著者
金丸 英樹 佐藤 徹 菅田 真生 石井 大造 丸山 大輔 林 正孝 濱野 栄佳 井手口 稔 片岡 大治 高橋 淳
出版者
特定非営利活動法人 日本脳神経血管内治療学会
雑誌
Journal of Neuroendovascular Therapy (ISSN:18824072)
巻号頁・発行日
pp.jnet.oa.2015-0039, (Released:2015-10-02)
参考文献数
11
被引用文献数
4 1

要旨: 【目的】近年脳血管内治療は普及の一途をとげているが,病変へのアクセス時に,ガイディングカテーテル(GC)を母血管に干渉せず留置できるかどうかは治療の成否に関与する重要な因子の一つである.そこで,GC を留置する際に機械的血管攣縮(mechanical vasospasm; mVS)を惹起する因子について検討した.【方法】対象は2012 年8 月1 日より2014 年7 月31 日までの2 年間に未破裂脳動脈瘤に対しコイル塞栓術を施行した連続64 例とし後方視的に検討した.mVS の定義として,GC を留置した母血管径が25%以上狭小化するものとした.【結果】mVS は24 例(38%)に認め,そのうちGC のサイズ変更を要したものは5 例,その他の症例では先端位置を変えることで攣縮所見は全例軽快した.mVS と関連する因子として,より年齢が若いこと(p<0.001),女性(p=0.03),高血圧でないもの(p=0.03)を認めた.Body Mass Index,Adjunctive technique の有無,治療後のDWI 高信号域の有無,治療時間,部位(ICA/VA),抗血小板療法(Single/Dual)は関連を認めなかった.【結論】より年齢の若い症例,女性,高血圧のない症例では機械的血管攣縮を引き起こしやすいと考えられる.
著者
小林 義光 浦崎 新八郎 三谷 祐一朗
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集 2017 (ISSN:24243124)
巻号頁・発行日
pp.2P2-J11, 2017 (Released:2017-11-25)

This paper describes miniaturization of electromagnetic levitation equipment with a PLC (Programmable Logic Controller). In order to learn advanced control theory with PLC, we constructed electromagnetic levitation equipment with a PLC. However it is necessary to use a small electromagnet and measure a position of a floating object without a position sensor in order to realize electromagnetic levitation conveyance system as small educational tool. Therefore we tried to find a condition of miniaturization of the equipment. The feedback controller model is designed by the linear control theory and implemented into PLC. As results, we confirmed that it is possible realize stable levitation by using a small electromagnet of low resistance value and a hall element instead of the position sensor.
著者
小林 信一
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究 技術 計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.100-107, 2023-05-08 (Released:2023-05-09)
参考文献数
11

本稿は,研究インテグリティ概念の成立について検討した上で,大学が社会に対して開かれることの意味を検討することを目的とする。研究インテグリティ概念は,日米ともに,曖昧な形で登場した。それまで,米中対立を背景とする地政学的環境の変化や技術流出問題と関連づけて議論されてきたことを,大学等の基礎研究分野に持ち込む中で概念化された。それは同時に,大学と社会の関係性の変化をもたらした。大学の研究活動のオープン化は,結果として,大学の研究活動は大学や学界に独占されるものではなく,社会全体が大学の研究能力を活用する時代の到来を意味する。それらはときに,特定のメディアや政治家が,伝統的な大学観や科学観を無視して,大学に対して研究の内容等に介入する形をとる。大学や学界は,こうした現実を十分に理解していない。一方で,大学の研究に介入しようとする人々は,大学の研究活動に過大な期待をしている。大学と社会のあいだには理解と誤解が交錯している。その上,研究インテグリティは,大学における経済安全保障問題の一部と捉えられることがあり,政治主導のさまざまな議論に波及している。研究インテグリティの問題は,究極的には,大学と社会の関係の変容の問題に帰結する。伝統的な大学論,学問論は,もはや現実を説明できない。我々は,新たな大学論,学問論,大学と社会の関係を追究していく責任がある。
著者
林 龍也 重松 久之 坂尾 伸彦 杉本 龍士郎 岡崎 幹生 佐野 由文
出版者
一般社団法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.27-31, 2021-01-15 (Released:2021-01-15)
参考文献数
14

