著者
古瀬 蔵 相田 満 山田 太造
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.10, pp.1-8, 2012-10-05

『古事類苑』 は日本の前近代の諸事象を記した類書形式の百科事典である.本稿では, 『古事類苑』 の全 30 部を検索対象とするために構築した,全文テキストと抜粋テキストを併用した全文・抜粋検索版データベースについて述べる.抜粋テキストは総目録,書名,解説,索引から成る.全文・抜粋検索版データベースは, 2012 年 8 月にインターネット上で公開され,現在, 『古事類苑』 の 26 部を検索対象としている.Kojiruien is an encyclopedia, which contains cultural, political, commercial, and other numerous matters of pre-modern Japan, citing plenty of books and documents. Aimed at searching all 30 parts of Kojiruien, we implemented a new database system by integrating extracted data into our previous full-text database. This paper describes our new database system, especially concerning extracted data, which consists of catalogue table of contents, book titles, abstracts, and index terms. Our new database has been available on the Internet since August 2012, and its search scope currently covers 26 parts of Kojiruien.
著者
相田 満
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.460-464, 2011-11-01

多くの古典籍を擁する国文学研究資料館において,分類・主題検索の実現は,長い間の課題となっている。特に,極めて早い時期にコンピュータを実現した当館において,汎用機時代から取り組まれてきたユニオンカタログとも称するべき『日本古典籍総合目録』データベースの存在は,分類に対する関心を,常に喚起する存在でもあった。その分類・主題検索を実現する道のりは遠いが,その実現のためのインフラと取り組みは少しずつ進んではいる。本稿では,どのような取り組みが行われているか,その一端を紹介する。
著者
相田 彰大 戸田 真志 植村 朋弘 刑部 育子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.147, pp.27-32, 2010-07-17
参考文献数
11

昨今,ストレージデバイスの記録密度の向上が驚くべきスピードで進められている.それに伴い,画像や動画などの様々なメディアが容易に保存可能となった.中でもデジタルカメラやビデオカメラは情報を記録する際に頻繁に活用されるツールの一つであり,多くの人によって写真や動画は撮影され,保存されている.しかし,これらのメディアの多くは特に整理されずに保存されており,またどのような意図で撮影したのかなどは撮影した本人にしか分からない.既存の方法としては,タグを用いることでの情報付与などがあるが,こういった方法は撮影後に行う後処理で情報整理に用いる際にはタイムラグが生じる.そこで,撮影中にリアルタイムで,また,撮影後にフィードバックを行いながら簡単に手書きメモや付箋などの情報を付与するこで,円滑に情報整理が行えるCAVSceneのシステム提案・開発を行った.また,この開発したツールを実際に教育現場に適用する事でその実用性を検証した.
著者
相田 勇
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.673-700, 1969-09
被引用文献数
1

The present work is an attempt to approach the problem of tsunami propagation by means of a numerical experiment. A preliminary experiment to examine the computing accuracy has been carried out for the square origin in a uniform water depth with a sufficient performance. The Niigata tsunami was treated, because the submarine crustal movement in the tsunami origin had been surveyed in detail. The experimental results were satisfactory in the comparison of the wave forms with two tide gage records and also in the comparison of profile of the maximum water elevation with the actual inundation height. The energy radiation pattern of the wave origin itself shows the directivity of such a shape as an Arabic numeral, 8, however, the actual tsunami radiates the strong energy toward the coast but the weak energy seaward. It is understood that this is caused by a refraction of wave on the sloping shelf. As for the Tokachi-oki tsunami, several models of wave origin were assumed for experiments. By comparing the computed result with tide gage records, the most probable model was selected.|日本近海の津波波源から海岸までの津波伝播の問題は,種々興味あるところであるが,今まで実験的に取扱つた例はなかつた.ここでは,数値実験の方法でこの問題を取扱つた.方法は,基礎微分方程式を差分方程式に変換し,計算格子上の各点の水位分布,流量分布を交互に計算する通常の方法である.予備実験として,正方形波源が,一定水深の海にある場合について行ない,格子間隔の疎い場合,細かい場合の比較を行なつた.続いて新潟津波について,水路部で測られた波源附近の海底の変動が瞬間的に起つたものとして,日本海岸の各地に到達する津波を求めた.検潮記録との比較で,実験波形はかなりよく一致し,また全体の波高分布も実測とよく一致する.波源自身のエネルギー放射の指向性についても調べたが,波源は8字形の指向性を持つている.実際には陸側にのみ強い指向性を示し,沖には非常に弱くなる.これは陸棚傾斜によるものと解される.十勝沖津波について数個の波源モデルが仮定され,それぞれについて実験が行なわれた.各地の検潮記録と比較した結果,最も適当と思われるモデルが求められた.それによると,波源域の北西隅に沈降地域があつて,沈降と上昇地域の境界は,ほぼ143°Eの線の上にある,隆起量の最大は約5m位である,などが推定される.
著者
相田 洋
出版者
福岡教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

