著者
阪本 州弘 若林 一郎 吉本 佐雅子 増井 秀久 勝野 眞吾
出版者
The Japanese Society for Hygiene
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.635-638, 1991-06-15 (Released:2009-02-17)
参考文献数
10
被引用文献数
2 4

柔道や空手など古武道では冬期に川原で寒稽古を行い筋力の増強に努めている。運動と寒冷刺激がテストステロンおよび他のホルモンレベルにいかに影響するかを19才の男子,32名について検討した。自転車エルゴメータによる運動負荷(90watt)によりテストステロン(TS)濃度は20.8%上昇したが,黄体形成ホルモン(LH)はほとんど上昇しなかった。ノルアドレナリン(NA)のレベルは140.0%有意に上昇した。一方,冷水負荷ではTSは10.0%減少し,LHは22.1%上昇し,NAは23.8%減少した。個人で負荷によるホルモンレベルの変化量の関連性をみると運動負荷ではLHとTSとはr=0.40,またTSとNAとはr=0.48の有意の相関がある。冷水負荷ではTSとLHとではr=0.40,TSとNAとではr=0.43であった。これらの結果は,運動はLHとNAの血清濃度の上昇によりTS濃度を上昇させる。しかし冷水負荷ではこの傾向が見出せなかった。
著者
岡田 幸子 小林 一郎 増山 晃太 田中 尚人
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D2(土木史) (ISSN:21856532)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.76-85, 2016 (Released:2016-08-20)
参考文献数
25

「軌道用敷石」とは,近代の都市交通の主役を担ってきた路面電車に欠かせない「板石舗装」〔1957(昭和32)年には全国の軌道敷舗装の78.84%を占めていた〕の表層に用いられる舗装材である.板石舗装用材として最も普及した軌道用敷石は,路面電車を支えてきた重要な石材だった.本研究ではこれまであまり研究されてこなかった軌道用敷石の体系化の基礎資料として,軌道用敷石の規格と産地を調査し,整理することを目的とした.その結果,軌道用敷石は舗装材の要求性能を満たす仕様(材質,形状,寸法,許容差,仕上げ)が明確な規格品であり,国内の主要6ヶ所の産地(茨城県稲田,群馬県沢入,山梨県塩山,岐阜県恵那,広島県倉橋島,香川県小豆島)から明治から昭和にかけて全国に供給された花崗岩であることが明らかになった.
著者
石垣 達也 トピチ ゴラン 濵園 侑美 能地 宏 小林 一郎 宮尾 祐介 高村 大也
雑誌
研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:21888779)
巻号頁・発行日
vol.2021-NL-250, no.8, pp.1-11, 2021-09-21

本稿では,新たな言語生成タスクとして,レーシングゲーム実況テキスト生成を提案する.このタスクでは,視覚情報としてレーシングゲームの録画映像,言語データとして実況発話,構造化データとして速度,ハンドル角度といった数値データを入力として扱い,視聴者が映像を視聴しながら,レースをより理解し,楽しむための実況テキストを生成する.既存の言語生成研究においては,データセットの欠如が一因となり映像,言語,構造化データの複数モダリティを同時に考慮する言語生成研究を行うことは困難であった.また,言語生成の中でも,特に実況生成においては「どのタイミングで発話するか」「何を発話するか」を最低限決定する必要があるが,例えば野球を対象とした既存研究においてはイニング間に実況を行うなど,発話タイミングがあらかじめ与えられる設定が扱われ,後者にのみ着目されてきた.本研究ではまず,映像,構造化データとそれらに対応する実況テキストが対になった大規模データセットを作成し,レース実況の特徴について分析する.分析より,実況テキストはその言語的な特徴が,時間および実況者の視点の影響を受け,変化することが分かった.さらに,実況生成タスクをタイミング同定と発話生成の 2 つのサブタスクに分割し,これらについてベースライン手法を提案する.実験より,構造化データの活用は有益である一方,視覚情報については最先端の画像エンコーダを用いたとしても,本タスクにおいて効果が限定的であり,実況生成タスクが挑戦的な課題であることが分かった.マルチモーダルな言語生成タスクのためのデータセットとして,本研究で作成したデータセットは公開する.
著者
長野 匡隼 中村 友昭 長井 隆行 持橋 大地 小林 一郎 高野 渉
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.1L3J1101, 2019 (Released:2019-06-01)

人は知覚した高次元の時系列情報を意味を持つ単語や単位動作に分節・分類することで認識している.ロボットが単語や動作を柔軟に学習するためにも,このような教師なしで分節・分類する能力は重要であると考えられる.本稿では教師なしで高次元の時系列データから特徴抽出すると同時に,単位系列に分節・分類が可能なHierarchical Dirichlet Processes-Variational Autoencoder-Gaussian Process-Hidden Semi-Markov Model (HVGH)を提案する.HVGHは,HDP-GP-HSMMにVariational Autoencoder(VAE)を導入したモデルであり,VAEとHDP-GP-HSMMのパラメータが相互に影響しあい学習される.VAEにより高次元データを分節化に適した低次元の潜在変数へと圧縮し,その潜在変数の遷移をガウス過程を用いて表現することで,高次元の複雑な時系列データの分節化を可能とする.実験では,様々なモーションキャプチャデータを用いて,提案手法が既存手法よりクラス数の推定精度及び分節・分類の精度が高いことが示す.
著者
小林 一郎
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.8-15, 2017-03-01 (Released:2017-09-01)
参考文献数
11

