるという特徴を持つことで,手を用いることなくわずかな知識で操作可能なウインドウ操作環境を実現している.
著者
大野 健彦 武川 直樹 吉川 厚
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.38, pp.47-54, 2001-05-11
被引用文献数
6

本論文では,視線をユーザインタフェースの入力デバイスとして利用することを目的とする視線測定システムについて述べる.本システムは特別な設定を必要とせず,コンピュータの前に座ればすぐに視線測定が可能であるという特徴を持ち,従来存在するシステムに比べて手軽な視線測定を実現している.また,視線の屈折を補正して正確な視線方向を推定することにより,高い測定精度を実現している.予備評価実験から視野角0.23度から0.46度程度で測定可能であるという結果が得られた.We describe a gaze tracking system that is developed as the input device for gaze based user interface system. This system measures the eye movement without configuring the parameters at the beginning of measurement, so that it is possible to use the system as soon as sitting in front of the computer. The system calculates their gaze direction by modifying the refraction on the surface of their pupil. This algorithm realizes the high-accurate gaze detection. The preliminary evaluation test indicated that its accuracy was between 0.23 degree and 0.46 degree in the view angle.
著者
大野 健彦 武川 直樹 吉川 厚
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.1136-1149, 2003-04-15
被引用文献数
36

本論文では,視線によるコンピュータ操作を目的とする視線測定システムについて述べる.本システムは簡易な個人キャリブレーションのみで視線測定を実現することに主眼を置いている.従来の視線測定システムは視線測定時に発生する視線のずれを補正するために,個人キャリブレーションとして視線測定前に画面上に位置する5から20点のマーカを注視する作業が必要であった.そのため視線測定を行うまでに手間を要し,特に視線をコンピュータの操作手段として利用する場合に大きな問題であった.本システムは,ずれの補正を2段階に分離した新しい視線測定法を導入することで,最低2点のマーカによる個人キャリブレーションを実現した.まず視線算出手段において眼球モデルを導入し,ずれの発生要因となる角膜表面での光の屈折をあらかじめ補正する.次に個人キャリブレーション手段において残るずれを補正する.評価実験の結果,個人キャリブレーションにおいて画面上の2点を注視するだけで,視野角1.06度程度(裸眼,頭部を固定しない条件)と,視線をコンピュータ操作に利用するのに十分な測定精度が得られることを確認した.We describe a real-time gaze tracking system for use in controlling a computer by gaze.This system is particularly concerned with reducing the effort of personal calibration necessary at the beginning of gaze direction detection.Existing systems require that the user gazes at five to twenty points on the screen for personal calibration.This burdensome and should be omitted, especially for computer control by gaze.Our system requires only two points on the screen for personal calibration.To achieve this,we developed a new gaze detection method that consists of two sub-procedures for correcting gaze direction error.One, the gaze direction measurement procedure,first calculates the gaze direction with the eyeball model.This model compensates the refraction at the surface of the cornea,which is one of the main causes of gaze direction error.The other, the personal calibration procedure, reduces the residual error.The results of an evaluation test confirmed that the accuracy of gaze detection is about 1.06 degrees in the view angle (naked-eye users, head-free condition), which is sufficient for the purpose of computer control by gaze.
著者
草野 孔希 中谷 桃子 大野 健彦
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.1016-1025, 2014-02-15

本研究ではシナリオを用いたユーザインタフェース(UI)設計を支援するツール,UI-Fillerを提案する.ユーザにとって使いやすいUIを実現するには「誰が,どのような目的で,どのように使うか」といった,ユーザの振舞いを熟慮しながら繰り返しUIを設計することが重要である.そこで,振舞いを物語のようにシナリオとして記述することで,特別な知識がなくてもユーザ像を具体的にイメージすることが可能となる.しかし,従来のシナリオに基づく設計手法には,1.複数の利用シナリオが考えられるインタラクティブシステムにおいて,シナリオどうしの関係性やトレードオフを加味しながらUIを設計することは難しい,2.設計したUIを評価しながら繰り返し改善する際に,シナリオとUIとの対応関係を維持することが難しい,という2つの難点がある.そこで,UI-Fillerはシナリオの階層化およびタグ付けを用いたシナリオの分析と管理の支援,および分析結果の可視化によってUIの反復設計を支援する.Clearly picturing user behavior is one of the key requirements when designing successful interactive software. However, covering all possible user behaviors with one UI is a complex challenge. UI-Filler is designed to support the characterization of user behavior based on scenarios and then using the information in UI design. Scenarios make it easy to understand and share user behavior even if we have little design knowledge. However, they have two big weaknesses; 1) integrating several scenarios in one UI is difficult, even if we can create appropriate scenarios, 2) maintaining the links between scenarios and the UI is a heavy task in iterative design. Our tool solves the above problems through its hierarchical scenario structure and visualized overview of scenarios. It enhances the designer's skill in writing scenarios and designing UIs smoothly and easily.
著者
宮本 勝 大野 健彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.72, pp.9-16, 2006-07-06
被引用文献数
1

