著者
出淵 慧 梅田 裕貴 相田 俊一 関戸 満津江 長谷川 真美 竹田 誠
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 第36回関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
pp.194, 2017 (Released:2019-04-03)

【はじめに】スポーツには、野球のレイトコッキングの様に直後の動作効率を上げると考えられるものがあり、弓道にも同様の動作がある。しかし弓道競技の関節運動やそのメカニズムに対する研究は少ない。今回、弓道動作の効率を上げると考えられる動作が十分行えず、右肩関節痛を発症した症例の治療機会を得たので報告する。【症例】16 歳女性、弓道部。部活動中に右肩関節痛を発症、疼痛を我慢し部活に継続参加した事で症状が増悪。弓道競技中の右肩の痛みが主訴で来院。既往歴なし。X-P 所見は異常なし。診断名は右肩インピンジメント症候群。なお、本症例には発表について説明を行い、同意を得ている。本症例に引き分け動作を行わせたところ、体幹右側屈し、大三直後に右上腕骨に対し右肩甲骨の下方回旋が相対的に早期出現し、右肩峰前縁から外側縁に疼痛があった。触診上、安静立位で右僧帽筋上部が低緊張であり、右肩甲骨の静的アライメントは下制、下方回旋、内転位であった。徒手筋力検査は右僧帽筋上部4、右前鋸筋4 であり大三に必要な肩甲骨挙上と上方回旋が十分に行えなかった。治療はH28 年9 月23 日から11 月16 日までの間、僧帽筋上部と前鋸筋の強化、弓道動作練習を実施した。【結果】静的アライメントは左と比べ右肩甲骨下制軽度。徒手筋力検査は全項目左右共に5。僧帽筋上部の筋緊張に左右差なし。引き分け中の疼痛は消失した。【考察】本症例は体幹の側屈を用いて弓道動作を行っている。この誤った動作の繰り返しが、今回の筋力低下に繋がったと考え、引き分け動作の指導と筋力強化を行った。治療後、大三最終域の肩甲骨挙上と上方回旋が十分に行える様になり、肩甲帯マルアライメントが解消し、疼痛が改善した。動作練習により、十分に筋発揮でき正確な大三を行えるようになった。
著者
相田 勇
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大學地震研究所彙報 = Bulletin of the Earthquake Research Institute, University of Tokyo (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.713-730, 1982-03-31

南海道沖におこる巨大地震による津波の波源断層モデルを数値実験によって検討した.1946年南海地震を東西二つの断層によってあらわす.今回求められた断層モデルの特徴は,西側断層の西端が,足摺岬の東側約30kmにあること,東側の断層面の傾斜角が10°と低角であることである.また西側断層による海底変動継続時間を断定することはむずかしいが,3~10分程度と,普通の地震より長い方が,計算波形と実際記録の一致がよい.1854年安政南海地震津波の波源断層モデルは,南海地震の断層とくらべて,東側断層が北側に位置し,西側断層が30km長く求められた.また,ずれの量は約15%大きい.このモデルで大阪の津波の高さは2.4mとなるが,従来の推定値よりやや低い.しかし海岸においてこの程度の高さがあるならば,堀に津波が侵入する際,多くの船を上流に押し込み,地震をおそれて船上に避難していた人多数を犠牲にする可能性は十分あると考えられる.1707年宝永津波の場合は,足摺岬付近の津波の高さが,安政津波の約1.5倍もあり,また室戸岬,高知の地盤変動量が安政地震の際の約2倍といわれている.このため安政津波と相似形の波源断層モデルではよく近似できない.ここでは西側断層を更に二つに分割して三つの断層面をもうモデルによってこれを説明した.
著者
相田 勇
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.713-730, 1982-03-31

