著者
秀島 栄三 小林 潔司
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.397-402, 1997-10-25 (Released:2018-05-01)
参考文献数
10

In this paper, the conservation benefits of rural landscape are investigated. The conservation benefits can be derived from two distinct properties of rural landscape: use value and existence value. These benefits can be attributed to both the farmers and the urban residents. The existence value of rural landscape can be derived from altruistic as well as paternalistic motives. It is shown that the existence value based upon altruistic motives is vanished in the cost-benefit calculation. The income transfer from urban residents to rural residents can be justified in terms of use value and existence value based upon paternalistic motives.
著者
星野 裕司 永野 謙一 小林 一郎
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.347-358, 2002-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
9
被引用文献数
1

本研究では、環境の可能相に対する複眼的把握を検討するため、明治期の沿岸要塞における砲台配置と眺望景観の関係について考察した。全国の11要塞・124砲台に対して、3つの視点により分析を行った。まず、事象からの誘目性の程度によって、砲台の役割を4つに類型化した。次に、射撃方法及び距離比の2点から砲台の性能を4つに類型化した。以上を統合し、砲台の配置パターンを4類型抽出した。最後に、先行研究における知見を参照し、九州内の砲台群において、観察者-事象-地形の関係を砲台のネットワークとして考察した。その結果、5種類の関係が抽出され、事象の想起性や参画性のメカニズムを3者の関係として明らかにした。
著者
遠藤 博久 小林 寛伊 大久保 憲
出版者
東京医療保健大学
雑誌
医療関連感染
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.30-34, 2008-07

アルコール擦式消毒薬は、優れた殺菌力により確実に短時間で微生物を減少させることができること、手洗いシンク等の特別な設備は必要なく、ベットサイドへの設置や携帯用で持ち歩くことができることから予指衛生の遵守率向上が期待でき、院内の交差感染を防ぐ極めて有効な手段として臨床の現場で使用されている。しかし、Masciniらはvancomvcin-resistant Enterococcus faecium(VRE)のアウトブレークの介入において、アルコール擦式消毒薬の使用量増加がアウトブレイクコントロールの唯一の効果ではなく、流行株にターゲットを絞った感染制御、流行株保菌者の隔離、手指衛生の遵守率の増加と先制隔離によって流行株の広まりをコントロールできたとしている。また、Huangらはアルコール擦式消毒薬の導入または遵守率向上だけでは、MRSA菌血症数は減少せず、ICUの患者の鼻腔のMRSA保菌調査を行い、陽性者に接触予防策を導入することによって、MRSA菌血症数を減少させることができたとしている。これらは複数の対策によりえられた効果であり、care bundleの考え方の有意性を示している。そして、アルコール擦式消毒薬使用の遵守率と病原微生物の院内伝播率の間に相関関係はなかったとしているEckmannsらは、この原因としてアルコール擦式消毒薬使用の遵守率の平均が40%と低く、院内伝播率の相違が明確に出なかったためとしている。これらのことから、アルコール擦式消毒薬は、耐性菌などの院内伝播防止に有効であるが、臨床現場における効果として手指消毒の低い遵守率や感染対策の基本である標準予防策や接触予防策を疎かにした場合では、十分な病原体伝播の防止効果が得られないといえる。病院におけるアルコール擦式消毒薬の使用増加とC.Jifficile感染症に関してGordinらは、アルコール擦式消石鹸と流水の手洗いで落としたあと、付加的にエタノールで消毒を行うことは有用であると考えられる。今回行ったアルコール擦式消毒薬の臨床的効果に関する文献考察から、アルコール擦式消毒薬の特徴を理解し正しいタイミングや使用方法でアルコール擦式消毒を使用するとともに、感染対策の基本である標準予防策や接触感染予防策を遵守することが、より確実な交差感染予防につながると考えられる。
著者
井上 直子 安田 和誠 森 勇人 秋元 勇人 大原 厚祐 根岸 彰生 冲田 光良 大島 新司 沼尻 幸彦 大嶋 繁 從二 和彦 小林 大介
出版者
日本社会薬学会
雑誌
社会薬学 (ISSN:09110585)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.81-90, 2018-12-10 (Released:2019-01-19)
参考文献数
11

