著者
熊谷 隆之
出版者
立命館大学人文学会
雑誌
立命館文學 (ISSN:02877015)
巻号頁・発行日
vol.624, pp.675-684, 2012-01

鎌倉幕府文書は、関東・六波羅・博多発給文書に大別でき、それぞれは下文様文書と書札様文書からなる。関東発給文書の場合、下文様文書は概して下文と下知状に分かたれ、その主たる用途は補任宛行・安堵・裁許である。時期を下るにつれて、下文の用途は補任宛行・安堵に限定される一方、下知状は補任宛行・安堵とともに、裁許にも用いられることになる。これまで関東発給の下知状は、関東下知状として一括して把握されてきた。ところが、鎌倉期をつうじて分析してみると、下知状は、当初、五つの様式からなり、時期を下るにつれ、二つの様式に確立したことが判明する。そのうえで、下知状の主たる用途である補任宛行・安堵・裁許に着目し、それらを俯瞰しなおすことで、従来とはややおもむきを異にする下文様文書の総体的な輪郭が浮き彫りになるとともに、鎌倉幕府の安堵と裁許をめぐる新たな論点が浮上することになるだろう。
著者
熊谷 隆之
出版者
越中史壇会
雑誌
富山史壇 (ISSN:02880458)
巻号頁・発行日
vol.168, pp.72-72, 2012-07
著者
熊谷 隆之
出版者
越中史壇会
雑誌
富山史壇 (ISSN:02880458)
巻号頁・発行日
vol.168, pp.1-12, 2012-07

日本中世、なかでも鎌倉期の列島社会は、首都京都に加え、鎌倉という、もうひとつの政治都市をもつにいたる。結果、当該期には、古代以来の五畿七道とともに、それに対応した地域区分が生出する。《東国》と《西国》である。かねて筆者は、列島を「東国」「北国」「畿内近国」「鎮西」に区分し、関東・六波羅・博多などの広域支配機関と守護による列島支配を基軸とした鎌倉幕府の通史叙述を試みた(以下「旧稿」)。「東国」は、東海・東山道の遠江・信濃国以東の一五ヶ国、「北国」は北陸道である。だが、この区分は、のちの関東・六波羅の軍事・裁判管轄でいう《東国》《西国》に一致しない。とりわけ齟齬が顕著なのは、「北国」である。《東国》《西国》の区分は、鎌倉幕府支配の多様な問題と連関する。たとえば、文治国地頭の設置範囲である。全国説、畿内・山陰・山陽・南海・西海道三六ヶ国説、「北国」「畿内近国」「鎮西」四六ヶ国説、国地頭不設置説など、なお定論をえていない。他方、旧稿では、鎌倉幕府の「東国」支配を、守護不設置を基調としたと評価し、また、別稿でふれたように、当初、「北国」も守護不設置だった可能性が残る。文治国地頭と守護の設置範囲に、関係はあるのか。「北国」では、どうなのか。そして、承久の乱を経て、若狭・越前・加賀国は六波羅管国の《西国》、能登・越中・越後・佐渡国は関東管下の《東国》となる。「北国」は、いかなる過程で東西へと分かれゆくのか。「北国」内の地域的偏差を、守護の存在形態を規矩に測定する。本稿の目的である。
著者
熊谷 隆之
出版者
越中史壇会
雑誌
富山史壇 (ISSN:02880458)
巻号頁・発行日
vol.181, pp.1-9, 2016

斯波宗家は、足利泰氏の庶長子たる足利(斯波)家氏の嫡男で、斯波氏の第二代である。父家氏は『吾妻鏡』に将軍の近習として散見するものの、同書の記事は、文永三年(―二六六)までしか残らず、鎌倉後期の斯波氏については、茫漠たる状況にある。そんななか、本稿で着目するのは、越中国岡成名(高岡市街地の北西、小矢部川の右岸、旧西条村の一帯)である。鎌倉末期の岡成名に関する関東裁許状二通には、斯波宗家とその嫡子斯波宗氏が登場する。これらの史料じたいは、すでに利用され、よく知られるものである。だが、おって述べるごとく、宗家をめぐる先学の理解には、いくつかの誤認がみられ、まずは、それらの混乱を整序する必要がある。本稿は、岡成名をめぐる考察を糸口に、鎌倉後期幕府政治史の一側面の提示を試みるものである。
著者
熊谷 隆一 熊谷 隆一 KUMAGAI Takakazu クマガイ タカカズ Kumagai Takakazu
出版者
社団法人神奈川県地方自治研究センター
雑誌
海外政策情報
巻号頁・発行日
vol.22, pp.36-55, 2002

