著者
山本 恭裕
出版者
京都大学大学院文学研究科言語学研究室
雑誌
京都大学言語学研究 (ISSN:13497804)
巻号頁・発行日
no.37, pp.1-21, 2018

本研究はイロカノ語の名詞句の構造を記述することを目的とする。本稿では次の三つのサブタイプを区別する。一つ目は単純な名詞句であり、この名詞句は名詞と冠詞、指示詞、形容詞あるいは数詞などの単純な修飾要素から構成される。二つ目は属格名詞句や関係節といった複雑な修飾要素を含む名詞句である。そして三つ目は、主要部名詞を欠く名詞句を指す。本研究の主な発見は、イロカノ語の名詞句は必須の要素を持たない構文であるという点である。従って、イロカノ語の名詞句は主要部を持たない外心構造であると結論づける。本研究におけるイロカノ語名詞句の記述は、項や付加詞として機能する構造の通言語的バリエーションの理解に貢献する。
著者
伊藤 俊秀 宮澤 樹 山本 恭輔
出版者
関西大学
雑誌
情報研究 = Journal of informatics : 関西大学総合情報学部紀要 (ISSN:1341156X)
巻号頁・発行日
no.50, pp.1-10, 2020-01

二酸化炭素の排出が地球温暖化にどの程度影響しているかは議論の余地の残るところではあるが,現時点で商用化されている水素自動車(燃料電池車)は走行時に二酸化炭素を排出しないので,地球温暖化防止に有効であると広く認識されている.しかし,水素は,工業的には天然ガスから製造されているので製造時点で二酸化炭素が排出される.そこで,水素自動車が実質的に排出する二酸化炭素量を推計し,ガソリン車,ハイブリッド車,電気自動車が排出する二酸化炭素量と比較して考察した.ここで,電気自動車については発電時の排出量であるので,各国の電力ミックスに大きく依存する.比較考察した結果,日本の場合,水素自動車と電気自動車の二酸化炭素排出量は,現時点ではほぼ同量であるが,政府が2030年に目標としている電力ミックスで考えるとむしろ電気自動車の方が少なくなることがわかった.したがって,水素ステーションなどに膨大な設備投資を行って取り扱いが難しく非常に危険な水素で走行する水素自動車の普及を推進するより,現時点でもかなり普及している電気自動車の更なる普及を促進する方が合理的である.本稿では,最後に,水素の製造や発電の際に排出される二酸化炭素の地中への貯留手法であるCCSの現状と実現性についても言及した.
著者
山本 恭子 安井 久美子 茅野 友宣 鵜飼 和浩
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 = Japanese journal of environmental infections (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.347-352, 2009-09-25
参考文献数
13
被引用文献数
2

&nbsp;&nbsp;手洗いは感染予防策のなかでも,最も重要な手段のひとつである.本研究では,地域における高齢者を対象に手洗いの除菌効果,手洗い方法の特徴を明らかにし,手洗いの指導方法を検討した.<br> &nbsp;&nbsp;石けんと流水による手洗いの除菌効果について調べるために,高齢者(17名)および看護師(15名)の手洗い前後での手指の細菌数を測定したところ高齢者では手洗い前の手指の細菌数が平均620.2 CFUであり看護師の164.1 CFUと比較して多く,高齢者においては17名のうち8名で手洗い後に手洗い前よりも多くの細菌が検出された.手洗いの手技を観察すると,手のひらや手背部,指の間は半数以上の人が擦り合わせていたが,指先や母指,手首については擦り合わせている人が少ないことが分かった.また,すすぎを確実に行っていた人は23.5%,乾燥を確実に行っていた人は29.4%と少なかった.<br> &nbsp;&nbsp;そこで,感染予防のための手洗いの必要性や手洗い方法を指導した後,手洗い手技等について再度観察を行い指導の効果を見たところ,64.7%の人が指先を,76.5%の人が母指を,41.2%の人が手首を擦り合わせており,すすぎを確実に行った人70.0%,乾燥を確実に行った人94.1%と有意な増加が見られ,手洗い手技の改善が示唆された.これらの結果より,手洗いを感染予防に繋げるためには手洗いを奨励するだけでなく,手洗い手技についても指導する必要があると考えられた.<br>
著者
山本 恭子 桐村 智子 鵜飼 和浩
出版者
日本環境感染学会
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.213-219, 2000-08-23
参考文献数
26
被引用文献数
3