転移性肺腫瘍による続発性気胸は時に経験されるが,その原発腫瘍としては肉腫,特に骨肉腫による報告が多い.今回,骨肉腫の治療終了後,気胸の発症を契機に骨肉腫の肺転移を診断し,その後全身化学療法を施行して無再発生存を得ている症例を経験したので報告する.症例は14歳の男性で,左脛骨原発の骨肉腫と診断され,腫瘍広範切除術と人工関節置換術が施行された.術後化学療法が行われ,治療終了約6ヵ月後に右自然気胸となった.画像上,肺転移巣を疑う陰影は認めなかったが,右上葉胸膜直下に5 mm大の囊胞を認めた.術中同部位からの気漏を確認し,肺部分切除術を施行した.組織学的に骨肉腫の肺転移であり,胸膜直下の転移巣による胸膜の破綻が気胸の原因であると考えられた.骨肉腫の既往や治療後経過観察中に気胸を発症した場合は,骨肉腫の肺転移を疑い,診断と治療を兼ねた外科切除が有用であると考えられた.
著者
小林 靖
出版者
日本監査研究学会
雑誌
現代監査 (ISSN:18832377)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.22, pp.61-65, 2012-03-31 (Released:2017-05-14)
参考文献数
2

監査には,批判的機能と指導的機能があると言われるが,比較的規模の小さな中堅企業にとっては指導的機能が重要である。それはこの領域の企業の経理能力は大企業のそれに比較して低い傾向があり,公認会計士の助言・指導を必要としているからである。公認会計士の助言・指導について,公認会計士側の認識と企業側の認識にズレがあることがある。企業側の考える助言・指導業務に傾倒しすぎる場合,依頼人に対する非保証業務の提供に抵触する可能性があり,事実公認会計士法に基づく処分事例が出ているところである。我々公認会計士は,監査の指導的機能に対するこの期待ギャップを克服し,企業側に十分な説明と理解を求め,強い信念をもって,独立性を保持し指導的機能を発揮していかなければならない。
著者
貝沼 喜兵 斎藤 淳一 原田 和雄 小林 興
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.212-222, 2003-09-10 (Released:2017-06-30)
参考文献数
18
被引用文献数
13

In an attempt to promote the understanding of life science, in particular DNA function, in junior and senior high school students, we have conducted a 2-day laboratory course on DNA and recombinant DNA technology in the Kanto area twice, in 2001 and 2002. We used the Biotechnology Explorer kit, available from Bio-Rad Laboratories as follows: 1) E. coli cells susceptible to ampicillin are converted to a resistant form by transformation with a DNA plasmid, pGLO, and 2) the transformed cells produce a fluorescent protein, GFP, which can be visualized by UV irradiation of colonies of cells. We also supervised an experiment where DNA is extracted from chicken liver. We analyzed the ability of the students to understand the experiments using the following three materials: 1) a written test before (pre-test) and after (post-test) the experimental course, 2) reports concerning the experiments, 3) a questionnaire. Based on these data we conclude that the majority of the students comprehended the experiments. We also discussed the significance of conducting laboratory experiments in recombinant DNA for junior and senior high school students
著者
高澤 千智 藤田 真敬 小林 朝夫 大塚 康民 鳥畑 厚志 大類 伸浩 高田 邦夫 立花 正一 柏崎 利昌 別宮 愼也
出版者
航空医学実験隊
雑誌
航空医学実験隊報告 (ISSN:00232858)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.67-77, 2016 (Released:2020-04-11)
参考文献数
45
被引用文献数
1

It has been issued that many accidents are caused by impaired driving or impaired flying due to side effects of medications. In 2013, US Federal Aviation Agency (FAA) warned about aircraft accidents due to side effects of medications. Japan Ministry of Internal Affairs and Communications (JMIAC) also made recommendations to Japan Ministry of Health, Labor and Welfare (JMHLW) to confirm notification about driving ban in the patient package insert. The aviators who use an impairing medication are required to wait an appropriate periods after last medications before flying. FAA defines a waiting time from last medications to flight as five times of pharmaceutical half-lives. Japan Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism (JMLIT) also defines as two times the dosing interval. The dosing interval is generally determined by pharmaceutical half-lives. Considering above situations, Japan Air Self-Defense Force, Aeromedical Laboratory (JASDF AML), recommends a waiting time from last medications to flight as five times of pharmaceutical half-lives. Newly marketed medications are monitored through post-marketing surveillance and reviewed qualification for aviators. Monitoring periods are three years or more in US Air Force, but one year in FAA, JMLIT and JASDF. We review aeromedical decision making for the safe flight with medicated aviators and related articles.
著者
久保 宜之 山地 秀幸 岡林 福好 新川 和之 筧 泰昌
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.208-213, 2019 (Released:2019-12-20)
参考文献数
3
被引用文献数
2 2

