著者
林 恵津子 梅下 弘樹 白垣 潤
出版者
共栄学園短期大学
雑誌
共栄学園短期大学研究紀要 (ISSN:1348060X)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.85-89, 2008-03-31

近年、子どもたちの基本的生活習慣の乱れが意欲や気力に大きな影響を与えるとして注目されている。そこで本研究では、子どもの睡眠生活習慣が発達にどのような影響を与えるかを見るために、睡眠生活習慣と発達検査結果の関連を検討した。その結果、早寝早起きの子どもは、生活習慣と理解言語で発達が良好であることが明らかになった。
著者
但馬 康宏 北出 大蔵 中野 未知子 藤本 浩司 中林 智 小谷 善行
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.76, pp.7-12, 2007-07-24

本研究において、比較的長い対話に対する話題分割を行う手法を提案する。隠れマルコフモデル(HMM)による話題分割は、これまでも盛んに研究されており、音声認識の分野で特に成果をあげている。しかし、一般的に対話を単語の列として取り扱うため、長さが数百語程度以上の対話の場合にその対話の発生確率が著しく低くなり、有効精度不足となる。本手法では、対話における発話を HMM の出力単位として話題分割を行う。対話における1発話ごとにベイズ推定によりあらかじめ話題のラベルを付けた後、そのラベル列を出力する HMM を構成することにより話題の切り替わりを特定する。ここで、HMM はすべての状態間の遷移を許したモデルとした。68 名の被験者で対話実験を行い、62 対話を作成し、本手法の有効性を検証した。この結果、1500 単語程度の長さの対話にたいして良好な分割精度を出せたことを報告する。We propose a dialogue segmentation and topic structure finding method via Hidden Markov Model (HMM). HMM has been applied for this problem in previous studies and its advantages have been shown. Nevertheless, the length of the dialogue must be restricted about a hundred words because of computational errors, i.e. the occurrence probability of a dialogue which has a thousand words tends to be less than 10-1000 and we fail to construct HMM because of lack of computational precision. In this paper, we propose a new approach for this problem by HMM whose state outputs a symbol of an utterance. Every utterance is classified into some symbols of a segment by a Bayesian classifying method, then we construct an HMM for the target dialogue. The HMM in our method can handle a long dialogue whose length is about 1500 words for 1000 kinds of words. We used 62 dialogues by 68 testee and evaluate our method.
著者
若林 幹夫 田中 大介 南後 由和
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、消費化・情報化時代の「都市の論理」と、それを成立させる社会的過程と構造を明らかにすることを目的としている。具体的には、1990年代以降、全国の都市部や郊外地域に普及した消費空間であるショッピングセンター、ショッピングモールを主要な対象として、現代都市社会における空間の生産・流通・消費のあり方と、それが生み出す社会と文化の様態を、情報化・消費化社会における新たな「都市の論理」として分析した。
著者
徳田 恵一 益子 貴史 小林 隆夫 今井 聖
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.192-200, 1997-03-01
被引用文献数
104

動的特徴 (音声のデルタ及びデルタデルタパラメータを含む混合連続分布HMMから音声パラメータ列を生成するための高速アルゴリズムを提案する。ここでは, 尤度最大の意味で最適な音声パラメータ列を生成することを考え, この問題を現実的な演算量で解くため, 適応フィルタリングにおけるRLSアルゴリズムと類似の手法を用いて高速アルゴリズムを導出した。また, 提案アルゴリズムにより, 静的及び動的特徴の統計情報(平均及び共分散)を反映した音声パラメータ列の生成が可能となることを例によって示すと共に, 提案アルゴリズムの音声の規則合成への応用について考察を加えている。
著者
古林 清一
出版者
一般社団法人 日本オリエント学会
雑誌
オリエント (ISSN:00305219)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.117-136, 1980 (Released:2010-03-12)

