著者
山下 博樹
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.280-295, 1991-04-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
21
被引用文献数
2

The cities of Hachioji and Machida, located in the western suburb of Tokyo, have developed with the expansion of the Tokyo metropolitan area. But the two cities have different histories. Hachioji city was a stage town (shuhubamachi) in the late feudal period, and developed into a central city in the Tama area after the Meiji Restoration. Machida does not have such a long history; it deve-loped as an urban area only after the opening of the national railways' Yokohama Line and the private Odakyu Line in the late. The author analyzed the processes of change in the central business district (CBD) structure of the two cities, using such indicators as the change in functional accu-mulation, location of multi-storied buildings, and change in floor use for each function, with the comparison being made between 1981 and 1987. The following are a few results in the differences of changes of CBDs in the two cities. 1) The differences in the function of CBDs in the two cities can be explained by differences in the process of accumulation. Hachioji has experienced a shift of the core of its CBD from Koshu-kaido highway to Hachioji station, and its CBD has been differentiated functionally. But in Machida, because the CBD developedd near the station of the Odakyu Line, various functions already existed there. The survey also shows a reductive tendency in the area which serves some functions of the CBD (Figs. 1-3, Tables 1-4). 2) The differences in shape between the two CBDs can also be observed from a survey of the locations of multi-storied buildings. In Hachioji, the density of those buildings which were located on the three main streets stretching away from the station in 1981 has increased since 1981, and there is now a cluster of them in front of the station. In Machida, the number of multi-storied buildings which could be seen in the core of the CBD has increased in area surrounding it. The difference in the process of forming the CBD in the two cities reflects the differences in building use in the two CBDs (Fig. 4, Table 5). 3) The cluster analysis for changes in floor use reveals the degree of the functional areal differ-entiation in each of the CBDs. In Hachioji, three kinds of clusters can be recognized separately: offices, personal services, and parking and vacant lots. In Machida, the cluster which changed to office use is dominant. The comparison between present and previous functions of each floor in the buildings of the two CBDs shows the difference in the CBD development processes (Fig. 5). Those differences can be explained by both the historical background and the CBD development processes. Hachioji experienced functional areal differentiation in the shift of its CBD core. But Machida developed into a satellite city after the railroads opened in the Meiji period. As a result, the functions in the CBD have accumulated differently.
著者
山下 博
出版者
日本医学哲学・倫理学会
雑誌
医学哲学 医学倫理 (ISSN:02896427)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.90-98, 1994-10-01 (Released:2018-02-01)

The basic standards for education in universities or colleges were revised on March 7th, 1991.The purpose of the revision is to simplify the basic standards and to show the fundamental principles of education in universities and colleges. After the Second World War, the Japanese Ministry of Education introduced a new education system for the purpose of establishing a more humanistic system. For the past 50 years, this system has been in effect also in higher education. The principle of this system is ideal and works very well in primary and secondary school education. However, in higher education, the time allotted for major subjects has been decreased from four years to two years resulting in a lower quality of professional education in Japan. Now, the Japanese Ministry of Education has started to feel anxiety regarding the future of Japanese higher education and has decided to improve this system. this revision will be the second one since the Meiji restoration. By this revision, Japanese universities and colleges will be able to draw up their own curricula. In return, they are asked to establish a self-evaluation system, which is necessary for accreditation. In many medical schools in Japan, the faculty for general education is being abolished and medical subjects are taught even in the first year. On the other hand, since medical ethics is very important today,medical doctors must be trained in this field. In this unsettled situation, lecturers of general education subjects must also be fully dedicated to the purpose of their medical colleges and strive to improve their teaching methods accordingly. I explained the situation of general education in medical schools in Japan and the principle of our medical college.
著者
山下 博司
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
no.13, pp.221-185, 1996-03

国語学者大野晋氏の所謂「日本語=タミル語同系説」は、過去十五年来、日本の言語学会やインド研究者たちの間で、センセーショナルな話題を提供してきた。大野氏の所論は、次第に比較言語学的な領域を踏み越え、民俗学や先史考古学の分野をも動員した大がかりなものになりつつある。特に最近では、紀元前数世紀に船でタミル人が渡来したとする説にまで発展し、新たなる論議を呼んでいる。本稿では、一タミル研究者の視点に立ち、氏の方法論の不備と対応語彙表が抱える質的問題を指摘し、同系説を学問的に評価する上で障害となる難点のいくつかについて、具体的な事例に即しながら提示することにしたい。
著者
山中 宏二 小峯 起 高橋 英機 三澤 日出巳 内匠 透 錫村 明生 竹内 英之 高橋 良輔 山下 博史 遠藤 史人 渡邊 征爾
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

