著者
塚谷 才明 小林 沙織 金原 寛子 山本 美穂 長東 菜穂 酒井 尚美 中村 さおり 小林 孝行 兼田 美紗子 牧野 桜子 赤田 拓子 岡部 克彦 小森 岳 高塚 茂行
出版者
一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会
雑誌
日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 (ISSN:13438441)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.247-257, 2020-12-31 (Released:2021-04-30)
参考文献数
28

【目的】誤嚥性肺炎患者の中長期的な生命予後に関する報告は少ない.この研究の目的は,誤嚥性肺炎患者の中長期的生命予後ならびに予後因子を明らかにすることである.【方法】本研究は,後方視的に検討したコホート観察研究である.2018 年4 月から2019 年3 月までの1 年間,耳鼻咽喉科に嚥下評価依頼のあった症例のうち,主病名が誤嚥性肺炎の入院患者を対象とした.脳血管障害急性期に続発した誤嚥性肺炎例,嚥下評価前の肺炎急性期に死亡した例は対象外とした.生命予後に関係する因子として,年齢(3 群:74 歳以下,75 歳から89 歳,90 歳以上),性別,嚥下障害重症度(2 群:正常~機会誤嚥,水分誤嚥~唾液誤嚥),日常生活自立度(2 群:非寝たきり,寝たきり),BMI(3 群:18.5 以上,18.5~16,16未満),代替栄養の有無,既往症・併存症(肺炎既往,脳梗塞既往,パーキンソン病,認知症,高血圧,糖尿病)に関して多変量解析を行い,ハザード比(HR)を求めた.患者生死,生存日数,代替栄養導入の有無に関しては,2020 年1 月から4 月の期間,電話による聞き取り調査を行った.【結果】誤嚥性肺炎患者は109 例,年齢中央値86 歳,64 歳以下は5 例のみで104 例は65 歳以上であった.調査期間内の死亡67 例,生存42 例,生存期間中央値254 日,6 カ月生存率54.8%,1 年生存率41.8% であった.予後因子のHR は高齢1.76,男性1.78,水分誤嚥以下の嚥下機能2.01,寝たきり2.39,BMI 低値1.60,代替栄養導入あり0.27 と,6 項目すべてにおいて有意差を認めた.既往症・併存症では,パーキンソン病があると生命予後悪化を認めた(HR5.00)が,その他は有意差を認めなかった.【結論】誤嚥性肺炎患者の半数以上が1 年の時点で死亡していた.高齢,男性,水分誤嚥以下の嚥下機能,寝たきり,BMI の低下が生命予後を悪化させる因子であり,代替栄養の導入は生命予後を改善した.既往症・併存症のうちパーキンソン病は生命予後を悪化させた.
著者
小林 孝一 平石 邦彦
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.257-265, 2017-04-01 (Released:2017-04-01)
参考文献数
41
被引用文献数
1

本解説では,遺伝子ネットワークに対するシステム数理的手法の一例を紹介する.ブーリアンネットワークと呼ばれる遺伝子ネットワークのモデルを考え,まず,その概要を説明する.次に,ブーリアンネットワークを簡単に扱うための行列表現を導入する.行列表現を利用した問題として,既知の情報からモデルの詳細を求める問題を考え,その解法を説明する.計算例についても簡単に紹介する.
著者
小林 孝 阿部 栄二 阿部 利樹 菊池 一馬 木下 隼人 木村 竜太 村井 肇 小西 奈津雄 岡本 健人 井野 剛志 大屋 敬太 福井 伸
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.26-30, 2019 (Released:2019-07-20)
参考文献数
5

