著者
服部 裕幸
出版者
日本科学哲学会
雑誌
科学哲学 (ISSN:02893428)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.15-28, 2000-11-25 (Released:2009-05-29)
参考文献数
16

In the dispute between classicists and connectionists, classicists assert that connectionists only claim that cognitive architecture is implemented in a certain kind of network model. They also criticize that the connectionist model cannot deal with many important cognitive competences, since they do not acknowledge the combinatorial structure of mental representations. I will argue that connectionists cannot defend themselves from the second criticism without suffering from the first criticism, and that they cannot defend themselves from the first criticism without suffering from the second criticism. Eliminativists often compare folk psychology to phlogiston theory in discussing the relation between connectionist theory and folk psychology. I will argue that the analogy does not hold.
著者
服部 裕子 友永 雅己 松沢 哲郎
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.29, 2013

 ダンスや合唱など,音楽のリズムに合わせて大勢が体の動きを同調させる行為は,世界中の多くの文化で見られており,同調行動はヒトの社会的なつながりを強めるために重要な働きをしていることが示唆されている.こうした行為ができるのは,ヒトがリズムに対して自発的に同調する能力があるために可能になるのであるが,本研究では,チンパンジーも音のリズムに対して自発的に行動を同期させることを実験的に検討した.まず,電子キーボードを複数回タッピングさせると餌をもらえることを学習させた.その後,タッピングを行っている間に,一定間隔の音刺激を呈示し,タッピングのリズムが音のリズムに同調するのかを調べた.その結果,チンパンジー3個体中1個体において,刺激間間隔 600msの音に自発的に同調してタッピングを行っていたことがわかった.このことから,外部の等間隔の音に対する自発的な同調傾向は,チンパンジーにも共通してみられることが示された.ヒトにみられるダンスや合唱は,こうした傾向をさらに発展させたコミュニケーション方法だと考えられる.
著者
瀧山 拓哉 服部 裕子 松沢 哲郎
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.32, pp.64, 2016

<p>音楽は世界中でヒトの文化の発展に重要な役割をはたしてきた。音楽はヒトが独自に発展させたコミュニケーション様式であり、リズムや用いられる音の多様性など、他の動物の音声コミュニケーションにはあまり見られない特徴が存在する。例えば高音は旋律を奏でる際に使われやすく、低音はリズムを伝える際につかわれやすいというように、音楽においては伝達する情報の種類によって異なる高さの音が使われている。ヒトの聴覚システムに関する先行研究によるとヒトは低音の音刺激に対して、リズムを知覚しやすく、逆に高音の音刺激に対して旋律を受容しやすいということが示唆されている。しかしながら、こういった音楽の聴覚的基盤における進化的起源は明らかになっていない。そこで本研究では、音楽の進化的起源を明らかにするためにチンパンジーのリズムに対する感受性を実験的に調べた。対象は霊長類研究所に暮らすチンパンジーのうち5人であり、まず電子ピアノのオクターブ違いの2音を交互にタッピングするようにトレーニングした。その後、妨害刺激として4種類(高音協和音・低音協和音・高音不協和音・低音不協和音)のメトロノーム音のうちいずれかを与えながら課題を行い、自発的なタッピングとメトロノーム音との同調性を計測した。その結果、音の協和性に対しては有意差が認められなかったが、チンパンジーのタッピングに対する音刺激の引き込みは低音刺激を使用したときの方が高音刺激を使用したときよりも優位に大きかった(p=0.013)。このことよりチンパンジーは高音より低音のリズムを知覚しやすいということが示唆された。従って、低音の方がよりリズムを知覚しやすいという傾向は、チンパンジーとヒトの共通祖先で既に獲得されていたと考えられる。</p>
著者
服部 裕幸
出版者
日本哲学会
雑誌
哲学 (ISSN:03873358)
巻号頁・発行日
vol.1977, no.27, pp.172-184, 1977-05-01 (Released:2009-07-23)