『点石斎画報』は、上海で『申報』を発行していた申報館から刊行された絵入りの旬刊誌である。当時の中国は、上海を中心として文明開化の波に覆われ始めていたが、まだ地方では旧文化・旧社会が色濃く残存していた。そのため、この画報は、それら文明開化の過程や旧社会の様々な諸相を活写していて、中国社会史・民俗史研究にとって、格好の史料といえる。このように『点石斎画報』の史料的価値は高いが、日本の学界(中国でも同様)ではこれまでほとんど利用されてこなかった。それは、この画報の揃いは、日本に存在しなかったからである。1983年6月に、広東人民出版社から、全5帙・34冊が刊行され、ようやく渇望を充たす事ができるようになった。しかし、この広東人民出版社本は、「丁酉9秋重印」つまり、光緒23年(1897)秋の重刊本を定本にしており、原本ではない。原本との大きな違いは、刊行年月旬や号数が欠けていることである。この点は、時事問題も多数掲載されている画報としては、相当のマイナスである。そこで本研究では、東京大学東洋文化研究所や東洋文庫、東京都立図書館実藤文庫等に飛び飛びに所蔵されている原本を調査して、刊行時期を確かめ、広東人民出版社本を定本に、データーを盛り込んだ目録(稿)を作成して今後の研究の基礎固めをすることをめざした。これらの原本の調査の結果、意外にスムーズに10日おきに刊行さたことや、数々の広人本の閉じ誤りや目次の疎漏等を発見した。ただ、本目録はまだ不十分な点が多いので、より充実させて、公刊して幅広い利用に供したいと思う。
著者
近藤 克則 吉井 清子 末盛 慶 竹田 徳則 村田 千代栄 遠藤 秀紀 尾島 俊之 平井 寛 斉藤 嘉孝 中出 美代 松田 亮三 相田 潤
出版者
日本福祉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的は,介護予防に向けて,心理的因子や社会経済的因子の影響を明らかにする社会疫学の重要性を検討することである.(1)理論研究では,多くの文献をもとに社会疫学の重要性を検討した.(2)大規模調査(回収数39,765,回収率60.8%)を実施した.(3)横断分析では,健診や医療受診,うつなどと,社会経済的因子の関連が見られること,(4)コホート(追跡)研究では,社会経済的因子が,認知症発症や要介護認定,死亡の予測因子であることを明らかにした.本研究により,社会疫学研究が,介護予防においても重要であることを明らかにした.
著者
相田 美砂子 大野 啓一 岡田 和正 勝本 之晶
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

放射線による構成塩基の直接的損傷を調べるため、モデル分子として2-アミノ-3-メチルピリジンを対象とし、その窒素および炭素内殻領域での解離を調べた。その結果、特に窒素内殻イオン化が起こる励起エネルギーにおいて、窒素原子周りでの解離が顕著となる特徴的な反応が観察された。この系に対して提唱した解離機構は、2-, 3-, 4-ピコリンを用いた同様の実験によって支持された。DNA構成塩基のモデル分子として2-アミノピリジン類をとりあげ,紫外光による直接的損傷がどのように生じるのかについて,実験と理論計算から取り組んだ。低温マトリックス赤外分光システムに紫外線照射光学系を組み込み、光反応を追跡したところ,紫外光励起によってアミノ-イミノ互変異性が生じることを明らかにした。間接的損傷として,活性酸素による核酸塩基の修飾塩基をとりあげた。それらが,どのようなメカニズムでDNA損傷につながるのかを明らかにするために,精度の高い非経験的分子軌道法およびQM/MM法を用いた理論化学計算を行った。突然変異を引き起こす修飾塩基としてよく知られている8-オキソグアニンは,互変異性体の相対的安定性がグアニンとは大きく異なり,このことが突然変異能の一つの原因であることを明らかにした。DNA塩基の互変異性化に対する溶媒効果については,これまで系統的に調べられていなかった。そこで,様々な溶液中におけるモデル塩基の互変異性化を,赤外分光法と量子化学計算によって調べた。その結果,ピリドンやピリミジミノンおよびそれの誘導体の互変異性は溶媒の極性に大きく依存することを明らかにした。これらの結果は,DNA損傷をもたらす別の要因として,外部環境によるDNA塩基の互変異性化促進が重要であることを示している。
著者
織田 公光 相田 美和
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