強酸性電解水手洗いによる皮膚への影響を角質層表面の細胞変性と経皮水分蒸散量 (TEWL値) より検索し, 除菌効果と合わせて検討した.<BR>皮膚への影響について, 角質層表面の細胞変性をみると60秒3回の手洗いで強酸性電解水は水道水, ウェルパス<SUP>&reg;</SUP>, ヒビスクラブ<SUP>&reg;</SUP>よりも強い変性が認められたがTEWL値に変化はみられなかった.また, 強酸性電解水1回手洗いを15, 30, 60秒間で比較すると細胞変性は15秒間, 30秒間手洗いではいずれも60秒間と比較し軽度であった.しかしTEWL値は15, 30, 60秒間の手洗いでは変化は認められなかった.除菌率は15秒間手洗いで平均66.6%, 30秒間手洗いで89.5%, 60秒間手洗いで91.0%であり, 15秒間手洗いは30秒間, 60秒間手洗い群と比べ劣っていた.<BR>さらに, 臨床の場における手洗いを考慮し15秒間および30秒間手洗いを連続20回行うと, 両群とも細胞変性が認められたが, 15秒間手洗い群では48時間後, 30秒間手洗い群では72時間後に元の状態に回復した.TEWL値は30秒間手洗い20回終了直後に増加が認められたが24時間後には元の状態に回復した.<BR>以上の結果より, 強酸性電解水手洗いにおいて皮膚への影響を最小限に抑え, しかも除菌効果を得るためには30秒間の手洗いがもっとも適していると考えられた.また, 強酸性電解水手洗を頻回に行う場合には常に手荒れの可能性があり, 手荒れ予防対策を考慮する必要があろう.
著者
山本 恭子 安井 久美子 茅野 友宣 鵜飼 和浩
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.347-352, 2009 (Released:2009-12-10)
参考文献数
13
被引用文献数
2

手洗いは感染予防策のなかでも,最も重要な手段のひとつである.本研究では,地域における高齢者を対象に手洗いの除菌効果,手洗い方法の特徴を明らかにし,手洗いの指導方法を検討した.   石けんと流水による手洗いの除菌効果について調べるために,高齢者(17名)および看護師(15名)の手洗い前後での手指の細菌数を測定したところ高齢者では手洗い前の手指の細菌数が平均620.2 CFUであり看護師の164.1 CFUと比較して多く,高齢者においては17名のうち8名で手洗い後に手洗い前よりも多くの細菌が検出された.手洗いの手技を観察すると,手のひらや手背部,指の間は半数以上の人が擦り合わせていたが,指先や母指,手首については擦り合わせている人が少ないことが分かった.また,すすぎを確実に行っていた人は23.5%,乾燥を確実に行っていた人は29.4%と少なかった.   そこで,感染予防のための手洗いの必要性や手洗い方法を指導した後,手洗い手技等について再度観察を行い指導の効果を見たところ,64.7%の人が指先を,76.5%の人が母指を,41.2%の人が手首を擦り合わせており,すすぎを確実に行った人70.0%,乾燥を確実に行った人94.1%と有意な増加が見られ,手洗い手技の改善が示唆された.これらの結果より,手洗いを感染予防に繋げるためには手洗いを奨励するだけでなく,手洗い手技についても指導する必要があると考えられた.
著者
相馬 邦彦 猪越 香苗 山本 恭子 渋谷 忠久 武田 恒幸 大橋 きょう子
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.302-311, 2017-06-15 (Released:2017-06-30)
参考文献数
17

