著者
堀井 洋 林 正治 堀井 美里 沢田 史子 吉田 武稔
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.16, pp.1-7, 2009-07-18

地域歴史観光分野において歴史資料を題材とした商品の企画を行う際には,「その歴史資料がどのような観光的特徴を,どの程度含んでいるのか?」を具体的に企画者が把握することが必要である.しかし,歴史資料の記述内容を歴史学専門家以外が正確かつ客観的に把握・評価することは,歴史学的な知識や経験などの問題から非常に困難であり,この「歴史資料の難解さ」が歴史資料の活用促進を阻害する一要因となっていた.そこで本論文では,歴史資料に含まれている観光的特徴・要素の客観的な評価について論じる.観光的特徴評価に際しては,現代の観光事情を反映した観光分類を定義して歴史資料中に出現する単語の定義分類を行い,それらがどのように歴史資料中に含まれているか明らかにする.Recently, some history tourism products are proposed and developed in Japan. In development process of history tourism, understanding of historical records by developers themselves in local region is important. In this paper, we proposed an analysis method of historical and touristic characteristics for history tourism.
著者
青島 清雄 小林 正
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.9, pp.289-293, 1952-09-25
被引用文献数
1

マツの青変材の青変菌が死んでからの耐朽性を知る目的で, マツの青変菌Ceratostomella ips RUMB.2系統Graphium sp.及びLeptographium sp.夫々1系統をアカマツ辺材の試験片に接種して充分変色させてから蒸気殺菌して, マツノオオウズラタケ, ヒトクチタケ, シハイタケ, ワタグサレタケ及びチヨークアナタケを夫々の青変材に接種し, ワタグサレタケは6カ月後, 他の4種の腐朽菌は1年後に試験片の重量減少率を測定した。この結果からは青変材と健全材とは耐朽性に統計的に意味のある差異は見出せない。
著者
三野陽子 小林一郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.583-585, 2011-03-02

今日,メタボリックシンドロームや生活習慣病の有病者が増加し,国民の健康改善への意識が向上している.また,医食同源という考え方があるように,バランスのとれた食事を取ることが健康な生活につながる.そこで本研究では健康管理の一つとして,食事に注目し, 個人のスケジュールを考慮したレシピ推薦手法を提案する.提案手法では,初めにスケジュールを基にカロリー摂取量を制限したレシピの候補を選択し,更に線形計画法を用いて栄養バランスが良い健康面に配慮したレシピを推薦する.また,推薦された食事を食べなかった場合や使用したい食材がある場合など様々な状況にも柔軟に対応し,レシピ推薦を行う.
著者
吉岡 幸男 岡本 哲治 小鹿 一 林堂 安貴 新谷 智章
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

日本近海に生息する海洋生物から抽出された化学物質を精製する.精製された化学物質に対しBio assayを行い,活性のある画分の精製を進める.分離された溶解物を構造解析装置にて構造決定し,既知の物質か新規の物質か確認し,新規の物質であれば機能解析や動物実験に必要な量を大量合成するとともに新規の誘導体を化学合成する.口腔扁平上皮癌の幹細胞の表面マーカーとしてCD133は有用である.口腔扁平上皮癌細胞よりCD133陽性細胞を分離し,その幹細胞としての特徴を解析するとともに,新規生理活性物質のCD133陽性細胞の抗腫瘍効果を予定する.
著者
小林 一也 吉海 智晃 後藤 健文 稲葉 雅幸
出版者
一般社団法人 日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.416-423, 2013 (Released:2013-06-15)
参考文献数
11
被引用文献数
1

It is preferable that robots have soft outer cover and give themselves fewer impact in contact with humans or surroundings. Although self-protection is one of the most important functions and inevitably required for robust robot architecture, Simple introducing thick “flesh” to a robot tends to impede the movability and generality. In this paper, we have realized soft and thick outer cover by multilayered and distributed softness, and have introduced joint protection by dislocation and auto recover function. Finally, we realized various contact behaviors by the robot with distributed soft cover and joint dislocation ability.
著者
林田 理惠
出版者
大阪外国語大学
雑誌
大阪外国語大学論集 (ISSN:09166637)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.27-48, 1990-12-15

