著者
味戸 正徳 長田 哲平 大森 宣暁
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.1630-1637, 2023-10-25 (Released:2023-10-25)
参考文献数
15

国内初の新設のLRTがこの度宇都宮で開業する. LRT事業は開業までに様々な出来事が起き,新聞報道として取り上げられることが多かった. 本研究では,事業が加速度的に進んだ2013年以降の10年間のLRT事業の歴史の変遷と新聞別で定性・定量的に見出し記事を分析すると全国紙,経済紙,地方紙でそれぞれ報道の仕方の違いが明確になり,各紙で報道傾向がある可能性を示した.
著者
土橋 喜人 鈴木 克典 大森 宣暁
出版者
一般社団法人 日本福祉のまちづくり学会
雑誌
福祉のまちづくり研究 (ISSN:13458973)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.1-12, 2020-03-15 (Released:2020-12-28)
参考文献数
27

公共交通機関では1970 年代より優先席が導入されてきたが、その実効性に関しては十分に検証されていない。本研究では、札幌市営地下鉄の専用席(優先席に該当)における制度の浸透の背景についてのインタビュー調査、札幌市営地下鉄の専用席と関東圏地下鉄の優先席の利用者実態観測調査および両地区近郊在住者に対するアンケート調査を通して、実情の把握を試みた。インタビュー調査により、導入背景は確認できたが浸透背景までは明確にならなかった。また、観測調査により専用席の制度の実効性の高さが検証された。一方、アンケート調査より、制度(用語)の違い、意識の違い、意識と行動の差等が、札幌の専用席の実効性の高さの要因であることがわかった。市民性にもよるが、専用席の制度は他地域での導入の試行も検討に値する。
著者
伊藤 香織 青野 貞康 大森 宣暁
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.873-878, 2013-10-25 (Released:2013-10-25)
参考文献数
13
被引用文献数
4 5

本研究は,東日本大震災時の首都圏における帰宅行動,特に帰宅までの立ち寄り行動とその内容に着目し,発災から帰宅までの間にどのような人にどのようなサービスニーズがあり,どのような施設がどのように帰宅行動を支えたのかを明らかにする.2011年3月11日の首都圏での帰宅行動に関するwebアンケート調査の回答をデータとして,まず立ち寄り施設で受けたサービス内容についてロジスティック回帰分析を行うことで,どのような人にどのようなニーズがあったかを明らかにする.続いて,立ち寄り時にどのような状況に接してどのような心理変化が引き起こされたのかを明らかにするためにアンケートの自由回答をテキストマイニングで分析する.サービスの分析からは,出発時刻や性別などによってニーズが異なること,また,職場・通学先・家族宅等以外で地震に遭った者が特に帰宅支援サービスを必要としていたことが明らかになった.心理・状況の分析からは,人々は安否確認,飲食物入手,鉄道運行,待機行列,帰宅行動などを気に掛けていたこと,飲食店,小売店,職場,友人・家族宅などで安心感を得ており,ある種の共助的な支援があったことも確認できた.
著者
山口 真奈美 吉岡 靖雄 吉田 徳幸 宇治 美由紀 三里 一貴 宇高 麻子 森 宣瑛 角田 慎一 東阪 和馬 堤 康央
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
vol.40, 2013