南海道沖におこる巨大地震による津波の波源断層モデルを数値実験によって検討した.1946年南海地震を東西二つの断層によってあらわす.今回求められた断層モデルの特徴は,西側断層の西端が,足摺岬の東側約30kmにあること,東側の断層面の傾斜角が10°と低角であることである.また西側断層による海底変動継続時間を断定することはむずかしいが,3~10分程度と,普通の地震より長い方が,計算波形と実際記録の一致がよい.1854年安政南海地震津波の波源断層モデルは,南海地震の断層とくらべて,東側断層が北側に位置し,西側断層が30km長く求められた.また,ずれの量は約15%大きい.このモデルで大阪の津波の高さは2.4mとなるが,従来の推定値よりやや低い.しかし海岸においてこの程度の高さがあるならば,堀に津波が侵入する際,多くの船を上流に押し込み,地震をおそれて船上に避難していた人多数を犠牲にする可能性は十分あると考えられる.1707年宝永津波の場合は,足摺岬付近の津波の高さが,安政津波の約1.5倍もあり,また室戸岬,高知の地盤変動量が安政地震の際の約2倍といわれている.このため安政津波と相似形の波源断層モデルではよく近似できない.ここでは西側断層を更に二つに分割して三つの断層面をもうモデルによってこれを説明した.
著者
相田 卓三
出版者
Japan Society of Coordination Chemistry
雑誌
Bulletin of Japan Society of Coordination Chemistry (ISSN:18826954)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.17-23, 2009-05-31 (Released:2009-10-01)
参考文献数
20

This review article gives an overview of our recent discovery that a Gemini-shaped hexa-peri-hexabenzocoronene (HBC) amphiphile (1) and its derivatives undergo highly controlled self-assembly to form a new family of nanotubes that may be called ‘graphite’ nanotubes. Compound 1 possesses hydrophilic triethylene glycol (TEG) chains on one side of the HBC core and hydrophobic dodecyl side chains on the other. The nanotubes are characterized by uniform diameter and wall thickness, a large aspect ratio, and designable inner and outer surfaces. Furthermore, they possess a helical chirality. In fact, under certain conditions, a coiled assembly, which is a kinetically preferred product, is formed temporarily and then transforms, on annealing, into a tubular assembly. Furthermore, HBC derivatives bearing a stereogenic center can form coiled and tubular assemblies with a one-handed helical chirality. Analogous to compound 1, HBC amphiphiles carrying functional groups at the TEG termini self-assemble in a highly controlled manner, affording surface-functional nanotubes. As one of the ideal designs for photovoltaic materials with a nanometric size regime, photoconductive nanotubes with a coaxial configuration of the donor/acceptor heterojunction is highlighted.
著者
相田 直樹
出版者
容装心理学研究編集委員会
雑誌
容装心理学研究 (ISSN:24363367)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.63-66, 2022 (Released:2022-05-02)

本研究では,学級内で生まれた着装規範を遵守する誘因について検討した。私服が許可されている高校の生徒116名に対して,着装規範に関する質問紙調査を実施した。重回帰分析を行った結果,自身におしゃれのセンスがあると認識していたり,自らが所属する学級のことが好きであったりするほど,同じ学級の生徒と服装を合わせていたことが示された。興味深いことに,自身の学級におしゃれのセンスがないと認識しているほど,規範に沿った服装を着用していることが示された。
著者
高嶋 裕美子 池田 梓 辻 恵 露崎 悠 市川 和志 相田 典子 後藤 知英
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.264-268, 2018 (Released:2018-08-16)
参考文献数
12

【目的】軽微な頭部外傷後の脳梗塞症例の臨床, 画像的特徴, 特にmineralizing angiopathy (以下MA) との関連を検討する. 【方法】1980年4月から2016年11月までに脳梗塞の診断で当院に入院した患者の診療録を後方視的に調査し, 軽微な頭部外傷後の脳梗塞患者を対象に, 臨床, 画像的特徴について検討した. 【結果】動脈性脳梗塞と診断された119例のうち5例が軽微な頭部外傷後の発症であった. 発症年齢は10か月から11歳 (中央値は2歳9か月) で全例男児であった. 1例で無症状, 4例で左片麻痺を認め, 全例予後は良好であった. 頭部画像は4例は右側, 1例は左側の大脳基底核に梗塞像を認めた. 5例中, 麻痺を認めた4例にCTで穿通枝のMAと考えられる線状の高吸収域を認め, うち3例は両側に認めた. 11歳の症例では今回の梗塞像の対側基底核に陳旧性梗塞像を認めた. 【結論】軽微な頭部外傷後の基底核梗塞症例で高率に穿通枝にMAの合併を認めた. 脳梗塞の原因となるその他の因子は明らかとなっておらず, MAが軽微な頭部外傷後の脳梗塞と関係がある可能性が疑われる. 軽微な頭部外傷後脳梗塞は乳幼児の報告が多いが, 本検討の最高齢は11歳で既報より高かった. 乳幼児期以降にも軽微な頭部外傷後脳梗塞の発症があることや, 再発の可能性を考慮する必要があると考えられた.
著者
相田 美穂
出版者
広島市立大学国際学部
雑誌
広島国際研究 (ISSN:13413546)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.105-118, 2014