平成30年7月豪雨では物部川においても記録的な出水となった.幸いにも甚大な浸水被害が発生することはなかったものの,この出水において,治水対策における事前対策の重要性や氾濫頻度が低い河川における避難行動を促すことの難しさなどが再認識された. このため,本稿では平成30年7月豪雨における物部川の出水や洪水予報等の概要,近年実施した引堤事業が進められなかった場合の同豪雨での氾濫想定,記録的な出水に至ったにも関わらず顕著な避難行動が確認されなかったことやその原因分析の端緒となる住民意識調査の結果などを報告するとともに,ハード・ソフト一体となった水害対策の重要性に言及する.
著者
三ツ木 愛美 角山 智美 深谷 悠子 小林 美幸 大野 美津江
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.90-93, 2009-07-30 (Released:2009-09-18)
参考文献数
2

現在,育児環境が変化し父親の役割が重要視されている。NICUにおいても父親の愛着形成に向けて育児練習やカンガルーケアへの参加などを積極的に行なっている。しかし,NICUでは面会時間が限られているため,仕事をもつ父親は母親に比べ育児練習への参加が少ないのが現状である。今回,入院時から退院時までの父親の対児感情の変化を花沢の感情得点を用いて点数化することによって,入院中の児へのかかわりやケアへの参加の内容が,父性発達にどのような影響があるのかを明らかにすることを目的とした。その結果,全例で接近項目得点は増加しており,特に抱っこを行なうことで父親になったと実感した例が最も多く,父親実感を得る上で重要であったと考えられた。また,退院に近づくにつれて「こわい」「むずかしい」といった回避得点が増加した例もみられた。これは退院後の生活に不安を抱いた低出生体重児の父親にとって当然の感情であると思われる。 今後は個々の父親に合ったケアを取り入れ父親と児が心地よいと感じる環境を整えることが必要であると考えられた。
著者
桑原 博道 墨岡 亮 新井 一 小林 弘幸
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.278-288, 2011-04-20 (Released:2017-06-02)
参考文献数
6
被引用文献数
2 2

本邦における脳神経外科領域の医療裁判例30を分析した.裁判上の争点は,いくつかに類型化されるが,このうち説明義務違反に関しては,他の争点に比して肯定されやすい傾向にあった.低侵襲治療もすでに裁判の対象となっており,低侵襲であることのメリットを過度に強調するかのような説明には注意が必要である.判決言渡しまでの期間は大幅に短縮されているが,脳神経外科医などの外科医にとって,裁判を起こされること自体が精神的苦痛であることに変わりはない.また,手技ミスなど,手術に関係する過失を理由とする裁判の増加は,外科手術施行の萎縮,ひいては外科医希望者の減少につながる.そこで,脳神経外科などの外科領域においても,産科領域と同様の無過失補償制度を導入することも考慮に値する.ただし,補償額を算定するにあたって,原疾患や術式の難易をどのように考慮するかが,大きな課題である.
著者
東 学 石田 克成 松原 真奈美 林 裕司 坂根 潤一 鈴木 俊紀 古屋 周一郎
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.438-444, 2020-07-25 (Released:2020-09-05)
参考文献数
11
被引用文献数
1

病理組織診断は,医療において最終診断となる重要な役割を果たし,この診断根拠となる病理組織標本の質を担保することは,病理組織検査に従事する検査技師の責務である。しかしながら,病理組織検査においては,染色方法や技量により個人間差や施設間差を生じやすく,特に標本の染色色調については病理専門医の色好みが加わるため,標準化が難しい分野でもある。一般社団法人日本臨床衛生検査技師会病理精度管理ワーキンググループでは,診断に適正な標本が作製されていることの確認と,標本作製過程に対する考え方の統一化及び良質な診断標本作製のための情報共有化を目的として,1972年より外部精度管理事業を開始した。その間,13回の二次サーベイランスを含む25回の染色サーベイランスと,16回のフォトサーベイランスに附随して26回の病理検査業務に関するアンケート調査を行ってきた。2011年度より染色サーベイが廃止され,現在ではフォトサーベイのみの外部精度管理となったが,多くの施設状況を確認し,最低限の知識の浸透を図るため,設問提示方法に様々な工夫を加えてきた。2017年の医療法改正に伴い,外部精度管理を受審する施設の多様化が予想され,今後更なる改善を重ね質の高い病理診断に寄与していきたい。
著者
林 潤 吉村 幸浩 内田 徹郎 前川 慶之 貞弘 光章
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.45, no.12, pp.1531-1537, 2013 (Released:2014-12-27)
参考文献数
11

