著者
松岡 裕見子 小西 光子 後藤 寛樹 要門 美規
出版者
富山大学
雑誌
富山大学留学生センター紀要 (ISSN:13472739)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.31-41, 2002-03

富山大学留学生センター日本語研修コースでは, コース期間中,毎朝,その日の口ならしとして1限目の授業の始めの5分~10分を発音練習にあてている。コースが開設された当初は,既製の教材を使用していたが, もっと楽しく元気に授業を開始できる,ウォーミングアップとなるような教材を開発しようということになった。教材は毎日の口ならしであると同時に, 日本語の発音の基礎を学び, 日本語らしいリズムを習得させることを目標としており, これまでに2回の改訂を経て,現在使用しているものに至っている。本稿はその教材開発について報告するものである。
著者
鎌田 倫子 中河 和子 後藤 寛樹
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.155, pp.95-110, 2013 (Released:2017-02-17)
参考文献数
8

エンパワメント評価は評価活動自体をエンパワメント活動と捉え,評価によってプログラムの改善を目指す評価方法である。エンパワメント評価はどのように実践され,組織や当事者にどのような変化がおこるのか,日本語プログラムにおける評価実践から見えてきた点を報告する。大学の理系小規模日本語プログラムでエンパワメント評価を実践し,プログラム当事者のエンパワメントによりプログラムの改善を目指した。評価実践を1期実施した中間点で,プログラム当事者である教員の変化について分析した。エンパワメント評価の導入には,プログラムがエンパワメントされることを希求する「エンパワメント文脈」が必要とされることから,当該プログラムのエンパワメント文脈について検討した。より困難なプログラムに向くとされるエンパワメント評価を,同様の困難を抱える日本語プログラムに適用すればプログラムの改善に繋がることが期待される。
著者
鎌田 倫子 中河 和子 後藤 寛樹
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

平成23年度より研究代表者らが所属する富山大学杉谷キャンパス日本語プログラムにおいて、エンパワメント評価(以下EE)を実践してきた。この実践は、国内では例がなく言語教育プログラムでは国際的にも珍しい。平成23年度には、まず担当教員内にEE原理の理解を深め、民主的な話し合いの土壌を作りながらプログラム・ミッションを策定した。その上で3年間の実践ゴールを、ミッションに適合した「学習達成目標設定」と「達成を測る指標作り」とした。その後プログラム内容をミッションに適合させ改善していく過程で教員側に常勤・非常勤を越えた民主的参画と、主体的関わり・組織学習の強化など、EEの原理の一部の達成が観察された。
著者
宮原 英夫 後藤 寛司 清水 和彦 池田 憲昭
出版者
日本行動計量学会
雑誌
行動計量学 (ISSN:03855481)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.89-95, 2013 (Released:2014-04-29)
参考文献数
8
被引用文献数
1

The reliability of the reference value of a clinical test is lowered if the sample size of the study data was not sufficient. The purpose of this study was to indicate the reliability of the reference value by displaying not only the point estimate, but also the interval estimate. The rest electrocardiograms of 1276 cases of healthy Japanese men were used for the present study. To set the upper limit of the QT reference value, we used the bootstrap method. As we supposed beforehand,the range of confidence interval widened in both extremes of RR where the sufficient number of study cases could not be collected. As we showed in this study, the upper limit of reference value (the parameter in the upper tail of distribution) could be comparatively easily estimated with the confidence interval by using the bootstrap method.
著者
後藤 寛
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2019年度日本地理学会秋季学術大会
巻号頁・発行日
pp.155, 2019 (Released:2019-09-24)

