- 著者
-
渡辺 泰
広川 文彦
- 出版者
- 日本雑草学会
- 雑誌
- 雑草研究 (ISSN:0372798X)
- 巻号頁・発行日
- vol.1969, no.9, pp.36-41, 1969-12-25 (Released:2009-12-17)
- 参考文献数
- 8
北海道の畑作雑草10種を対象に, 種子の休眠の程度とこれらの越冬条件に対する反応を調査した。(1) イヌタデ, シロザ, オオイヌタデ, タニソバは休眠が深く, 半年地中越冬すると覚醒したが, 5℃室内越冬によっても後の2種は相当覚めた。アキノエノコログサ, ツユクサ, ヒメイヌビエも休眠が深いが, これらの種子は5℃室内越冬によって休眠が覚めた。ナギナタコウジュは採種直後の種子で休眠を示した。地中越冬よりも5℃室内越冬の発芽率が高かった。ハコベは8~9月採種種子は休眠が浅く, 地中越冬で二次休眠に入り, 翌春変温下で覚醒した。11月採種種子は休眠がかなり深く, 低温湿潤処理しても覚めなかった。アキメヒシバは休眠が最も深く, 各種の処理でも覚めなかった。(2) 冬期間戸外の大気中で後熟したものはアキノエノコログサ, オオイヌタデ, ナギナタコウジュ, ヒメイヌビエであった。(3) 0~1℃の湿潤濾紙上で休眠が覚めた種類とその所要期間は, オオイヌタデとシロザが1か月, イヌタデが2か月, ナギナタコウジュが4か月, タニソバが6か月であった。その他の種類は6か月の処理期間中全く休眠が覚めなかった。