著者
飯田 幸治 栗栖 薫 有田 和徳 右田 圭介 大庭 信二 岡林 清司 大谷 美奈子
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.11, no.5, pp.225-230, 2000-05-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
13

The case of a 20-year-old woman presenting with delayed, potentially fatal intracranial hypertension as a result of a head injury is reported. On admission, the patient had a Glasgow Coma Scale (GCS) score of 10. A brain CT scan showed an epidural hematoma in the left temporal region and a mild contusion of the bilateral frontal lobes. Two days after her injury, the patient's consciousness level suddenly deteriorated (GCS 4). Transcranial Doppler (TCD) examination disclosed a marked reduction (18cm/sec) in the velocity of the blood flow through the middle cerebral artery and a significant increase (2.11) in the pulsatility index. A second brain CT scan showed diffuse brain swelling but no changes in the size of the hematoma. The intracranial pressure (ICP) was 58mmHg. Although the cause of the acute brain swelling was unknown, moderate hypothermia therapy was initiated. The ICP was difficult to control during the hypothermia treatment but was maintained at above 20mmHg for most of the time. Hypothermia treatment was continued for 18 days before ICP control was regained. The patient was discharged with mild memory disturbances 4 months after admission. A literature, review has suggested that the TCD and ICP values of this patient could have been fatal. Thus, moderate hypothermia treatment may improve the outcome of potentially fatal intracranial hypertension.
著者
笠井 勝也 西前 出 小林 愼太郎
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.23(第23回環境情報科学学術研究論文発表会)
巻号頁・発行日
pp.285-290, 2009 (Released:2011-02-15)
被引用文献数
1

富士山の山小屋が補助金を受けて設置した自己処理型トイレの維持管理コスト確保が困難な状況に陥っている。本研究では,総合パフォーマンス評価による自己処理型トイレの評価,PSM 分析を用いた適正トイレ使用料金の推定,CVM による入山料に対するWTP の推定を通じ,設置場所の環境に適した屎尿処理装置が導入されているか,協力金の設定金額は妥当であるか,入山料徴収制度の実現可能性について検討した。その結果,総合パフォーマンス評価を用いた屎尿処理装置の選定および入山料徴収制度の導入が,富士山における山小屋トイレ維持管理費確保問題の解決に寄与しうることが確認された。
著者
林崎 健一
出版者
北里大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1994

シロザケの鱗の輪紋パターンから、年齢の判別を自動化するための基礎的ソフトウェアの開発とその評価を行った。鱗の顕微鏡画像をCCDカメラを用いて取り込み、ぼかし法により画像変換して年輪である休止帯を強調した後、最長軸方向に鱗の焦点から縁辺部までの濃淡の値を計測し、さらに0から1の間の値に変換したものをニューロシステムへの入力とした。ニューロコンピューティングにはSUN SparcSattionl上でニューラルネットシミュレータPlaNet5.7を用い、学習方法には逆誤差伝搬学習法(バックプロパゲーション)を用いた。多数標本に基づく学習では、200から300回程度の学習で収束し、学習済みのデータに対して100%の認識率を得たものの、未学習のデータに対しては正確な判別ができなかった。さらに、学習後のシステムの中間層の隠れニューロンとニューロン間の結合荷重の観察を行ったところ、中間層の隠れニューロンの値は、各年齢内でよく似た反応パターンを示した。また、結合荷重の観察から、鱗の縁辺部分から外の空白領域に比較的強い反応が認められた。このことから、学習後のニューラルネットは、年齢に対してある程度の認識を行っているものの、その情報は鱗のサイズの寄与が大きかったものと推察された。さらにこの例では、入力ニューロンの数が450と大きいのに対してデータの数が少なかったため、局所的な最適解(local minimum)に落ち込んでいるのかもしれない。大標本に基づく学習は現在解析中であるが、今後は、年齢の位置情報を認識可能であるかを検討する必要があるものと考えられる。そのためにはノイズの少ない人工のデータを用いた実験を行い、学習方法の改良も検討する必要がある。
著者
若林 時郎
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.1-6, 1986-10-25 (Released:2020-09-01)
参考文献数
10