Ⅰ 目的地域市場の特性を店舗の立地分布を通して読み解く試みの一環としてほとんどがナショナルブランドであるファッションブランドショップの立地と集積に注目する。現在のファッション市場では年齢層を基本としつつライフステージを組み合わせた顧客セグメントを想定し、それぞれにターゲットを絞ったブランド展開がされている。それを踏まえてショップ群の立地と対象とされる顧客層の居住地分布を比較することにより最終的には同じ趣味関心をもつ群の実態を捉えようとするものである。Ⅱ 対象とデータ大規模小売店舗の各企業系列は都市システムに対して各々不完全なカバーしかしないが、業態をひとつのシステムと解釈することで各ナショナルブランドの動向、立地選択の全体像の理解が可能となる。平成30年5月~7月にかけて主要アパレルメーカーのサイトの店舗リストをもとに作成した婦人ファッションショップ370ブランド14859店(ラグジュアリーブランド数53,1628店,百貨店系アパレル99,4637店,SC系228,8594店)を用いる。ここでは規模・品揃えの差は捨象してショップの有無で論じる。Ⅲ 分析販路として百貨店向けとSC/モール向け、顧客セグメントとしてヤング向け,キャリア、ファミリー,ミセスと大別されるサブマーケットごとのショップは大規模小売店舗の立地に制約されて出店するが、その立地状況の分析から、たとえばすそ野の狭いヤング向けショップは上位都市都心部への極端な集中を示して購買のための広域移動の存在を伺わせ、逆に百貨店を販路とするミセス向けはマクロには全国に均等に立地しミクロには百貨店の立地に依って各都市都心にみられるなどの特徴が指摘できる。だが百貨店の撤退後そのまま空白地帯になる例などをみても消費者分布すべてを均等にカバーするものではない。このような特性も踏まえた店舗の成立条件、それらの集積する消費の場面にみられる都市の体系を明らかにすることを目指している。
著者
井上 康博 船山 典子 近藤 滋 新美 輝幸 大澤 志津江 小沼 健 秋山 正和 山崎 慎太郎 田尻 怜子 後藤 寛貴
出版者
京都大学
雑誌
学術変革領域研究(A)
巻号頁・発行日
2020-11-19

細胞は、素材によって工法を選び、組み立てることで「体」を建築する。本領域では、この素材の加工という新しいパラダイムを提示することで、後期発生以降の形態形成の原理に挑む。このパラダイムは「工業」そのものであるため、工業デザイン技術の生物への応用と、生物で得られた知見の産業応用が期待できる。この目的のために、総括班は、様々な分野の実験系と理論系の融合推進、異分野からの若手研究者の参入支援など、領域推進の司令塔としての機能を担う。
著者
佐藤 将 後藤 寛
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.1570-1575, 2019-10-25 (Released:2019-11-06)
参考文献数
14
被引用文献数
2 3

本研究では共働き世帯比率の高い世帯の集積エリアにおいて居住形態と送迎および通勤行動がどのような特徴が見られるのかを検証してきた。以下では低い集積エリアとの差異や都区部および郊外部で明確に見られた特徴を中心に考察する。居住形態から共働き世帯比率の高い集積エリアの特徴として都区部では駅前マンション居住、郊外部では徒歩圏内における戸建居住がメインであった。両者の特徴として利便性重視の居住地選択選好は共働き世帯が担っているといえるが、都区部では利便性重視だけでなく、価格面も考慮した居住地選択を行っていること、郊外部では利便性以上に依然として良好な住宅環境を重視した居住地選択を行っていることが明らかとなった。送迎および通勤行動からは都区部および郊外部どちらも自転車利用がメインな保育所環境を有するエリアにおいて共働き世帯比率の高い集積エリアがあることがわかった。またフルタイム勤務が可能でかつ短時間で通勤可能な制約のもと勤務形態を行う世帯が多く、このことは限られた条件下で子育てと仕事を両立していることが伺える。
著者
鵜野 いずみ 後藤 寛
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2015, 2015

ヘアーサロンは首都圏を例にみると東京の青山,原宿,渋谷地区にかなりの集中がみられる.このことを前提に客が移動コストをかけて美容院に通う動機と美容院業界および美容師業の構造,そしてそれに多大な影響を与えていると思われるファッションメディアによる情報発信の構造を明らかにすることを目指す.<br>また直接に客を相手にする美容院と,ファッション雑誌の中で活動するヘアーメイクアーチストの関連は近くと遠いものではあるが,雑誌をはじめメディアが振りまくファッションの中心地としての青山/渋谷地区のイメージは多分に,同地区美容院の広域集客に貢献しているものと考えられる.<br>美容院の立地分布をNTTのiタウンページデータをもとに描くと,東京都心西部の青山,渋谷,原宿周辺に極めて強い集積が確認できる.この集積は周囲のオフィス従業者分布や小売業の集積とは分布が異なり,それらと比べてもはるかに大きなものである.このことからこれらの地域の美容院はかなり広域からの集客によって成り立っているとみられる.<br>他方で,昨今ではリクルートの「ホットペッパービューティー」に代表されるサイトに希望の条件を入力して美容院を検索し,同時に予約を入れるシステムが普及している.このようなサイトの構成自体が広域集客を可能にしているとともに,ヘアースタイルに対する需要を発掘,あるいは顕在化させながら美容院自体の多様化,専門分化をも促し,全体として美容院市場の深耕を促していると考えられる.
著者
近藤 滋 後藤 寛貴
出版者
大阪大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2015-06-29

