著者
小山 史穂子 相田 潤 長谷 晃広 松山 祐輔 佐藤 遊洋 三浦 宏子 小坂 健
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.417-421, 2015-10-30 (Released:2018-04-13)
参考文献数
15

平成24年4月の母子健康手帳の改正により,幼児に対するフッ化物配合歯磨剤の使用の推奨が記載された.本研究では,大学での教育内容を深く反映すると考えられる歯学教育を終えて間もない臨床研修歯科医師を対象に,「幼児への歯磨剤の使用を推奨しているのか」について出身大学ごとに差があるかを調べた.平成24年12月から平成25年3月に臨床研修歯科医師2,323名に対し,郵送による自記式質問紙調査を行った.「二歳の男児の患者さんに対して,あなたが推奨する歯磨剤の量はどれになりますか」の質問の選択肢を「歯磨剤の使用を推奨しない」(歯磨剤は使わない)と「歯磨剤の使用を推奨する」(小児用歯ブラシのヘッドの1/3まで(豆粒大),小児用歯ブラシのヘッドの1/3〜2/3まで,小児用歯ブラシのヘッドの2/3以上,のいずれかを選択)の2カテゴリーにし,出身大学との関連を調べた.統計学的検定には,χ2検定およびロジスティック回帰分析を用いた.1,514名(有効回答率:65.2%)の有効回答の内,使用を推奨した者は48.7%であった.出身大学別の解析では,使用を推奨する者の割合が最も多い大学で73.8%であったのに対し,最も少ない大学で22.2%と両者間に有意差が認められ,出身大学によって,幼児への歯磨剤の使用に関する認識が異なることがわかった.科学的根拠を考慮した効果的な口腔衛生学教育のあり方について検討が必要だと考えられる.
著者
相田 勇
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.449-460, 1975
被引用文献数
3

On May 21, 1792, a gigantic collapse of Mt. Mayuyama in Shimabara Peninsula, Kyushu, occurred. Following this event, a severe tsunami of about 10 meters in height was generated by the landslide and attacked the coast of Ariake-kai, killing more than 14, 500 persons. Many historical documents tell us the phenomena of this tsunami in fair details, so that we attempted to reconstruct a numerical model of the tsunami consistent with the historical data. In the numerical computation, a finite difference method with a leap-frog system is adapted, and two kinds of source input are tried; one is the prescrived water mass transport normal to shore line and the other the vertical displacement of sea bottom. When the transport of 18, 000m<sup>3</sup>/min (current speed-20m/sec) per unit length of shore on the center line of landslide area is assumed to be continued during 2 to 4 min, the computed waves agree fairly well with the real tsunami behaviors, the height of tsunami in various places along the coast and the order of the maximum crest in the sequence of a wave train. Therefore, it seems probable that the extraordinary flow of water normal to the shore occurred by some physical mechanisms of the mountain collapse.<br>The energy of this tsunami is estimated to be about 5&times;10<sup>19</sup>erg, and this is about 1/100-1/1000 of the available potential energy of the slided material due to the collapse of the mountain. It is significant that the tsunami energy is several times larger than that of the 1968 Hyuganada Earthquake (<i>M</i>=7.5). The wave spreaded over a wide area and gave distructive damages to the coast more than 120km on both side of Ariake-kai.
著者
谷口 小百合 Chang Kowei 相田 明 Sayuri Taniguchi Chang Kowei Aida Akira Suzuki Makoto
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.115-127, 2003-12
被引用文献数
2

どのような庭園景に癒しをを感じるかを明らかにする目的で、国内外の庭園景の写真40枚を刺激として、SD法によるイメージ調査を実施した。被験者は東京農業大学地域環境科学部造園科学科の学生30人である。評価結果をイメージプロフィール、検定、因子分析により考察、またヒアリング調査を同じ被験者20人に実施して評価要因も考察した。その結果、被験者が庭園景から受ける癒しを規定していた基本因子は情趣性、自然性、清澄性であった。そして庭園景に対する「好き」と「癒される」という感情はほぼ同じであった。癒しを感じる庭園景は特に苔や水のある、湿った印象の強い坪庭、露地、日本庭園など日本独特の景観であった。またヒアリング調査の結果から、特定景観に癒しを感じる理由として原風景が強く影響しているものと考察された。
著者
浦辻 実奈 喜多村 正仁 相田 達哉
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.180-183, 2018

