著者
山岸 明彦 三田 肇 田端 誠 小林 憲正 横堀 伸一 東出 真澄
出版者
東京薬科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

国際宇宙ステーションで実施した曝露実験試料および超高速微粒子捕集実験試料の解析を行い、生命の起源に関する二つの仮説を検証する結果を得た。エアロゲルの表面に0.1mm以上の衝突痕を合計200個以上発見した。捕集粒子および曝露パネルの分析から以下の結果を得た。1.微生物密度の上限を決定した。2.曝露微生物生存率を推定し、宇宙での死滅が指数関数的であることを確認した。3. 複雑態アミノ酸前駆体がヒダントインのような単純な前駆体よりも安定であることを確認した。4. 捕集超高速衝突粒子の無機鉱物分析を行い宇宙塵を確認した。 5. 世界最高性能エアロゲルを実証した。 6. 微小デブリの衝突頻度を得た。
著者
滝沢 寛之 小久保 達信 片海健亮 小林 広明
雑誌
情報処理学会論文誌コンピューティングシステム(ACS) (ISSN:18827829)
巻号頁・発行日
vol.46, no.SIG12(ACS11), pp.37-45, 2005-08-15

HPC Challenge(以下HPCC とする)ベンチマークは,高性能計算(High-Performance Computing,以下HPC)システムの総合的な性能評価のために提唱されているベンチマーク集である.現在までに広く用いられている浮動小数点演算性能に加えて,メモリアクセスやネットワーク通信の性能等,複数の観点から多角的にHPC システムを評価することにより,HPCC ベンチマークは実用的な科学技術計算に対する実効性能を適切に評価する指標として期待されている.本論文では,東北大学情報シナジーセンターで運用しているNEC SX-7 システムの性能をHPCC ベンチマークを用いて評価した結果について述べる.28 の評価項目のうち16 項目において著しく高い評価が得られた結果に基づいて,HPC 分野におけるベクトル型アーキテクチャの優位性について議論する.
著者
田中 沙耶 江崎 芳子 谷藤 香菜江 藤本 真衣 波田 善夫 西村 直樹 松尾 太郎 小林 秀司
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.29, 2013

&nbsp;近年,ニホンジカ <i>Cervus nippon</i>(以下,シカとする )の個体数が全国的に増加しつつある.これに伴い,各地で農林業被害や自動車・鉄道との衝突事故が増加し,自然植生への影響も危惧されている.対策として,これまでは個体の直接駆除や防止柵などによる排除が行われてきた.しかし,猟友会や農山村の高齢化などの問題から,十分な個体数の駆除ができているとは言えない.また,防止柵についても,設置費や維持費がかかること,人の移動まで阻害することなど,さまざまな問題が生じている.そこで岡山理科大学動物系統分類学・自然史研究室では,シカが心理的な圧迫を受けることで,シカ自らが忌避するような移動阻害構造体 (以下,構造体と表記 )の開発を一昨年から試みている.<br>&nbsp;今回は,岡山理科大学内で飼育しているメスの成獣個体2頭を用いて,シカが構造体上を通過する際に,どのような行動がみられるのかを観察した.試験個体は 2011年に岡山県美作市の山中で捕獲されたもので,野生状態での実験結果に近づけるため,山の中で隔離して飼っている.過去のデータより,構造体上で,静止・構造体に鼻先を近づける・檻のフェンスに鼻先を近づけるといった行動や,構造体を前に引き返す・セルフグルーミングをするなどといった行動がみられることがわかっているが,これらの行動と,構造体を設置していない場合にみられる行動を比較することにより,構造体がシカにどの程度の心理的圧迫を与えているか分析した.また,構造体設置による行動の変化の度合いが個体によって異なることや,慣れによってシカの行動が変化することが考えられる.このことより,構造体を通過する際,どのような行動変化がみられるかを,構造体設置後から継続観察することで,行動の変化も調査することにした.そしてこれらのデータを分析し,構造体はどの程度シカに心理的圧迫を与えるのか,どれほどの期間シカに効果があるのかについて評価した.