This paper introduces an approach to ‘meaning' from a viewpoint of Hallidayan lin-guistics, that is, systemic functional linguistics (SFL).It explains the basic idea of SFL,the comparison between Hallidayan and Chomskyan linguistics in terms of an approach to meaning, and the relation between SFL and Wittgenstein's philosophy.
著者
的場 成紀 古賀 雅樹 大塚 基広 小林 一郎 平 博順
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回 (2019)
巻号頁・発行日
pp.1N4J904, 2019 (Released:2019-06-01)

日本の自動車免許試験のためのソルバーを開発します。 このテストは、交通ルール、運転方法、自動車の構造、自動車に関連する物理法則に関する約100の真偽の質問で構成されています。 合格点は90%ですが、これまでのアプローチでの最高点は約65%です。 このアプローチは、テスト文と最も類似した文との間の文の類似性と、ソルバーのデータベースにあるゴールドスタンダードの回答に基づいています。 テストに合格するシステムに向けて、テストの語彙と文章スタイルを分析しました。 分析の結果、語彙は比較的少なく、100個の問題に対して約300語であり、文にはゼロ代名詞が多く含まれているため、ソルバーの精度が低くなります。 さらに、我々は以前の照応解析システムを使用して前件を解決しようとしました。 各問題は一文のみで構成され、代名詞を解決する手がかりは非常に少なく、標準的な記事よりも解決するのが難しいため、結果はシステムがテストで照応を解決できないことを示しました。 分析の結果、高性能システムでは、ドメイン固有の知識に基づいた照応解析が必要であることが明らかになりました。
著者
若林 一郎
出版者
Osaka Urban Living and Health Association
雑誌
生活衛生 (ISSN:05824176)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.34-45, 2011-03-10 (Released:2011-03-18)
参考文献数
52

Light-to-moderate alcohol drinking reduces the risk of atherosclerotic diseases such as coronary heart disease, ischemic-type stroke, and peripheral artery disease through the anti-atherosclerotic and anti-thrombotic effects of alcohol. These beneficial effects of alcohol are explained mainly by its blood lipid-improving actions, such as HDL cholesterol-increasing and LDL cholesterol-decreasing actions, and by its blood coagulation-suppressing actions, such as platelet aggregation-inhibiting, blood fibrinogen-decreasing, and plasminogen activator-increasing actions. These biological actions of alcohol are thought to be independent of the type of beverage and to be due to ethanol itself. On the other hand, excessive drinking and binge drinking increase the risk of hypertension, hemorrhagic-type stroke, arrhythmia, and cardiomyopathy. The guidelines of the international and Japanese societies of hypertension recommend that alcohol intake should be restricted to less than two drinks (24 g ethanol) per day in men and one drink (12 g ethanol) per day in women. Alcohol drinking should never be recommended for promotion of health in those who are currently nondrinkers since there is no way of predicting the future likelihood of excessive drinking and addiction. Moreover, individual background factors such as age, gender, body weight, history of smoking, history of hypertension therapy, and polymorphism of alcohol-metabolizing enzymes should be taken into account when considering alcohol intake volume suitable for each individual. The etiology of alcohol-induced hypertension and cardiomyopathy remains to be clarified. Future studies are also needed to determine whether light-to-moderate alcohol drinking is permissible in persons with atherosclerotic disease and in persons with risk factors for atherosclerosis.
著者
藤山 千紘 小林 一郎 西本 伸志 西田 知史 麻生 英樹
雑誌
第79回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, no.1, pp.169-170, 2017-03-16

我々は、常に次の状態を予測しながら日常生活を送っている。これは、我々がもつ脳の大脳皮質における予測符号化の機能が行っていることであり、近い将来を予測することによって生物としての個体を守っている。本研究では、この機能を模倣した深層学習により動画像から次の時刻の画像を予測することを目的とする。
著者
松尾 映里 小林 一郎 西本 伸志 西田 知史 麻生 英樹
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.31, 2017

本研究は,画像を見た人の脳の活動パターンをfMRIで観測し,人が画像刺激によって頭の中に抱いた意味表象,すなわち画像によって想起された事象を,観測されたデータから深層学習を用いて説明する文生成手法を構築する.その際、画像に映る事象に対して自然言語による説明文を生成するキャプション付けの技術の援用や,事前学習の導入などを検討し,大規模なデータ収集が困難な脳活動データの効果的利活用を行う.
著者
芹澤 翠 小林 一郎
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.25, 2011