増え続ける高齢者肺炎の過重な負担で疲弊していく呼吸器内科医師の負担を減らすため,当院では2010年2月より高齢者肺炎症例を全科で分担して診療している。今回,このような状況で整形外科医が行なった肺炎治療の成績を他科での治療成績と比較し,当院のシステムの検証を行なった。2017年11月1日から2018年10月30日までに当院に肺炎のため入院した70歳以上の症例を対象とした。データベースから肺炎の患者を抽出し,これらの症例の転帰,入院日数を科別に比較・検討した。上記期間内に当院に入院した372例を対象とした。年齢は平均85.6歳(70歳~100歳),男214人,女158人,平均在院日数は20.7日(1~107日),288例が軽快して退院したが,84例(29.2%)が死亡退院していた。CAPは143人,NHCAPは229人で診療科間で差はなく(ピアソンカイ二乗検定,p=0.19),A-DROPで評価した重症度にも診療科間で有意差は認めなかった(ピアソンカイ二乗検定,p=0.25)。整形外科入院患者数は30人,年齢は平均86.1歳(71歳~99歳),在院日数は平均19.1日(1~107日)で,27人は軽快して退院したが3人(10.0%)が死亡退院していた。平均在院日数を診療科間で比較すると有意差を認め(ANOVA,p=0.0001),t‒テストを用いたペアワイズ比較では,循環器内科と外科(p=0.03),腎臟内科と脳神経外科(p=0.01),腎臟内科と外科(p=0.0005)の間で有意差を認めた。転帰を診療科間で比較したが有意差を認めなかった(ピアソンカイ二乗検定,p=0.15)。医師の偏在と医師不足の状況下で増え続ける高齢者肺炎に立ち向かうため,専門外の全科が連携して肺炎治療にあたることが重要である。
著者
福田 卓司 三宅 誠 小林 孝仁
出版者
The Textile Machinery Society of Japan
雑誌
繊維機械学会誌 (ISSN:03710580)
巻号頁・発行日
vol.46, no.10, pp.P390-P396, 1993-10-25 (Released:2009-10-27)
参考文献数
2
被引用文献数
1 1
著者
小林 孝史 嶋田 洸希 大歳 英征 伊佐 眞寿 武田 瑞樹
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2022-IOT-58, no.11, pp.1-6, 2022-07-05

これまで,SSH 接続時の認証時間(パスワード要求からパスワードを入力して送信してくるまでの時間)を利用した攻撃検知の研究を行ってきた.以前の研究では,この認証時間に閾値を設定したり,時間帯や接続元 IP アドレスに依る適応的に閾値を設定して検知を行ってきたが,認証時間を用いることの有効性が明らかになっていなかった.本研究では,認証時間を用いることにより,いくつかの機械学習においても検知率の向上に寄与できることを示す.
著者
大歳 英征 中原 崇 波多 悠輔 前田 達哉 小林 孝史
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2022-IOT-58, no.8, pp.1-8, 2022-07-05

SSHは,認証と暗号化の技術を用いて安全に遠隔サーバへのアクセス環境を提供し,UNIX 等の OS で広く用いられている.しかし,その目的がサーバへの直接的なシェル操作であることから,企業の機密情報などを狙う攻撃者からの標的となりやすい.日常的に SSH サーバのログを監視・分析することは,それらの脅威に対処することに有用であるが,監視・分析作業は管理者にとって労力がかかることである.そこで,本稿では,グラフ理論を用いた SSH サーバログの統合管理およびリアルタイムに可視化するシステムを提案する.
著者
木村 拓哉 馬場 里英 岡部 太郎 藤井 遼 皆川 裕祐 藤田 健亮 角谷 隆史 加茂 徹郎 高井 千尋 山田 宗 鯉沼 俊貴 萩原 祥弘 三角 香世 小林 孝臣 山中 隆広 髙橋 秀徳 小村 賢祥 荒井 大輔 長尾 元太 小西 駿一郎 神元 繁信 仲地 一郎 小倉 崇以
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.95, no.2, pp.147-152, 2021-03-20 (Released:2021-10-02)
参考文献数
13

A preliminary report from a global study showed that remdesivir, a nucleoside analog pro-drug that was originally developed as a therapeutic drug against Ebola virus, may exert clinical efficacy in cases of COVID-19, by shortening the time to recovery. We had the opportunity to use this new drug in the treatment of 7 COVID-19 patients with respiratory failure.
著者
平野 大信 小林 孝男
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.7, pp.787-793, 2014 (Released:2014-10-01)
参考文献数
3

近年,省資源,省コストなどの観点から,段ボール原紙の軽量化が進行することが予測されている。このような状況において懸念される段ボール原紙の品質トラブルの1つに,巻取の吸湿シワが挙げられる。吸湿シワとは,巻取が吸湿することによって,胴面にドラム缶状の膨れシワが発生する現象であり,その発生メカニズムから,吸湿伸びが大きいこと,座屈のしやすさ,の2点が主な要因として考えられる。しかし,これらに関連する物性と実際に発生する吸湿シワとの関係について,系統的に調査した例は見当たらない。そこで,段ボール原紙巻取における吸湿シワ発生要因を解析するために,異なる複数の工場にて抄造した巻取を同一条件下で保管し,各巻取の吸湿シワ発生状況および水分変化率の調査を実施した。その結果,巻取間で吸湿シワの発生状況,水分変化率に差異が見られ,吸湿シワ発生状況とその関連原紙物性との重回帰分析から,吸湿シワ発生要因として,剛度,吸湿伸び,地合の3要素が重要であることがわかった。吸湿伸びは水分伸縮係数と水分変化率の積の形で表され,水分変化率はワインダー巻取り時の初期水分と原紙の平衡水分に影響されるが,特に初期水分の寄与が大きいと見積もられた。また,有限要素解析シミュレーションから,地合改善は吸湿シワの発生を遅らせる効果はあるものの,一旦吸湿シワが発生してしまえば,成長を抑制するだけの効力は持ち合わせていないことが示唆された。
著者
小林 孝資 浅川 陽一 高橋 泰樹 齊藤 進
出版者
一般社団法人 日本液晶学会
雑誌
日本液晶学会討論会講演予稿集 (ISSN:18803490)
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.153, 2008