The purpose of this paper is to examine the relationship between Islam and politics in the thought of Muhammad 'Abduh. In this study, I have come to some conclusions. First, the tension between two kinds of laws, namely Qanun and Shari'a was very clearly awared in his thought. Second, young 'Abduh believed in a harmony between Qanun and Shari'a in the age of ‘Orabi’s Revolution. Third, he tried to overcome the contradiction between Qantn and Shari'a in his activities during the reign of Khedive 'Abbas II, but he could not succeed in moulding the comprehensive belief-system.
著者
葛西 恭一 石田 恵梨 小林 由佳 曽我 幸一 金光 大石 坂本 京子 竹中 信也 柳田 國雄 伊谷 賢次
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 = Gastroenterological endoscopy (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.257-261, 2013-02-20
参考文献数
12

症例1は75歳男性.心房細動にてダビガトラン220mg/日服用開始したところ,5日後より食道閉塞感,ゲップを自覚.上部消化管内視鏡検査にて中部食道に白色の膜様付着物を伴った潰瘍性病変を認めた.ダビガトランを継続しながらプロトンポンプ阻害剤(以下PPI)を服用したところ潰瘍は治癒した.症例2は68歳,女性.発作性心房細動に対しダビガトラン300mg/日服用開始77日後より胸焼けを自覚.上部消化管内視鏡検査にて中部食道に白色の膜様付着物を伴った潰瘍性病変を認めた.ダビガトランを中止しPPI投与したところ潰瘍は治癒した.ダビガトランは循環器領域で使用頻度が高まると予想される薬剤であり,薬剤性食道潰瘍の原因となり得ることを念頭に置く必要がある.
著者
林 相熏
出版者
日本社会情報学会
雑誌
日本社会情報学会全国大会研究発表論文集 日本社会情報学会 第26回全国大会
巻号頁・発行日
pp.195-200, 2011 (Released:2012-03-20)

This paper shows how relationships in network affect information diffusion and what kind of bridge devotes to rewire network. There are patterns of bridge which can be found in tweets of Twitter or posts of Facebook over communities. This study depends on serveral social network analysis and previous studies of Granovetter, Milgram and Burt. Research objectives are international students of China and Korea studying in Japan, and this research implies to figure out how bridge can help communicate between different cliques.
著者
佐藤 卓 松本 文雄 安部 隆司 二瓶 直子 小林 睦生
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.195-204, 2012-09-30 (Released:2013-07-06)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

It was previously reported that the northern limits of geographic distribution of Ae. albopictus in Japan are Akita and Iwate Prefectures. In this study, we carried out larval surveillance from 2009 to 2010 to clarify the present distribution of the mosquito in Iwate Prefecture and to analyze the relationship between climatic conditions and the northern distribution of Ae. albopictus by the geographic information systems (GIS). Distribution of Ae. albopictus was found in 34 collection sites from 7 cities and 2 towns in this study. Around the collection sites in Senboku 2 Chome, Morioka City where Ae. albopictus larvae were collected in 2009, an intensive investigation was carried out in 2010, and more than 20 colonies of Ae. albopictus were collected. This suggests that Ae. albopictus population has been established in Morioka City. The relationships between climatic conditions and distribution of Ae. albopictus in Iwate Prefecture were analyzed using 1 km mesh climate data from 2006 to 2010, and the following conditions were suggested for the presence of Ae. albopictus populations: >10.8°C annual mean temperature, >-1.4°C daily mean temperature in January, >185 days/year with >10.8°C mean daily temperature and >1,350 degree days of effective accumulated temperature per year.
著者
中林 和重 山崎 邦典 斎藤 伸芳 飯泉 正 島根 茂雄
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.479-484, 1990-10-05
被引用文献数
5