筋萎縮性側索硬化症(ALS)のモデルマウスを用いて、グリア細胞の一種であるアストロサイトの異常に着目して研究を行った。ALS患者・マウスのアストロサイトでは、サイトカインTGF-β1が異常に増加し、グリア細胞による神経保護環境を阻害することにより、病態を加速していることが判明した。TGF-β1の阻害剤投与により、ALSマウスの生存期間が延長したことから、TGF-β1はALSの治療標的として有望であると考えられた。また、ALSマウスの病巣では異常に活性化したアストロサイトが見られ、その除去機構として、自然免疫分子であるTRIFが関与するアポトーシスが関与していることを見出した。
著者
山田 正紀 松村 季樹 山下 博之
雑誌
情報処理学会研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.87, pp.19-24, 2003-08-28

「バスと鉄道の時刻検索を連動させたい」,「シングルの曲を集めてマイベストアルバムを作りたい」等,要素コンテンツ及びサービスを利用者が望んだ形に再構築し,要素コンテンツ及びサービスの価値をいっそう高める可能性を持つ"シナリオ"という概念を提案・分析すると共に,シナリオを処理する系を論理モデルとして一般化した.また,その論理モデルを具体化した,シナリオによるサービス連携システム,及び同コンテンツ連携システムに関して詳細を述べる.本提案を通し,人間が本質的に有する参加意欲を満たすための社会基盤構築に向けた課題を明らかにする.This paper proposes the concept of the inter-object cooperation controlled by scenarios, which means that editing scenarios enables users to rearrange services and contents as high-valued services and contents that users desire. Prototype systems are described, which include an information delivery mechanism and content display mechanism with SMIL script generating.
著者
山下 博樹 藤井 正 伊藤 悟
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.125, 2005

1.はじめに 成熟時代を迎えた欧米をはじめとする多くの先進諸国では、20世紀に拡散・肥大化した都市地域をいかに持続可能なかたちに再構成するかが、都市政策の主要テーマのひとつとなりつつある。オーストラリア第2の都市であるメルボルンでもその都市圏の市街地は拡大の一途をたどり、住居・商業施設などの郊外化が進展した。しかし、そのような状況の中、メルボルンが位置するビクトリア州政府は都市圏の無秩序で拡散的な拡大を防ぐために、1970年代より郊外核となるアクティビティ・センターと都心の一体的な整備・開発を行ってきた。本報告では、地域住民の日常的な生活行動と関わりの深いショッピングセンターの立地動向より、メルボルン都市圏の地域構造の一端を明らかにする。さらに、アクティビティ・センター開発の特徴について述べる。2.ショッピングセンターの立地展開 メルボルン都市圏の人口336.7万人(2001年センサス)は、メルボルン市を中心にやや東に偏って分布している。その結果、主要なショッピングセンターの立地もそれに類似した傾向を示している。都市圏内に立地するショッピングセンターは、156カ所でその総売場面積は約255万_m2_である。メルボルン都心部に立地するのは10カ所、約13万_m2_に過ぎず、商業施設立地の郊外化が顕著である。売場面積が8.5万_m2_を超えるスーパーリージョナル型は4カ所、5万_から_8.5万_m2_のメジャーリージョナル型は12カ所となっている。ショッピングセンターの立地は、1970年代以後急速に進められたが、90年代後半よりその新規立地は減少傾向にある。3.アクティビティ・センターの開発 アクティビティ・センターの開発構想は、1970年代にさかのぼる。アクティビティ・センター開発の目的は、鉄道などの公共交通利用を基本とした、小売、サービス、オフィスなどの土地利用のミックス化と就業空間の形成である。その背景には公共交通利用の促進や職住接近などによる持続可能性の高いまちづくりがある。アクティビティ・センター開発の基本的な特徴は次のようにまとめられる。_丸1_アクティビティ・センターの開発は基本的には州が基本方針を立て、各自治体がそれを実行している。_丸2_その財源の確保は、基本的にはケースバイケースである。_丸3_郊外間を結ぶ公共交通は、アクティビティ・センター間をバスで結ぶ形で整備を進めている。_丸4_新規のショッピングセンターの開発は、ゾーニングにより基本的にはアクティビティ・センターへ誘導される。アクティビティ・センター以外へのショッピングセンターの開発などは、各自治体が調整を行っている。_丸5_郊外型の大規模ショッピングセンターもバスなどのアクセスを増やし、公共交通体系の中に位置づけている。 本研究を行うに際し、平成16_から_17年度科学研究費補助金基盤研究(C)(1)「成熟時代における都市圏構造の再編とリバブル・シティの空間構造に関する地理学的研究」(研究代表者:山下博樹)の一部を使用した。メルボルン都市圏における主要シヨッピングセンターの立地 1:メルボルン都心部 2:スーパーリージョナル型(売場面積8.5万_m2_以上)3:メジャーリージョナル型( 〃 5万_から_8.5万_m2_)4:リージョナル型( 〃 3万_から_5万_m2_) 資料:『Shopping Centre Directory Victoria & Tasmania (PROPERTY COUNCIL OF AUSTRALIA 刊)』より作成
著者
鈴木 康司 飯島 和丸 坂本 幹太 佐見 学 山下 博
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.101, no.2, pp.94-103, 2006-02-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
36
被引用文献数
1 1