安定性が高く,またLDLコレステロール低下作用などの生理作用を有することが報告されている高オレイン酸ひまわり油(High Oleic Sunflower Oil : HOSO)の官能特性について,官能評価やaroma extract dilution analysis (AEDA)により検証を行った.加熱時のにおいはHOSOが他の油に比べて弱く,揚げ玉やえびの天ぷら,コロッケにおける油の風味はHOSOとPOにおいて有意に弱いと評価された.また,風味の強度だけでなく,持続性の強さを評価したところ,強度と同様の傾向が認められた.揚げ物としての総合的な風味の評価では,HOSOがRSOに比べ有意に評価が高かった.これらの結果から,HOSOは油の風味が弱く,あっさりとした特性を持ち,フライ油として優れた官能特性を有していることが示唆された.一方,AEDA分析の結果から,HOSOやSBO,RSOのにおいはそれらの脂肪酸組成に深くかかわること,HOSOからもSBOやRSOと同様ににおいとして強く感じる香気成分が生じることなどが確認された.以上の結果から,HOSOの官能特性は,その脂肪酸組成に深く関与し,HOSOから生じた油のにおいは揚げ物として喫食した際には感じにくい特徴を有することが示唆された.
著者
中小路 久美代 山本 恭裕
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.154-165, 2004 (Released:2004-01-27)
参考文献数
41
被引用文献数
3 3

This paper describes our approach for the development of application systems for creative knowledge work, particularly for early stages of information design tasks. Being a cognitive tool serving as a means of externalization, an application system affects how the user is engaged in the creative process through its visual interaction design. Knowledge interaction design described in this paper is a framework where a set of application systems for different information design domains are developed based on an interaction model, which is designed for a particular model of a thinking process. We have developed two sets of application systems using the knowledge interaction design framework: one includes systems for linear information design, such as writing, movie-editing, and video-analysis; the other includes systems for network information design, such as file-system navigation and hypertext authoring. Our experience shows that the resulting systems encourage users to follow a certain cognitive path through graceful user experience.
著者
坂上 侑里佳 西川 典男 山本 恭詩 宮本 栄一 中家 亜由美 土谷 宏美 芝 敏貴 大古 拓史
