著者
桑野 太輔 亀尾 浩司 久保田 好美 万徳 佳菜子 宇都宮 正志 岡田 誠
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-03-13

The Mid-Pleistocene Transition (MPT) is the well–known interval that the dominant periodicity of earth’s climate cycles shifted from 41 to 100 ky rhythms (e.g., Elderfield et al., 2012). This study will discuss paleoceanographic changes during the Early Pleistocene before the MPT around the central part of the Pacific side of Japan based on calcareous nannofossil assemblages. We studied the Kiwada Formation in the Kazusa Group, distributed the Boso Peninsula. Two different counting techniques were used to clarify biostratigraphic and paleoceanographic events based on calcareous nannofossils. The age model for this section was proposed by Kuwano et al. (2019a, b). Investigaed ages is Marine Isotope Stage (MIS) 41 to 36. Spectral analyses using the PAST3 software were also applied in order to extract paleocanographic signals from nannofossils.At least 13 species and 13 genera of calcareous nannofossils were identified in the examined section. Umbilicosphaera sibogae(Kuroshio water index) increased at the glacial–interglacial boundaries, Florisphaera profunda (stratified, warm offshore water index) and Helicosphaera spp. (freshwater inflow index) increased in the interglacial period. On the other hand, Calcidiscus leptoporus (cool offshore water index) and very small Gephyrocapsa spp. (eutrophic freshwater index) increased during the glacial period. In particular, Coccolithus pelagicus (eutrophic cool water index) abundant at the end of the glacial period. The power spectra of F. profunda, U. sibogae, very small Gephyrocapsa spp., and C. leptoporus show 55–57 kyr periodicity, which also appeared in benthic foraminiferal δ18O. The periodicity of 22–23 kyr was recognized from relative abundances of F. profunda, U. sibogae, and Helicosphaera spp. Those sequential fluctuations of nannofossils indicate that northward/southward of the Kuroshio and Subarctic Front around the Pacific side of Japan. It can be presumed that oceanic front movements linked East Asian monsoon variations because paleoceanographic records in this study corresponded with Chinese loess-paleosol records (Sun et al., 2010).[Reference]Elderfield et al., 2012, Science, 337, 704-709., Kuwano et al., 2019a, The 126th Annual Meeting of the Geological Society of Japan, Abstract, R23–P2., Kuwano et al., 2019b, The 1st Asian Palaeontological Congress, Abstract, P64., Sun et al., 2010, Earth and Planetary Science Letters, 297, 525–535.
著者
岡田 誠一
出版者
鉄道図書刊行会
雑誌
鉄道ピクトリアル (ISSN:00404047)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.10-22, 1997-05
著者
岡田 誠司
出版者
九州大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

腰部脊柱管狭窄症の主要な病因は脊柱管背側を縁取る黄色靭帯の肥厚であるが、そのメカニズムに関しては殆ど明らかにされていない。従来の研究では、若年者椎間板ヘルニア患者から採取された『肥厚していない黄色靭帯』と、腰部脊柱管狭窄症患者から摘出された『肥厚した黄色靭帯』の組織学的な比較により、肥厚した黄色靭帯では①膠原線維の増加、②弾性繊維の断片化、③血管新生が認められることなどは明らかになっているが、どのような細胞が膠原繊維を産生するのか、肥厚した靭帯では細胞数に変化は認められるのかなどの基本的なことが解明されていなかった。そこで我々は、マウス腰椎ならびに黄色靭帯の解剖学的解析を行い、ほぼヒト黄色靭帯の特徴を有していることを明らかにした。さらに、マウス黄色靭帯に持続的メカニカルストレスを負荷することにより線維芽細胞の増殖と膠原線維の過剰沈着を確認した。この成果はメカニカルストレスが黄色靭帯肥厚の直接の誘因の一つであることを示した初めての結果である。しかし、メカニカルストレスのみでは中等度の肥厚が限界であり、組織的にヒト疾患で認められるマクロファージ浸潤、血管新生やTGFβなどの線維化関連因子の発現上昇が認められなかった。そこで、黄色靭帯に微小な損傷を加えマクロファージ浸潤を促した結果、血管新生とともに高度の肥厚が確認された。さらに、クロドロネート投与により末梢血中のマクロファージを枯渇させた状態では、微小損傷によっても全く黄色靭帯の肥厚は認められなかった。この結果は、マクロファージ浸潤が黄色靭帯肥厚に深く関わっていることを示唆しており、疾患との新たな関わりを示唆する重要な知見である。なお、本成果はPlos One誌ならびにAmerican Journal of Pathology誌へ掲載された。
著者
岡田 誠
出版者
全国大学国語国文学会 ; 1976-
雑誌
文学・語学 (ISSN:05251850)
巻号頁・発行日
no.226, pp.44-54, 2019-10
著者
有馬 雅史 坂本 明美 幡野 雅彦 徳久 剛史 岡田 誠治
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