研究はカブトムシとツノゼミの2つを対象にして、原基折り畳みと成虫の3D形態との関係の解明を目指している。カブトムシ:28年度の主な進展は、角原基の折り畳み構造が、蛹角の完全な3Dを内包していることを証明できたことである。実験は3通りの方法で行った。まず、終齢幼虫の頭の殻を取り除き、腹に圧力を与えることで、原基が膨らみ、蛹角の形状になることを証明した。次に、その変形に細胞シートの伸展が関与していないことを証明するため、原基を切り出し、ホルマリンで固定したのちシリコンチューブに固定し、空気を送り込んで膨らますことで、正確な蛹角ができることを示した。最後に、連続切片から取得した原基の折り畳み形状を、計算機の中で膨らませることでも、同じ変形が起きた。この結果から、蛹角の完全な3D構造は、角原基の折り畳みにコードされていることが完全に証明された。(論文審査中)ツノゼミ:コスタリカに研究員を派遣し、最も注目しているヨツコブツノゼミの採集に成功している。また、羽化直前の幼虫も少数ながら確保しX線CTにより、折り畳み形状のデータを取得できた。まだ、解析は十分ではないが、多種多様の形状を見せるツノゼミのツノが、基本的には似た折り畳み様式を持っていることが示唆され、今後の研究の指針が得られた。技術的な進展:カブトムシ、ツノゼミともに、原基の3D形状のデータ取得方法の試行錯誤に多くの時間を費やしたが、その成果は十分にあり、今後の研究の加速が期待できる。
著者
後藤 寛
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.100176, 2012 (Released:2013-03-08)

喫茶店も他の多くの飲食店業と同様に,時代の変化に対応しつつ変化し生き残りを図っている.近年ではフランチャイズチェーンの台頭によりどこの街でも同じ看板の店である割合が高まっており,またファーストフード等の隣接他業態との垣根が低くなっている感があるが,人々の日々の休息に役立っている存在と考えられる.このような喫茶店がどこにどのように立地しているのか,本報告では大都市圏とその都心部分として,首都圏全域,東京23区内,山手線内エリアの3スケールで比較しながら,喫茶店・カフェ業態の立地分布と密度,そしてとくにチェーン店間の競合の現状についての分析を行う.
著者
後藤 寛幸 足立 恵一 坪井 歩 甘井 努 大嶋 義之 齋藤 好道
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌
巻号頁・発行日
vol.25, pp.40, 2009

【はじめに】多発交通外傷後,まず車椅子ADL自立の後,装具処方と積極的な起立・歩行訓練により歩行自立となった症例を報告する.【症例】55歳男性【診断名】骨盤骨折(右寛骨臼骨折など),両下腿開放骨折(右脛腓骨二重骨折,左脛骨骨幹部骨折,左足関節内果骨折),左リスフラン関節脱臼骨折,神経因性膀胱,両坐骨神経損傷に伴う両膝関節から遠位の麻痺.【合併症】糖尿病【病歴】H19.7.20軽トラック運転中乗用車と正面衝突し受傷.心タンポナーデに対し心嚢ドレナージ.骨盤骨折に対し両内腸骨動脈塞栓術,両血気胸に対してトロッカー挿入し救命.8.3(左)脛骨髄内釘,足関節内果CCS,(右)脛骨近位CCS,遠位K-W骨接合.股関節臼蓋螺子にて骨接合.右脛骨偽関節形成の為,10.12プレート固定,骨移植施行後創感染.10.31右下腿前面皮膚11.19腓腹筋弁,分層植皮施行.H20.1.29当院初回入院.右下腿偽関節のため右下肢免荷.先ず上肢・体幹筋力強化を実施.4.22車椅子ADL自立で退院.10.28右部分荷重可能となり歩行訓練目的に再入院.【入院時評価】両下腿感覚重度鈍麻.MMT(右/左)大殿筋(1/1)大腿四頭筋(2/3)両前脛骨筋,下腿三頭筋収縮なし.両上肢4.右下腿前面骨癒合部の骨突出あり,皮膚面湿潤.脚長差3cm(左>右)【経過】起立,push up訓練実施.装具は右PTB免荷装具(モールドタイプ),左プラスチック短下肢装具を作成.PTB 免荷装具にインナーシェルを工夫し右腓骨骨折線への衝撃緩和,創傷保護実施.右全荷重開始後,両金属支柱付短下肢装具作成.MMT大殿筋(2/2)大腿四頭筋(4/4)両上肢5と筋力向上し歩行器装具歩行自立に至った.【考察】骨癒合の時期をみてPTB装具を処方し起立・歩行訓練を行うことで,両下肢近位筋と体幹筋力向上が図り,実用歩行の可能性が出た後に両短下肢装具を再作成し歩行自立に至った.
著者
金井 章 渡辺 さつき 小林 小綾香 大瀬 恵子 植田 和也 後藤 寛司 森田 せつ子
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Ab0453-Ab0453, 2012