小児に対する塩酸ランジオロールの使用報告は散見されるが, その有効性や投与量についてはいまだ明確ではない. 今回われわれは, 小児の心臓手術周術期に発生した頻脈性不整脈に対し, 塩酸ランジオロールを使用し良好な結果を得た 3症例を経験した. 各症例の背景や手術内容, また頻脈発作の出現時期やその種類などはいずれも異なっていたが, 血圧低下や徐脈などの有害事象をきたすことなく, 塩酸ランジオロールの持続投与により有効に頻脈性不整脈を抑制した. これまでの小児に対する使用報告からも, 塩酸ランジオロールは成人同様, 小児においても周術期の頻脈性不整脈に有効であることが示唆された.
著者
今泉 裕次郎 池田 さやか 小野 晴久 廣田 美樹 本村 環 堀江 淳 河島 博通 林 真一郎
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0130, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに,目的】慢性閉塞性肺疾患(COPD)は,炎症性サイトカインによる全身性炎症の影響により,心血管疾患や骨格筋機能異常など多くの併存疾患を合併する。糖尿病についても,健常者と比較して1.5倍のリスクを有し,また,COPD患者の約50%に複数のメタボリックシンドロームの要素を合併するとも言われている。しかし,これら先行研究は,欧米人を対象としたものであり,本邦におけるCOPDと糖尿病の関係を検証した先行研究は少なく,未だ,十分に解明されているとはない。そこで本研究の目的は,生活習慣病の中でも国民病と言われている糖尿病に着目し,糖尿病有病者における閉塞性換気障害の有病率を調査すること,更に,糖尿病有病者の呼吸機能を検討し,COPD早期発見の取り組みが必要であるかを検討することとした。【方法】対象は,当院健康管理センターにて呼吸機能検査を実施した863名(男性683名,女性180名,平均年齢51.8±8.3歳)とした。対象のうち,既に何らかの呼吸器疾患の診断がされている者,気管支喘息の既往,および親族に気管支喘息を有する者,呼吸機能検査がうまくできなかった者,データ使用に同意が得られなかった者は解析対象から除外した。調査項目として,呼吸機能はFVC,%FVC,FEV1.0,FEV1.0%,%FEV1.0を指標とし,栄養状態はBMIとした。問診では,糖尿病の有無,喫煙習慣の有無(ブリンクマン指数を算出)を聴取した。なお,本研究の「糖尿病有り(糖尿病有病者)」の定義は,既に確定診断がなされ,定期的に通院加療を受けている者とした。また,「閉塞性換気障害有り(閉塞性換気障害有病者)」の定義は,FEV1.0%が70%未満である者とした。統計学的分析として,閉塞性換気障害と糖尿病の関係は,χ2独立性検定で分析した。糖尿病有病者と非有病者の呼吸機能,BMI,ブリンクマン指数の比較は,Levenの等分散の検定後,Studentのt検定,またはWelchのt検定にて分析した。統計学的有意水準は5%とし,統計解析ソフトは,SPSS version20を使用した。【結果】対象者863名中,閉塞換気障害有病者は67名であり,有病率は7.8%であった。一方,糖尿病有病者は67名であり,糖尿病有病者の閉塞性換気障害有病者は11名で,有病率は14.9%であった。閉塞性換気障害の有無と糖尿病の有無の関連は,有意な関係性を認め(χ2=5.203,p=0.031),糖尿病有病者は,非有病者に対して閉塞性換気障害の合併が,2.3倍(95%CI=1.104-4.691)であった。次に,糖尿病の有無による呼吸機能の比較は,FVC(3.80±0.60L vs 3.54±0.57L;p=0.001),%FVC(109.54±11.9% vs 103.06±13.59%;p<0.001),FEV1.0(2.95±0.48L vs 2.69±0.51L;p<0.001),%FEV1.0(115.90±13.50% vs 111.52±16.44%;p=0.013),FEV1.0%(77.69±5.39% vs 75.70±7.03%;p=0.005)で,糖尿病有病者が有意に低値を示した。BMI(23.29±3.22 vs 24.98±3.83;p<0.001),および,ブリンクマン指数(304.89±375.98点vs 558.81±616.78点;p<0.001)の比較では,糖尿病有病者が有意に高値を示した。【考察】近年,COPDの国際ガイドラインGOLDは,COPDは肺疾患だけでなく全身性炎症疾患と位置づけ,他の慢性疾患と深く関与していると報告している。本研究においても糖尿病と気流制限との間には有意な関係性を認めた。また,糖尿病有病者で閉塞性換気障害を有する者の割合が高く,糖尿病有病者の中に,より多くのCOPD患者が潜んでいる可能性のあることが示唆された。また,糖尿病有病者の呼吸機能は,有意に低下しており,これらの要因として,第一に喫煙習慣の関与が考えられる。本研究においてブリンクマン指数が,糖尿病有病者で有意に高かったことを考慮すると,糖尿病と閉塞性換気障害の両者の共通趣向背景として,喫煙習慣がみられ,共通のリスク要因になったものと考える。本研究により糖尿病と閉塞性換気障害の関係が明らかになりに,糖尿病有病者に対しては,「閉塞性換気障害を有するリスクがある」ことを留意する必要性が示唆された。【理学療法学研究としての意義】糖尿病を有する者の呼吸機能,特に閉塞性換気障害に関する詳細が明確となった。COPDの早期発見の一助として,糖尿病患者に対して潜在的COPD患者であることのリスクを,想起する必要性を提示できた有意義な研究となった。
著者
村上 智美 林田 光祐 荻山 紘一
出版者
一般社団法人 日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.88, no.3, pp.174-180, 2006-06-01 (Released:2008-01-11)
参考文献数
36
被引用文献数
1 1