転写抑制因子であるBCL6はTh2サイトカインの産生に対して負の制御を行っている可能性が示唆されている。我々は、Th2型気道炎症を呈する気管支喘息の病態の解明や新たな治療の開発のための基盤研究として、BCL6のTh2サイトカイン産生および喘息性気道炎症における作用メカニズムについて解析した。本研究では、以下の点について明らかにすることができた。1.BCL6はT細胞によるTh2サイトカインの産生を抑制し、少なくともIL-5遺伝子はBCL6の標的遺伝子であり、その機序としてIL-5遺伝子の第4エクソンの3'末端の非翻訳領域にBCL6が直接結合して転写活性を抑制することを示した。2.BCL6はTh1細胞や休止期のTh2細胞に対してIL-5遺伝子のstabilityに関与する。3.マウスの喘息モデルでBCL6の強発現によってのTh2サイトカイン産生を抑制し、好酸球を中心とする気管支喘息の気道炎症を減弱することによって気道過敏性の亢進を抑制した。3.BCL6は樹状細胞(DC)の分化や機能を介してTh2細胞の分化を制御する。したがって、BCL6はリンパ球以外に抗原提示細胞の機能も制御してTh2型反応を総合的に制御すると考えられた。以上よりBCL6はリンパ球とDCの両方に対してTh2細胞の分化や機能を制御してTh2喘息性気道炎症の病態に関与する可能性があることを示した.このような研究成果は単に気管支喘息の治療法の開発につたがるばかりか、アレルギー性疾患の発症メカニズムの解明にもつながることが期待できる点において大変重要である.
著者
岡前 暁生 原田 和宏 岡田 誠 和田 智弘 和田 陽介 道免 和久
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1375, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】介護者のレスパイト目的などで利用されるショートステイにおいて,介護負担感と関連している要介護者の神経精神症状(以下 NPS)の変化に関連する要因を明らかにすることは重要である。しかし,これまでショートステイでの各要因が要介護者のNPSに与える影響については十分に検討されていない。離床時間は廃用症候群の予防のためにも重要であるが,ショートステイ中に具体的にどの程度の離床時間が適切なのか明らかでない。そこで本研究の目的は,ショートステイ利用前後における要介護者のNPSの変化に関して,離床時間を含めた各要因との関連について検証することである。【方法】対象は介護老人保健施設のショートステイを利用した要介護者50名(男性23名,女性27名),平均年齢84.0±9.8歳である。除外基準は,調査期間中に急な体調の変化が生じた者,要介護者の普段の生活の様子を観察できる介護者がいない者,介護者から正確な情報を得ることが困難な者とした。データ収集は利用前の状況は入所2日前から前日の状況,利用後の状況は退所翌日から2日目の状況について,主介護者から回答を得た。評価項目は基本属性,ショートステイ利用状況,個別リハビリテーション実施加算の有無,NPSについてはThe Neuropsychiatric Inventory(以下 NPI)を改変したNPI重症度2日間評定版(以下 NPI 2d)を用いて調べた。また,離床時間は1日のうち座位および立位の姿勢を取っていた時間として,自宅の状況は主介護者から,施設の状況は介護スタッフから情報を得た。さらに施設の離床時間から自宅の離床時間を減じた値(以下 離床時間の差)を求めた。統計学的検定は,NPI 2dの利用前後の変化値から改善群と非改善群に分類し,各項目の差をMann-WhitneyのU検定,対応のないt検定,χ二乗検定を用いて比較し,有意差が認められた項目を独立変数,NPI 2dの変化を従属変数としたロジスティック回帰分析を行った。抽出された因子についてROC曲線により感度・特異度,カットオフ値を算出した。有意水準は5%とした。【結果】改善群(18名)と非改善群(32名)を比較した結果,利用前NPI 2d(p<0.01),施設の離床時間(p<0.05),離床時間の差(p<0.01)に有意差を認めた。ロジスティック回帰分析の結果,利用前NPI 2d(odds比=3.484,95%信頼区間1.287-9.431,p<0.05),離床時間の差(odds比=1.297,95%信頼区間1.004-1.676,p<0.05)が独立した有意な関連因子として抽出された。改善群と非改善群を分けるカットオフ値は利用前NPI 2dが1.5点(感度:0.824,特異度:0.727),離床時間の差が2.5時間(感度:0.647,特異度:0.879)であった。【結論】ショートステイ利用後の要介護者のNPSの改善には,利用前のNPS,施設と自宅の離床時間の差が関連していることが示された。今回の結果は,ショートステイにおける理学療法士の効果的な関わりの手がかりになる可能性がある。
著者
梨田 一也 岡田 誠
出版者
中央水産研究所
雑誌
黒潮の資源海洋研究 = Fisheries biology and oceanography in the Kuroshio (ISSN:13455389)
巻号頁・発行日
no.15, pp.57-62, 2014-03

