- 著者
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佐々木 周作
奥山 尚子
大垣 昌夫
大竹 文雄
- 出版者
- 行動経済学会
- 雑誌
- 行動経済学 (ISSN:21853568)
- 巻号頁・発行日
- vol.8, pp.126-130, 2015 (Released:2016-05-07)
- 参考文献数
- 15
人は思いやりの気持ちを持つ.一方,誰にでも等しく思いやるわけではないことも知られている.本研究では,米国・ドイツ・シンガポール・韓国・日本の5ヶ国で実施した相互比較可能な全国規模調査のデータを用いて,社会的関係性の異なる複数の他人をどのくらい等しく思いやるか,という思いやりの傾向の国際差を検証した.具体的には,「あなたの家族」および「同じ地域(市町村や集落)に住む人」「同じ都道府県や州に住む人」「同じ国の人」「外国の人」の5者に対する思いやりの水準を計測し,その水準を5ヶ国で比較した.主要結果は二つある.一つは,思いやりの水準を各国内で比較すると,どの国においても,対象が家族から外国の人に向けて移行するにつれ,思いやりの水準が下落する傾向があることがわかった.次に,5ヶ国間で比較すると,思いやりの水準は国によって異なることがわかった.特に,家族以外の4者に対する日本・韓国の思いやりの水準が,他の3ヶ国よりも低かった.