著者
小林 雅夫 兼平 千裕 加藤 孝邦 青柳 裕
出版者
Japan Society for Head and Neck Cancer
雑誌
頭頸部腫瘍 (ISSN:09114335)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.159-165, 2003-03-25 (Released:2010-04-30)
参考文献数
16
被引用文献数
1

鼻前庭扁平上皮癌5例に小線源治療主体の放射線治療を施行した。鼻前庭に限局した3例には外部照射40Gy後に鼻腔内へ1cm径, 2cm長のアプリケータを挿入し, 18-20Gy/4frの高線量率腔内照射 (1例ではさらにAuグレインによる組織内照射を追加) を行った。鼻唇溝皮膚に浸潤した2例には外部照射50-60Gy後に30-40Gy/3-4日の低線量率組織内照射を施行した。1年2ケ月で他癌死 (肺癌) した1例を除くと全例 (7年8ケ月, 7年2ケ月, 2年6ケ月, 4ケ月) とも無病生存であった。重篤な晩期有害事象は認めなかった。T1-2N0鼻前庭扁平上皮癌に対しては, 小線源治療を主体とした放射線治療で高い局所制御率が得られ, 美容の面でも優れていた。鼻前庭に限局した病変には組織内照射と比べてより侵襲が少なく, 外来で治療可能な高線量率腔内照射が適していると思われた。
著者
林美都子
出版者
日本教育心理学会
雑誌
日本教育心理学会第56回総会
巻号頁・発行日
2014-10-09

目的 学習心理学の主要理論の一つである条件づけ理論は,教育心理学や臨床心理学等は勿論のこと,今日では行動分析学や行動経済学などにも応用され多岐に渡って展開されている。心理学を学ぶ者であれば必ず理解すべき理論の一つであるといえよう。しかし2009年度に行われた林の調査(林,2013より)によると,学習心理学を受講した学生の73%が条件づけ理論を難しいと感じている。当該理論はパブロフの犬やスキナーの鳩のように動物実験を通じて発展してきた。教科書等の座学のみでは難しいのは当たり前と言える。実際に動物実験を行うことで理解が促進されよう。 しかし,動物実験を行うためには,被験体の購入や飼育,実験場所,実験用具の整備など,多大な資金や時間,手間などの問題をクリアする必要がある。そこで本研究では,山本・獅々見(1994)が提案した実験室外におけるキンギョのオペラント条件づけ手続きを踏まえ,より扱いやすく安価に入手しやすいであろう被験体としてヒメダカを取り上げ,実験室外において,大学生にオペラント条件づけの動物実験を行わせることとし,実験過程においてどのような問題が生じるか検討し,より良い動物実験教材を開発することを目的とした。方法実験参加者 心理学を専攻する大学2年生21名。被験体 実験室で誕生,育成され,実験経験のないヒメダカ7匹(生後11ヶ月)。実験水槽 175×105×105mmの市販のプラスチック水槽。水以外は何も入れなかった。無条件性強化子 イトミミズを原料とする市販のメダカのエサ1~3粒程度。必要に応じて,細かく砕いて用いた。輪 市販の直径1mmの銀色の針金を用いて,直径5cmの輪を作成した。実験手続き 学生3名を1グループとしてヒメダカ1匹を与え,以下のような手順でオペラント条件づけを行うよう求めた。 まず,輪くぐり慣らし訓練を行わせた。5cmの輪を20分間水槽に入れっぱなしにし,被験体が輪をくぐるたびに無条件性強化子を与え,輪をくぐる回数と時間を手元に控えさせた。 次に輪くぐり学習訓練として,輪を水中に挿入後,被験体が輪をくぐったら輪を取り出し強化子を与えさせた。くぐるまでの時間を測定し,これを1試行に3回繰り返すよう指示した。5分以上くぐらないときには一旦輪を引き上げてやり直し,2回連続した場合は日を改めることとした。慣らし訓練も学習訓練もビデオで撮影するよう求めた。結果結果の処理 2日連続して3回の平均輪くぐり時間が20秒以内なら輪くぐり学習訓練クリアと教示したが,条件を満たした班は1班のみであった。そこで40秒以内としたところ,4班はクリア,3班がクリア出来ていなかった。クリアまでの試行数は,6,9,10,37であった。37試行班を除いた3班をクリア群,残り3班を非クリア群として,両群の分析を行った。問題行動の生起頻度 輪くぐり学習訓練開始から5日分について各班75回分すなわち各群計225回分を対象に録画ビデオで観察された問題行動の生起頻度をカウントして分析し,表1にまとめた。直接確率計算を行ったところ,非クリア群は実験中であっても友人と話続けていたり(騒音),メダカの怯えや警戒の様子とは関係なしに輪を出し入れしたり実験を開始したりする(状態無視)などの問題行動がクリア群より多く見られた。考察 クリア条件を緩める必要はあったが,約半分の班はメダカのオペラント条件づけに成功し,本研究の手続きで大学生に心理学的動物実験を体験させることは十分可能であると示された。言語的コミュニケーションの通用しない動物実験を通して,非クリア群の示した問題行動に着目して動物の扱い方を学ぶことは,ヒトを対象とした実験や調査を行う際にも有用であろうと思われる。
著者
小林 徹也 上村 淳
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.086-089, 2013 (Released:2013-03-28)
参考文献数
20