ゴマサバScomber australasicusは北海道南部以南~西部太平洋~オーストラリア南部,ニュージーランド,ハワイ諸島およびメキシコ沖に分布し(Nakabo 2002),同属のマサバS. japonicusとともに本邦太平洋側における重要な水産資源である(川端他 2014)。ゴマサバ太平洋系群には,東シナ海~黒潮続流域から東北~北海道海域を大規模に回避する群れ(広域回遊群)のほか,黒潮周辺の沿岸域に周年分布する群れ(沿岸分布群)も多く(川端他 2014),さまざまな生活型に由来する複雑な年齢-体長関係が想定される。したがって,ゴマサバ太平洋系群に対する適切な資源管理の実行には,それぞれの生活型を踏まえた解析が望ましく,季節ごと,海域ごとの年齢-体長関係の把握が必要である。さば類の鱗による年齢査定については,比較的多くの知見が得られているが(例えば近藤・黒田 1966,花井 1999,渡邊他 2002),熊野灘以西で多いことが推測される沿岸分布群のゴマサバについての情報は十分とはいえず,熊野灘においては年齢査定に関する知見はない。また,熊野灘のゴマサバは広域回遊を行わない沿岸分布群が漁獲の主体とみられるものの,近年では広域回遊群の来遊も示唆されることから(岡田 2011),特に熊野灘における年齢査定は重要であり,かつ慎重を期する必要がある。近藤・黒田(1966)は過去のさば類の年齢査定に関する研究を総説的に紹介し,さば類の年齢査定法に関する教科書的な論文となっている。しかしながら,鱗を用いた年齢査定の具体的な方法については断片的な記述にとどまっており,初めてさば類の鱗を用いて年齢査定を行いたいと考える研究者にとっては,より詳細な年齢査定の基準や再生鱗の判別,偽年輪の判定などの具体的なマニュアルが望まれている。また一方では,年齢査定を行う各県の水産試験場等の研究者は異動頻度が高く,年齢査定のノウハウが継承されない場合が多いため,継承性をいかに確保するかも課題となっている。そこで,本報告では熊野灘で漁獲されたゴマサバの鱗を用いて,年齢査定を行う手順について標準的なマニュアルを作成すること,および熊野離における年齢査定上の注意点を整理することを目的とした。本報告が,これからゴマサバの年齢査定を行う研究者に参考になれば幸いである。
著者
岡田 誠 才藤 栄一 水野 元実 藤野 宏紀 伊藤 三貴 西尾 美和子 余語 孝子 織田 幸男 林 正康
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.B0126-B0126, 2007

