著者
佐藤 久美子 兼築 清恵 松本 博文
出版者
玉川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究では、外来語の音声的特徴と、外来語を認知するときのプロセス・発達過程について、特にカタカナ語とそのL2英語・L2日本語習得に与える影響について調査を行った。2003年度は、カタカナ語となっている英単語を導入語として用いることが、L2英語の語彙獲得に与える影響について検証した。特に、カタカナ語のなじみ度が英単語の認知にどのような影響を与えるのかを、アンケート調査およびタキストスコープ、CSLを用い調査分析した。その結果、L2英語学習の導入期にカタカナ語になっている英単語を導入するのは不適切であるという結論に達した。2004年度は、上記研究で見られたカタカナ語(及びL2英単語)アクセントの平板化現象を、なじみ度(単語親密度)と音韻(音節)構造の両観点から考察を行い、その説明的妥当性を探るとともに、英語習得への影響の可能性を考えた。その結果、本来辞書で平板型のカタカナ語が軽音節の連続で終わっている率は高いものの、この音節構造が原因となりアクセント核を持つカタカナ語が平板化(無核化)アクセントになるとは言えないことが明らかになった。さらに、平板化アクセントになった英単語のうち、英語のなじみ度が平均以上である語はカタカナ語でもなじみ度が平均以上になる割合が非常に高く、カタカナ語のなじみ度が高い場合は英語のなじみ度も高く、平板化することが分かり、2003年度の分析を再度確認する結果となった。さらに台湾人のL2日本語学習者にも同様の実験を行った結果、英語アクセントが平板型に発音される傾向は日本人にのみに見られることが分かった。以上の研究から、特に英語導入初期においては、英語の音節構造やアクセントなどの音声知覚に集中させる教育方法が、正しい発音が身につくことを可能にし、早期英語教育との関係から見ても、考慮に値する教授法として考えられる。
著者
松本 博之 内田 忠賢 高田 将志 吉田 容子 帯谷 博明 西村 雄一郎 相馬 秀廣
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究では,グローバル化と地域景観・地域環境の変容について、特に紀伊半島における近現代を中心に検討した。その結果以下の諸点があきらかとなった。(1)1960年代後半からの外材供給の増大にともなう国内材供給量の低下は、十津川流域における植林地の変化に大きな影響を及ぼし、植林地伐採後の落葉広葉二次林景観の出現をもたらしている。(2)生活基盤が脆弱な紀伊半島和歌山県沿岸部では、近代を通じてグローバル化の2度の波があることが明らかとなった.このうち2度目は最近10年ほどの動きであり,明治期以降第2次大戦前までの1度目のグローバル化を基盤とした歴史的な地域性を引き継いでいる。(3)経済的な面でグローバル化の進行が顕著な日本社会ではあるが、高齢者個々の「生きられた世界」の構築には、地理的要素や地域の特殊性といった地域間の差異が大きく影響している。
著者
松本 博 宋 城基
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

持続可能なアジア型都市・建築システムの基盤となる都市エネルギー需給システムを構築するための戦略的なシナリオを提案することを最終目標として,アジア型中核都市をケーススタディとして都市エネルギーフローをシミュレートするシステムダイナミクス(SD)モデルを開発し,各種シナリオ(ポリシー)に基づく都市エネルギー消費量及びCO_2排出量の将来予測を詳細に検討した。
著者
原田 誠也 古川 真斗 徳岡 英亮 松本 一俊 八尋 俊輔 宮坂 次郎 斉藤 守弘 鎌田 洋一 渡辺 麻衣子 入倉 大祐 松本 博 小西 良子
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.198-203, 2013-06-25 (Released:2013-07-18)
参考文献数
9
被引用文献数
3 16

熊本県では,馬刺しを共通食とする原因不明の一過性嘔吐下痢症事例が最近3年間で毎年27件以上発生していた.同事例の原因はSarcocystis fayeri住肉胞子虫で,本研究では一定時間の冷凍処理で住肉胞子虫のシストがペプシンにより消化されその毒性を失うことを見いだした.同胞子虫シストを含んだ馬肉を-20℃で48時間以上冷凍したところ,シスト由来の毒性タンパク質の消失も確認された.本研究で確立した冷凍条件を用いての冷凍処理の普及により,平成23年10月以降,馬刺しが原因と考えられる食中毒の発生報告はなく,この冷凍処理基準が,馬刺しによる食中毒防止対策として有効であることが示唆された.
著者
辻 孝 澤井 照光 林 洋子 山田 義久 松本 博文 宮崎 拓郎 稲村 幸雄 長嵜 寿矢 中越 亨 綾部 公懿
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.24-29, 2002
被引用文献数
5