私たちの以前の論文において、液晶材料としてZLI-2293とUV硬化型モノマーとしてRMM-34が使われたベンド配向セルの立ち上がり、立ち下り共に過渡応答特性が高分子安定化によって低速化することを報告した。しかしながら、この報告書では高分子安定化によって液晶とUV硬化型モノマーであるZLI-4792とRMM-34をそれぞれ用いることで、立ち下がりの過渡応答時間が改善することができた。
著者
新井 恒紀 小林 孝之
出版者
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
vol.76, no.3, pp.175-191, 2013-05-29
参考文献数
18

<B>背景</B> : リンパ浮腫は、先天性を含めた原因不明のものと主にがんの手術や放射線療法によるリンパ管の輸送障害に起因する続発性リンパ浮腫に分類され、我が国には10万人以上存在するといわれている。リンパ浮腫の治療については、国際リンパ学会により複合的理学療法が標準治療に定められている。この療法は、「スキンケア」「用手的リンパドレナージ」「圧迫療法」「運動療法」を複合的に実施することにより、はじめて最大限の効果を得ることが出来るものである。現在、我が国では「リンパ浮腫指導管理料」と圧迫療法として「弾性着衣等に係わる療養費の支給」の2項目のみが保険適用になっており、用手的リンパドレナージが保険適用になっていない。そのためこの療法の単独効果を実証し保険適用の一助とするため本研究を行った。<BR><B>方法</B> : 四肢のみに浮腫のみられた患者72名(平均年齢は60.46&plusmn;13.00歳)に対して用手的リンパドレナージを上肢患者45分、下肢患者60分行った。患者の治療前後の患肢容積変化を測定しその効果を検討した。データの統計処理は正規分布検定を行ったのちWilcoxonの符号付順位検定を行った。<BR><B>結果</B> : 全患者n=72名では69.20ml&plusmn;93.00ml減少し(p<0.000)、部位別では上肢群n=16名では26.20ml&plusmn;45.99ml減少し(p=0.039)、下肢n=56名では81.40ml&plusmn;99.50ml減少し(p<0.000)、集中治療期(Phase1) n=12名では112.50ml&plusmn;118.78ml減少し(p=0.005)、維持治療期(Phase2) n=60名では60.50ml&plusmn;85.56ml減少し(p<0.000)だった。またPhase2をStage分類し治療前後の患肢容積変化を算出したところStageI (n=9名)では75.00ml&plusmn;98.14ml減少し(p=0.038)、StageII (n=46人)では56.90ml&plusmn;88.17ml減少した(p<0.000)。※患者数が5人未満である0期、III期は統計処理から除外した。<BR><B>結論</B> : 今回の研究により、用手的リンパドレナージによる治療前後の患肢容積が統計的に有意に減少したことが明らかになった。この結果を踏まえ、用手的リンパドレナージを含んだ複合的理学療法の保険適用が切望される。
著者
小林 孝夫
出版者
アトリエOCTA
雑誌
幻想文学
巻号頁・発行日
no.57, pp.130-140, 2000-02
著者
小林 孝人
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会会報 (ISSN:00290289)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.jjom.H20-03, 2009-05-01 (Released:2018-03-30)
参考文献数
15

Inocybe dunensis P. D. Orton and Inocybe leptoclada Takah. Kobay. & Courtec. collected from Wakayama Prefecture, Western Japan by Kumagusu Minakata are described and illustrated. Inocybe dunensis is newly recorded in Japan. Inocybe leptoclada is newly recorded in western Japan.
著者
小林 孝雄
出版者
文教大学
雑誌
生活科学研究 = Bulletin of Living Science (ISSN:02852454)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.43-53, 2018-03-30

ロジャーズによる「治療的人格変化の必要十分条件」論文は、ロジャーズ理論における最重要論文とみなされている。しかしながら、この論文は、自然科学的心理学の枠組みで記述することを要請されたもので、必ずしもロジャーズの意図に沿ったものではない。とはいえ、自然科学的心理学で認められることもロジャーズが望んだことでもあった。この論文は、記述されることになった経緯があるのであり、この論文単独では、ロジャーズ理論を正しく理解することはできない。本論考では、この論文の成立経緯と、前後のロジャーズ理論の展開について、主に「共感的理解」に注目し、ロジャーズ理論の正しい理解のために必要な論点を整理する。
著者
齋藤 太郎 飯田 明彦 小林 孝憲 成松 花弥 堀野 一人
出版者
社団法人 日本口腔外科学会
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.66, no.6, pp.282-287, 2020-06-20 (Released:2020-08-20)
参考文献数
24