【目的】調整機能付き後方平板支柱型短下肢装具(APS-AFO)は、外観性・機能性・調整性という臨床の3つのニードを同時に満たした装具であり、モジュラーパーツである後方平板支柱(4剛性)、ヒンジジョイント(3タイプ)を適切に選択することにより、幅広い歩行能力に適応可能な装具である。今回、連続歩行による多数歩採取可能、定常速度設定可能という、トレッドミル歩行分析法の利点を生かした計測方法でAPS-AFOの歩行分析を行った結果、一般的な平地歩行分析では困難と思われる、再現性の検討やパターン分析が可能となったので報告する。<BR>【対象と方法】対象は、APS-AFOにて歩行が修正自立の脳卒中片麻痺者10例とした。方法は、トレッドミル上を約20秒間連続歩行した時の歩行を3次元動作解析装置(3D解析)で分析した。3D解析には、キッセイコムテック社製Kinema Tracerを使用した。APS-AFO、裸足の2歩行について同一歩行速度(裸足の快適歩行速度)で歩行分析を行い、それぞれの時間・距離因子の再現性、関節角度変位(特に、足部内反の角度変位)、進行方向の重心移動速度、連続歩行による歩行パターン分析を比較検討した。なお、本研究は藤田保健衛生大学倫理委員会において認証されており、データ計測の際には被験者より同意書を得て行った。<BR>【結果】トレッドミル上を連続歩行する多数歩計測によって、各因子の平均値、標準偏差、変動係数(ばらつきの指標)などの統計的手法が可能となった。APS-AFO、裸足の時間・距離因子、関節角度変位は、APS-AFOの方が、裸足よりもばらつきが少なく、運動の再現性が高い結果となった。また、関節角度変位は、APS-AFO、裸足の順に歩行時の関節コントロールが良好であった。特に、遊脚期の足部内反はAPS-AFO、従来型装具が著明に減少した。進行方向の重心移動速度では、APS-AFOの重心移動は両脚支持期でスムーズに行われており歩行効率の向上につながった。<BR>【考察】トレッドミル歩行分析法では、多数歩採取、定常速度設定という計測方法が可能なため、一般的な平地歩行による2~3歩による歩行分析では困難な統計的手法が可能となった。すなわち、1歩1歩にばらつきが生じやすい片麻痺者では、トレッドミル歩行で採取した約15歩分の平均値を算出することによってより信頼性の高い結果が得られ、また、変動係数を利用することによりそのばらつき程度の評価も可能となった。APS-AFOの効果判定おいても、トレッドミル歩行分析法による足部内反や重心移動速度などが有効であったと思われる。これらのことから、トレッドミル歩行分析法による歩行評価は、片麻痺者など障害を呈した症例の装具効果判定を行う際の新しい指標となると思われる。<BR><BR>
著者
安藤 寿男 七山 太 近藤 康生 嵯峨山 積 内田 康人 秋元 和実 岡田 誠 伊藤 孝 大越 健嗣
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

日本各地の白亜系~現世カキ化石密集層や現生カキ礁において,産状や堆積構造の観察,カキ類の形態・生態調査から,個々の密集層や礁の形成過程を復元し,形成要因を考察した.道東の厚岸湖では現世カキ礁を含む完新世バリアーシステムの堆積史や海水準変動を復元し,パシクル沼では縄文海進初期の津波遡上による自生・他生カキ化石密集互層を認定した.また,九州八代海南部潮下帯のカキツバタ礁マウンドの地形や生態を調査した.
著者
堀井 勇一 ゲート ペトリック 岡田 誠 片瀬 隆雄 蒲生 俊敬 山下 信義
出版者
日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.257-257, 2004

残留性有機汚染物質(POPs)の全地球的な環境挙動把握と発生源推定を行うためには従来の組成分析法では信頼性に乏しい。本研究では新規に開発した二次元ガスクロマトグラフ同位体比質量分析計を用い、ポリ塩素化ビフェニル(PCB)・ポリ塩素化ナフタレン(PCN)製剤、及びハロゲン系の揮発性有機化合物の炭素同位体比分析を行った。PCBについては、すでに報告されている日欧米製剤に加え東欧諸国(ポーランド・チェコ・ロシア)の製剤も分析し、PCNについては世界各国で使用された米国製のHalowax製剤シリーズを分析、各種製剤の傾向を解析した。さらに、これら半揮発性化合物であるPCB・PCNの比較として、異なる製造元から収集した揮発性の有機溶剤についても分析し、各種ハロゲン系有機汚染物質の物性及び炭素数や塩素・臭素置換等の構造の違いにより同位体組成に差があるか注目した。
著者
岡田 誠司 岩波 明生 石井 賢 中村 雅也 戸山 芳昭 岡野 栄之
出版者
日本炎症・再生医学会
雑誌
炎症・再生 (ISSN:13468022)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.602-610, 2004 (Released:2006-10-25)
参考文献数
43