メロンのロックウール栽培における培養液の組成と培養液の供給方法について検討し,以下の結果を得た.1)ネット出現後期から窒素の供給を制限した方がよい:ネット発生期以降の培養液中の窒素濃度を,1/2にした場合には,ネットの太さにばらつきがなく外観が美しかった.この制限を始める時期はネット発生期よりも遅い時期がよいと思われた.2)収穫直前の給液制限はしない方がよい:収穫の20日前から給液を制限した場合には,果肉の糖度も低くなり,果実も小さくなる傾向があった.このことから,メロンのロックウール栽培では,培養液の供給量を栽培の全期間にわたって,制限しない方がよいと考えられた.3)培養液への腐植酸の添加は有用:培養液に腐植酸の添加(50 ppm)を行った場合には,果皮色が明るくなった.今後,さらに検討を要する.
著者
高橋 秀俊 小林 謙二
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.179-194, 1985-03-05

「人間にとってふさわしい研究は人間である」 (The proper study of mankind is man) と英国の詩人アレキサンダー・ポープは言っているが, 科学の窮極の目的の一つは矢張り, 思惟する能力をもつ「人間」というものを理解することであると言えるのかも知れない. 科学も所詮は「人間」が作り上げた文化の一形態であり, 「人間」なしには科学も存在し得なかったのである. その意味で, 教科書の中の科学だけではなく, 実際に研究に従事した科学者の語るなまの「人間の言葉」も聞いてみる価値が大いにあろうかと思われる. 1977年が日本物理学会創立100年にあたることを記念して, 『日本の物理学史』(上)-歴史・回想編-; (下)-資料編-が日本物理学会編集により1978年に東海大学出版会から発行され, 日本の物理学界の指導的立場にあり, すぐれた業績をあげられた先生方の回想録が収められている. 物性理論に関連したものとしては, 久保亮五先生の「日本における統計力学の成立」, 永宮健夫先生の「物性論の発展のなかで」, 伏見康治先生の「日本における物理学の成立」という大変興味深い回想録があり, 我が国における物性理論の発展の様子を可成りの所まで窺い知ることができるが, 十分とは言えないように思われる. そこで, 上記の回想録を補足するという意図も含めて会誌の編集委員の末席につらなる小林謙二が幾人かの物理学者にインタビーーし, 「我が国における物性論の草創時代」というテーマで, 御自身の研究の動機や当時の物理学者群像などを回想して頂き, ここにまとめた次第である. 1回目として, 我が国における物性論の草創時代 (1940年代) に活躍された東京大学名誉教授で慶応大学客員教授でもある高橋秀俊先生 (1962年度と1967年度の日本物理学会会長で, 1980年度の文化功労者にも選ばれている) の回想談をしるすことにしよう. 何分にもインタビュアーの非才のために質問の拙なさから重複するところがあったり, 余り意を尽していないような所もあるかとも思われるが, その段は読者諸賢の御海容をたまわりたい.
著者
渡辺 俊行 龍 有二 林 徹夫
出版者
九州大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1989

本研究は、パッシブ住宅の室内熱環境を予測評価するための設計支援システムの開発を目的としている。パッシブ住宅とは、日射・風・気温・地温などの自然エネルギ-を利用して、建築の構造体や空間が持っている熱的環境調整機能をコントロ-ルすることにより、夏涼しくて冬暖かい快適な室内環境の形成を図るものである。最終的に得られた成果は以下の通りである。1.パッシブ住宅の熱環境計画基本フロ-を示し、住宅用熱負荷概算プログラム,単室定常熱環境予測プログラム,多数室非定常熱環境予測プログラムを作成した。2.単室定常熱環境予測モデルにおいては、新たに室内平均放射温度と室内相対湿度の計算を組み込み、体感温度SET^*による評価を可能にした。このモデルは設計途中で熱環境を予測する際に有効であり、どの程度の通風を期待したらよいかなどを決定することができる。3.多数室非定常熱環境予測モデルにおいては、居住者の在室スケジュ-ルと体感指標PMVを設定した予測シミュレ-ションが可能である。ブラインドを含む窓面の伝熱モデルを追加し、いわゆるニアサイクル型のパッシブ住宅も取り扱えるよう改良した。夏季の日射遮蔽,通風,夜間換気,地中冷熱、冬季の断熱,気密,集熱,蓄熱を考えて基準住宅モデルの仕様を変更し、PMV±0.5以内を目標値とした室温および負荷変動のシミュレ-ション結果を基に、各パッシブ要素の個別効果と複合効果、補助冷暖房の必要期間と所要エネルギ-を明らかにした。4.徳山市および福岡市の各実験住宅において、夏季および冬季の室内熱環境を実測調査し、多数室非定常熱環境予測モデルによる計算値と比較検証した。その結果、計算値は測定値とよく一致し、本予測評価システムの有効性が確認された。
著者
林部 敬吉 阿部 圭一 辻 敬一郎 雨宮 正彦 ヴァレリ ウイルキンソン 松王 政浩
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