Four master plans made by the Japan Housing Corporation are much changed. Some of major factors which made them changed were actual conditions of the site; the boundary of developing area, the attainment of land acquisition and the method of development. In Tsukuba, 80% of 1800ha, of the land acquired was used for the research and educational institutions, the land acquisition was so important that the boundary and the method were arranged for the purpose of its attainment. Master plan must be transformed according to these evolving factors, but act on them guiding to log-ranged goal of the development.
著者
天間 雄祐 小尾(永田) 紀翔 林(高木) 朗子
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.94-99, 2019 (Released:2019-12-28)
参考文献数
23

昨今の脳神経科学の発展は著しく,脳の作動原理を次々に明らかにしてきたものの,統合失調症の病態生理は未解明な部分が多く,したがって病態生理に立脚した根治薬は存在しない。しかしながら,人類遺伝学をはじめとするさまざまなヒト由来サンプルや所見より,グルタミン酸作動性シナプスの異常が統合失調症の病態生理として示唆されている。そこで本稿では,精神疾患関連遺伝子のモデル動物を切り口に,モデル動物だからこそ可能となる操作的・侵襲的実験手法を用いた実験で,どのようなシナプスパソロジーが明らかにされているかについて述べる。最後に,われわれが開発したシナプスを時空間的に直接光操作することができるシナプスプローブを紹介する。このように最先端の技術を駆使した仮説検証を繰り返すことにより,精神疾患の解明を目指すわれわれの戦略について述べる。
著者
中村 雅俊 池添 冬芽 梅垣 雄心 小林 拓也 武野 陽平 市橋 則明
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48101053, 2013 (Released:2013-06-20)

【はじめに、目的】ハムストリングスのストレッチング方法は主観的な伸張感により,近位部を伸張するには股関節屈曲位での膝関節伸展,遠位部を伸張するには膝関節伸展位での股関節屈曲が推奨されている.しかし,これら2種類のストレッチング方法の違いが近位部と遠位部の伸張性に及ぼす影響について客観的な指標を用いて比較した報告はなく,科学的根拠は乏しいのが現状である.そこで本研究は剪断波超音波診断装置を用いて,これら2種類の異なるストレッチング方法がハムストリングスの各部位における伸張の程度に及ぼす影響を検討し,ストレッチング方法の違いによって近位部と遠位部を選択的に伸張できるかを明らかにすることを目的とした.【方法】対象は整形外科的疾患を有さない健常男性15名(年齢23.8±3.2歳)とし,利き脚 (ボールを蹴る) 側の半腱様筋(ST)と大腿二頭筋長頭(BF)を対象筋とした.対象者をベッド上背臥位にし,骨盤後傾を防ぐために反対側下肢をベッドから下ろして骨盤を固定した状態で他動的に股関節90°屈曲位から痛みを訴えることなく最大限,伸張感を感じる角度まで膝関節伸展を行うストレッチング(KE),膝関節完全伸展位から痛みを訴えることなく最大限,伸張感を感じる角度まで股関節屈曲を行うストレッチング(SLR),股関節90°屈曲・膝関節90°屈曲位の安静時の3条件での筋の伸張の程度を評価した.筋硬度の測定には超音波診断装置(SuperSonic Imagine社製 Aixplorer)の剪断波エラストグラフィ機能を用いて,STとBFそれぞれ大腿長の近位1/3(近位),1/2(中間),遠位1/3(遠位) の筋硬度を無作為な順番で測定した.筋は伸張されると筋硬度が増すことが報告されているため,伸張量の指標として筋硬度を用いた. 統計学的処理は,STとBFにおける各部位の安静時とKE,SLRの条件間の違いをScheffe法における多重比較を用い検討した.また安静時に対するKEとSLRの変化率を求め,各部位におけるKEとSLRの変化率の違いと近位,中間,遠位の部位による違いについてScheffe法における多重比較を用い比較した.なお,有意水準は5%未満とした.【倫理的配慮、説明と同意】対象者には研究の内容を十分に説明し,研究に参加することの同意を得た.【結果】STの筋硬度について近位部は安静で39.6±31.8kPa,KEで398.4±125.8kPa,SLRで354.3±109.4kPa,中間部は安静で61.0±23.2kPa,KEで507.9±71.5kPa,SLRで472.6±81.5kPa,遠位部は安静で66.5±29.3kPa,KEで504.3±103.6kPa,SLRで478.4±151.2kPaであった.BFにおける近位部は安静で30.6±12.8kPa,KEで361.4±91.8kPa,SLRで343.3±92.6kPa,中間部は安静で45.4±32.3kPa,KEで386.4±147.6kPa,SLRで392.3±98.8kPa,遠位部は安静で54.1±22.4kPa,KEで490.5±112.3kPa,SLRで425.8±109.5kPaであった.多重比較の結果,STとBFともに近位,中間,遠位部の全ての部位において安静条件と比較してKEとSLRで有意に高値を示した.また安静時に対するKEとSLRの変化率を比較した結果,STとBFの全ての部位においてKEとSLR間で有意差は認められなかった.安静時からの変化率について近位,中間,遠位の部位間で比較した結果,STとBFのKEとSLRともに部位による有意差は認められなかった.【考察】本研究の結果,KEとSLRの2つのストレッチング法はともにSTとBF両筋の全ての部位を伸張することが可能であった.さらに,KEとSLR間では全ての部位で有意差が認められなかったことより,どの部位でも両ストレッチング方法による伸張の程度に違いはないことが明らかとなった.また,近位,中間,遠位部の比較においても有意差が認められなかったことより,部位による違いはないことも明らかとなった.これらの結果より,二関節筋であるSTとBFを伸張する場合にはKEとSLRの方法による違いはなく,両ストレッチングとも全ての部位において同じ程度のストレッチング効果が得られること,すなわちこれらストレッチング方法の違いによって近位部と遠位部を選択的に伸張することは困難であることが示唆された.【理学療法学研究としての意義】股関節を屈曲した状態から膝関節を伸展するストレッチングと膝関節完全伸展位から股関節を屈曲するストレッチングの両ストレッチング手技ともにハムストリングスの近位部,遠位部を一様に伸張する効果があることが明らかとなった.
著者
東野 正明 林 伊吹 高橋 俊樹 須原 均 二村 吉継 櫟原 新平 青野 幸余 松尾 彩 川上 理郎
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.56, no.Suppl.2, pp.S181-S188, 2010 (Released:2011-12-01)
参考文献数
8

