著者
服部 正嗣 澤田 宏 殿岡 貴子 坂田 岳史 藤田 早苗 小林 哲生 亀井 剛次 納谷 太
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.3M1GS1203, 2020 (Released:2020-06-19)

児童や生徒は、期末テストや模試等で問題を解くことによってその時点での学習状況を把握している。これに加えて共通の問題を解いた集団のテスト結果を適切に分析できれば、テスト後の学習に有用な情報を得ることができると考えられる。本研究では、集団のテスト結果を対象にVariational Autoencoderを適用し、児童生徒の各問題への回答傾向および同様の解かれ方をしている問題の集合について分析する。具体的には、生徒一人ひとりが各問題に正答したか誤答したかを入力とし、同じ出力を得られるようAutoencoderを学習する。学習の際に、従来の損失関数に加えて入力がすべて0、1(誤答、正答)であるならば潜在変数もすべて0,1となるような制約など、潜在変数が正答率と相関するような複数の制約を加えた。このことによって得られたVariational Autoencoderの潜在変数を用いると児童生徒や問題についての解釈を加えることが可能であり、問題の集合や解くために同様の能力を要求されると考えられる問題の集合や各児童生徒が前述の問題の集合のいずれが得意でいずれが不得意かについての知見が得られた。
著者
吉田 明夫 小林 昭夫 塚越 利光
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.401-406, 2006-03-31 (Released:2010-03-11)
参考文献数
23
被引用文献数
1

Areal strain increased noticeably in the region around the northern boundary of the Izu Peninsula in September to December 2000 when a lot of low-frequency earthquakes occurred beneath Mt. Fuji. In the same time the seismic activity in eastern Yamanashi Prefecture became low. Since increase of the areal strain indicates reduction of the pushing force of the colliding Izu block, the decrease of seismicity in eastern Yamanashi Prefecture is easily understood. Further, because diminution of the tectonic stress beneath Mt. Fuji implies reduction of the confining pressure in the magma reservoir, we think it is probable that degassing took place in the magma to build up high pressure in the focal region near the chamber which caused the remarkable activity of the low-frequency earthquakes. We suggest the noticeable increase of the areal strain in late 2000 might be produced by a mechanical separation of the Izu block from the Philippine Sea plate or detachment of the crust of the Izu block as proposed by Seno (2005).
著者
堀尾 裕俊 野守 裕明 森永 正二郎 冬野 玄太郎 小林 龍一郎 伊賀 六一
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.439-443, 1996-04-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
8
被引用文献数
1

症例は51歳, 男性. 特発性間質性肺炎の経過観察中, 肺癌を発見された. 肺癌の病期および間質性肺炎の活動性や呼吸機能の結果より手術可能と判断し, 左上葉切除を施行した. 術後9日目に間質性肺炎の急性増悪を認めたが, 迅速な診断と早急なステロイド治療により救命し得た. 肺癌術後急性増悪例は致命的であり, その救命率はきわめてまれであるため報告した.
著者
酒谷 薫 岡本 雅子 小林 寛道 辻井 岳雄
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

現代社会に蔓延するストレスは、様々な疾患の主要原因の一つである。本研究では、近赤外分光法(NIRS)を用いて、前頭前野の神経活動を計測し、自律神経系・内分泌系機能及び心理状態とともに、ストレスを客観的に評価する方法を開発した。さらに本法を用いて、中高齢者における運動療法のストレス緩和効果について検討し、軽い運動でもストレス緩和効果があることを明らかにした。さらに高齢者に軽い運動を負荷することにより、前頭前野のワーキングメモリー課題に対する反応性が上昇し、パフォーマンスが向上することが示唆された。本ストレス評価法と運動療法を組み合わせることにより、ストレス性疾患を予防できる可能性がある。
著者
小林 康夫 小林 元雄 KOBAYASHI M.
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2001