D・デーヴィドソンはその一連の意味論研究の過程で「行為文の論理形式」という論文を発表し、そこにおいて注目すべき見解を提出している。その見解とは、行為についての文は個物 (particular) としての事件 (event) の存在に言及するものと解釈されるべきであるというものである。これは、単に言語学的な見地からのみならず、哲学問題としての行為論に対する意義という見地からも、きわめて重要なものであると思われる。本稿では、彼の見解の批判的な検討を通じてこの点を明らかにし、そのことにより行為の問題に多少なりとも光を投げかけたい。
著者
服部 裕之 秋山 広和 片柳 幸夫 山内 英夫 藤川 勝則 大場 省介 前澤 健司 渡部 敏明 寺内 裕史 須田 純郎
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会技術報告 (ISSN:03864227)
巻号頁・発行日
vol.19, no.11, pp.21-25, 1995-02-17 (Released:2017-10-13)

We would like to report the event "AVEX RAVE 94" which took place on August 1994 at Tokyo Dome. This program was recorded using four channel surround sound and three dimension high definitional video system was sent via satellite to Osaka. Our intention was for the audience to experience the exciting virtual reality effect.
著者
服部 裕
出版者
日本オーストリア文学会
雑誌
オーストリア文学 (ISSN:09123539)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.18-27, 1996-03-31 (Released:2017-03-31)

Das Thema der Krise des modernen Subjektes, das Handke in "der Angst des Tormanns beim Elfmeter" vorwiegend bezuglich des Verhaltnisses von Worten, Gegenstanden und dem Subjekt beschaftigt, nimmt im "Kurzen Brief zum langen Abschied" weiterhin einen wichtigen Platz ein. Es handelt sich hier allerdings um den literarischen Versuch, wie ein neuartiges lch darzustellen ist, das mit sich einverstanden ist (S. 122). Der Protagonist, der sich nur mit "Ich" vorstellt, macht eine grosse Reise von der Ostkuste der USA bis nach Kalifornien, um dort in der Auseinandersetzung mit seinen eigenen Kindheitserinnerungen und dem kritischen Verhaltnis zur eigenen Frau eine fur den Bewohner der Alten Welt neue Weltanschauung mitzuerleben. Denn er hofft, dass er sich angesichts seiner neuen Erlebnisse nach und nach entwickeln konnte (Hellmuth Karasek : Ohne zu verallgemeinern, Ein Gesprach mit Peter Handke). Es geht also um die Suchreise, in der er die Moglichkeit zu einer neuen Art von Ich sucht, indem er versucht, mit der modernen subjektivistischen Weltanschauung der Alten Welt abzurechnen. In der Suchreise lasst sich zeigen, dass es sich um den ambivalenten Wunsch des Protagonisten handelt, einerseits bewusst das Ichbesusstsein loswerden, andererseits doch glechzeitig freies Ich sein zu wollen. Statt des Ich, das sich im Individualismus einsperrt, sucht er ein von sich selbst befreites Ich, das sich "vollkommene Korper- und Geistesgegenwart" (S. 135) und den Verkehr mit den anderen ermoglichen wird. An Henry Fonda als jungem Lincoln in John Fords Film erkennt er eine kunstlerische Vollendung dieses selbstlosen Ich. Dies stellt ihm allerdings nur ein Beispiel dar, das die Hoffnung auf mogliche Wiedergeburt des eignen Ich in ihm erweckt, denn "ich wollte nicht werden wie sie [Amerikaner im Film von Ford], sondern wie es mir moglich war" (S. 135). Dem Leser wird von Handke allerdings nicht klar das konkrete Bild der Wiedergeburt gezeigt, sondern nur sein literarischer Wille angedeutet, sich von der modernen europaischen Weltanschauung zu befreien und neue poetische Welt zu schaffen.
著者
金元 敏明 服部 裕司 津田 洋介 稲田 裕治 今野 優子 池田 浩太
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
動力・エネルギー技術の最前線講演論文集 : シンポジウム
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.73-74, 2005