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.B4P2118, 2010

【目的】運動失調は感覚―運動系のフィードバックの障害であり、中枢である小脳系・深部感覚の伝導路である脊髄・末梢神経の病変によって生じるといわれている。小脳性運動失調に対する運動療法としては、PNF、弾性包帯緊縛法、重錐負荷法などが大きな柱となっている。<BR> 今回、髄膜腫摘出術後、小脳半球に髄膜腫が残存したことにより運動失調(測定異常、体幹失調、企図振戦)を呈した一症例に対し、弾性包帯緊縛法・重錐負荷法を用いた運動療法を実施することで、トイレ動作などに改善を得たので若干の知見を交えて報告する。<BR><BR>【対象】70歳代女性。平成元年に後頭蓋窩髄膜腫摘出術を施行。左顔面神経麻痺・失調を残存するも自宅にてADL自立。平成19年脳梗塞発症後、徐々に筋力低下進行、歩行困難となり移動には車いすが必要となる。平成21年7月、自宅療養困難にて当施設入所となる。入所時MRI所見として左小脳半球・左側頭葉に術後性孔脳症、右頭頂葉・左前頭葉白質に陳旧性脳梗塞を認めた。入所時理学療法所見として、Berg Balance Scale(以下、BBS)8点、FIM60点、PGCモラールスケール(以下、PGC)5点であった。尚、座位保持は安定せず、立位保持は困難であった。<BR><BR>【方法】入所時評価を第1期とし、治療開始から弾性包帯緊縛法を用いるまでを第2期、弾性包帯緊縛法のみを用いた時期を第3期、弾性包帯緊縛法・重錘負荷法の両方を用いた時期を第4期とし、各期においてBBS、FIM、PGC、座位保持時間、開脚立位保持時間を測定した。また主訴であるトイレ動作についても各期において再考した。弾性包帯は下部体幹から下肢にかけて被験者の不快でない強さで巻いた。重錘は500g重錘バンドを左下腿のみに巻いた。<BR><BR>【説明と同意】被験者には本研究の目的を説明し発表する事に同意を得た。<BR><BR>【結果】第1期から第2期の間は全ての項目で改善がみられなかった。開脚立位保持時間が第3期では20秒可能となった。また第4期では60秒可能となった。BBSは第3期以降11点、FIMは第4期において63点、PGCも11点とそれぞれ改善がみられた。BBSの加点は座位保持項目、FIMの加点はトイレ動作項目であった。<BR><BR>【考察】重錐負荷法は四肢・体幹の各部位の相互関係、運動の方向性や速度、必要な筋出力などに関する固有感覚受容器を刺激し運動コントロールを促通するために用いられ、運動の動揺性に効果があるといわれている。弾性包帯緊縛法は、四肢・体幹の動揺を抑えることと、偏移した重心の位置をより正常に近づけて潜在的な立ち直り反応を誘発することを目的に行われている。一般的に双方を合わせて用いる方が効果的であるとの報告が多い。<BR> 本症例では、重錐・弾性緊縛帯を装着することで座位・立位の安定性が得られ、トイレ動作に改善が見られた。トイレ動作が安定して実施できることで、パンツ内の失禁が減少しPGCの向上もみられた。重錐・弾性緊縛帯を用いることにより、立位時骨盤からの崩れの軽減・左下肢の接地時コントロールが行いやすくなった為と考えられる。また重錐・弾性緊縛帯を装着しない状態であっても、初期時と比較すると左下肢の接地位置、立位保持が改善されている。今後はフロア活動や外出時などに固有感覚受容器に刺激する重錐の代わりとなる簡易的な靴下やベスト等を作成するなどを検討していきたい。<BR><BR>【理学療法学研究としての意義】失調症の治療では動揺部分を押さえ込むだけの治療や、動作の反復ばかりの治療になりがちであるが、固有感覚への刺激を意識していくなどの重錘バンドや弾性緊縛帯の利用は有意義であると考えられる。
著者
山本 恭子
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第52回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.50, 2018 (Released:2018-05-22)