ユーザが短時間Webを見るだけで惹きつけられるためのWebデザインの方法論を確立することを目指し,視線計測を用いた評価実験を行った.検索エンジンが進化し,その利用が曰常化することで,ユーザは,1つのWebサイトを閲覧するのに費やす時間が短くなった.一方, 情報提供側は,集客のために魅力的なコンテンツを豊富に提供する必要がある.これより,豊富な情報量の提供を前提に,短時間でユーザを惹きつけるWebデザインがテーマとなる.視線を計測した結果,複数のデザイン案に共通して,ページの主要部分を,左上部から優先的に閲覧するユーザの傾向を可視化した.また,形容詞対を用いた印象評価では,レイアウトやタイトルバーの色が,ページ全体の印象に有意に影響を与えた.In order to investigate attractive Web design scheme, we conducted the Web browsin gexperiment with eye tracking system. Web users have been come to take shorter time to browse each web page because they have adapted themselves to use the search engine, and they jump one page to another in short time. On the other hand, Web site provider must prepare many rich contents compete rivals.Consequently,it is important to investigate web design given rapid browsing and rich contents.First,using eye tracking system, we visualized users' serch behavior which is characterised with questionnaire consisted of adjustive parts. The page layout and the color of time Bar influenced imoression f web page sig
著者
徳永 正二郎 FRIEDEN Jeff 池間 誠 ANDERSON Kym NOORDIN Sopi EATON Jonath WONG John 大野 健一 中本 悟 PAULEY Louis 中尾 茂夫 DEKLE Robert 高坂 章 UNGER Daniel 花崎 正晴 FRANKEL Jeff ARIFF Mohame PAULY Louis LINCOLN Edwa KIM Chang So 楊 秀吉 桜井 真
出版者
九州大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1993

本研究では、(1)日本、アジアNIEs、ASEAN、中国へと連鎖したアジア経済のダイナミックな発展とそれに平行して現実性を持ちはじめた太平洋両岸の地域経済圈形成(「北米自由貿易協定」を軸としたアメリカ大陸自由貿易圈形成並びに「東アジア経済協議体(East Asia Economic Caucus)」にみられるアジア経済圏形成)の動きがみられるが、それら両者はどのような相関性および相互作用を持っているか、(2)アジア地域経済において日本・アジアNIEs、ASEAN、中国を中心に相互依存の関係が深化拡大しているが、そのプロセスでアジア諸国、日本、米国において経済・通商政策に変化がみられるかどうか、また発展の程度や立場を異にする諸国経済の経済・通商・投資・金融政策相互の間にいかなる軋轢や収歛(convergence)がみられるか、(3)アジア及び北米における地域主義の台頭が日米の政治・経済関係にどのような影響を及ぼし、日米関係がいかなる方向に変容しつつあるか、という設問の上で、調査研究を進めてきた。この作業は、アジア経済の成長と日米関係の変容という二つの(複眼的)分析視角のもとで、ポスト冷戦期の世界経済秩序を展望することを意図している。初年度(1993年度)には、アジアと北米の地域主義に焦点を当て、その問題を軸に(1)地域経済の発展とアジア太平洋地域経済秩序、(2)アジア太平洋経済における日本と米国、(3)アジア太平洋地域経済の発展-課題と展望という3つのセッションに分かれて調査研究した(九州大学にてワークショップを開催し、Asian Economic Dynamism and New Asia-Pacific Economic Orderとして刊行)。次年度(1994年度)には、東南アジアにおける実態調査を行い、ポスト冷戦期という政治的経済的世界システムの再編過程で発生している通商・金融・援助等多岐にわたる日米間の経済的摩擦がアジアの成長とどのように関係しているか、またアジアにおける地域主義の実態について分析した(タイ王国チュラロンコン大学経済学部及び国際経済研究所の協力で、本プロジェクトの共同研究者とチュラロンコン大学、タマサート大学その他研究機関の研究者とが一堂に会してワークショップを開催した)。本年度(1995年度)の研究テーマは、初年度と次年度の研究成果を踏まえて、「アジアにおける経済成長、社会経済的変容及び地域主義」を日米双方の立場から調査研究した。この調査には、アジア金融市場及びアジア域内資金フローの研究に業績をあげている奥田英信(一橋大学講師)、ベトナムやラオスなどインドシナ半島の社会経済問題のエキスパートであるモンテス(Manuel F.Montes;ハワイ東西センター研究員)、日本研究のエキスパートであるモリソン(Charles Morrison;ハワイ東西センター)、韓国の対外経済研究の第一人者であるリ-(Lee H.Chun;ハワイ大学韓国研究所所長)及び米国における日本研究の先導者モチヅキ(Michael M.Mochizuki;ブルッキングズ研究所主任研究員)を研究協力者として招き、ハワイ東西センターでワークショップを開催した。これは、角度を変えてみれば、アジア地域の社会経済的発展を日米関係を通して調査研究することであり、アジア太平洋の新しい経済秩序を構成する二つのファクター(すなわち、「アジアの成長・社会経済の変容・地域主義」という古いシステムを破壊するファクターと「日米基軸」という伝統的ファクター)の相関性と相互作用について認識を深めることにつながった。1994年度及び1995年度の研究成果は、初年度同様公刊の予定である。