サポニンを含む果皮とそれを除去するヤマガラの貯蔵行動がエゴノキ種子の発芽に及ぼす影響を明らかにするため, エゴノキの種子散布と発芽特性を東北地方の落葉広葉樹林で調べた。成熟果実は9月までにすべて樹上から消失した。4日間の観察期間中ヤマガラのみがエゴノキに飛来し, そのうちの80%で果実を運搬する行動がみられた。樹上からなくなった果実のうち, 83.0~87.2%が樹冠外に持ち出されたことから, 樹上果実の大半はヤマガラによって運搬されたと考えられる。残りの果実は自然落下したが, これらの果皮は11月中旬まで分解されずに残った。野外での発芽実験では, 果皮を除去した種子は36%の平均発芽率がみられたが, 果実は4%とわずかで, 種子の発芽率が有意に高かった。果皮に含まれるサポニンの量は果実が落下すると急激に減少することからサポニンが発芽を抑制しているとは考えにくい。ヤマガラの貯蔵行動は発芽阻害の原因となる果皮を除去するという行為を伴うので, エゴノキの種子を散布させるだけでなく, 発芽にも大きく貢献していると考えられる。
著者
田野井 慶太朗 李 俊佑 中西 友子 西村 拓 二瓶 直登 山岸 順子 小林 奈通子 廣瀬 農
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-07-10

福島第一原発事故以降、放射性セシウムで汚染された堆肥の使用を差し控える傾向にある。汚染堆肥から作物への移行に関して不明であった。そこで、どの程度の汚染堆肥だとどういった量の放射性セシウムが作物に移行するのか調べた。高濃度に汚染した堆肥はソバへの移行も確認されたが、低い汚染レベルの堆肥の場合、連用してもソバへの移行は少なかった。堆肥から供給されるカリウムによる移行係数の低減効果が考えられた。
著者
小林 慎治
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.229-234, 2019 (Released:2019-09-14)
参考文献数
12

インターネットで大規模に収集されたデータを用いて,機械学習をベースとした人工知能技術が発展し,創造的価値が生み出されつつある.医療分野においも国家レベルで診療データを収集し,保健行政や臨床研究,創薬に役立てていこうとする試みが世界各国で進められてきた.日本においても診療データの二次利用に向けて法制度が進められると同時に,普及が進んだ電子カルテから診療情報を大規模に収集する事業が国家的プロジェクトとして進められている.しかしながら,電子カルテのデータを収集すること,そしてそのデータを活用していくことは実際にはそう簡単ではない.関心のあるデータを特定の用語を使って高速に検索してデータを収集することは電子化のメリットの一つであるが,診療データに記録されている用語が標準化されておらず,効率よくデータを検索できないなどの問題がある.そのため医学用語集の整備と標準化が進められており,複数の用語でも効率よく対応できるシソーラスやタキソノミーの開発や,知識工学を応用したオントロジーの開発も進められている.さらに,概念の構造と用語の関係を明示した情報モデルの開発により,質の高い情報基盤の整備へと発展しつつある.本稿では臨床情報を機械的に処理する際の問題点とその解決法として,用語と情報モデルについて解説し,その標準化について概説する.
著者
林 熊男
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.287-301_3, 1942-04-20 (Released:2011-10-14)
参考文献数
5