心臓血管外科手術患者において、術後の嚥下障害を術前や術直後に予測できるかどうかを検討した。症例は、心臓血管手術後経口摂取に問題があり、本院栄養サポートチーム (NST) に栄養管理の依頼があった 20 例 (男性 14 例、女性 6 例) で、手術から最終食事内容に至るまでの期間が 1 カ月未満であった 8 例 (A 群) と、1 カ月以上かかり術後の嚥下障害が大きな問題となった 12 例 (B 群) に分けて、両群間で比較検討した。その結果、心臓血管手術後嚥下障害を起こす要因として、年齢 (70 歳以上)、Body mass index (BMI)≧25 の肥満もしくは BMI < 18.5 の低体重、高度心機能低下 (EF ≦ 40%) の有無、脳梗塞の既往の有無、呼吸器疾患の既往の有無、緊急手術か否か、大動脈手術か否か、長時間手術 (10時間以上) か否か、の 8 項目のうち 4 項目以上に該当すると嚥下障害を引き起こす可能性が高いと考えられた。その中でも緊急手術、肥満、大動脈手術が影響していると考えられた。この 8 項目をスコア化したものと手術から最終食事形態に至るまでの日数との間に相関が認められた。また、心臓血管外科手術後患者の嚥下障害に対する NST 介入の効果も示された。術前スコアから術後の嚥下障害のリスクがあると予測される患者家族に対しては、十分な術前説明をするとともに、適切かつ迅速な対策を講じる必要があると考えられた。
著者
杉本 明日菜 赤澤 友基 河原林 啓太 宮嵜 彩 上田 公子 北村 尚正 岩本 勉
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.1-11, 2018-02-25 (Released:2019-02-25)
参考文献数
17
被引用文献数
6