【目的】 妊婦は、その経過とともに外力の影響を受けやすくなり、子宮破裂、常位胎盤早期剥離、後腹膜血腫などが生じやすい。そのため、災害時における外傷の予防には非常に注意を要する。特に、大規模地震の頻発する本邦では、地震時における妊婦の安全確保のための対策は非常に重要であるにもかかわらず、震災時の妊婦被災状況は明らかになっていないのが実情である。また、2007年より緊急地震速報の運用が始まったことで、数秒から数十秒前に揺れへの対応を取ることが可能となったものの、妊婦のサポートについて十分な検討は行われていない。そこで、妊婦における地震の揺れに備えるための安全な姿勢を検討することを目的として、揺れによる身体への外力の程度について検証した。【方法】 対象は、妊娠経験のある健常女性19名(平均年齢33.4±3.2歳、平均体重54.2±8.1kg、平均身長160.0±4.7cm)とした。被験者は、妊婦を模擬するための妊婦体験ジャケットLM-054(高研社製、重量7.2kg、妊娠8ヶ月から9ヶ月に相当)を装着・非装着の状態とし、起震車(カバヤシステムマシナリー社製)を用いて震度5弱の揺れにより身体へ加わる力を加速度計(WWA-006:ワイヤレステクノロジー社製)を用いて計測した。加速度計のサンプリング周波数は200Hzとし、左右の上後腸骨棘中央に装着した。振動時間は15秒で、中間10秒間について、3軸方向の合成加速度を解析した。計測姿勢は、揺れに備える姿勢として姿勢1:かがむ、姿勢2:膝をついてかがむ、姿勢3:お尻をついてかがむ、姿勢4:四つん這い、姿勢5:四つん這いで頭と胸を床に近づける、姿勢6:机を支えにした立位、姿勢7:壁を支えにした立位の7姿勢とした。得られた結果から、ジャケット装着の有無による差を対応のあるt検定で、姿勢による差を分散分析にて検討した。【倫理的配慮、説明と同意】 被験者へは本研究について説明し、研究への参加承諾を得た。また、本研究は豊橋創造大学生命倫理委員会にて承認を受け実施した。【結果】 平均加速度・最大加速度(単位;mG)は、ジャケット無しで姿勢1:211.6±90.5・497.1±86.3、姿勢2:234.5±99.8 ・566.4±144.7 、姿勢3:295.4±132.2 ・712.4±198.5 、姿勢4:209.5±88.7 ・503.4±149.7 、姿勢5:235.7±98.6 ・584.7±152.0 、姿勢6:248.0±121.6 ・657.6±127.9 、姿勢7:301.2±145.9・789.9±125.3 であった。ジャケット有りでは、姿勢1:200.4±79.0 ・447.1±75.0 、姿勢2:220.4±88.6 ・544.4±131.5 、姿勢3:252.8±109.4 ・607.4±110.5 、姿勢4:169.5±72.6 ・403.4±70.2 、姿勢5:219.0±89.8 ・526.1±61.7 、姿勢6:193.0±98.9 ・544.6±73.5 、姿勢7:225.0±111.8 ・586.6±102.3 であった。両群ともに、姿勢4が最も低い値を示し、ジャケット無しに比べジャケット有りで低い値を示していた。【考察】 妊婦では、平均11kgの体重増加が起こり、腹部と乳房が前方にせり出してくるため、身体重心位置が変化する。また、ホルモン環境の変化により関節が柔らかくなり、可動域が増大するため、立位姿勢が不安定となり、日常生活における種々の動作も制限される。このような状況の中で、地震時に揺れに対応するための、身体へ負担の少ない待機姿勢をとることは非常に重要である。今回の結果では、四つん這いが最も腰部への加速度は低く、負担の少ない姿勢であることが確認された。これは、四つん這いは支持基底面が広く安定した姿勢であり、腰部は揺れを生じている床の部分から一定の距離をとり、上下肢により体幹重量による慣性を利用して揺れを軽減させることができるためであると考えられた。一方で、床におしりをついてかがむ姿勢は最も大きな加速度を示していた。これは、揺れを生じている床の部分から臀部へ直接外力が伝わるため、その影響を受け易い姿勢であると考えられる。また、ジャケット無しに比べ有りで加速度が低くなっていたのは、ジャッケットによる身体重量の増加に伴う慣性力の増加効果によるものと考えられる。ただし、身体状況の変化や、その後の動作への影響などでは不利となることから、さらに検討が必要と考えられる。【理学療法学研究としての意義】 妊婦の揺れに備えるための適切な待機姿勢を明確にすることで、震災時の妊婦外傷を予防することができ、震災に対する不安感を軽減することができる。
著者
佐藤 将 後藤 寛
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2012, 2012