近年,粒子径100 nm以下のナノマテリアル(NM)と共に,10 nm以下のサブナノマテリアル(sNM)の開発・実用化が進展している。その中でも,白金粒子を数nmという大きさに制御した白金ナノコロイド(サブナノ白金;snPt)は,人体の皮膚表面や腸内で発生する全ての活性酸素種の除去に有効であるとされ,既に健康食品や化粧品などに添加されている。一方で,特にsNMは,分子と同等サイズであるために,あらゆる経路から体内に吸収される可能性など,NMとも異なる特有の体内動態に起因する生体影響が懸念されている。本観点から我々は,snPtの安全性確保を目指したNano-Safety Scienceの観点から,体内動態と生体影響の連関情報(ADMET)を収集している。本検討では,一次粒子径が1 nm,8 nmのsnPt (snPt1, snPt8)を経口投与した際の血中移行性や,尾静脈内投与後の血中消失速度に関して情報を収集した。snPt1とsnPt8をマウスに経口投与し,経時的な血中Pt濃度を誘導結合プラズマ質量分析計(ICP-MS)で測定した。その結果,snPt1は少なくとも2%以上が体内へと移行するが,snPt8は体内へ殆ど吸収されないことが判明した。次に,これら素材をマウスに尾静脈内投与し,血中消失速度を検討した。その結果,snPt1の血中半減期は,snPt8の約1/8であり,snPt8とは異なる特徴的な動態を示すことが明らかとなった。本結果は,粒子径1-8 nmの間に,体内動態に関する閾値・変動点が存在する可能性を示した知見である。今後,粒子径に依存した腸管吸収や排出メカニズムを精査することで,NM・sNMの最適設計(Nano-Safety Design),さらには生体の異物認識におけるサイズ認識機構を解明する足掛かりとなることを期待する。
著者
森 宣瑛 吉岡 靖雄 平井 敏郎 髙橋 秀樹 市橋 宏一 宇髙 麻子 植村 瑛一郎 西嶌 伸郎 山口 真奈美 半田 貴之 角田 慎一 東阪 和馬 堤 康央
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会 第41回日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.P-9, 2014 (Released:2014-08-26)

近年、腸内細菌を有さないマウスの検討などにより、腸内細菌が宿主免疫細胞におよぼす影響が明らかになりつつあり、腸内細菌叢の有無が、免疫細胞の発達や各種免疫疾患の悪化・改善に寄与することが判明している。一方で、食事や抗生物質の服用などによる腸内細菌叢の変動が、免疫機能に与える影響は未だ不明な点が多い。従って、今後、環境要因による腸内細菌叢の変動を理解・制御できれば、各種疾患の予防や、健康増進に繋がるものと期待される。本観点から我々は、食餌成分や化学物質などが腸内細菌叢に与える影響を評価すると共に、腸内細菌叢の変動と宿主免疫機能の連関解析を図っている。本検討では、腸内細菌叢に最も大きな変動を誘導すると考えられる抗生物質の曝露が、宿主免疫系におよぼす影響を評価した。2週間連続で抗生物質を投与し、腸内細菌数の変動を解析したところ、コントロール群と比較して腸内細菌数が減少していた。次に、抗生物質を投与後、コレラトキシンとニワトリ卵白アルブミン(OVA)を経口免疫したところ、コントロール群と比較して、OVA特異的IgG・IgG1・IgEがほとんど誘導されないことが明らかとなった。また、抗生物質を投与した後、3週間後から免疫を開始した場合においても同様の傾向が認められた。次に、抗体産生抑制のメカニズムを解析するため、抗生物質を2週間投与後、宿主免疫系への影響を解析した。その結果、腸管の免疫組織であるパイエル板では、抗生物質投与によりCD4陽性T細胞の割合が減少しており、抗生物質投与終了3週間後にも、同様の傾向が認められた。即ち、抗生物質の一時的な投与は、長期間に渡って宿主免疫系に影響をおよぼし続けることが明らかとなった。今後、抗生物質をはじめとした様々な物質による、腸内細菌叢への作用機構、腸内細菌叢の変動による生体影響の関係を精査し、新たな毒性学・安全科学研究を推進したいと考えている。
著者
高見 淳史 大森 宣暁 青木 英明
出版者
The City Planning Institute of Japan
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:13482858)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.55-60, 2011

2010年7月,ロンドン中心部で「Barclays Cycle Hire」のサービスが開始され,パリのVelib'に続く大都市での大規模な自転車共同利用システムの導入となった。本稿はこのシステムを取り上げ,導入の背景,Transport for London・Serco社・Barclays社など各主体の役割,需要予測の手法,ステーション敷地の選定基準,開業初期時点における利用状況や課題,などについて整理した。利用や運営の状況に関しては,計画された規模の完成に向けて整備が進められる途上の情報ではあるが,利用は1日平均約15,000回で目標水準に達していないこと,通勤利用の多さから一部地区で自転車や空きラックの不足が問題化していること,開業後の自転車再配置の改善やステーションの漸進的な設置の過程でそれへの対応が試みられていること,などを示した。
著者
川村 竜之介 谷口 綾子 大森 宣暁 谷口 守
出版者
土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.I_511-I_521, 2015