1 0 0 0 OA 臨界磁場Hc

著者
能登 宏七 小林 典男 渡辺 和雄
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.649-650, 1990-05-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
13
著者
村松 歩 小林 昌平 水野(松本) 由子
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18845258)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.263-271, 2019 (Released:2019-08-30)
参考文献数
36
被引用文献数
1

This research aimed to investigate the effect that smartphones have on brain networks. The Subjects were 23 healthy adults (25.7 ± 5.64 years old). Five sessions with relax, pleasant, unpleasant, pleasant sentences, and unpleasant sentences, stimuli were conducted using a smartphone. The electroencephalography (EEG) was measured soon after the stimuli. The coherence analysis and the complex network analysis were conducted for EEG in the alpha2 wave band. In the stress-free group, the brain shows low network efficiency under relax or pleasant stimuli, and high network efficiency under unpleasant stimuli. In the stress group, there are no differences in network efficiency among any kinds of stimuli. In either group, the network efficiency under sentence stimuli is close to that under unpleasant stimuli. Our study using complex network analysis for the coherence value from EEG revealed that network efficiency of the brain depends on the category of emotional stimuli during smartphone operation.
著者
岡田 啓司 小林 晴紀 花田 直子 平沼 宏子 林 奈央 嵐 泰弘 千田 廉 出口 善隆 佐藤 繁
出版者
日本家畜臨床学会 ・ 大動物臨床研究会
雑誌
産業動物臨床医学雑誌 (ISSN:1884684X)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.183-188, 2011-12-30 (Released:2013-05-17)
参考文献数
12
被引用文献数
1 2

挙肢を行わない簡便な蹄病診断法の確立を目的として,3軸加速度センサと跛行スコアを組み合わせて,牛の跛行の主な原因となっている蹄底潰瘍および白帯病の摘発を試みた.その結果,正常牛の歩様は外蹄から着地し内蹄で踏み切り,重心が左右にぶれない安定した歩様であるため,跛行スコアは1,加速度変量総和は3622±227m/s2で安定していた.蹄底潰瘍罹患牛は歩行時に罹患肢の内蹄と外蹄を同時に着地し,跛行スコアは2~3,加速度変量総和は7225±877m/s2であり,正常牛に比べて有意(p<0.01)な高値を示した.白帯病罹患牛の加速度変量総和は正常牛と同様の値を示したが,跛行スコアは3~4であった.よって加速度センサと跛行スコアを組み合わせることにより蹄底潰瘍と白帯病を摘発できる可能性が示唆された.
著者
小林 茂雄 村中 美奈子
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.73, no.634, pp.1341-1346, 2008-12-30 (Released:2009-10-28)
参考文献数
12
被引用文献数
5 3

In this research, people's sitting postures in various types of eating and drinking spaces were observed, and their characteristics and related factors were analyzed. The principle results are summarized as follows.1. More people tended to bend forward in fast-food restaurants, and more people tended to bend backward in izakaya (Japanese-style bars). Men tended to bend forward more than women in izakaya and restaurants, on the other hand, women tended to bend forward more than men in cafes.2. Younger people tended to bend forward in fast-food restaurants more than older people, and older people tended to bend forward in izakaya more than younger people.3. People in conversation tended to put their elbows on the tables more than people who were not talking, and people who were not eating tended to put their elbows on the tables more than people who were eating.4. People in bright spaces tended to bend forward more than people in dark spaces, and people in noisy spaces tended to put their elbows on the tables more than people in quiet spaces.
著者
村井 里依子 松崎 緑 岩崎 みすず 小林 美子
出版者
長野県看護大学
雑誌
長野県看護大学紀要 (ISSN:13451782)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.41-49, 2002-03-31