Drug dispensing is a statutory and designated duty of a pharmacist. We aimed to examine the changes in the nature of drug dispensing using a text mining method. Our corpus consisted of text documents from “Chozai Shishin”, the most standard manual for dispensing drugs in Japan, Editions 1 to 13 (Japan Pharmaceutical Association), and we used the KH Coder software for text mining. We constructed networks showing the association between frequent word co-occurrence and edition number, and co-occurrence relations for frequent words in each edition. We found that “patient” superseded “dispensing” as a frequent term over time. “Dispensing” was another frequent term with a highly centralized node in each edition. Accordingly, we targeted the term “dispensing” for network analysis to depict its co-occurrence relations. We found that the range of related words for “dispensing” broadened from “preparation” and “compounding” to include “patient adherence instructions”, “assessment”, “medical treatment”, and “information provision”. Accordingly, we concluded that the content of “dispensing”, which is a pharmacist’s duty, has expanded from the duties of “dispensing drugs” to include “responding to patients” within the definition of “dispensing”, and we were able to present this finding as objective data by using the mechanical method known as text mining.
著者
只野 喜一 磯辺 智範 佐藤 英介 武居 秀行 小林 大輔 森 祐太郎 富田 哲也 榮 武二
出版者
公益社団法人 日本医学物理学会
雑誌
医学物理 (ISSN:13455354)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.148-150, 2016 (Released:2017-04-24)
参考文献数
4
被引用文献数
1

Treatment planning systems with highly accurate dose calculation algorithms such as Monte-Carlo method and linear Boltzmann transport equation are becoming popular thanks to a development of the computer technology. These algorithms use new concepts, dose-to-medium and dose-to-water. However, introducing these concepts can cause confusion in clinical sites. Basic knowledges about Monte-Carlo simulation and other corresponding algorithms were explained in this article such as the principles, the parameters and words of caution.
著者
小林 江梨子 池下 暁人 孫 尚孝 櫻田 大也 佐藤 信範
出版者
一般社団法人 レギュラトリーサイエンス学会
雑誌
レギュラトリーサイエンス学会誌 (ISSN:21857113)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.141-150, 2019 (Released:2019-09-30)
参考文献数
9

後発医薬品への 「変更不可処方せん」 について調査を行った. 2018年7〜8月の任意の1週間における, 一般社団法人日本保険薬局協会の会員薬局2,667薬局で受けつけた全処方せん945,668枚のうち, 変更不可処方せんは103,378枚 (10.93%) であった. 各薬局における変更不可処方せんの割合は, 5%以下の薬局が46.38%と最も多く, つづいて0%の薬局が17.51%であった. 各薬局における変更不可処方せんの割合の平均値は10.22%であるが, 中央値は2.74%であり, 半数以上の薬局で, 変更不可処方せんの割合が2〜3%程度である一方で, 変更不可処方せんの割合の大きい薬局も存在する等, 薬局間でばらつきが大きいことが示された. 九州・沖縄地方では, 中央値が0.70%で最も小さく, 変更不可処方せんの割合が5%以下の薬局が, 75%以上を占めていた. 北海道地方では, 平均値が12.9%で最も大きく, 変更不可処方せんの割合が5%以下の薬局の割合は, 最も少なく, 61.5%に過ぎなかった. 平均値は地域によって異なっており, 北海道地方, 中部地方, 近畿地方, 四国地方で10%以上となっていた. 後発医薬品へ変更可能な処方せんにおいて, 後発医薬品へ変更しない主な理由は, 94.94%の薬局が指摘した “患者の意向” であった. そのほかの具体的な理由 (記述式) のうち, 最も多かったのは, 処方元からの口頭などによる指示であった. 過半数の薬局において変更不可処方せんの割合が小さい一方で, 変更不可処方せんの割合が大きい薬局も存在することから, このような薬局に焦点を当てた政策も必要である. 今後は, さまざまな特性の薬局を含めた調査が必要である.
著者
北川 徹三 小林 義隆 遠藤 瞭 楠木 英吾
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.69, no.7, pp.1263-1267, 1966-07-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
16
被引用文献数
1