前年度の研究を基に英文モノグラフの草稿作成を主とし、新たに下記のトピックを研究した。1.明治30年代小説が前景化した「社会」「家庭」とそれをめぐるドラマを国民国家生成に関連づけ、そこに固有の主体形成に関わる物語として分析した。近代文学史的枠を外し、尾崎紅葉、広津柳浪、川上眉山等、代表的文壇作家の小説を同じメディア空間に現れた、徳富蘆花、菊地幽芳、村井弦斎等の非文壇的「流行」小説と対比し、関連づけた。特に、弦斎の『日之出島』、蘆花の『黒潮』に注目した。2.20年代「美文」と近代紀行文成立との関係を、表象としての「自然」の生成過程として考察した。さらに、30年代の蘆花、子規の写生文との関連を探った。背景に明治初頭以来の近代地理学的知の移入、『日本風景論』に至る国粋保存的地政学言説の勃興、そして近代的「地誌」の「民俗誌」への変成という歴史過程がある。この背景も含めて「日本」というトポスがいかに形成され機能したかを考察した。『自然と人生』等の詩的自然風物誌に対象化された「自然」、そして同時代小説で他者として表象される「地方」はこの「日本」を共通の背景として生成する。3.出版資本の発達に伴う想像の共同体の成立は、知のパラダイム転換として理解されているが、文学がナショナリズムに関わるいま一つ重要な様式は、声、物語の共有に基づく情念の共同体の形成である。大衆小説の原型とされる講談落語そして歴史小説における、「実録物」的物語の再説話化は、活字化されても、声の共同体の記憶をひきずっており、そのことで大衆的道徳感情に訴える。明治20年代に勃興する新派劇、浪花節は、このメカニズムを内包しており、講談落語の速記出版、歴史小説の流行とも相関関係にある。この視角から、村上浪六、村井弦斎等の大衆歴史小説に焦点を当て、近世的世俗道徳理念を国民国家の情緒的共同性のエトスとして転位させる説話構造を探った。
著者
武田 泰明 金崎 益巳 加納 尚之 井上 倫夫 小林 康浩
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第45回, no.ハードウェア, pp.89-90, 1992-09-28

我々の研究室では,共有メモリ型マルチプロセッサシステムのプロトタイプとして,プロセッサユニット(PU)を64台実装した並列計算機"砂丘"を製作した.このタイプの計算機では,アクセス競合によるオーバーヘッドはシステムが大規模になるほど増え,PUの台数に比例した処理速度の向上が得られなくなる.アクセス競合を回避するために,共有メモリの階層化,インターリーブ方式,多重ポート化を行った.さらにメインメモリは,マルチリードワンライト方式を採用し,リードアクセスバスとライトアクセスバスを分離した.本報告では,並列計算機"砂丘"のシステム構成について述べる.
著者
小林 和男
出版者
創造
雑誌
プロメテウス (ISSN:03862828)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.p25-28, 1986-07
著者
佃 為成 酒井 要 小林 勝 橋本 信一 羽田 敏夫
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大學地震研究所彙報 = Bulletin of the Earthquake Research Institute, University of Tokyo (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.433-456, 1989-12-25