本研究は,学生が実習前後において精神障害者に抱くイメージとその変化を明らかにすることを目的とした.対象者は,1998~2000年度の精神看護実習に参加した長野県看護大学生236名である.自由記述による回答を質的に分析してカテゴリー化し,カテゴリー毎に実習前後のデータ数を比較した.その結果,精神障害者に抱くイメージとして≪疾患と症状≫≪特有の性質≫≪学生自身の思い≫など,実習前14,実習後18のカテゴリーが抽出された.また実習前後におけるイメージは,学生の生活体験や授業の知識によるものから,実際に精神障害者
著者
小林 慶一郎 中嶋 智之
出版者
独立行政法人経済産業研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

不良債権の蓄積が経済に非効率をもたらすモデルを作成できた。その応用として、不良債権が経済成長を低下させるモデルを作成した。また、Diamond-Rajan型の銀行危機モデルを使って、システミックな流動性危機を説明するモデルを作成した。これらのモデルにより、金融危機の実相とメカニズムをより深く理解することができ、新しい政策的対応を提案することができる。
著者
小林 裕明
出版者
新潟大学大学院現代社会文化研究科
雑誌
現代社会文化研究 = 現代社会文化研究 (ISSN:13458485)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.89-106, 2010-03

R. Steiner's The Philosophy of Freedom(die Philosophie der Freiheit) puts moral imagination (die moralische Phantasie) at its center. This moral imagination is the intuition of individual idea. By this, the human is freedom, and individual. In this ideal intuition, the idea is mediated through the representation (Vorstellung) to the perception (Wahrnehmung), in such a way that the representation mediates as a motive between the feeling (Gefuhl) and the perception. Under this structure of the duple mediation, the idea and the action are mediated and conjoined through the motive according to the moral idea. Without the unity of idea and action, it isn't in the right, and the action without the mediation through the motive isn't free. In this way, freedom is all human self-development of (individual) Idea which corresponds to love. This structure of moral imagination necessarily leads to the weltanschauung of triple worlds, material-, soul- and spiritual world in his later works on the science of the spirit (Geisteswissenschaft). Because individual idea that is the core of human freedom is true actual only as the unity of these triple worlds, namely as the self that penetrates samsaras. The content of moral imagination is the necessity of samsaras (karma)=idea of the individual, and what is more, the idea of the nation and the age that flows in it. On the other hand, the form of moral imagination is faith. By faith, the human is freedom, and by freedom, the human loves the others.
著者
小口 悦子 小林 恵子 津久井 亜紀夫 永山 スミ 樽本 勲
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.43, no.9, pp.879-886, 1992

わが国の代表的な13品種の甘藷を用いていも羊羮を製造し, 硬さ, 付着性, 凝集性, 破断応力および破断ひずみを測定した。また, 生甘藷およびいも羊羮の水分量を測定し, テクスチャー値との関係を検討した.さらに, 官能検査を実施し, 以下の結果を得た.<BR>(1) いも羊羮は日本的, 家庭的, 女性的で甘い菓子というイメージであった.<BR>(2) いも羊羮の製造においては, 蒸し時間は20分が適当であった.<BR>(3) いも羊羮の硬さ, 付着性, 破断応力および破断ひずみは13品種間において差が認められた.しかし凝集性はほとんど差がなかった.<BR>(4) いも羊羮の硬さと破断応力は, 正の相関関係が認められた.硬さと破断ひずみ, 付着性と破断ひずみは負の相関関係が認められた.<BR>(5) 生甘藷, 蒸し甘藷およびいも羊羮の水分量といも羊羮の硬さは負の相関関係が認められた.<BR>(6) いも羊羮の嗜好調査の結果から高系14号, 沖縄100号, ベニコマチの明るい黄色が好まれた.この3品種のいも羊羮について官能検査を行ったところ, 高系14号は, 硬さおよび付着性が13品種中, 中位にあり, いも羊羮として好まれた品種であった.
著者
神保 佳典 高比良 裕之 小林 一道 安田 章宏
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.76, no.762, pp.219-229, 2010-02-25 (Released:2017-06-09)
参考文献数
17

