著者
長瀬 博 松本 和久 西山 久雄
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.54, no.12, pp.1055-1066, 1996-12-01 (Released:2009-11-16)
参考文献数
44
被引用文献数
6 10

Just after the discovery of PGI2, we started to find chemically and metabolically stable PGI2 derivatives with longer duration of action. Extensive studies led us to a new class of stable PGI2 analogue, 5, 6, 7-trinor-4, 8-inter-m-phenylenePGI2 that has a phenol moiety instead of enol-ether linkage in PGI2. In order to accomplish synthesis of the m-phenylenePGI2, novel synthetic methods were developed, for instance, ortho-selective metal-halogen exchange reaction of bromoanisoles by means of Grignard reagent, copper-catalyzed SN2' cyclization to prepare dihydrocyclopenta [b] benzofuran, and regioselective and stereo-selective elongation of ω-side chain by Prins reaction. Further efforts were devoted to synthesize derivatives of m-phenylenePGI2 with enhanced pharmacological activity and less adverse reaction. Finally, we attained to Beraprost sodium which is the first launched drug as an orally active PGI2. This paper will focus on the study of total syntheses of m-phenylenePGI2.
著者
松本 和也
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.61, no.9, pp.33-44, 2012-09-10 (Released:2017-11-22)

本稿では、昭和一〇年代後半(昭和一五~一七年)の私小説言説を検討対象として、それらが陰に陽に意識していたと思しき歴史小説(や客観小説)を主題とした言表との相関関係において分析・記述する。昭和一六年までに歴史小説言説と私小説言説とが、〝私〟を基(起)点とする作家としての態度を重視するという点で近接していたことを明らかにした上で、対米英戦開戦の一二月八日をへて一挙に合一される様相までを論じた。
著者
松本 和彦 藤木 徹一 本多 牧生 脇田 昌英 川上 創 喜多村 稔 才野 敏郎
出版者
Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology
雑誌
JAMSTEC Report of Research and Development (ISSN:18801153)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.17-25, 2012
被引用文献数
1

海洋地球研究船「みらい」では,採水にニスキン−X採水器を取り付けたCTD採水システムを使用している. ニスキン−X採水器は蓋閉用のスプリングが採水器外側に配置され, ボトル内部へのゴムや微量金属による汚染を極力排除できる仕組みとなっている. 通常, 一次生産量測定用のサンプリングには海水サンプルへの微量金属等の汚染防止を徹底するため, 内部にテフロンコーティングを施し, ボトル内部及び部品各種を酸洗浄した採水器をクリーンニスキンとして使用している. クリーンニスキンとその他のノーマルニスキンで採水した場合に, 実際に一次生産量に差が生じるのかを確かめたところ, ノーマルニスキンで採水した場合に一次生産量測定値が激しく低下した. その差を生じる原因を把握するための追加実験を行うと, ノーマルニスキンで使用しているニトリルゴム製Oリングが一次生産を阻害していることが明らかとなった.
著者
松本 和也 櫻井 孝平 山根 智
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.493, pp.25-30, 2015-03-05

株市場を予測しようとする試みは数多くあるが,実用的なものは未だに発表されていない.その理由として,株価の推移には単純な法則は存在せず,また法則があったとしてもニュースなどの影響により法則通りにならないということが挙げられる.そこで本研究では,最新の機械学習手法であるDeep Learningと,世間の動向に対応できるようにTwitterなどのSNSビッグデータ解析を組み合わせた個別株価の予測手法を提案する.
著者
齋藤 誠二 田中 翔子 松本 和也
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.266-273, 2012-10-15 (Released:2012-12-25)
参考文献数
19
被引用文献数
1 2

転倒しにくいスリッパを提案することを目的に,スリッパの性質と歩容およびスリッパのズレとの関連について検討した.若年者男性10名と女性10名に異なる4足のスリッパを履かせ8 mの自由歩行をさせた.そして,歩行中における任意の3歩分の歩容と下肢筋電図を分析した.さらに,スリッパの主観評価と屈曲性評価を実施した.その結果,屈曲性の低いスリッパを履いて歩行すると片足支持期における足関節の背屈が抑制されることが示唆された.また,遊脚期終期において足部が床と接触することを避けるために,股関節をより屈曲させるとともに,膝関節の伸展を遅らせる必要があることが示唆された.さらに,ソールの屈曲性が影響していると推察されるフィット性が低いスリッパでは,遊脚期においてスリッパが足部からズレやすいことが示唆された.したがって,高齢者のスリッパによる転倒を予防するためには,適度な屈曲性を明らかにする必要がある.
著者
小川 拓貴 松本 和幸 任 福継
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.2, pp.1-6, 2010-01-21
参考文献数
12
被引用文献数
1