北部フォッサマグナの糸魚川・静岡構造線に長野盆地西縁断層(善光寺地震断層系)及び千曲川構造線のそれぞれの延長がぶつかる地域において発生した1986年12月30日の地震の震源パラメータや余震活動および先駆的活動の特徴,テクトニクスとの関連について調べた.震源域直上の1臨時観測点を含む近傍の観測点のデータを用いて余震の高精度震源決定を行い,さらに本震の震源についても定常観測点に基づく結果を補正した.この際,深発地震データから推定した走時の観測点補正時間を導入した.本震の深さは5.5kmで,その近傍に集中した余震(狭義の余震)の発生域はN15~20°Wの走向をもち,僅かに西に傾いた,ほぼ垂直な面上にあり,水平に6km,深さ方向に4kmの広さに収まる.この余震分布は初動の押し引きから得られた断層面の一つ(走向N19°W,傾斜角73°,すべり角26°)にほぼ一致する.この狭義の余震の外に点在する広義の余震は東西,南北にそれぞれ20kmの広さに分布する.気象庁の観測点の変位地震計記録の初動P波から推定した震源断層の破壊は,本震の震源付近から,余震が密集している南の領域へ向けて3km/sの速度で伝播した.その全面積は6km2,平均的な変位は75cm.変位の立ち上がり時間は0.5sである.また,地震モーメントは1.3×1024dyne・cm,応力降下は220barである.本震の破壊領域は既存の断層上にはなかったが,広義の余震は,2本の新第三紀層中の断層(小谷-中山断層,持京断層)が会合する地点,両断層に画された東南側の領域一帯,北部の両断層に挾まれた地域や,孤立的に東部の一地点に分布する.活動の範囲は時間とともに,拡大縮小の変化が認められた.最大余震はM3.5(広義の余震)で,本震の大きさに比べ,極めて小さく,余震回数も多くはなかったが,その減衰の定数はp=1で,通常と変わらない.この地震に先行した微小地震活動があった.その震源域は広義の余震の一つのクラスターとほぼ一致する.また,周囲半径100km以内の地震活動が1~2年前から1年後にかけて活発であった.直前の5~9日前には,飛騨山地を隔てた跡津川断層でも,目立った活動があった.大町市付近の系魚川・静岡構造線に沿った地域には,過去にも度々M6程度の地震が発生している.その中で1958年の地震の震央は,今回の地震の活動域にある.このときにも跡津川断層の活動が連動した(1858年飛越地震,M6.9).糸魚川・静岡構造線等を含む広域のネオテクトニクスの枠組みのなかに今回の地震の活動域が位置づけられるとともに,小規模の地殻ブロックの役割も注目される.
著者
寺本 昌弘 曽根 岳大 高田 耕平 小縣 開 齋藤 啓太 和泉 拓野 高野 昂佑 長尾 茂輝 岡田 陽介 田地 規朗 河村 俊邦 加藤 章一郎 前川 隆彰 小林 彩香 小林 真一 佐藤 謙 木村 文彦
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.598-604, 2020 (Released:2020-07-03)
参考文献数
18

2011年1月から2018年2月までに再発indolent B-cell lymphomaに対し,当科で施行したrituximab併用bendamustine(BR)療法の治療成績を後方視的に解析した。病型は濾胞性リンパ腫(follicular lymphoma, FL)42例(67%)が多く,FL症例で治療を完遂した群の無増悪生存期間(progression free survival, PFS)の中央値は未到達であった。また治療開始から5年間のCD4陽性T細胞数を解析したところ,長期にわたり200/µl前後を推移する症例が多かった。BR療法は再発indolent B-cell lymphomaに対し有用な治療であり,特にFLにおいてはBR療法を完遂することがPFSの改善に重要である。また治療後は細胞性免疫不全が顕在化するため,5年程度は感染症の発症に注意するべきかもしれない。
著者
小林 直弥
出版者
日本大学
雑誌
日本大学芸術学部紀要 (ISSN:03855910)
巻号頁・発行日
no.43, pp.27-38, 2006

日本における「舞(まい)」の始源的要素の中には、常に為政者(皇帝・天皇)への「服従」とシャーマニズムを伴う「舞」行為が存在する。その中でもとりわけ特異な存在が「八〓舞」である。この「舞」は、古代中国をその源とし、韓国における「雅楽」においては、中心的な役割を果たしている。が、8列8人、総勢64名による「八〓舞」は、日本では『日本書紀』に記載されるものの、宮中に現存する「雅(舞)楽」には何故か、その存在がない。そこには、日本が中国や朝鮮半島からの外来芸能や文化から、いよいよ独自の文化を形成する方向へ進む、歴史の流れが隠されており、また、儒教思想と仏教思想のどちらを国家が選択したかなど、さまざまな歴史的背景も読み取れるのである。本研究では、わずかな記述のみに残る「八〓舞」を中心に、日本の宮廷楽舞の始源的要素について考察したものである。