深刻な経営危機に陥ったシャープは、資本業務提携関係にあった台湾の鴻海精密工業と産業革新機構から支援の提案を受け、最終的には2016年3月に鴻海の支援を受けることを決定し、鴻海がシャープを買収した。買収交渉の過程で、鴻海はシャープの主力取引銀行に追加の債権放棄を迫った。本論文では、上記の状況をコンフリクト解決のためのグラフモデル (GMCR) と呼ばれる枠組みを用いてモデル化する。ナッシュ安定性、一般メタ合理性、対称メタ合理性、連続安定性の4つの解概念に基づく均衡を、計算プログラムにより求める。求めた均衡と現実の結末を比較し、考察を行う。
著者
相田 研一
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.9-9, 2009

本稿はPCとモバイルによる物販系の購入曜日分析を考察する。調査市場はB2Cの2大市場である、楽天、Yahooショッピングと独自ドメイン専用の大手eストアーである。 分析する商材は自動車・バイク関連の部品・電装品・用品を中心として、一般消費者がどの曜日に商品を購入するかを調査分析した。 調査期間は2008年9月~2009年2月まである。購入曜日分析方法は、ABC分析および仮説を構築した。調査結果は月曜日~水曜日の購入が主流であった。
著者
柿沼 伸良 相田 卓 佐藤 剛史 阿尻 雅文 新井 邦夫
出版者
一般社団法人 日本エネルギー学会
雑誌
石炭科学会議発表論文集 第38回石炭科学会議 (ISSN:24238295)
巻号頁・発行日
pp.123-126, 2001-11-13 (Released:2017-03-22)

Taiheiyo coal extraction experiments with supercritical water (SCW) and SCW-Phenol mixtures were conducted at 400℃ and 25MPa using a semi-continuous apparatus. With increasing the concentration of phenol, the extraction yield increased up to 80wt%-daf. Extraction yield of Yallourn coal extraction shows 80wt%-daf, while that of Adaro coal shows 65wt%-daf with the SCW-PhOH (80wt%) mixtures. Mechanism of the co-solvent reactive extraction was discussed based on the analysis of the products. This suggests the capping effect of phenol to prevent from polymerization of products.
著者
朝井 勇宣 杉崎 善治郎 相田 浩
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.300-304, 1955

振盪培養によつて<i>Gluconoacetobacter cerinus</i>のグルコース酸化代謝生産物を追究し,従来知られていたgluconic acid, 2-ketogluconic acidの他に新たに&alpha;-ketoglutaric acid及びpyruvic acidの生成されることを確認し,分離同定した,グルコースの醗酵経過を追跡し, pyruvic acid生産のピークが&alpha;-ketaglutaric acidのピークに先行すること,その醗酵経過及び両酸の生成状況が<i>Pseudomonas</i> 33Fの場合, <i>Serratia marcescens</i>の場合に似ていること,またグルコースのみならずgluconate, 2-ketogluconateからも&alpha;-ketoglutarateの生産されること, glucose, gluconate,からpyruvateの生産されること等の事実から, Homo-oxidative bacteriaとしての<i>Gluconobacter</i>が<i>Pseudomonas, Serratia</i>と同様にglucose&rarr;gluconate&rarr;2 ketogluconate&rarr;pyuvate&rarr;&alpha;-ketoglutarateの経路をとつて代謝され得る可能性が有力に示唆された.最近T. E. KING及びV. H. CHELDELIN<sup>(10)</sup>が<i>Acetobacter suboxydans</i>の酸化能をcell free extract及びintact resting cellを用いて研究し,この菌が酢酸及びTCA cycleの中間物質に対して有意義の脱水素能を示めさないこと,またglycolysisの経路を採り得ないことを報告しているが,著者等の今回の実験によれば,燐酸関与の問題は未決としてもKoepsell等の所謂direct oxidative pathwayの系が<i>Gluconobacter</i>に於ても,主経路でないにせよ存在するように考えられる.
著者
五十嵐 彩夏 相田 潤 草間 太郎 小坂 健
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.183-190, 2020-03-15 (Released:2020-04-01)
参考文献数
28