はじめに:手術後の肺塞栓症(pulmonary embolism:以下, PE)は致死率の高い重大な合併症であり, 塞栓子の多くは深部静脈血栓症(deep vein thrombosis:以下, DVT)に由来する.本邦では術後の発生率が低いために, 予防法に関しても広く普及しているとは言い難い.我々は独自のリスクスコアを用いてDVT・PEの術前リスク評価を行うとともに, 1998年12月より全手術症例に対してintermittent pneumatic compression(以下, IPC)による予防を行っている.方法:今回, IPC導入以前の1997年8月〜1998年11月までの全身麻酔下手術症例109例とIPC導入後の1998年12月〜2001年3月までの216例を対象としてDVT・PE発生率を比較した.結果:IPC非使用群では4例にDVT・PEの発生を認めたが(3.7%), IPC使用群216例では1例のみにPEの合併を認めた(0.5%, p=0.045).ロジスチック解析ではIPC使用によりDVT・PEのリスクが10分の1に減少した.IPC使用による副損傷は経験していない.術前リスクスコアが平均値もしくはそれ以下の2例でもDVT・PEの発生を認めており, 発症の予測は困難である.考察:IPCは簡便で有用な周術期DVT・PE予防措置であり, 全手術症例に対して施行する必要があると考える.
著者
大崎 能伸 石田 栄 藤兼 俊明 川辺 淳一 松本 博之 小野寺 壮吉
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.341-349, 1990-06-20 (Released:2011-08-10)
参考文献数
16
被引用文献数
1

ヒト肺腺癌細胞培養株PC9に対するCDDPとカフェインの併用効果を検討した. カフェイン2mM単独では細胞の増殖を強く抑制しなかったが, 併用によりCDDP1.0μg/mlの効果を増強した. FCMでのcellcycleの検討では, CDDPの負荷によりG2+M期の蓄積を認め, カフェインの併用によりこのG2+M期の貯蓄は減少した. FITCの蛍光量は48時間後に減少し, これはカフェイン単独, CDDPカフェイン併用ともに認められた.3Hthymidineの取込みはCDDPの濃度の上昇とともに低下した.14C-leucineの取り込みはカフェインの使用によって低下した.
著者
大崎 能伸 石田 栄 藤兼 俊明 川辺 淳一 松本 博之 小野寺 壮吉
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.341-349, 1990-06-20

ヒト肺腺癌細胞培養株PC9に対するCDDPとカフェインの併用効果を検討した.カフェイン2mM単独では細胞の増殖を強く抑制しなかったが、併用によりCDDP 1.0μg/mlの効果を増強した.FCMでのcell cycleの検討では、CDDPの負荷によりG_2+M期の蓄積を認め、カフェインの併用によりこのG_2+M期の貯蓄は減少した.FITCの蛍光量は48時間後に減少し、これはカフェイン単独, CDDPカフェイン併用ともに認められた.^3H-thymidineの取込みはCDDPの濃度の上昇とともに低下した.^<14>C-leucineの取り込みはカフェインの使用によって低下した.
著者
松本 博志
出版者
札幌医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

アルコール性急死および大腿骨頭壊死において自然免疫機構のシグナリングが関与していることを明らかにし、特にIRF7およびIFN-αの活性が影響を及ぼしている可能性が明らかとなった。
著者
松本 博
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究は,建築材料や殺虫剤・化粧品等の使用による生活行為の甲で放散されるホルムアルデヒドや揮発性有機化合物(VOC)等の室内化学汚染物質を除去し,清浄な室内空気質(IAQ)を維持するための新しい制御方法として,材料の物理的な吸着・脱着効果を利用した室内空気清浄システムの開発とその基本的な化学物質除去性能を明らかにすることを目的とする。平成16年度は前年度の成果を受けて,システムの基本性能試験および運転・制御法の検討,実大空間を対象にしたシステムのVOC除去性能,ならびに実用化のためのシステム性能の改善について検討した。以下に,その概要を示す。(1)プロトタイプの各種吸着材のVOC除去性能試験およびシステム運転・制御法の検討:前年に引き続き,市販の吸着性能の高いと思われる各種材料(軽石,レカトンなど)のVOC除去性能試験を行い,システムの最適なオンライン運転・制御方法を検討した。その結果普及型PCにより容易に制御可能なシステムが構築可能なことを明らかにした。(2)実大居室を用いた汚染質除去性能の実証試験:本学実験室に設置された実大居室(2.7×2.7×2.3m)を用いて,2ユニットタイプ吸脱着型空気清浄装置(吸着材として,ハニカム状活性炭および繊維状活性炭フィルターを使用)のVOC除去性能およびその評価法に対する実証試験を行い,実用可能性の検討を行った。また,長期運転時の特性や材質の劣化などの変化を調べた。(3)空気清浄装置の改良とその性能試験:実用化を目指した装置の小型化,装置の性能向上のための改良および新規に不織布活性炭フィルターを用いたVOC除去性能試験,などについて検討した。(4)本研究で開発したVOC除去性能の定量的評価法を,観葉植物のVOC除去性能試験法や換気効率の測定法に応用し,様々な環境条件下における特性を明らかにした。以上の成果は,国内外の学会等に発表した。