口腔筋機機能療法(Oral Myofunctional Therapy : MFT,以下MFT)は口腔周囲筋のバランスの調和をとることで,歯列・咬合の形態を正常に維持することや,咀嚼・嚥下・構音といった小児期の口腔機能の発達支援を目的として行われる治療法の1 つである。様々な訓練方法が提案されているが,個々の訓練の効果について検討された報告は少ない。そこで,今回当科で実施したMFT について一連の訓練を行い,かつ発表に際して同意の得られた20 名(男児15 名,女児5 名,平均年齢7 歳7 か月)についてその治療効果の検討を行った。 その結果,訓練前・後で比較して口唇閉鎖不全のある児は55%から35%,嚥下時舌突出のある児は100 %から50%,構音時舌突出のある児は95%から60%に減少し,改善がみられた。とくに嚥下時舌突出と訓練法の1 つである「スラープスワロー」との間に相関を認めた。しかし,訓練が達成できていても機能の改善が十分でない児もおり,さらなる訓練法や訓練時期の検討が必要であると考えられた。 様々な分野で口腔機能が注目されているが,とりわけ小児期での口腔機能の獲得は生涯を通じての健康に非常に重要な意味をもつ。本調査では20%の児は形態的な問題を有しておらず機能面の問題のみを呈していた。こうした児についても積極的に介入し口腔機能を向上させることは将来の健康寿命延伸に有意義である。そのため,小児の発育・発達に沿った訓練を構築し,口腔機能獲得の支援法として提案することが必要である。
著者
小林 清典
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.73, no.10, pp.442-451, 2020 (Released:2020-11-27)
参考文献数
24

本邦では大腸Neuroendocrine tumor(NET)の病変部位は直腸に多く直腸下部に好発する.50歳台に多く,性別は男性優位である.大腸NETに特徴的な自覚症状はない.直腸NETは10mm以下の小病変で,粘膜下腫瘍様を呈し無茎性隆起の場合が多い.内視鏡所見では,腫瘍は黄色調で,表面血管の拡張を伴う場合が多い.超音波内視鏡では,内部が低~等エコーで境界明瞭な腫瘤像として描出され,深達度診断に有用である.直腸NETは,肉眼型や腫瘍径が深達度やリンパ節などへの転移の危険性と密接に関係しており,亜有茎性の肉眼型や中心陥凹,腫瘍径が10mm以上の場合は,固有筋層以深への浸潤や転移の危険性が高まる.直腸NETは単発が多いが,多発する場合もあり注意が必要である.予後については,直腸NETより結腸NETのほうが不良との報告があるが,今後多数例での検証が必要であると考える.
著者
中林 敏郎 鵜飼 暢雄
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.10, no.6, pp.211-216, 1963-06-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
6
被引用文献数
6 3

桃の品種によって果肉のかっ変の程度に差のある原因を検討した結果(1) 白桃3種,黄桃5種のかっ変を測定したところ,新白と罐桃C5号のかっ変がとくに著しい。(2) ポリフェノールオキシダーゼの活性はどの品種にも強く認められる。(3) ポリフェノール成分としてクロロゲン酸,L-エピカテキンおよびロイコシアニジンの存在が認められた。(4) ポリフェノールの含量は品種によって異なり,新白とC5号にとくに多い。(5) したがって品種によるかっ変の差はポリフェノールの含量の多少に起因する。(6) 食塩およびアスコルビン酸は強いかっ変防止効果を有している。
著者
小林 盾 大林 真也
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.304-317, 2016 (Released:2017-01-16)
参考文献数
22
被引用文献数
2

この論文は, 分析社会学を実証研究へと応用する. そのために, 美術展や小説などの文化活動を事例とし, 人びとはオムニボア(雑食)的で多趣味なのか, ユニボア(偏食)的で偏っているのかを検討することで, 文化の階層構造(文化格差)を解明する. 分析社会学のDBO理論によれば, 人びとは「~したい」という欲求(Desire)と「自分や世界は~だろう」という信念(Belief)を持ち, 客観的条件である機会(Opportunity)に制約される. そこで, 「自分は自由に文化活動できる」という信念を持ち, さらに等価所得が高く実行機会に恵まれた人ほど, 文化的オムニボアとなると仮説を立てた. データとして2015年階層と社会意識全国調査(第1回SSP調査)を用い, 文化的オムニボアを高級文化(クラシック音楽と美術展)と中間文化(小説)の頻度の幾何平均で測定した(分析対象2,769人). その結果, (1)分布から, オムニボアが52.5%いた. (2)回帰分析における教育, 等価所得の主効果から, 高い階層的地位が文化的オムニボアを促進した. (3)信念(主観的自由)と機会(等価所得)の交互作用効果から, 信念と機会の両立が文化的オムニボアを促進した. 以上より, 日本社会における文化活動は, ブルデューの主張するような排他的なものではなかった. 分析社会学を用いたことで, 人びとの合理性を仮定する必要がなく, どうじに信念という主観的心理的要因の役割が明確になった.
著者
若林清著
出版者
市町村雜誌社
巻号頁・発行日
1913
著者
若林清著
出版者
信山社出版
巻号頁・発行日
2014