従来、首都圏においてニューファミリー層が居住するエリアは都心部での地価の高さの影響から都心から離れた郊外が多かった。しかしバブル経済の崩壊以後は地価が安くなった影響で都心部での住宅購入は比較的容易になったこと都心回帰傾向がみられるようになった。ただその一方で交通の利便性の悪い郊外部に居住するニューファミリー層は減少し、オールドタウン問題が顕著にあらわれるようになった。このように住宅双六が変化する中で最近のニューファミリー層の居住地選択嗜好の把握をする必要があるといえる。この選択嗜好を把握することで都市経営の安定、少子化問題対策の道標になるといえるのではないかと考えられる。本研究では首都圏を対象として第一に1966~1970年出生コーホート、1971~1975年出生コーホート、1976~1980年出生コーホートの3つの出生コーホートについて10~14歳時点の人口と30~34歳時点の人口の比を算出し若年単身層も含めた人口の流出入を明らかにする。第二にさきほど設定した3つの出生コーホートの30~34歳時点での有配偶率を分析し、人口の流出入とあわせてニューファミリー層の現在における居住地選択を検証する。なお本研究での首都圏の定義は特別区に通勤・通学するする人の割合が常住人口の1.5パーセント以上である市町村とこの基準に適合した市町村によって囲まれている市町村とした。1976~1980年出生コーホートでは都内中心部から都県境に隣接する市で流入が多いことがわかった(図1)。都内以外で見ると埼玉県では戸田市、和光市に神奈川県では川崎市、横浜市港北区と南武線、東横線の沿線への流入が特に多い。1971~1975年出生コーホートでも同様の傾向が見られた。1966~1970年出生コーホートでは他の2つと同様に東京西南部で流入が多い傾向にあったが特に流入が多いのは都内ではなく和光市、浦安市、川崎市中原区といった都県境に隣接する市であった。また30~34歳時点での有配偶率の分析結果から都内中心部ではどの出生コーホートも有配偶率が低いことがわかった。ただし例外もあり1971~1975年出生コーホートでは江東区の有配偶率は高かった。これは近年の湾岸エリアでのタワーマンションの影響しているものと思われる。全体的にどの出生コーホートで見ても有配偶率で高かったのは埼玉県の戸田市と朝霞市、神奈川県の横浜市都筑区と川崎市宮前区であった。以上、出生コーホートを視点に見てきたが人口の流出入と有配偶率での相関は見られなかった。都内中心部への流入の多くは若年単身層が多いことがこの結果からわかった。しかし都県境に隣接する市で見ると人口の流入が多い地域で有配偶率が高い地域も見られた。都内中心部と比べて地価が安い影響からニューファミリー層の流入も多いことが考えられるが、こうなった要因について解明していく必要があるといえる。
著者
後藤 寛樹
出版者
富山大学留学生センター
雑誌
富山大学留学生センター紀要 = Journal of International Student Center, Toyama University (ISSN:13472739)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.65-67, 2011-11