Neural stem cells (NSCs) are multipotential progeniotr cells, which can generate neurons, astrocytes, and oligodendrocytes, the three major cell types in the central nervous system. They also have the self-renewal activity and can be expanded in an undifferentiated state in vitro. Due to their capability of multipotency and chemotaxis for lesion site, there has been increasing interest in the identification and characterization of NSCs for therapeutic applications. However some numbers of recent studies demonstrated the existence of endogenous NSCs in adult mammalian central nerve system, their self-repairing activity is very faint. The cause of poor regenerative capability would be included microenvironmental factors that inhibit neurogenesis and axonal regeneration. We have investigated the effect of NSCs transplantation and modification the microenvironment for experimental spinal cord injury. This review will provide an overview of therapeutic strategy for neurodegenerative diseases and traumatic injury, such as Parkinson's disease and spinal cord injury.
著者
岡田 誠 五十嵐 洋一郎
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.54, no.10, pp.1040-1045, 2013-09-15

日本の認知症高齢者の推計人数は,2012年の段階で462万人,前期認知障害の高齢者数を含めれば862万人にのぼる.認知症を取り巻く社会的課題は日本の社会にとって大きなインパクトを持つ.一方,認知症を含め,現代社会の課題は相互に複雑に絡み合い,状況や全体像も曖昧である.誰がその課題に対して新たな力をもたらすステークホルダかも明確ではない.本稿では,企業の視点から,社会的課題自体をさまざまな組織を結びつけるバウンダリー・オブジェクトとして機能させる意味とアプローチについて,認知症プロジェクトを例として紹介する.
著者
須貝 伸一郎 今井 正樹 岡田 誠之 武藤 暢夫
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.74, pp.69-74, 1999-07-25
参考文献数
6

第1報において,基礎的な検討事項として,スライムの発生,成育条件の検討,スライムの抑制,スライムの生物活性を検討した.本研究は,再利用水を送水するための配管に着目した.配管内に微生物が付着すると衛生器具の詰まりや流れの障害,管路の閉そく,臭気,腐食促進などの障害の原因となるといわれている.そこで,特に下記のことを検討した.(1)配管用炭素鋼鋼管,硬質塩化ビニル管,ステンレス鋼管,アクリル管の各種配管材料におけるスライム付着量,(2)流速,管表面精粗によるスライム付着量,(3)水質とスライム生成の相関ならびにスライムの性状,この検討を行ったところ,次の知見を得た.1)原水(BOD濃度10mg/l程度)に比べて高度処理すると,スライムの付着量は極端に少なくなる.2)凝集沈殿水,砂ろ過水におけるスライム抑制効果は,配管材質および流速の種類によって差異がある.アクリル管<ステンレス鋼管<硬質塩化ビニル管<配管用炭素鋼鋼管の順にスライムの生成量が多くなっている.3)管表面精粗は砂ろ過水を除き,影響があることが認められた.4)スライムの組成はC_9H_<15>NO_4で示された.
著者
今井 正樹 趙 志 岡田 誠之
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.171, pp.23-29, 2011
参考文献数
12

建物内の水に対する消毒剤の基準は、消毒剤としての残留塩素または二酸化塩素が規制値以上に存在しなければならないとしている。この規制値を維持するための対策を検討するためには、消毒剤の濃度発散要因を明らかにしなければならない。そこで消毒剤濃度の発散に影響する要因として、水温、容器の材料、水深、水槽の大気開放または密閉条件、水に溶解している物質とする。本報告では次のことが知見として得られた。(1)減少に影響している要因、(2)水温の影響を指数近似で数値を得ることができ、残留塩素に比べて二酸化塩素は発散係数が大きいこと、(3)残留塩素及び二酸化塩素とも水層に比べて空気層の比、すなわち容積比が高くなると発散係数が高くなる、(4)湿潤面積/口径の比と発散係数の関係式、(6)消毒剤の濃度の発散を推定式で現すことができた。
著者
伊藤 実和 才藤 栄一 岡田 誠 岩田 絵美 水野 元実 坂田 三貴 寺西 利生 林 正康
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, 2005-04-20