イザイホーは沖縄県久高島において12年に一度、行われてきた女性が神女に就任するための儀式である。そして神女は年間20以上行われる神行事を支える重要な役割を担ってきた。しかし、イザイホーを受けるものがいなくなり、1978年を最後に行われてない。現在イザイホーを受けた神女は最も若くても70才を越える。本研究ではイザイホーを受けた女性の生涯を振り返っての語りから、イザイホーが神女に与えたものについて考えた。
著者
鈴木 郁美 神先 秀人 石山 亮介 山本 恭平
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2015, 2016

【はじめに,目的】日常生活において,私たちは様々な種類の鞄を種々の方法で持ち歩いている。運動学や力学的,筋電図学的分析に基づく先行研究では,その持ち方により身体へ種々の異なる影響を及ぼすことが報告されている。しかし,多くは重量物の運搬時の運動開始直後における測定に基づいた報告であり,日常生活にみられるような比較的軽負荷で歩行開始後ある程度時間が経過した後の評価はなされていない。本研究では,軽負荷の荷物を持ち,10分間歩き続けた際の,運搬方法の違いによる運動学的パラメーターへの影響を明らかにすることを目的とした。【方法】対象は健常若年者10名(平均年齢22.2±1.03歳)である。測定課題は,体重の5%の負荷を一側の肩に鞄を掛ける方法(肩掛け)と一側の手で鞄を把持する方法(手提げ)の2種の持ち方と無負荷時(対照群)における,トレッドミル上での10分間の快適歩行とした。疲労による影響を排除するために,肩掛けと無負荷時での歩行,手提げと無負荷時での歩行を,日を変えて行った。三次元動作解析装置(VMS社製VICON-MX)を用いて,体幹,骨盤,下肢の角度変化および重心の変位を求めた。サンプリング周波数は50Hzとし,座標データに対し6Hzのローパスフィルタをかけた。解析には,歩行開始後9~10分時の連続する3歩行周期を任意に選択した。各歩行周期における体幹,骨盤,下肢の関節角度最大値と側方および上下の重心移動幅を求め,3回分の平均値を用いて,2種の持ち方と対応する無負荷時の比較を行った。統計処理は各項目において正規性の検定を行った後,対応のあるt検定またはWilcoxonの符号付順位和検定を行った。有意水準は5%とした。【結果】上下方向の重心移動幅において,無負荷時には31.5±5.9mmであったのに対し,肩掛けでは34.6±4.1mmと有意に増大した。手提げでは無負荷時と比較し荷物把持側への体幹側屈角度の有意な増大がみられた。また肩掛け,手提げ両条件歩行において,無負荷時と比較し体幹・骨盤の水平面における回旋角度に有意な減少がみられた。【結論】本研究の結果,手提げ歩行時に,把持側への体幹の側屈角度の増大がみられた。このことは,軽度の負荷であっても,長く持ち続けることやその機会が増加することで,骨関節系に何らかの悪影響をもたらす可能性があることを示すものと考えられた。肩掛け,手提げの2条件において骨盤回旋運動の減少がみられたのは,荷物保持に伴う腕の振りの減少による影響が考えられた。また,肩掛け歩行時の上下方向の重心移動幅の増大は,骨盤回旋の減少による,立脚初期の重心位置の下降が原因の一つとして考えられた。今回の結果が,荷物を持って一定時間歩き続けたことによる影響であるか否かを確認するためには,歩行開始直後からの経時的変化について検証する必要性がある。
著者
山本 恭通 戸矢崎 利也 小阪 真二
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.46-51, 2017-01-15 (Released:2017-01-15)
参考文献数
5

症例は63歳女性.左上下肢ミオクローヌスと歩行障害で緊急入院となった.頭部MRI上大脳皮質と皮質下に10日間で拡大するびまん性のT2高信号域を認めた.胸部CTで胸腺腫を疑う腫瘤影を認め,抗アセチルコリン受容体抗体が高値を示した.ステロイドパルス療法後に漸減療法を行ったが,失語,筋力低下,痴呆症状など神経症状と脳機能低下は急速に進行した.寝たきりとなり下肢静脈血栓症を併発した.傍腫瘍性神経症候群と診断し入院31日後に拡大胸腺摘出術を行った.胸腺腫Type ABでWHO分類pT1N0M0 I期,正岡分類I期であった.術後神経症状や脳機能低下は劇的に改善し術後32日に独歩退院した.比較的急速に進行する傍腫瘍性神経症候群は胸腺腫などの腫瘍と神経組織に共通する抗原に対する自己免疫が原因といわれ,悪化する神経精神症状に躊躇することなく胸腺腫に対する早期の外科治療が必要である.
著者
本杉 日野 山本 恭久 鳴尾 高純 山口 大介
出版者
園芸学会
雑誌
Journal of the Japanese Society for Horticultural Science (ISSN:18823351)
巻号頁・発行日
vol.76, no.4, pp.271-278, 2007 (Released:2007-10-19)
参考文献数
30
被引用文献数
9

コルヒチン処理により作出したブドウ台木 ‘Riparia Gloire de Montpellier’(‘Gloire’, Vitis riparia Michx)および ‘Couderc 3309’(‘3309’, V. riparia × V. rupestris)の四倍体に接ぎ木した‘巨峰’(V. × labruscana Bailey × V. vinifera L.)ブドウ樹の成長と果実品質について,もとの二倍体台木に接ぎ木した‘巨峰’と比較した.組織培養により育成した台木と‘巨峰’を試験管内で接ぎ木し,発根させた.接ぎ木後の発根期間と順化期間において四倍体台木に接ぎ木した‘巨峰’は二倍体台木のものと比べ新梢長および節間長が短かかった.ポット育苗期において,四倍体台木における成長はもとの二倍体台木より弱くなる傾向が認められた.圃場定植後においても,四倍体台木に接ぎ木した‘巨峰’における主梢摘心後の副梢成長量,幹断面積および剪定枝重は二倍体台木と比べて小さくなった.四倍体台木に接ぎ木した‘巨峰’樹の果実は二倍体台木に比べ濃い着色を示した.