乳酸菌の中にビールを濁らせる菌と濁らせない菌が存在し, その形質がホップ耐性の有無と密接に関連することは以前から知られていたが, 筆者らは最新の遺伝子組替え手法を駆使してホップ耐性を司る遺伝子を特定した。これまで不明であったホップ耐性の機構解明のみならず, 現場的な微生物管理にも応用可能であり, 今後の展開が期待される研究である。
著者
木村 優 山下 博美 駒田 順子
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.400-405, 1986-04-05 (Released:2010-02-16)
参考文献数
11
被引用文献数
24 30

水中に含まれる各種重金属類の捕集除去に対する緑茶の捕集除去剤としての利用法及びその有効性を検討した.緑茶(抹茶)を希硫酸溶液中でホルマリン処理した.ホルマリン処理を行った茶0.5gを,銀(1),カドミウム(II),ロバルト(II),銅(II),鉄(III),マンガン(II),ニッケル(II),鉛(II),及び亜鉛(II)の9種の金属元素を含む100mlの試料溶液に添加し,30分間かき混ぜた.次に,その溶液を瀕過又は遠心分離を行う.源液又は上澄み液中の金属イオン濃度を黒鉛炉原子吸光分析装置を用いて測定した.0.01moldm-3酢酸ナトリウム溶液(PH6)の条件において上記の鉄(III)イオンを除く8金属イオン(総濃度0.4~11ppm)について捕集除去率90%以上を示した。重金属類を吸着した茶からの金属類の脱離は0.1moldm-3塩酸により容易に行われ,少なくとも数回の再使用が可能であることが分かった.処理茶の水中からの重金属類の捕集除去率及び捕集容量について同一条件下で活性炭と比較した結果,銀(1),ヵドミウム(II)及び亜鉛(II)に対しては茶のほうが優れ,コバルト(II),銅(II),マンガン(II),ニッケル(II)及び鉛(II)に対しては同等であり,鉄(III)に対しては活性炭が優れていることが分かった.8-キノリノール又は1,10-フェナントロリンを溶液に添加すると,鉄(III)以外の元素の捕集除去率には変化がほとんど見られなかったが,鉄(III)のそれは約90%に向上した.他方,エチレンジアミン四酢酸イオン又はトランス-1,2-シクロヘキサンジアミン四酢酸イオンを添加すると,銀及びマンガン以外のどの元素についても捕集率が著しく悪化した.シュウ酸イオンを添加すると,銀以外のどの元素の捕集率も悪くなった.塩化物イオン,硫酸イオン又はレアスコルビン酸を添加すると,銅及び鉛以外の元素の捕集率は悪くなったが,鉄のそれは著しく向上した.
著者
山下 博樹
出版者
地理科学学会
雑誌
地理科学 (ISSN:02864886)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.1-19, 1993
被引用文献数
1

近年,多くの研究者によって指摘されている大都市圏の構造変化に関して,東京大都市圏周辺部への都市諸機能の集積,さらにそれらが顕著にみられる周辺中核都市の成長に着目し,1975年〜1985年の変化について考察をおこなった。個々の周辺中核都市の特性を解明するに際して,通勤・通学流動,物品販売機能の集積状況,および業務管理機能の集積状況を明らかにした。その結果は次の通りである。(1)東京への通勤・通学人口率をみると,周辺部への高等教育機関移転の結果,とりわけ通学人口率の相対的低下が進んだ。(2)通勤・通学人口率から周辺中核都市は,その人口吸引の特性によって4つの類型に分類できる。また人口吸引力に優れた機能の集積が,大都市圏周辺部において周辺中核都市を成長させている。さらにかかる都市の成長にともない人口流動現象が複雑化してきた。(3)小売商業力指数から判断して,都心部での水準維持に対して,周辺部では全体的に平準化が進み,地域格差が縮小した。また東京への通勤・通学率がおおむね30%以下と高い周辺部内帯では,東京の近郊都市としての性格を強めた結果,上記の指数の低下傾向が認められた。(4)上場企業の支所オフィスは,東京区部へ一極集中すると同時に県域統括レベル支所オフィスの周辺中核都市への著しい集積がみられた。さらに下位の都市でもその立地増加が確認された業種もある。かかる状況から,大都市圏における周辺中核都市のもつ機能は重要性を増大しつつあると言える。したがって,そうした動向は大都市圏における構造変化の一断面であると規定できる。