Low-grade central osteosarcoma, a rare subtype of osteosarcoma, is less aggressive than conventional osteosarcoma. We report ac case of low-grade central osteosarcoma of the mandible. A 52-year-old woman presented to our department for treatment of a swelling in the right side of the mandible. Computed tomography revealed ground glass radiopaque lesions associated with an expansive growth pattern in the mandibular bone. Because a suspicion of low-grade central osteosarcoma was diagnosed In the biopsy sample provided from the previous hospital, the lesion was surgically resected. Histopathologically, the tumor consisted of a dense proliferation of spindle cells with mild atypia. At the periphery of the lesion, the normal cortical bone was invaded by tumor nests. Low-grade central osteosarcoma was diagnosed in the surgical specimen. Tumor recurrence has not been observed for more than 6 years after surgery. Low-grade central osteosarcoma is hard to differentiate from osteogenic benign neoplasm or bone malformation. Therefore, when radiographic findings reveal an expansive ground glass appearance, a bone biopsy including the normal cortical bone and the central part of the lesion is essential.
著者
島田 能史 松尾 仁之 小林 孝
出版者
新潟医学会
雑誌
新潟医学会雑誌 = 新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.118, no.1, pp.17-20, 2004-01

症例は60歳女性.右乳癌の診断にて入院した.手術当日グリセリン浣腸施行中に強い疼痛を訴え,その後も強い肛門部痛と嘔吐が持続した.臀部は腫脹し,肛門内から少量の出血を認めた.直腸診で直腸粘膜の欠損を触知し,浣腸時の直腸穿孔およびグリセリン液の管腔外注入が考えられた.浣腸後から自尿は無く,約10時間後の導尿では少量の血尿が得られた.補液と強制利尿にも反応無く,翌日急性腎不全と診断し,血液透析を開始した.計3回の血液透析で,腎機能は利尿期を経て約2週間後に正常に回復した.臀部の発赤,腫脹も受傷10日目には自然に消失し,直腸周囲での膿瘍形成も無かった.本症例は高濃度のグリセリン液が血中に入ったことにより,赤血球の膜障害と溶血が起こり,急性腎不全を引き起こしたと考えられた.以前より高濃度のグリセリンが血中に入ると溶血を起こすことは広く知られている.グリセリンが溶血を起こす機序については,赤血球の膜障害による高度の溶血が原因として推測されている.溶血が起こると大量の遊離ヘモグロビンが発生し,尿細管上皮内に再吸収されヘムとグロビンに分解される.ヘムは細胞毒として作用するため腎不全が発生するとされている.腎不全発生を予防するためには,遊離ヘモグロビンの除去が重要とされる.遊離ヘモグロビンは大分子物質であるため,その除去には血漿交換が有効と考えられている.また,遊離ヘモグロビンと結合し肝臓に運び処理するハプトグロビン投与も有効とされている.グリセリン浣腸時に患者が疼痛や気分不快および強い疼痛等を訴えた場合には,浣腸による直腸粘膜の損傷や穿孔の可能性がある.さらに腸管外へのグリセリン液注入は溶血から急性腎不全を発症する場合もあり,注意深い観察と迅速な対応が必要である.
著者
小林 孝至 松嶋 真哉 横山 仁志 武市 梨絵 渡邉 陽介 中田 秀一 中茎 篤 相川 駿 駒瀬 裕子 峯下 昌道
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.166-173, 2020 (Released:2020-04-20)
参考文献数
18

【目的】COPD 急性増悪(以下,AECOPD)患者の栄養状態を調査し,退院時の自立歩行の可否に与える影響を明らかにすることである。【方法】対象は入院前歩行が自立していたAECOPD 患者であり,理学療法を実施した101 例である。栄養状態は低栄養の有無とエネルギー充足率を調査した。自立歩行の可否は歩行FIM で6 以上を可能と判定した。統計解析は自立歩行の可否を目的変数,低栄養の有無とエネルギー充足率を説明変数とした多変量ロジスティック回帰分析を実施した。【結果】自立歩行の可否に対して低栄養の有無(OR 3.9)とエネルギー充足率(OR 0.7)は,有意な因子であった(p<0.05)。【結論】AECOPD 患者における栄養状態は,退院時の自立歩行の可否に影響する可能性が示された。そのため,理学療法介入時には栄養状態の評価が必要と思われ,エネルギー充足率の低い患者へは早期からの栄養補給療法の併用が重要と考えた。