学習言語でのコミュニケーション活動を学習者に首尾よく習得させる上で、母語の位置と役割をいかにとらえていけばよいか、異言語と母語による発話形成プロセスの言語心理学的観点からの対照分析が必要なことを前論文で提示した。それをうけて、当論文ではまず、発話形成プロセスの操作メカニズムの各段階を詳細に検討し、各言語に特有な操作メカニズムが存在する一方で、各言語共通の操作メカニズムというものも観察できることを明らかにする。各言語に特有な操作メカニズムは、異言語学習の際には当然新たに習得することが必要となるが、一方、各言語共通の操作メカニズムについては、さらに、母語の操作メカニズムの異言語への完全な転移という形での移行が可能なものと、母語の操作メカニズムをベースとして、異言語での発話の際にその矯正過程が必要なものとの2つに分けることが出来る。すなわち、この各言語共通の操作メカニズムというものの転移、矯正ということを有効に活用することが、異言語学習を効率化する上できわめて重要な点となるのである。特に、その矯正過程を学習過程にいかに取り入れるかは、異言語学習の成否を分ける点として注目されなければならないだろう。そしてその矯正過程をスムーズに行なう為にこそ、異言語と母語による発話形成プロセスの操作メカニズムの言語心理学的観点からの対照分析を行ない、その結果明らかになった異同点を学習者に認識させることが必要になってくるのである。当論文の後半部では、以上の論点を証明する為に、上で見た発話操作メカニズムの対照分析をベースにしたロシア語動詞の語結合の実験学習の具体例を紹介する。
著者
平野 誠一郎 伊藤 均 望月 俊直 林 荘太郎 清水 完悦 野呂 忠慈 木川田 隆一
出版者
北里大学
雑誌
北里医学 (ISSN:03855449)
巻号頁・発行日
vol.15, no.5, pp.318-324, 1985-10-31

激しい運動直後に血圧が下降し,低血圧性失神すら起こるスポーツマンの1例について,その発生機転を追求した。血圧が正常のさいの臥位の循環動態は高分時心拍出量(CO)型を示し,末梢流血抵抗(TPR)の減りを伴った。treadmillによる運動負荷によって運動後低血圧症を誘発したさいの循環動態では,COの著しい減少をみ,そのさいに生じたTPRの増加は不充分で降圧を阻止しえなかった。この運動後低血圧症は静脈緊張を高めるdihydroergotamine服用により改善された。体位変換時や運動時の血漿catecholamineの増しは正常範囲で,降圧機転に交感神経緊張低下が重大に関与するとは思えなかった。運動後低血圧症の発生機転は今なお不明であるが,まず運動後に静脈側に大量の血液がとり込まれてCOを下げること,さらに交感神経β刺激に対する細動脈のhyperreflexia,あるいは運動時に生じたHessのNutritions reflexが運動後に存続したり,運動後の灌流圧減少に対して異常に強いBayliss効果が出現したりするような細動脈のautoregulationの異常がTPRの増加を不充分にすることなどが主な機転と考えられた。
著者
米林 甲陽 JONG Foh Sho CHAI Oi Khun LIM Chin Pan 糟谷 信彦 舟川 晋也 金子 信博 犬伏 和之 岡崎 正規 足立 忠司 松本 聰 有賀 祐勝 CAO Van Sung ERNEST Chai YUSUP Sobeng 金子 隆行
出版者
京都府立大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1992