The growth and collapse of a bubble under a floating body are simulated by using the boundary element method with linear elements to predict the damage of ship bodies induced by underwater explosion. The three-dimensional deformation of the bubble, the translation and rotation of the floating body, and the motion of water surface are taken into account in the simulation. It is shown that the bubble deforms three-dimensionally, and the liquid jet threads the bubble due to the interactions among the bubble, the floating body, and the water surface; the directions of the bubble translation and the liquid jet depend on the initial location of the bubble. The Kelvin impulse is found to be useful in evaluating the translational motion of the bubble. Also, the horizontal translational motion of the bubble is much dependent on the rotational motion of a floating body; when the moment of inertia of the floating body is small, the largest horizontal translation is realized between the axis of flotation and the edge of the floating body. It is also shown that there exists an initial horizontal bubble location where the moment of force acting on the floating body has the maximum value.
著者
小林 未菜実 川角 謙一 齋藤 佳久 寺尾 靖也 佐野 勝弥 石井 裕也 辰巳 麻由美 大瀬 眞人(MD)
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌 第28回東海北陸理学療法学術大会
巻号頁・発行日
pp.89, 2012 (Released:2013-01-10)

【目的】 肩関節疾患に対する理学療法において、肩甲上腕関節の可動域制限は良化しても結帯動作の改善に難渋するケースを多くみる。結帯動作において同側肋骨は前方回旋、胸椎は対側回旋の運動連鎖を生ずる。今回、体幹回旋可動域の左右差、体幹対側回旋可動域の変化に伴う患側肩関節の結帯動作可動域の変化に着目し、体幹の対側回旋へのアプローチを行い、結帯動作可動域に改善のみられた症例を経験したので報告する。【方法】 対象は当院に通院する女性患者3名(右肩関節周囲炎2名、右石灰性腱炎1名)である。また本発表にあたり、対象者には倫理的配慮としてヘルシンキ宣言に基づき十分に説明を行い同意を得た。 3症例の共通した条件は、患側肩関節屈曲・外転可動域160°以上、結帯動作に関してL5レベル以上の可動域を有することである。実施介入としては、自動での体幹対側回旋を患側肋骨の前方回旋を徒手にて補助しながら5回繰り返し、5回目は最終域で徒手抵抗下にて10秒間の保持を行った。介入前後に下記の方法で患側の結帯動作と体幹の両側回旋を行い、メジャー、角度計にて測定した。いずれも測定肢位は端座位である。1. 結帯動作:肘関節屈曲90°にて座面-橈骨茎状突起距離を測定。2. 体幹回旋:胸骨前方で両側の手掌を合わせ、骨盤を中間位にて固定、両膝関節内側を接触させた状態で体幹の回旋角度を測定。【結果】 体幹回旋運動に関しては、症例1:同側45°/対側30°、症例2:同側50°/対側35°、症例3:同側45°/対側40°と、3症例すべてにおいて体幹対側回旋可動域は同側回旋に比べ制限がみられた。介入後、体幹対側回旋可動域は3症例すべてにおいて拡大した。それに伴い結帯動作に関して、座面-橈骨茎状突起距離は、症例1:介入前26.0㎝→介入後30.0㎝、症例2:24.0㎝→27.5㎝、症例3:27.0㎝→35.0㎝と、3症例すべてにおいて結帯動作可動域の拡大が確認できた。【考察】 今回対象とした結帯動作制限の3症例では、全例において体幹の対側回旋制限がみられた。この原因の1つとしては患側の前鋸筋の機能不全が考えられる。前鋸筋と外腹斜筋には筋連結があり、前鋸筋の機能不全は外腹斜筋の機能不全を招くといわれている。このようなことから患側前鋸筋、外腹斜筋の機能不全が体幹対側回旋可動域の減少を生じさせたと考えた。従って、介入により外腹斜筋の活動性を向上させ、体幹対側回旋可動域を拡大させた結果、同側肋骨の前方回旋運動が促進され、肩甲骨の前傾角度が増加することで結帯動作可動域の拡大につながったのだと考える。以上より、結帯動作可動域拡大のアプローチとして、体幹対側回旋可動域の拡大による同側肋骨の前方回旋運動の促進は有効であることが示唆された。【まとめ】 結帯動作と体幹回旋可動域との相関性について考えた。今後は体幹回旋可動域の変化が結髪動作に与える影響についても考えていきたい。
著者
梅垣 雄心 中村 雅俊 武野 陽平 小林 拓也 市橋 則明
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48101963, 2013 (Released:2013-06-20)