Biological systems can operate robustly even with substantial stochasticity in their components. One possible but not yet proven mechanism to implement robust operation with noisy components is that relevant information for robust control is embedded in apparently stochastic signals. In this work, by employing Bayesian theory, we theoretically show that intracellular reactions with specific structures can implement statistically optimal dynamics to decode (extract) the relevant information embedded (encoded) within the apparently noisy signal. We also demonstrate that the decoding dynamics is related to a noise-induced transition, implying that optimal dynamics to suppress noise behaves as if exploiting noise for signal amplification.
著者
秋葉 拓哉 林 孝紀 則 のぞみ 岩田 陽一
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
pp.B-F71, (Released:2015-10-27)
参考文献数
39

Estimating the relevance or proximity between vertices in a network is a fundamental building block of network analysis and is useful in a wide range of important applications such as network-aware searches and network structure prediction. In this paper, we (1) propose to use top-k shortest-path distance as a relevance measure, and (2) design an efficient indexing scheme for answering top-k distance queries. Although many indexing methods have been developed for standard (top-1) distance queries, no methods can be directly applied to top-k distance. Therefore, we develop a new framework for top-k distance queries based on 2-hop cover and then present an efficient indexing algorithm based on the recently proposed pruned landmark labeling scheme. The scalability, efficiency and robustness of our method are demonstrated in extensive experimental results. It can construct indices from large graphs comprising millions of vertices and tens of millions of edges within a reasonable running time. Having obtained the indices, we can compute the top-k distances within a few microseconds, six orders of magnitude faster than existing methods, which require a few seconds to compute these distances. Moreover, we demonstrate the usefulness of top-k distance as a relevance measure by applying them to link prediction, the most fundamental problem in graph data mining. We emphasize that the proposed indexing method enables the first use of top-k distance for such tasks.
著者
林 智良
出版者
大阪大学大学院法学研究科
雑誌
阪大法学 (ISSN:04384997)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.1459-1481, 2015-01
著者
長谷川 浩之 笠置 剛 岡林 繁 和氣 典二
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.69, no.10, pp.J286-J291, 2015 (Released:2015-09-25)
参考文献数
14

前景のオブジェクト上に直接表示像を表示する自動車用AR表示装置は,他の自動車用表示装置と比べて非常に優れた認識応答性を示すことが明らかになっている.AR表示装置の優位性は,視線移動量,視距離調節量,前景エリアと表示装置のエリアの画角差による照合負荷が関わっているとされている.しかしながら,先行研究では,それら要因が詳細に解析できないため,どの条件がどの程度認識応答性に影響を及ぼすかが明確に示されておらず,さらに実際の自動車環境を想定した視野範囲におけるAR表示装置の優位性も検証されていない.本研究では,視野範囲や俯角,視距離の設定など,より詳細に解析するための条件を整えてAR表示装置を比較評価し,視覚情報受容のモデルを考察した.
著者
林 良彦
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
1996-03

制度:新 ; 文部省報告番号:乙1193号 ; 学位の種類:博士(工学) ; 授与年月日:1996/3/7 ; 早大学位記番号:新2339 ; 理工学図書館請求番号:1988
著者
林田 真志
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.226-235, 2015 (Released:2015-08-31)
参考文献数
16
被引用文献数
1

聴覚障害者と健聴者を対象として,リズムの時間構造と強度アクセント,日常での音楽鑑賞時間を変数としたリズム再生課題を実施した.連続する音刺激でリズムを構成し,隣接する音刺激間の時間間隔(inter-stimulus interval; ISI)の比を基に3タイプのリズムの再生を求めた結果,両対象者の再生率はISI比1:2のリズムで最も高く,1:3,1:2:3の順で低くなった.日常での音楽鑑賞時間を基に,聴覚障害者を鑑賞群と非鑑賞群に分けて分析した結果,ISI比1:3と1:2:3のリズムにおいて,鑑賞群のリズム再生率が非鑑賞群を上回った.また,強度アクセントの付与によって,特に非鑑賞群のリズム再生率が顕著に向上した.以上の結果から,聴覚障害の有無を問わずリズム再生の難易傾向は類似していること,音楽鑑賞時間や強度アクセントの付与がリズム再生に効果的な影響を及ぼすことが明らかになった.

3 0 0 0 OA 尼になる迄

著者
小林栄子 著
出版者
須原啓興社
巻号頁・発行日
1916
著者
小林 哲郎 高 史明
出版者
神戸大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究は、ヘイトスピーチの温床となる誤った信念が検索エンジンの利用によって強化される可能性を明らかにすることを目的として、2つのオンラインフィールド実験を行った。まず、平成27年度の実験では在日コリアンに関する客観的に誤ったデマ命題を検索することによって、デマ命題を正しいと考える人の割合は有意に低下することが明らかにされた。しかし、検索行動は同時に韓国人に対する感情温度を低下させることが示された。平成28年度は検索時の動機を操作する手続きを追加して実験を行った。本研究の成果はInternational Congress of Psychologyなど複数の国際会議で発表された。