東マレーシア・サラワク州シブのナマン泥炭地自然保護林内において土壌調査,森林植生調査を行った。アッサン川岸から森林内部に入るに従い地下水位は低まり,泥炭に埋没している木質量は表層で減少していた。泥炭湿地林は周辺部から中心部に向けて同心円状に変化し,川に近い周辺部は混合湿地林であるが,3kmより奥はフタバガキ(アラン)の純林となっている。泥炭湿地林の林床は局所的に凹凸を示すため,微地形の定量化と凹地と凸地での落葉分解速度,土壌動物の生息密度を測定した。凹地と凸地の高低差は最大1mであった。凸地は大きな木の周りの根の盛り上がった場所であり,若木は凸地にしか見られない。木の存在が微地形の形成に関与し,さらに微地形が樹木の実生の定着に影響していることが明らかとなった。リターバッグ法で測定した落葉の分解速度は凸地で高く,他の熱帯林と同様の値を示した。凹地ではリターバッグ中のリターはほとんど形態変化しておらず,重量変化はリーチングによるものである。また,凹地には土壌動物はほとんど生息していないことが明らかとなった。泥炭湿地林ではシロアリが比較的少なく,ミミズも採取されていない。一方,小型節足動物であるササラダニは凸地で極めて高い密度を示した。リターフォール量の測定と養分分析を行った結果,リターフォールの季節変化は認められず,年間を通してほぼ一定量のリターが林床に供給されており,その量は8.35トン/年であった。この量は他の熱帯林で報告されている値の範囲内にある。また,養分還元量も他の熱帯林にほぼ匹敵する値を示し,特にリンの還元量は比較的多かった。熱帯湿地林は貧栄養な条件下で有機物分解が抑制されながら成立していると考えられているが,泥炭地の周辺部に位置する混合湿地林では,リターフォール量,養分還元量から考えると,栄養塩類が特に不足しているとは考えられない。養分元素の循環量を評価するため,地下30cm,80cmの土壌間隙水を毎月採水して日本に送付し,無機成分分析を行った。泥炭地周辺部では土壌間隙水中の窒素,リンの濃度は決して低くなく,日本の都市河川水に匹敵する値を示した。しかし,湿地林の奥地のアラン林下では下層のリン濃度が低いことを認めた。森林の自己施肥機能による養分循環量が高いことを示唆する。ムカのタウラ泥炭試験場において,地中探査機を用いてレーダー探査を行ない,20×10mの開墾地を幅1mおきに走査した。探査地点で長さ10m深さ1mのトレンチを掘り,断面を精査しレーダー探査結果と比較した結果,よく一致しており,泥炭土壌における埋没大径木の分布状態の図化が可能となった。泥炭地における持続的開発のための最重点作目としてサゴヤシをとりあげ,タウラ泥炭地試験場サゴ圃場,周辺サゴ栽培農家圃場で、土壌調査,サゴヤシの伐倒調査を行った。サゴヤシの生育測定を行なった結果,泥炭層の厚い圃場では泥炭層の薄い圃場に比べて成長が遅く,幹にデンプンを蓄積するまで時間がかかることを認めた。また,厚い泥炭で生育したサゴヤシ中の銅濃度はきわめて低く,亜鉛濃度は鉱質土壌の場合の2分の1であった。泥炭地のサゴヤシ栽培生態系における微量元素の循環量を,雨水による付加量,排水による流出量,サゴヤシの収穫による搬出量から計算した。銅は系内に蓄積される傾向が見られたが,亜鉛は系外に失われていく傾向にあることが明らかとなった。泥炭地から発生しているメタンをチャンバー法により測定し、湛水下層土から多量のメタン放出を認めた。メタン発生活性は表層付近で高かったが,好気条件での潜在的メタン酸化活性は全層で検出された。泥炭土壌中の微生物バイオマス量は表層で最も高く,下層ほど低下する傾向を示した。タイ国ソンクラ湖南湖で水質分析,プランクトン,クロロフィル測定等を行った。懸濁物質濃度は雨期に高く,乾期に低い傾向が認められた。クロロフィルaを指標とする植物プランクトン量は比較的低レベルであり,顕著な季節変動は認められなかった。さらに,湖底堆積物の性質は,内陸と外洋に接する部分で全く異なり,外洋側底泥土は酸性硫酸土壌であるため,酸化状態で著しい酸性を示すが,内陸側底泥土は陸地還元が可能であることを明らかにした。
著者
小林 千枝子
出版者
作新学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

1960年代の高等学校多様化政策は、一般には、多様な学科の成立を促したことと理解されてきているが、定時制・通信制課程に目を向けると、産業界の要請のもと、修学形態の多様化がもたらされた点が注目される。昼間二交代定時制は産業界の要請のもとに繊維産業の二交代勤務に合わせた定時制である。通信制と定時制を併用する隔週定時制もある。また、戦後各町村に設置された新制中学校のなかには、生徒数は少ないため「貧弱」であるという理由から廃校に追い込まれたケースがある。その背後に市町村合併があった。高度成長期を境に農林漁業から工業へと産業構造が転換したが、そのことは青少年を都市部へ突き動かす役割を果たした。
著者
若林 満
出版者
名古屋大学
雑誌
名古屋大學教育學部紀要. 教育心理学科 (ISSN:03874796)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.173-187, 1987-12-24

わが国企業の国際化は, 1980年代にはいって急速な進展をみせており, 最近の円高傾向はこの動向にはくしゃをかけている。日系企業が海外において受け入れられ, 定着し, 着実に発展するためには, 現地従業員との融合が不可欠である。なぜなら, 日本的経営の最大の特色の一つは, 各企業が独自の方法で人材を育成し, 人的資源の充実と呼応する形で業務の展開を行なうことにあるからである。それ故, 現地従業員をどれだけ教育訓練し, 事業拡大の人的資源として活用できるかが, 今後の海外日系企業の発展の鍵をにぎる重要なファクターの1つとなろう。このような観点から, 本稿では既存の調査データをもとに, アメリカとASEAN調査において日系企業がどのような人材育成の試みを行ない, どのような問題に直面しているかがまず検討された。これらの地域において日系企業は, 各種の日本的経営の試み(終身雇用, 年功序列賃金など)を行なっていたが, 大部分は大きな修正を迫られていた。このことから, 海外日系企業は日本の制度や慣行をそのまま現地に移植するのではなく, これらが発揮していた"経営機能"(雇用安定, キャリア形成, 仕事への動機づけなど)を現地において獲得すべく, 新しい制度や慣行の確立(すなわち新しい人的組織のあり方)が必要であることが主張された。このような新しい人的組織は, 現地の制度や慣行, 日本固有のシステム, それに新たな革新的なアイデアを基礎とした, 混合(hybrid)モデルの性質をもつであろうことが示唆された。加えて新しいシステム構築のための方法について, 若干の提案がなされた。