アンモニアの爆発危険性について研究を行なった。すなわち,エネルギー源として火花放電を用い,アンモニア-酸素-窒素系,アンモニア-空気-窒素系,アンモニア-酸素-ジクロルジフルオルメタン系,アンモニア-空気-ジクロルジフルオルメタン系の爆発範囲および,アンモエア-空気系について最小着火エネルギーを測定した。その結果は,常温,常圧下のアンモニア-酸素-窒素系における爆発臨界点の組成はアンモニア18.4,酸素13.4,窒素68.2vol%であり,アンモニア-酸素-ジクロルジフルオルメタン系においてはアンモニア30.0,酸素22.5,ジクロルジフルオルメタン47.5%であった。ジクロルジフルオルメタンを添加した場合には爆発に際し,ハロゲン化アンモニウムの生成が観察された。また,アンモニア-空気系の常温,常圧下における最小着火エネルギーを測定した結果は,アンモニア濃度19.5%に存在し,その値は170mJ で, 一般の炭化水素ガスなどに比較し, 非常に大きい結果を得た。
著者
小林 悠歩 筒井 一伸
出版者
農村計画学会
雑誌
農村計画学会誌 (ISSN:09129731)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.320-327, 2018-12-30 (Released:2019-12-30)
参考文献数
15
被引用文献数
3

The purpose of this study is to reveal the characteristics of activities for maintaining rural community by collaboration with non-residents of family members by focusing on the case of Nishiotaki, Iiyama City, Nagano Prefecture. As a result of our survey, it was revealed that there are three types of way non-residents of family members are involved with community activities: participation in only recreational activities; participation in only required activities; and participation in both recreational and required activities. It was also found that year after year, the number of the non-residents who are involved with community events or associations has increased, but the number of them is limited, because some of them have more than one role in the community and all of them are not interested in the community activities. Therefore, it is necessary to think to involve non-residents who are not family members in the community activities.
著者
藤原 靖幸 太子 敏則 干川 圭吾 小浜 恵一 胡 肖兵 小林 俊介 幾原 裕美 Craig Fisher 幾原 雄一 射場 英紀
出版者
日本結晶成長学会
雑誌
日本結晶成長学会誌 (ISSN:03856275)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.46-1-04, 2019 (Released:2019-04-27)
参考文献数
22

Bulk single crystals of the perovskite LixLa(1-x)/3NbO3, which is one of the materials used as the solid electrolyte in all-solid lithium-ion batteries, have been grown for the first time by the directional solidification method. The ionic conductivity measured in the growth direction of the single crystal wafer of LixLa(1-x)/3NbO3 and the anisotropy of ionic conduction in solid electrolyte were experimentally confirmed for the first time by using LixLa(1-x)/3NbO3 single crystals. Here, the results of four experiments on LixLa(1-x)/3NbO3 bulk single crystals are presented:  (1) growth of solid electrolyte LixLa(1-x)/3NbO3 bulk single crystals, (2) ionic conduction in LixLa(1-x)/3NbO3 single crystal, (3) anisotropy of ionic conduction in LixLa(1-x)/3NbO3 single crystal and (4) microstructure analysis of LixLa(1-x)/3NbO3 single crystal.

1 0 0 0 OA 現行兵事例則

著者
小林政貫 編
出版者
豊住喜志
巻号頁・発行日
1888
著者
島田 能史 松尾 仁之 小林 孝
出版者
新潟医学会
雑誌
新潟医学会雑誌 = 新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.118, no.1, pp.17-20, 2004-01