現在,ニュース記事などの時系列データを対象とした様々なトピック追跡手法が提案されている.本研究では,単一の記事中に複数のトピックが存在することを想定し,潜在的ディリクレ配分法をトピック抽出に用いたトピック追跡手法を提案する.ある時間枠において抽出したトピックを類似度により統合し,さらに,隣接する時間枠のトピック類似度を測ることでトピックを関連付けた追跡を行う.
著者
三野 陽子 小林 一郎
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.24, 2010

今日,生活習慣病などの有病者が増加しており,国民の健康改善への意識が向上している.そこで本研究では健康管理の一つとして,食事に注目した.個人のスケジュールを考慮しカロリー摂取量を制限したレシピの候補を選択し,更に線形計画法を用いて栄養バランスの良い健康面に配慮したレシピを推薦する手法を提案する.また,推薦された食事を食べなかった場合など様々な状況にも柔軟に対応し,レシピ推薦を行う.
著者
コット ミッシェル 小林 一郎
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.363-374, 1995-06-09 (Released:2010-09-28)
参考文献数
44

フランスの産業革命は1820年代に始まったとされる。本論文は、マルク・スガンのフランスにおける技術革新と技術移転についてまとめたものである。この時期の彼の功績の主なものは、1. 鉄線によるケーブルの発明、2.水中コンクリート及び鉄筋コンクリートの先駆的な使用、3. 円筒ボイラーの使用、4.フランスにおける最初の貨車及び機関車の製作等である。本論文では、これらについて詳述し、これまであまり評価されることのなかった土木人としてのスガンの全体像と土木史上の功績についてまとめる。なお、本研究は新しい試みとして、フランスの科学史研究者と日本の土木構造の研究者とのマルク・スガン及びフランス吊橋史に関する一連の共同研究の序論として位置づけられるものである。
著者
川瀬 千晶 小林 一郎 西本 伸志 西田 知史 麻生 英樹
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.31, 2017

fMRIを使用し測定した動画視聴時のヒトの脳活動データとその動画を説明する文書の分散意味表現をそれぞれスパースコーディングを用いて辞書と係数に分解し、これらの係数同士の対応関係を捉えることで新しく観測された脳活動データに対して言語表象を推定する。スパースコーディングを介して推定を行うことで精度の向上を確認した。また、重要単語を考慮した意味表象を作るなどの工夫を行い、提案手法の正当性の追認を行った。
著者
椎葉 祐士 秋山 慶介 小林 一郎 上田 誠
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集F3(土木情報学) (ISSN:21856591)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.I_142-I_149, 2012

本研究では,発注者と施工者による地形改変モデルを用いた施工計画立案を提案する.自然災害が発生すると,2次災害を防ぐため迅速な対応が求められ,応急・緊急復旧工事が行われる.応急・緊急復旧工事では時間短縮のため設計図面作成を設計業者に依頼しない.そのため,施工計画立案は発注者と施工者の対策検討,施工方法検討で行われるが,協議項目の多さからやり取りが複雑になっている.地形改変モデルは,地盤モデルと掘削モデルを用いることで,対策検討等の協議項目を考慮した施工計画立案を可能にする.したがって,発注者と施工者が本モデルを利用して施工計画を立てることで協議に掛かっていた時間を短縮することができ,速やかに施工を行うことができる.
著者
北島 理沙 小林 一郎
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.914-923, 2013
被引用文献数
1

近年,情報技術の発展に伴って大量のテキストデータが蓄積されるようになり,必要な情報を取捨選別するために自動要約の技術の必要性がますます高まっている.自動要約技術においては,様々な手法が提案されている一方で,文の関係のグラフ表現における固有ベクトル中心性の概念に基づいて文の重要度を計算する,グラフベースの文書要約技術が提案されており,その有用性が知られている.特に,LexRankはリード手法や中心性に基づいた手法のようなベンチマーク手法として用いられる様々な手法よりも良い結果を示すことが知られている.この手法は文間の類似度を計算するのに表層情報に対するコサイン類似度を用いている.本研究では,潜在トピックに基づいた文の類似度グラフを用いる複数文書要約手法を提案し,DUC2004を用いた文書要約実験を通して,LexRankとの性能の比較および考察を行う.
著者
小林 一郎 岩爪 道昭 杉本 徹 岩下 志乃 小澤 順 菅野 道夫
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.5, pp.59-70, 2002-10-15

本稿では、ヒトの言葉による知的な作業をコンピュータ上に実現する枠組みである「日常言語コンピューティング」の中心的な要素技術となる「言語プロトコル」と呼ばれるコンピュータの通信プロトコルを自然言語に替えた新しい通信プロトコルとそれを利用した新しい通信方法を提案する.提案する手法の枠組みにおいて,コミュニケーション対象を選ばない柔軟な通信が実現可能になるこを示す.また,言語プロトコル通信のシミュレーション例を示し,提案する手法の有効性を示す.