本研究では,我が国において,公共交通車内における「弱者に席を譲る」「騒ぐ自分の子どもを注意する(抑止する)」という二つの協力行動を促すための有効な方策を明らかにすることを目的とし,欧州と東アジアの6か国における協力行動と規範の関係性に着目した.協力行動と規範の主観的評価については国際アンケート調査から,「マナーに関するアナウンスや掲示物」等,協力行動に影響を及ぼすと考えられる環境要因については鉄道会社のWebサイトや現地調査から把握し,分析を行った.その結果,「優先席」で席を譲る行動を促すアナウンスは,優先席以外で席を譲る行動を阻害している可能性がある事,また「騒ぐ自分の子供を注意する」行動を促すためには,周囲の協力行動に対する認知「記述的規範」を高める事が効果的である可能性が示された.
著者
大森 宣暁 原田 昇 太田 勝敏
出版者
Geographic Information Systems Association
雑誌
GIS-理論と応用 (ISSN:13405381)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.81-89, 2003-09-30 (Released:2009-05-29)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

Understanding travel behavior is essential for urban transportation planning. This paper presents the development of a GIS-based system for understanding individual travel behavior under space-time constraints and its application to the graduate class of environmental information system in spatial planning and policy. Required input data consist of activity schedules, transportation networks and activity opportunities. Potential Path Area (PPA) and the feasibility of participating in activities in space-time prisms can be simulated and represented on GIS, before and after changing constraints. The system is very useful for students to understand activity-travel behavior in urban space.
著者
菅野 健 大森 宣暁 長田 哲平
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.I_809-I_816, 2018 (Released:2019-01-10)
参考文献数
27

少子高齢社会に直面する我が国において,近年,大学生の東京一極集中の進行など,地方都市における若年人口の減少が問題となっている.今後の大学キャンパスおよび周辺の施設立地を検討する上でも,大都市と地方都市の学生生活の実態と生活の質との関係を探ることが有効であると考えられる.本研究は,首都圏および地方都市の大学生を対象に,学生生活の実態と意識,特に余暇活動と主観的幸福感との関係を明らかにすることを目的とする.分析の結果,大学所在地が東京都心寄りであるほど余暇活動施設数や余暇活動に対する満足度および主観的幸福感が高く,学年,交際相手の有無,サークルや部活動への所属,アルバイトに対する意識,自宅内外の嗜好,余暇活動の頻度,余暇活動の満足度が,主観的幸福感に影響を与えることが明らかとなった.
著者
上田 秀明 田村 義輝 杉山 隆朗 野木森 宣嗣 加藤 昭生 若宮 卓也 小野 晋 金 基成 柳 貞光
雑誌
第55回日本小児循環器学会総会・学術集会
巻号頁・発行日
2019-04-26

【背景】フォンタン術後の蛋白漏出性胃腸症PLEは、治療抵抗性で予後不良とされている。PLEを発症して4年以上のフォンタン術後PLEの治療および中・長期予後を検討した。【対象】当院で経過観察中のPLE発症4年以上のフォンタン術語PLE10例(男6、女4)。年齢は中央値14(8-24)歳。主心室は左室1、右室6、無脾症3例であった。【結果】フォンタン術式は APC1、心内導管型TCPC1、心外導管型TCPC8例。TCPC時にフェネストレーション作成を行ったのは6例。導管直径は16mm 4例、18mm 3例、20mm 2例。PLEの診断は、血中蛋白濃度、消化管蛋白漏出シンチグラムや便中α 1 アンチトリプシン・ クリアランス値より行なった。【治療】内科的治療として、ステロイド療法3例で1例ブデゾニド使用例。全例入院加療中に持続ヘパリン療法を行なった。カルベジロール6例、肺高血圧治療薬5例に導入した。皮下注用免疫グロブリン製剤ハイゼントラ使用継続中3例。高タンパク食などの栄養療法4例。側副血管コイル塞栓術1例、末梢性肺動脈狭窄に対するステント留置術1例を行った。外科的介入例なし。【結果】 死亡例は初期のAPC1例で、9例生存、現在NYHA心不全分類でI度 3、II度 6例。ステロイド療法3例とも継続中で、低蛋白血症が消失しているのは、ハイゼントラ使用例を含む4例。中心静脈圧、肺血管抵抗、心係数はそれぞれ中央値13(10-15)mmHg、中央値1.3(0.7-2.3)units・m2、中央値3.6(2.3-4.1)L/min/m2。造影上の主心室の駆出率は中央値46(38-56)%。【結語】遺残病変の修復、病初期からヘパリン療法、利尿薬の増量に加え、抗心不全療法、皮下注用免疫グロブリン製剤の導入により、予後は改善してきているものの、運動耐容能の低下から日常生活上制限を受けていることが多い。今後、注意深い経過観察や新たな抗心不全療法が求められる。
著者
宇髙 麻子 吉岡 靖雄 吉田 徳幸 宇治 美由紀 三里 一貴 森 宣瑛 平井 敏郎 長野 一也 阿部 康弘 鎌田 春彦 角田 慎一 鍋師 裕美 吉川 友章 堤 康央
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会 第39回日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.O-39, 2012 (Released:2012-11-24)