本研究では,Webサービス"えもにゅ"の投稿文をコーパスとして用い, 単語1-gramを素性としたSVMによるつぶやきや一言を対象とした感情推定手法を提案する."えもにゅ"とは一言メモに感情マークを付加して投稿できるWebサービスで, この投稿文をコーパスとして用いることで書き手の感情をコーパスに直接反映でき, また感情タグ付け作業を削減できる. 単語1-gramを素性とした理由としては, つぶやきや一言のような短文において書き手が感情表現する際に単語や記号の言語的意味を用いて感情を表現することが多いと考えられる事,1文あたりに含まれる素性の数が少ないつぶやきや一言から十分な素性の出現頻度を得るためには素性数を抑えることで1素性あたりの出現頻度を上げる必要がある事が挙げられる. 評価実験として, 単語1-gramを素性とした場合と単語2-gramを素性とした場合で比較をしたところ, F値を評価基準とすると単語1-gramを素性とした場合の方が全ての感情において高い値を示した.This paper proposes a SVM-based emotion estimation method from a short message or a word by using word 1-gram as feature and use contribution of "Emonyu" as a corpus. "Emonyu" is a web service to which users contribute a short message or a word with a emotion mark.Therefore, the corpus using"Emonyu"contribution enables reflect writer's emotion directly,and reduce work of adding emotion tags to sentences of corpus. We use word 1-gram as feature is,in short sentences like a short message or a word including a few features,a writer generally express emotion using a linguistic meaning of a word or a mark and it is necessary to reduce a number of kinds of feature to get exact appear frequency of features. The result of experiments show that the F-measure of proposed method is higher than the F-measure of method using word 2-gram as a feature in all emotions.
著者
麦倉 俊司 高橋 昭喜 松本 和紀 隈部 俊宏 隈部 俊宏
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

磁気共鳴画像法撮影では、直径50 cm程度の非日常的かつ狭小な装置中で、30分間以上体動しないでいる必要がある。閉所恐怖症あるいは若年小児患者では安静が保てないため呼吸、脈拍モニター装着下で、鎮静薬、静脈麻酔薬で鎮静をはかって検査を施行されている。最近開発された密封ゴーグル型スクリーンとヘッドフォン装着下にDVDを視聴すれば、MRI装置の中にいるという視覚、聴覚情報を遮断でき、閉所恐怖症あるいは若年小児もMRI検査を完了する事が可能となった。本研究からDVDバーチャル・リアリティーによって、薬物などによる鎮静が不要な「患者にやさしいMRI検査」となりうることが検証された。
著者
松本 和幸 湊 純子 土屋 誠司 任福継
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.33, pp.69-75, 2008-03-28
被引用文献数
4

本稿では,日英両言語における感情表現の特徴をコーパスに基づく統計的調査により導出し,得られた結果を用いた感情表現抽出手法の提案を行なう.感情タグ付きパラレルコーパスから得た感情カテゴリごとの感情表現の特徴には感情表現そのものが持つ特徴と周辺の形態素等が持つ特徴とがある.提案手法では,これらの複数の特徴を組み合わせることで,感情表現が示す感情の種類を判定する.具体的には,感情表現を構成する品詞,感情表現の出現位置,感情表現の前後の単語の品詞に着目し,感情表現の抽出を行なった.評価実験の結果,品詞特徴を用いた手法は"喜び" と"嫌悪" において判定精度90%以上という結果を得た.This paper statistically studies the emotional features of Japanese and English based on an emotion annotated parallel corpus and proposes a method for extracting emotional expressions. The proposed method estimates the emotion category of the emotional expressions by focusing on the three kinds of features: part of speech of emotional expression, position of emotional expression and part of speech of the previous/next morpheme of the target emotional expression. The evaluation experiment resulted over 90.0% (joy, hate) of accuracy in the method based on part of speech features.
著者
松本 和也
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.24-34, 2006-11-10 (Released:2017-08-01)

本稿は、抽象化された普遍性において読まれてきた受容史に抗い、武田泰淳「ひかりごけ」の精読を通してその歴史性・今日性を論じる試みである。「ひかりごけ」をメタフィクションと捉え直して紀行文における「私」の身振りから"境界(線)の物語"を読み解いた上で、「人肉事件」というモチーフに対する複数の表象を分析し、"脱境界(線)の物語"としての「ひかりごけ」の相貌を取り戻し、その歴史的位置までを論じた。
著者
松本 和也 宮田 隆志
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.125-142, 2014-04-25 (Released:2014-04-25)
参考文献数
91

刺激応答性ゲルは,温度やpHなどの外部環境変化に応答して体積変化を示すことから医療分野や環境分野に利用できるスマートマテリアルとして注目を集めている.最近では,疾病などのシグナルとなる生体分子を認識して体積変化する刺激応答性ゲル(生体分子応答性ゲル)も報告されるようになり,ドラッグデリバリーシステムや診断システムなどを構築するためのスマートバイオマテリアルとしての利用が期待されている.このような生体分子応答性ゲルを創製するためには,標的生体分子に対する分子認識とそれによってネットワーク構造変化する応答機能とを連携させなければならない.そこで,これまでは生体分子認識による高分子網目の親水性・疎水性の変化や荷電状態の変化に基づいて生体分子応答性を示すゲルが報告されてきた.最近では,可逆的に結合解離する分子複合体をゲル内の動的架橋点として導入することにより生体分子応答性ゲルが合成されており,タンパク質や糖類をはじめとしたさまざまな標的生体分子に応答するゲルの設計が試みられている.本報では,抗体の抗原認識能などの生体分子機能を利用することによりデザインされた生体分子応答性ゲルについて,国内外の関連研究とともに筆者らの研究を概説する.
著者
篠山 学 松本 和幸
出版者
香川高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2022-04-01

人が自身の価値に気づく機会の一つに他者との対話がある.例えば,人から尋ねられてその回答を考えることで子供のころの夢などを思い出せたり,自分の行動を俯瞰できたりする.しかし,世界的な環境の変化により,人と会って対話する機会が減少している.そのため,気づきが得られる機会を創出することは重要である.そこで,これまでに構築したインタビュー対話コーパスを用いて人が気づきを得られる対話ロボットの研究を行う.本研究により,気づきを得られる対話システムが構築でき,気づきを得た対話も収集できる.また,収集した対話を分析することで,ユーザが気づきを得るための質問文の生成方法や相槌の挿入方法などを明らかにできる.