【目的】短下肢装具(AFO)は最も使用されている装具である.しかし,機能的には優れていても外観に欠点があったり,逆に外観が良好でも機能的に問題があったり,さらに患者の状態変化に対応しにくいなど,外観性,機能性,調整性を同時に満たすものは現存しない.我々は,この問題を解決すべく調節機能付き後方平板支柱型AFO(Adjustable Posterior Strut AFO:APS)の開発を進めている.APSは理論上,効果的な内外反(ねじれ)防止機能が期待できる.今回,健常人と片麻痺患者を対象に本装具と従来型AFOの歩行時の下腿・足部分の底背屈と内外反(ねじれ)を比較検討した.<BR>【方法】対象は健常人1名,左片麻痺患者2名とした.症例の歩行レベルは,両名ともT字杖を使用しShoehorn Brace(SHB)で修正自立であった.健常人では,評価用APSを用い,4種類のカーボン支柱(No1:硬ーNo4:軟)を使用した.APSの足関節角度条件は,背屈0度固定と背屈域0~35度遊動の2設定とした.比較する従来型AFOは可撓性の異なる3種類のSHBを使用した.片麻痺患者では,APSを個別に採型,作製した.カーボン支柱には症例に最も適した軟タイプ(No4)とした.足関節角度設定はそれぞれ背屈域5~35度遊動,背屈域5~30度遊動とした.比較には症例が従来から使用していたSHBを用いた.運動計測にはゴニオメーターと3次元動作解析装置を使用した.APSとSHBを装着してトレッドミル歩行を20秒間行ない,歩行中の足関節底背屈角度と下腿部のねじれ角度を計測した.<BR>【結果】健常人においては,APSの支柱が軟らかい程,SHBでは最狭部トリミングが小さい程,底背屈角度とねじれが大きくなった.両装具を比較すると,底背屈運動範囲は,大きい順にAPS背屈遊動,APS固定,SHBとなり,逆にねじれの大きさは,SHB,APS固定,APS背屈遊動の順となった.運動の軌跡をみるとAPSではSHBに比べ底背屈がスムーズで,踵接地後の底屈と立脚後期の十分な背屈が得られた.2症例の検討でも,SHBに比してAPSでより底背屈角度が大きく,ねじれが小さい傾向にあった.APSでは立脚後期に十分な背屈が得られ,立脚期に起こるねじれも緩やかであった.2例ともAPS歩行ではSHB歩行より歩行速度上昇,ストライド増加,ケイデンス減少が得られた.<BR>【考察】健常者と片麻痺患者の両者において,APS(固定,背屈遊動)では,SHBに比べ,踵接地後の足関節底屈や立脚後期の背屈など歩行時の底背屈がスムーズで,足関節の底背屈が十分に得られる際にもねじれは少ないという良好な機能性を示した.片麻痺患者では,この機能性が時間因子や距離因子にも影響を与えていたと考えられた.今後は症例数を追加し,APSの機能性を確認したい.
著者
今井 正樹 岡田 誠之 武藤 暢夫
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.67, pp.57-65, 1997-10-25
被引用文献数
1

大都市を中心とした水需要の増大に対し,水資源の高度利用,下水道への排水量の抑制を主目的とする水の再利用システムとして,"中水道"の開発,実用化が進められてきた.本研究においては,配水管の通水能力の減少,管路の閉そく,熱交換器などの熱交換率の低下,スライムの発生に伴う局部腐食の増加などを引き起こしている"スライム障害"を水質面から取り上げ,具体的にはスライムの発生形態および発生要因を中心に,最終的にスライム発生を抑制させる目的で,特に中水の水質との関連性を踏まえて実験を進めた.主な検討項目は,(1)スライムの発生,生育条件の検討,(2)スライムの抑制,(3)スライムの生物活性,である.次に研究結果を要約すれば以下のとおりとなる.1)実排水および人工下水を用いて,スライムを発生させた場合,処理原水に対して凝集沈殿処理水ではその30%,砂ろ過処理水では10%まで発生を抑制できた.2)スライムの発生は水中の栄養塩類としてN,P化合物の存在が大きく影響し,とりわけPの存在は発生の主要因となっている.3)発生の経時的変化は一次反応の形態をとることが確認された.4)今回のスライムの組成はC_7H_<12>NO_6で示され,生物体としての細菌の組成と類似しており,酸素吸収量からも生物体としての活性が認められた.