抗原を粘膜面から接種する粘膜ワクチンは、全身面と初発感染部位である粘膜面に二段構えの防御を誘導できる優れたワクチンとなり得る可能性を秘めている。しかし抗原蛋白質は体内安定性に乏しく、単独接種ではワクチン効果が期待できない。そのため、免疫賦活剤(アジュバント)の併用が有効とされており、既に我々はTNF-αやIL-1α等のサイトカインが優れたアジュバント活性を有することを先駆けて見出してきた(J.Virology, 2010)。しかしサイトカインは吸収性にも乏しく、アジュバントの標的である免疫担当細胞への到達効率が極めて低い。そのため十分なワクチン効果を得るには大量投与を避け得ず、予期せぬ副作用が懸念される。言うまでも無く、現代のワクチン開発研究においては、有効性のみを追求するのではなく、安全性を加味して剤型を設計せねばならない。そこで本発表では、ナノ粒子と蛋白質の相互作用により形成されるプロテインコロナ(PC)を利用することで、サイトカイン投与量の低減に成功したので報告する。PCとは、ナノ粒子表面に蛋白質が吸着して形成する層のことを指す。近年、PC化した蛋白質は体内安定性や細胞内移行効率が向上することが報告されている。まず粒子径30 nmの非晶質ナノシリカ(nSP30)を用いてPC化したTNF-α(TNF-α/nSP30)を、ニワトリ卵白アルブミン(OVA)と共にBALB/cマウスに経鼻免疫し、OVA特異的抗体誘導能を評価した。その結果、有害事象を観察することなく、0.1 µgのTNF-αを単独で投与した群と比べ、TNF-α/nSP30投与群においてOVA特異的IgG・IgAの産生が顕著に上昇していた。以上、PCがTNF-αアジュバントの有効性と安全性を向上できる基盤技術となる可能性を見出した。現在、体内吸収性の観点からPC化サイトカインのワクチン効果増強機構やナノ安全性を解析すると共に、最適なPC創製法の確立を推進している。
著者
加藤 祐三 森 宣雄
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.463-468, 1996-03-12 (Released:2010-03-11)
参考文献数
10

The records on a disastrous earthquake of July 25, 1882, southern Okinawa Island were discovered for the first time from nine archives. The most important are: “Okinawa-nisshi” written by Hatakeyama, a secretary of prefectural governor Uesugi; “Ryukyu-iki-nisshi” written by Ozaki, high official, dispatched from the central government to inspect a political situation in the Okinawa Prefecture; the official diary of the Okinawa Prefecture; and, the official document from the Okinawa Prefecture to the central government. Synthesizing these records, the earthquake happened between 1 and 2a. m., on July 25th, 1882, and aftershocks were intermittent for seventy days following. While there were no casualties, 500 stone walls were broken in Naha City. Analysing these records, the seismic intensity of this earthquake was probably 5. The reason why this earthquake was not discovered for about one hundred years is, firstly, the records of “Kyuyo”, an official document of the Ryukyu Kingdom, had already stopped, because the Kingdom was ruined three years before the earthquake, and secondly, the Japanese earthquake observation system was insufficient at the time of the earthquake.