神奈川県からの「海外における電子自治体の現状と今後の方向性」についての調査委託に基づいて、韓国・水原市役所を公式訪問し、実地見学およびヒアリング調査を行い、その結果を論文としてまとめた。
著者
石川 智治 三井 実 熊谷 隆富 日比野 靖 宮原 誠
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18828930)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.1021-1024, 2009-03-31 (Released:2016-01-25)
参考文献数
7

We have found that the sense of brilliant observed from an image is deteriorated by a digital processing of granular noise reduction. By seven grade subjective assessment tests about “sense of brilliant” removing and adding isolated impulsive dots, “sense of brilliant” was deteriorated “-2”(reduction) and improved “+1”(addition). We have found the more than 5.4% isolated impulsive dots of total pixel greatly generated “sense of brilliant”.
著者
葛谷 雅文 遠藤 英俊 梅垣 宏行 中尾 誠 丹羽 隆 熊谷 隆浩 牛田 洋一 鍋島 俊隆 下方 浩史 井口 昭久
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.363-370, 2000-05-25 (Released:2009-11-24)
参考文献数
18
被引用文献数
8 14

名古屋大学医学部附属病院老年科病棟と, 国立療養所中部病院高齢者包括医療病棟入院中の65歳以上の患者を対象に老年医学的総合評価 (ADL, Instrumental ADL, 認知機能, 情緒傾向, 社会的状態などを含む) と服薬コンプライアンス評価調査表を用い, 高齢者の服薬コンプライアンスに関与する因子を検討した. 2施設間の調査対象集団を比較すると, 中部病院で女性の割合が多く有意に高齢であった. さらに中部病院では Instrumental ADLが有意に低スコアーであった. 老年医学的総合評価項目と服薬コンプライアンス評価項目との検討では, 服薬管理者 (自己管理か非自己管理か) を規定している因子は主にADL, Instrumental ADL, 認知機能障害, うつ状態, コミュニケーション障害の有無であった. 服薬状況 (薬の飲みわすれ) は老年医学的総合評価項目のいずれにも有意な関係がなかったが, 用法の理解度, 薬効の理解度との関係は施設間で差を認めた. すなわち大学病院では服薬状況と用法, 薬効理解度との間に有意な関係を認めたが, 中部病院ではいずれも有意差を認めなかった. 服薬用法理解, 薬効理解度は Instrumental ADL, 認知機能, コミュニケーション能力, 集団行動能力と有意な関係にあった. 薬効理解度は教育歴とも有意な関係にあった. 2施設を比較すると多くの総合評価項目とコンプライアンスの関係は一致していた. 以上より, 高齢者の服薬コンプライアンスは患者の身体機能, 認知機能とは関係なく, 服薬用法, 薬効理解との関係が示唆された. このことは服薬指導の重要性が高齢者の服薬コンプライアンス向上に重要であることを再認識させる.
著者
小谷 元子 塩谷 隆 新井 仁之 熊谷 隆 井関 裕靖 納谷 信 楯 辰哉 石渡 聡
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

幾何学と確率論の異なる分野の関わりを通じて、これまで扱えなかった特異性のある空間や離散的な空間の幾何学の新たな研究方法を開拓することを目的とし、ランダムウォークの量子版である量子ウォークや、非対称ランダムウォークの長時間挙動の幾何学的理解、ランダム群の固定点性質、Alexandrov空間のBishop-Gromov型の不等式、ランダムグラフの収束性などに関する結果を得て、発表した。