日本語教育部門では,2003年度より毎週水曜日の昼休みを利用して,日本語教育部門の専任教員が留学生からの日本語に関する相談や質問に対応する「日本語相談」を実施している。これは,日本語に関する問題であれば,日本語の授業の内容とは関係なく,アポイントなしで相談できるというシステムで,授業以外の場での日本語学習支援として機能している。2010年度も合計28回の「日本語相談」を実施し,日本語学習に関する質問・相談,作文・レポートの添削,進学・就職に関連する日本語の文章のチェックや面接の練習など,多岐にわたる目的での利用があった。以下,2010年度の「日本語相談」の実施状況について報告する。
著者
ゴツシュ ナビンアナンダ 後藤 寛治 中世古 公男 森 義雄
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.624-629, 1976-12-30

ダイズ矮化病ウイルスの生育・収量に及ぼす影響を明らかにするため, 品種アダムス, ゆうづるおよびそのF_3系統13系統を供試し, 接種区および防除区における生育・収量の差異について比較, 検討した。1) 接種区における全乾物重および葉面積は, ウイルス接種約1ケ月後の7月17日において, すでに防除区に比し劣り, その差は生育とともに拡大した。2) 生育期間中の個体当乾物増加速度および葉面積は接種区が劣ったが, 純同化率は8月6日を中心に前期では防除区が, 後期では接種区がまさった。また, 接種区では比葉面積および葉身の窒素含有率が低く, 乾物率は逆に高い傾向を示し, ウイルス感染による葉の肥厚, 転流の阻害が認められた。3) 接種区における個体当平均子実重は防除区に比べ約70%減少した。また, 接種区では子実重と各生育時期における葉面積との間に有意な正の相関関係が認められ, 子実収量の系統間差異は葉面積の差によることが明らかとなった。4) 相対葉面積生長率が純同化率および比葉面積と有意な正の相関を示すことから, 接種区における葉面積の減少は, ウイルス感染による光合成率の低下と葉の肥厚に起因するものと考えられる。
著者
鎌田 倫子 中河 和子 札野 寛子 峯 正志 後藤 寛樹
出版者
国立大学法人富山大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2008

1.プログラム調査の実施石川・富山地域における7つの日本語プログラムの現場調査を実施し、結果の分析と評価方法の研究会を行った。平成20年度にパイロットスタディを行い、概要調査票、プログラム関係者への調査票、承諾書などの評価ツールを整備し平成21年度に7つのプログラムの現場調査を実施した。2.調査結果分析調査票調査の結果から、いわゆる学校型、地域型というだけでは収まりきらない日本語教育の現場の多様性が浮き彫りになった。学校主催プログラムの中にも教授法や組織形態が典型的な学校型に当たる留学生センターの大規模プログラムと、様々な特徴を持つ周辺的な小規模プログラムの存在が明らかになった。自治体主催や市民参加自主プログラムのいわゆる地域型にも、学校主催を凌ぐ規模を持つ学校型プログラムや、学校型を志向する疑似学校型プログラム(尾崎2004)、相互活動を目的とする多文化共生型プログラム(尾崎2004)等、特徴的で多様なプログラムの存在が現場調査から裏付けられた。(学会発表、報告書)3.プログラム評価法の研究会<エンパワメント評価>目標の達成度を見る従来型の評価法では捉えきれないプログラムの多様性の把握、活動や組織自体の改善を目指す評価法としてエンパワメント評価に着目し、文献研究会を実施した。エンパワメント評価は評価自体を、組織をエンパワする活動と位置付け、評価活動を通じて組織や活動の在り方を改善していく評価方法である。NPO等の実施する社会活動等に適用されることが多く、教育機関でエンパワメント評価を行った例は日本ではまだ見られない。しかし、この評価法は地域型日本語プログラムや周辺的な学校型小規模プログラムへの適用可能性は高いと考える。(フォーラム発表、文献)今後、作成した評価ツールの検討、採取記述データの分析等を進めながら、エンパワメント評価の試行可能性を探る所存である。