低ホスファターゼ症は組織非特異型アルカリホスファターゼ遺伝子の突然変異に起因する先天的な代謝異常症である。しかし、遺伝子上の変異がどのように本疾患の発症に係わっているのかに関してはよくわかっていない。本研究では、重症の低ホスファターゼ症で報告されたジスルフィド結合に関わる2例の変異と、優性遺伝することが知られているミスセンス変異の解析を分子レベルで行い、その発症メカニズムを示した。
著者
蔵中 しのぶ 福田 俊昭 山口 謡司 相田 満 野口 恵子 谷 晃
出版者
大東文化大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

学際研究の試みとして、日本文学を軸としつつも、中国文学・歴史学・建築学・情報学の諸分野から参加者をえた本研究は、従来、歴史学の一分野として、また、建築学の対象として発展してきた茶の湯研究・茶室建築に対して、日本文学研究の書誌学・本文解釈学、注釈研究・出典研究の方法論を導入することによって、茶道文献の読みそのものを格段に深めることができた。一方、日本文学の側からいえば、茶の湯や茶室建築の用語、茶室の寸法等、日本文学の対象の外にあった茶道文献に対して、新たなアプローチをおこない、日本文学研究における茶道文献の有効性を実証することができた。茶の湯を「場」として成立した「座の文芸」の特質は、日本文学のさまざまなジャンルとも複雑に絡み合っている。分析対象として選定した『茶譜』の本文校訂と注釈作業をおこなうなかで、日本文学研究における茶道文献の有効性を検証し、日本文学と茶道史研究の関係論を構築するための基礎データの集積を進めることができた。さらに、国際的な意義として、第二年度のヨーロッパ日本研究協会への参加、日EU交流年認定イベントに認定されたチェコ・カレル大学でのインターナショナル・ワークショップ「茶の湯と座の文芸」の主催、第三年度の中国・魯東大学における国際学会への参加は、茶の湯と日本文学というテーマに対する国際的な関心の高さを実感させてくれた。本プロジェクトが主催したチェコでのワークショップには、ヨーロッパから4名の研究発表者の参加をえた。大東文化大学語学教育研究所『語学教育フォーラム』第11号として刊行された研究報告書には、論文編として、蔵中しのぶ「茶の湯と座の文芸」、福田俊昭「五山文学にみえる茶」、山口謡司「『茶譜』の諸本について」、相田満「茶文化のオントロジ」、野口恵子「茶の湯と連歌-共営する場に関する一考-」、さらに、大東文化大学語学教育研究所客員研究員ションタル・マリ・ウエーバー「『茶譜』巻-における茶人のネットワーク-ネットワーク分析による寛永文化の時代区分論の試み-」、谷晃「『茶譜』論考(一)」の論文7本、「『茶譜』人名索引」、注釈扁として『茶譜』巻-注釈を掲載した。本研究の取り組みは、これを基盤として、他のさまざまな分野の研究への進展とコラボレーションの可能性を秘めている。第一に大東文化大学東洋研究所において「茶の湯と座の文芸」研究班をたちあげ、国会図書館本を底本とし、東洋研究所刊行物として継続して『茶譜』全18巻の注釈研究を完成させるとともに、第二に情報学の分野からは、『茶譜』データベースの作成に着手するとともに、相田満が手がけてきたシーソラスとのコラボレーション、第三に建築学の分野からは、矢ヶ崎善太郎を中心として、『茶譜』の寸法を忠実に復原した茶室建築の画像化を予定している。
著者
相田 美喜 伊藤 一幸 池田 浩明 原田 直國 石井 康雄 臼井 健二
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究. 別号, 講演会講演要旨 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
no.42, pp.46-47, 2003-04-19