症例は60歳女性.右乳癌の診断にて入院した.手術当日グリセリン浣腸施行中に強い疼痛を訴え,その後も強い肛門部痛と嘔吐が持続した.臀部は腫脹し,肛門内から少量の出血を認めた.直腸診で直腸粘膜の欠損を触知し,浣腸時の直腸穿孔およびグリセリン液の管腔外注入が考えられた.浣腸後から自尿は無く,約10時間後の導尿では少量の血尿が得られた.補液と強制利尿にも反応無く,翌日急性腎不全と診断し,血液透析を開始した.計3回の血液透析で,腎機能は利尿期を経て約2週間後に正常に回復した.臀部の発赤,腫脹も受傷10日目には自然に消失し,直腸周囲での膿瘍形成も無かった.本症例は高濃度のグリセリン液が血中に入ったことにより,赤血球の膜障害と溶血が起こり,急性腎不全を引き起こしたと考えられた.以前より高濃度のグリセリンが血中に入ると溶血を起こすことは広く知られている.グリセリンが溶血を起こす機序については,赤血球の膜障害による高度の溶血が原因として推測されている.溶血が起こると大量の遊離ヘモグロビンが発生し,尿細管上皮内に再吸収されヘムとグロビンに分解される.ヘムは細胞毒として作用するため腎不全が発生するとされている.腎不全発生を予防するためには,遊離ヘモグロビンの除去が重要とされる.遊離ヘモグロビンは大分子物質であるため,その除去には血漿交換が有効と考えられている.また,遊離ヘモグロビンと結合し肝臓に運び処理するハプトグロビン投与も有効とされている.グリセリン浣腸時に患者が疼痛や気分不快および強い疼痛等を訴えた場合には,浣腸による直腸粘膜の損傷や穿孔の可能性がある.さらに腸管外へのグリセリン液注入は溶血から急性腎不全を発症する場合もあり,注意深い観察と迅速な対応が必要である.
著者
阿部 惠理 小林 実夏
出版者
大妻女子大学人間生活文化研究所
雑誌
人間生活文化研究
巻号頁・発行日
vol.2020, no.30, pp.380-384, 2020
被引用文献数
1

<p> 妊娠期は母子の健康のために適切な食生活を営み体重増加量を管理しなければならない.つわりは妊娠期の食生活に影響を与える要因のひとつである.母子の健康の観点からは食事摂取量の減少やつわりの悪化した妊娠悪阻に注意が払われる.しかし,吐き気を緩和させるために食事を頻回摂取するいわゆる食べつわりの症状に着目した報告は少ない.本研究では食べつわりも含めたつわりの症状と栄養摂取および妊娠中体重増加量との関連を明らかにすることを目的とした.</p><p> 対象の日本人妊産婦154名(35.2±3.7歳,妊娠前BMIは20.1±2.3)をつわりの症状別に食べつわり群,変化なし群,吐きつわり群の3群に分類した.各群の妊娠初期・中期の栄養摂取状況,および妊娠中体重増加量を比較した.その結果食べつわり群は他の2群と比較し,妊娠中体重増加量が有意に多かった.妊娠初期における3群のエネルギー摂取量は吐きつわり群が少なく有意差があった.妊娠中期には吐きつわり群のエネルギー摂取量は初期と比較し有意に増加し,3群間の有意な差はなかった.</p><p> つわりは生理的な現象であり悪阻以外は臨床的に重要視されにくいが,つわりの影響で妊娠初期の段階で食事摂取量が増した者はその後の体重管理に注意を払う必要性があると示唆された.</p>
著者
小林 茂樹
出版者
日本医科大学医学会
雑誌
日本医科大学医学会雑誌 (ISSN:13498975)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.134-142, 2012 (Released:2012-05-30)
参考文献数
22

Many drugs for glaucoma treatment have recently been developed, but prostaglandin (PG) analogs, which are PGF2α derivatives, are used most frequently. In particular, PG analogs with a stem name of "-prost" have become first-line therapies. When using PG analogs, it is important to understand their chemical structures and characteristics. These PG analogs are biologically active in carboxylate forms and are formulated as prodrugs by esterifying the terminal carboxyl to reduce side effects. The effect of PG analogs on glaucoma is determined by the degree of affinity to prostaglandin FP receptors. the structural formulae of PG analogs and our experimental results suggest that a 15-difluoro PG analog (tafluprost), which has a 13, 14 double bond, would have greater affinity for prostaglandin FP receptors and greater stability than 15-hydroxy PG analogs. Furthermore, 15-difluoro PG analogs containing a 13, 14 double bond were effective in clinical studies. Experimental results have shown that 15-difluoro PG analogs could help improve blood flow in the eye and might reduce the side effect of pigmentation. Tafluprost has been considered the best PG analog for first-line therapy, but a series of new glaucoma eye drops containing 2 active ingredients were launched in Japan in 2010. Each eye drop has advantages and disadvantages, and further studies are necessary to evaluate their clinical usefulness.