心理学的視点と教育工学的視点から、日本伝統工芸技能の修得過程の分析、外国の技能研修制度と修得過程の分析および両者の修得過程における異文化間比較、さらに暗黙知である技能の修得を促進するわざことばの調査を通して、伝統工芸技能修得の認知的なプロセスの特徴を明らかにし、この認知的モデルに依拠した効果的な技能修得の方法と支援について提案することを目指した。陶磁器、指物、筆、硯、染色、和紙、漆器、織物など主に伝統工芸産地指定を受けた親方と弟子に対しての面接と取材調査、ドイツのマイスター制度とデュアル制度の現地調査、浜松の楽器製造産業における技能の継承についての取材調査、さらにすべての伝統工芸産地指定約220箇所の伝統工芸士に対して、「わざことば」のアンケート調査を実施した。伝統工芸士に対する取材調査では、実際の工程でのもの作りをビデオおよび3次元ビデオに録画すると共に、主要な「わざ」の手指の型を3次元カメラで取得した。企業については、工芸技能の世代間継承の方法、実態について調査した。これらの調査と分析の結果、次のことを明らかにできた。(1)「わざ」の伝承は、一種の徒弟方式である「師弟相伝」で行われる。技能伝承の基本は、技能の熟練者(親方)の模範を継承者(弟子)が観察・模倣するにあり、また継承者の技能習得を助けるものとして「わざことば」が存在する。技能伝承を効果的にするには、伝承者と継承者との間に信頼にもとつく人間的な紐帯が形成されることが大切である。2)日本の徒弟制度とドイツのマスター制度を比較すると、日本のそれの良い点は、極めて優れた技能保持者を生み出せるのに対して、ドイツのそれは、一定の技能水準をもつ技能者を育てることができることにある。徒弟制度の悪い点は、技能の修得過程が明文化されていないことで、教え方が親方の独善的なものに陥りやすい。デュアル制度の短所は、名人といわれるような技能の伝承が行われにくく、獲得した技能が一代限りで終わる点である。(3)企業における「わざ」の伝承でも、「師弟相伝」方式が採用され、技能の熟練者と継承者が相互信頼に基づき相互啓発しながら行われる。この場合、弟子の技能習得を助けるものとして「伝承メモ」(熟練者)と「継承ノート」(継承者)を介在させることが重要である。(4)「わざことば」は、技能の枢要な事項を比喩的あるいは示唆的に表現したもので、それ自体が技能の内容を余すところなく記述したものではないが、しかし技能上達のヒントともなるべきものである。
著者
小林 真
出版者
筑波技術大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

視覚障害者ボウリングを楽しむ当事者らのニーズをもとに、「投球フォーム検出と提示」「残ピン状況の読み上げ」「ボール軌跡の読み上げ」を目的とするシステム開発と検証を行った。フォーム検出に関しては、腕に装着した加速度センサから投球タイミングの検出が可能なことが分かった。また残ピン読み上げに関しては画像処理を利用してほぼ完璧な認識が可能であり、実際の練習に役立つシステムを構築できた。ボール軌跡については、深度センサで実現可能なことが分かった。さらにスポーツにおける状況の音声化は,プレーヤー自身だけではなく,応援や観戦をしている視覚障害者にとって重要なエンターテインメント要素になることが分かった.
著者
浜田 亘曼 平沢 宏太郎 高藤 政雄 林 利弘
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.1-7, 1980-01-15