【はじめに、目的】臨床現場において、ハムストリングスのストレッチングは多くの場面で用いられている。近年、ストレッチングの効果に関して多く報告されているが、ストレッチング法について検討した報告は少なく、特に内外側ハムストリングスの選択的なストレッチング法について、科学的根拠は示されていない。理論的に筋のストレッチングは筋の作用と逆方向へ伸張すべきであり、ハムストリングスは股関節伸展・膝関節屈曲作用に加え、内側は股関節内旋、外側は外旋作用を有していることから、内側は股関節屈曲・外旋位から膝関節伸展、外側は股関節屈曲・内旋位から膝関節伸展の他動運動が効果的なストレッチングになると考えられる。その一方で股関節屈曲・膝関節伸展に股関節外旋を加えることで外側を、内旋を加えることで内側を選択的に伸張できるという報告もあり、統一された見解は得られていない。そこで、本研究では筋は伸張されると硬くなるという先行研究に基づき、超音波診断装置と弾力評価装置を用いて筋硬度を測定し、筋の伸張量の指標とした。本研究の目的は股関節屈曲・膝関節伸展に股関節の内旋と外旋を加えることが、内・外側ハムストリングスの伸張量に与える影響を明確にすることである。【方法】対象は下肢に神経学的及び整形外科的疾患を有さない健常男性17名(平均年齢24±3.4歳)の利き脚(ボールを蹴る)側の大腿二頭筋(以下:BF)及び半腱様筋(以下:ST)とした。ストレッチング肢位は、背臥位でベッド側方から非利き脚をたらし、ベルトで骨盤を固定した。試行は股関節90°屈曲、膝関節90°屈曲位(以下Rest)、股関節 90°屈曲・最大内旋からの膝関節伸展(以下IR)、股関節90°屈曲からの膝関節伸展(以下NOR)、股関節90°屈曲・最大外旋からの膝関節伸展(以下ER)の4試行とし,IR、NOR、ERでは痛みを訴えず、最大限伸張する角度まで他動的関節運動を行い、その時の膝関節伸展角度と筋硬度を測定した。 筋硬度の評価はテック技販製弾力評価装置(弾力計)と、SuperSonic Imagine社製超音波診断装置の剪断波エラストグラフィ機能 (以下:エラスト)を用いた。弾力計では圧力20NでRestのみ2回測定し、その平均値を算出した。IR、NOR、ERは1回の測定値を使用した。エラストでは全て1回の測定値を使用した。測定位置は,坐骨結節と外側上顆を結ぶ線の中点の位置でBFを、坐骨結節と内側上顆を結ぶ線の中点の位置でSTを触診しながら測定を行った。統計学的解析では、BFとSTにおける筋硬度値と膝関節伸展角度をそれぞれ各条件間でWilcoxon検定を用いて比較し、Bonferroni補正を行った。有意水準は5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】対象者には研究の内容を説明し、研究に参加することの同意を得た。【結果】BFでは、弾力計の値はRestに比べ、IR,NOR,ERが有意に減少し、エラストの値はRestに比べ、IR、NOR、ERが有意に増加しが、両筋硬度ともIR、NOR、ERの間に有意な差は認められなかった。STでは、弾力計の値はRestに比べ、IR、NOR、ERが有意に減少し、ERに比べ、IR、 NORが有意に減少したが、IRとNORには有意な差は認められなかった。エラストの値はRestに比べ,IR,NOR,ERが有意に増加し、ERに比べIR、NORが有意に増加したが、IRとNORには有意な差は認められなかった。膝関節伸展角度は、NORで-21.5±12.2、IRは-31.5±7.2、ERは-36.5±8.8であり、NORはIR,ERに比べ有意に高値を示し、IRはERに比べ有意に高値を示した。【考察】本研究では、 BFはIR,NOR,ERの間で伸張量に変化がなかったことから、BFの伸張量を股関節内外旋の動きにより、コントロールすることは困難であることが示唆された。一方、STはERに比べIR、NORの方が有意に伸張されたことから、大きな外旋の動きを加えた場合より、股関節内外旋の動きを加えない場合や大きな内旋の動きを加えた場合の方が、STは伸張されやすいことが示唆された。この理由として、内側ハムストリングスの股関節内旋作用、外側ハムストリングスの外旋作用というのは解剖学的肢位での作用であり、股関節屈曲や最大内外旋することによって作用が変化している可能性が考えられる。また、ERにおいて、NORやIRと比較して膝関節伸展角度が有意に小さく、BFが伸張されていないことから、ERではハムストリングス以外の要素が優先的に膝関節伸展を妨害しており、その結果としてBFが伸張されなかった可能性も考えられる。【理学療法学研究としての意義】ハムストリングスのストレッチングにおいて、股関節内外旋の動きを加えることでより伸張することは難しいことが考えられ、ハムストリングスのストレッチングにおいては股関節内外旋の動きを大きく加える必要はないことが考えられる。
著者
佐藤 謙伍 小林 聡幸 齋藤 暢是 佐藤 勇人 須田 史朗
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.339-345, 2019-03-15