目的 海外での研究では職場での受動喫煙暴露は,事務系労働者に比べて,建設業や運輸業などの肉体労働者で多いことが明らかになっている。日本では職場での受動喫煙への暴露には,社会経済状況による格差が存在することが明らかになっているが,業種と職場での受動喫煙状況との関連を明らかにした研究は我々の調べた限り存在しない。本研究は業種と職場での受動喫煙との関連を明らかにすることを目的とした。方法 2017年に日本で20-69歳の男女5,000人を対象として行われたウェブ調査を用いて,横断研究を行った。日本標準職業分類の11業種に就業している者および職場での受動喫煙について回答した者のうち,直近30日以内に喫煙していない者を分析対象とした(n=1,739)。独立変数は業種とし,①管理的・専門的・技術的,②事務的,③販売・サービス,④保安,⑤農林漁業,⑥生産工程・運搬・清掃・包装等,⑦輸送・機械運転・建設・採掘の 7 群に分類した。従属変数は職場での受動喫煙の有無とした。共変量として性別,年齢,学歴,所得,職場の喫煙環境,受動喫煙に対する意識を用いた。ポアソン回帰モデルを用いて,業種の違いによる職場での受動喫煙の Prevalence ratio を算出した。結果 分析対象者は平均年齢43.3歳(SD=11.9),男性60.5%で,過去 1 か月間に職場で受動喫煙があった者は529人(30.4%)であった。受動喫煙があった者の業種内での割合は,①管理的・専門的・技術的で171人(27.9%),②事務的で155人(27.1%),③販売・サービスで116人(33.7%),④保安で10人(45.5%),⑤農林漁業で 7 人(31.8%),⑥生産工程・運搬・清掃・包装等で39人(34.5%),⑦輸送・機械運転・建設・採掘で31人(58.5%)であった。多変量解析の結果,非喫煙者において,事務的に比べ販売・サービスで1.27倍(95%信頼区間(95% CI):1.04-1.56),保安で1.61倍(95% CI:1.02-2.56),輸送・機械運転・建設・採掘は1.75倍(95% CI:1.33-2.31)職場で受動喫煙の暴露があった。結論 改正健康増進法により事業所での受動喫煙防止対策はすすむが,業種によっては職場での受動喫煙防止対策が取り残される可能性があるため,職場での受動喫煙状況をモニタリングする必要がある。
著者
相田 勇 梶浦 欣二郎 羽鳥 徳太郎 桃井 高夫
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
地震研究所研究速報
巻号頁・発行日
vol.8, pp.58-62, 1964-09

昭和39年6月16日新潟地震調査概報
著者
草間 太郎 相田 潤 東 大介 佐藤 弥生子 小野寺 保 杉山 賢明 坪谷 透 髙橋 達也 小坂 健
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.26-32, 2020-01-15 (Released:2020-02-04)
参考文献数
20

目的 東日本大震災は2011年3月に発生したが,2018年11月現在においても宮城県内では約1,100人の被災者が仮設住宅に入居している。家を失い仮設住宅へ移住することは健康状態を悪化させる可能性があることが報告されている。しかし,仮設住宅入居者の健康状態を長期間にわたって調査した研究はほとんどない。さらに,災害公営住宅入居者まで対象にした研究は我々の知る限り存在しない。本研究の目的は災害公営住宅も含めた応急仮設住宅入居者の震災後からの健康状態の経年推移を明らかにすることである。方法 本研究は宮城県内のプレハブ仮設住宅・民間賃貸借上住宅・災害公営住宅に入居している20歳以上の男女を対象とした繰り返し横断研究である。調査期間は2011年度から2017年度までの7年間である。従属変数として主観的健康感を用い,独立変数として調査年度および入居している住居の種類を用いた。また,共変量として性・年齢を用いた。多変量ロジスティック回帰分析を用いて調整オッズ比(aOR)および95%信頼区間(95%CIs)を算出した。結果 本研究の対象者は延べ179,255人であった。平均年齢は災害公営住宅で一番高く,2017年度で63.0歳であった。主観的健康感の悪い人の割合は民間賃貸借上住宅入居者では経年的に減少していたが,プレハブ仮設住宅入居者においては減少していなかった。また,災害公営住宅入居者はプレハブ仮設住宅・民間賃貸借上住宅入居者に比べて,主観的健康感の悪い人の割合が大きかった。多変量解析の結果,調査年度が新しいほど有意に主観的健康感が良くなっていた(P for trend <0.001)。また,民間賃貸借上住宅入居者とプレハブ仮設住宅入居者の間に有意差は見られなかったが,民間賃貸借上住宅入居者に比べて災害公営住宅入居者では有意に主観的健康感が悪い者が多かった(aOR, 1.20;95%CI, 1.15-1.27)。結論 入居者の健康状態は経年的に改善傾向にあった。しかし,とくに災害公営住宅では健康状態の悪い者の割合が高く,今後も入居者の健康状態をフォローアップし,適切な介入をしていく必要があると考えられる。