The authors invented the superior wind turbine generator, which is composed of the tandem wind rotors and the double rotational armatures type generator without the conventional stator, and have discussed the wonderful advantages in the generating mode. The large-sized front wind rotor and the small-sized rear wind rotor drive respectively the inner and the outer armatures of the generator, in keeping the rotational torque counter-balanced. Such operating conditions enable to make the output higher than one of the conventional turbine and to keep the output constant in the rated operation mode without the brake and/or the pitch control mechanism. Continuously, this paper discusses the experimental results using the cambered blades.
著者
服部 裕幸 美濃 正 大沢 秀介 横山 輝雄 戸田山 和久 柴田 正良
出版者
南山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

われわれはコネクショニズムと古典的計算主義の対比を行ないつつ、コネクショニズムの哲学的意味の解明を行なった。美濃は、ホーガン&ティーンソンのアイディアを援用し、古典的計算主義を超えつつも、いくつかの点で古典的計算主義と前提を共有する立場の可能性を模索した。服部と金子はコネクショニズムにおける表象概念(すなわち分散表象)がはたして「表象」と呼ぶに値するかということを研究し、その有効性の度合を明らかにした。金子はどちらかといえば、分散表象を肯定的に評価し、服部は否定的に評価しているので、この点についてはさらに具体的な事例に即した研究が必要であることが明らかとなった。柴田と柏端は、「等効力性」議論を検討することを通じて、「素朴心理学」的説明による人間の行為の説明が真ではないとする主張の意義を研究し、柏端は、コネクショニズムが素朴心理学の消滅よりはむしろその補強に役立ついう評価をするに至った。他方、柴田は、条件つきではあるものの、素朴心理学は科学的心理学を取り込んだ形で生き残るか、道具主義的な意味で残るであろう、と結論するに至った。戸田山と横山はコネクショニズムが認知の新しい理論であると言われるときに正確には何が言われているのかということを研究した。特に横山は、コネクショニズムを科学についてのより広いパースペクティヴから見なければならないと結論した。大沢は、古典的計算主義における古典的表象のみならずコネクショニズムにおける分散表象もともにある種の限界をもつと論じ、それに代えて新たに像的表象の概念を提案し、そこでの論理を具体的に提案した。しかし、この点はまだ十分に展開しきれてはいないので、今後も引き続き研究する必要のあることが判明した。
著者
金元 敏明 服部 裕司
出版者
九州工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本風力発電機は,(1)低風速下では前後段風車ロータが互いに逆方向に回転し,(2)後段風車ロータの最高回転速度付近で定格運転に達し,(3)その後は雨風車ロータが同方向に回転して出力一定運転となる.これを実現させるため,二重回転電機子方式二重巻線形誘導発電機を試作して特性を把握するとともに,風洞と数値実験により,風車ロータ形状の好適化を図った.1.発電機風車ロータとの連携運転が可能なことを確認し,同期回転速度以上では入力側からも出力が取り出せることを明らかにした.2.好適な前後段風車ロータ径比前段ブレードの形状によらずD=(後段径/前段径)=1までは後段風車ロータ径の増加とともに出力は増大するが,D=0.84以下では相対回転速度が遅い領域で後段風車ロータが前段風車ロータと同方向に回転する能力があるのに対し,D=0.84以上になると前段風車ロータが後段風車ロータと同方向に回転する.本着想に沿いかつ高出力が得られる直径比はD=0.84付近となる.3.前後段風車ロータの好適な軸間距離前後段ブレード形状によって出力と回転トルクに違いはあるものの,前後段風車ロータの軸間距離が近いほど高出力が得られる.4.風車ロータ周りの流れ軸方向速度成分は風車ロータを通過する毎に遅くなるが,前後段風車ロータが同方向に回転すると後段風車ロータのハブ側で上流側に向かう流れが生じ,前段風車ロータの過回転を抑制する.5.好適ブレード形状の提案後段風車ロータに流入する流れを考慮し,前段風車ロータ径の50%内側では,前段風車ロータに流入する流れをそのまま後段風車ロータに流すため,無作用翼素の採用を提案した.6.空力騒音の把握単段風車ロータのみの場合に比べてタンデム風車ロータの等価騒音レベルは高く,相反回転時のほうが同方向回転時より高い.しかし,後段風車ロータ径が小さいと騒音が低くなることは喜ばしい.