水田除草剤のベンスルフロンメチル(BSM)が、絶滅危惧種とされる水生シダのサンショウモ、オオアカウキクサ、デンジソウおよびミズニラの生育に及ぼす影響を野外試験により検討した。また、サンショウモとオオアカウキクサの現生育地における出現状況とBSM濃度の消長を調査するとともに、現生育地において想定される低濃度域のBSMに対するサンショウモとオオアカウキクサの感受性を室内試験により検討した。
著者
林 孝典 山崎 真一郎 森田 直人 相田 仁 武市 正人 土居 範久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.84, no.3, pp.523-533, 2001-03-01
被引用文献数
20

本論文では, インターネットの複数経路にパケットを分配してデータ伝送する方式について検討し, 各経路へのパケット分配方法とパケット順序の並べ替えの効果をシミュレーションにより評価した.シミュレーションでは, 同じ回線速度の2経路を用いてファイル転送する場合を対象とした.また, ネットワーク品質として, 固定伝送遅延時間, 遅延ゆらぎ, パケット損失を考慮した.その結果, データ送信側ではパケットを送信バッファ待ち時間が短い経路へ分配し, データ受信側ではパケット順序の並べ替えを行うと同時に, 2経路からパケットを受信してもデータの連続性が更新されなかった場合は, パケット損失が発生したと判断して順序待ちを解除する方式が, 最も安定したスループットが得られることがわかった.また, 2経路の遅延時間差が4パケット時間以内の場合は, パケットを2経路に交互に分配する方法を用いれば, パケット順序の並べ替えを行わなくても, 前者の方式と同等の性能が得られることがわかった.
著者
目黒 浩二 青木 輝勝 相田 仁 斉藤 忠夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, no.2, 1995-03-27

伝送路の高速化により、伝送速度155[Mbps]以上の高速LAN・MANが実現され、この伝送路を効率良く使用するアクセス方式の研究がされてきた。現在までの代表的なアクセス方式としてATMR(ATM Ring)方式が提案されている。ATMR方式は、トラヒックの分布が、一様でない状態においてもアクセス公平性を保つために、帯域割り当て・リセットアルゴリズムを使用し制御を行っている。この方式では、帯域をすべて使用したノードは、伝送路が空いている状態においても送信できない。帯域割り当てをリセットするためのリセット時間がオーバヘッドとなり、伝送路に使用されない帯域が発生してしまう。本稿では、リセットアルゴリズムを使用せず、アクセス公平性を保ちアクセス時間の揺らぎを抑えたTDSR(Time Division Sloted Ring)方式について提案する。
著者
羽鳥 徳太郎 相田 勇 岩崎 伸一 日比谷 紀之
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.p245-263, 1981
被引用文献数
1

Owase located on the east side of Kii Peninsula has been hit by many tsunamis. Sources of most tsunamis were off Tokaido along the Nankai Trough. The 1960 Chile tsunami that propagated across the Pacific Ocean also hit Owase City. There remain even now traces of the inundated level on many houses in Owase caused by the 1944 Tonankai and 1960 Chile tsunamis. Based on these traces, the inundation heights of the two tsunamis run-up on land were surveyed, using the automatic level from Nov. 4 to 7, 1980. The relation between the geographical distribution of the inundation heights and the damage to houses was investigated. The results of the present surveys are as follows: 1) The inundation heights of the 1944 Tonankai tsunami at the harbor were 5.0-5.5 m above M.S.L. Ground about 3.0 m above M.S.L. was inundated. The inundated area stretched along the Kita River. The water level decreased in height as it moved inland. The topography of the ground controls the damage to houses. Fifty percent of the ordinary Japanese wooden type houses were damaged when the water reached 1.5 m above the ground. From the inclination of the water surface along the Kita River, the mean water velocity is calculated as 3.5 m/sec. 2) The inundation heights of the 1960 Chile tsunami at the harbor were 3.0-3.5 m above M.S.L. Although the water reached 1.0-1.5 m above the ground, hardly any houses were washed away. The traces of the inundated level into land are nearly flat, suggesting that the velocity of the incident flow was small. 3) Based on old documents, the inundation height of the Ansei Tokai tsunami (Dec. 23, 1854) is estimated as 6.5 m above M. S. L. The heignt is 0.7-1 m higher than that of the 1944 Tonankai tsunami. Ground above 4 m high was inundated.