計算磯制御の分野では ソフトウェア生産性を向上させる有力な方法として高級言語化と問題向言語(POL:Problem Oriented Language)化の2つが考えられる.すなわち 汎用的な高級言語を用いて信頼度の高いプログラムを作成するか 特定応用分野の標準化された要求をプログラム仕様として記述させる機能を有する問題向言語を利用するかである.先に報告されている制御用計算機言語PCLの上位言語であるSPL(Software Production Language)は 上述の2つの側面を同時に満し得るように設計されている.本論文ではSPLのPOLへの応用について述べている.特にSPLの特徴的な機能である 手続きの構造化制御機能 手続きのインライン展開機能 豊富な手続き参照機能 PL/Iのそれを高信頼化の面で強化したコンパイル時機能等について論じている.また SPLの電力系統制御への応用例を用いて その効果を論じている.
著者
小林 潤司
出版者
国際基督教大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2009

トリフェニレンにヘテロールが縮環した化合物であるトリヘテラスマネン合成の別法としてトリフェニレンの湾部が6箇所リチオ化されたヘキサリチオ体経由の合成法を活用してトリヘテラスマネン類の合成を行った。2,3,6,7,10,11-ヘキサブトキシトリフェニレンを出発原料として、TMEDA存在下、過剰量のn-BuLiを作用させ、加熱かくはんを行ったところ、効率よくヘキサリチオ体が発生することを見いだしていたので、このヘキサリチオ体に、各種典型元素試薬を反応させトリヘテラスマネンの合成を検討することとした。ヘキサリチオ体にフェニルジクロロホスフィンを作用させ、引き続いて単体硫黄を作用させることで、トリホスファスマネントリオキシドの合成に成功しており、生成物の構造異性体の分離構造決定を行った。また、別の典型元素源として、ジアルキルジクロロスタンナンを作用させることで、ヘキサスタンナスマネンの合成にも成功した。有機スズ化合物は、その他の典型金属元素と効率よくトランスメタル化が進行することが知られているため、このトリスタンナスマネンを新たな出発原料として、新たなトリヘテラスマネンへと誘導することを検討した。そこで、母体のスマネンと同様な骨格的歪みを持ち、かつ物性材料としても有用性が期待されるトリボラスマネンの合成を目指し、ホウ素原子とのトランスメタル化を検討した。その結果、各種NMRスペクトルより、少なくとも湾部の1箇所がホウ素化されたと思われる化合物の生成が示唆された。
著者
林甕臣 著
出版者
国文語学会事務所
巻号頁・発行日
vol.上巻 上,中編, 1894
著者
林 健一
出版者
日本動物分類学会
雑誌
動物分類学会誌 (ISSN:02870223)
巻号頁・発行日
no.32, pp.17-29, 1986-03-25

文部省の海外学術調査により1984年7月から9月にかけてギルバート,ナウルとソロモン諸島を訪れ,調査の一員として甲殻類の採集を行った.今回はそのうちのテッポウエビ科とテナガエビ科を除くエビ類について簡単に報告する.低潮時にサンゴ礁上とその周辺の浅海域でスノーケルや一部SCUBAを使って採集を行った.調査標本は2亜目,5科,20種に分類された.ナウルの採集物の中には該当するエビ類は1種も発見できなかった.ソロモン諸島で採れたモエビ科の1種Hippolyte sp.は既知種のどれにも一致しなかった.クルマエビ科の唯一の種であるMetapenaeopsis tarawaensisはその名前の通り,タラワ環礁が基産地であり,今回はアベママ環礁で採集されたが,この科のものとしては特異な分布を示し,キリバス以外からは報告がない.その他の種類はほとんどインド西太平洋種で,広い分布域を持つ.ただモエビ科の2種とオトメエビ科の2種は稀であり,今回の標本がそれぞれ2〜3回目の報告となる.日本にはこのうちの13種が分布している.