抄録 高齢化社会の現在,精神科病院での看取りが増えている。本稿では栃木県内の精神科病院(282床)の20年間(1996年1月〜2015年12月)の計251名の死亡診断書を調査し,器質性精神障害(F0圏)と統合失調症(F2圏)の入院患者の死因について比較した。精神科的診断はICD-10分類でF0圏が115名,F2圏が79名,その他が23名,記載がないのが34例であった。F0圏の患者の死因では呼吸器感染症が63%と最多であった。F2圏の患者では呼吸器感染症が39%と最多で,悪性腫瘍,消化器疾患,突然死がそれに続いた。死亡時年齢はF0圏に比してF2圏では約10歳若かった。F2圏では抗精神病薬の長期使用や,患者など種々の因子が患者の予後に影響していることが他研究から推察されるため,さらなる研究が望まれる。
著者
若狭 雅信 小林 佑輔 岡野 光俊
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.271-275, 2006-08-25 (Released:2011-02-17)
参考文献数
20

半導体光触媒である酸化チタン (TiO2) 薄膜による, メチレンブルー (MB) の光触媒分解反応に対する磁場効果を0-1.5 Tの磁場下で研究した. MB水溶液中で酸化チタン薄膜に光照射すると, 光触媒反応により, MBが分解され, N-メチル基が脱メチル化したAzure AおよびAzure Bが得られた. MBの分解量を紫外可視吸収スペクトルにより定量した.OTと1.5Tの磁場下では, 1.5Tのほうが, 約7%分解量が増加した. 磁場効果のメカニズムとしては, Δg機構によりTiO2薄膜中の電子-正孔対の寿命が延びたものと考えられる.
著者
髙橋 康汰 小林 稔
雑誌
ワークショップ2019 (GN Workshop 2019) 論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.20-25, 2019-11-07

Twitter や LINE などの SNS を日常的に利用する人が増え,SNS をきっかけとしてコミュニケーションをとる機会が増えている.SNS で食事や遊びなどに誘うメッセージを送信する際,送信者は受信者からの応答を期待するため,応答が得られないとストレスを感じてしまうことがある.そこで,我々はメッセージを送る負担を減らすこと ・送信相手を曖昧にすることの 2 点によって,利用者が感じる期待を減らすことができると考えた.本稿では,これを実現するための非言語呼びかけ方法を提案する.