Fujoshi are women with enthusiastic interest in genres of fiction known as yaoi and BL ("boys love"), which express male-male romantic and sexual relationships. Fujoshi are thus a kind of devoted fan, or "otaku." This paper examines, through the perspective of gender, how representations of fujoshi have changed over the past few years, incorporating perspectives from the work of the Japanese academic and social critic Azuma Hiroki, in particular his concept of "moe" character-based consumption. Azuma makes a distinction between sexual desire situated in the genitals and "sexuality" as subjectivity. Male otaku respond to moe characters, or images in manga, animation, and in the mode of Azuma's sexual desire, while their consumption practice is what Azuma calls "database consumption," typified by "moe" characters, images with features that elicit a "moe" response of desire. Representations of fujoshi have been among consumer products constructed for male otaku.13;I aim to demonstrate that fujoshi, who are both readers and writers of fujoshi manga, work to undermine, through the fujoshi image, the gender relations in which they themselves are involved. In other words, through the fictions that they create, fujoshi protest male-oriented fictions. Through this, they also resist male otaku desires that would keep them confined within two-dimensional fantasy worlds.
著者
相田 勇
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.p713-730, 1981
被引用文献数
8

南海道沖におこる巨大地震による津波の波源断層モデルを数値実験によって検討した.1946年南海地震を東西二つの断層によってあらわす.今回求められた断層モデルの特徴は,西側断層の西端が,足摺岬の東側約30kmにあること,東側の断層面の傾斜角が10°と低角であることである.また西側断層による海底変動継続時間を断定することはむずかしいが,3~10分程度と,普通の地震より長い方が,計算波形と実際記録の一致がよい.1854年安政南海地震津波の波源断層モデルは,南海地震の断層とくらべて,東側断層が北側に位置し,西側断層が30km長く求められた.また,ずれの量は約15%大きい.このモデルで大阪の津波の高さは2.4mとなるが,従来の推定値よりやや低い.しかし海岸においてこの程度の高さがあるならば,堀に津波が侵入する際,多くの船を上流に押し込み,地震をおそれて船上に避難していた人多数を犠牲にする可能性は十分あると考えられる.1707年宝永津波の場合は,足摺岬付近の津波の高さが,安政津波の約1.5倍もあり,また室戸岬,高知の地盤変動量が安政地震の際の約2倍といわれている.このため安政津波と相似形の波源断層モデルではよく近似できない.ここでは西側断層を更に二つに分割して三つの断層面をもうモデルによってこれを説明した.Source models of past tsunamis generated off the Pacific coast in the Nankaido district are examined by the trial and error method of numerical experiments on the basis of seismic fault models. The fault model for the 1946 Nankai earthquake consists of the eastern and the western fault planes. The peculiarity of this model is that the western margin of the fault is located 30 km eastward of Ashizuri-Misaki and the dip angle of the eastern fault plane is as low as 10 degrees. It may be difficult to define uniquely the duration time of the bottom deformation from the results of present numerical experiments. The prevailing speculation, though, seems to be that the duration time of the western part is 3 to 10 minutes, which is slower than that of the eastern part. The reliability factor, k, of the model, a logarithmic standard deviation of the ratios of observed and computed values for five reference stations, is 1.12. The fault model for the 1854 Ansei-Nankai tsunami is 30 km longer in the western fault and 15% larger in the slip displacement than that for the 1946 tsunami. The computed tsunami height at Osaka is 2.4 meters, which is smaller than the published estimated value, 2.5~3 meters. However, since Osaka is situated on the delta of the Yodo river and has many small canals, a tsunami 2.4 meters high at shore may invade canals as waves like bores and do tremendous damages to many boats and bridges, just as described in old documents. In the 1707 Hoei-Nankai tsunami, the tsunami heights at the southwestern region of Shikoku were about 1.5 times higher and the uplift at Muroto-saki about 2 times larger than those of the 1854 tsunami. Therefore, the fault model similar to the 1854 earthquake cannot explain the above characteristics. A model having three separate faults is proposed for this tsunami.
著者
阿部 智美 相田 潤 伊藤 奏 北田 志郎 江角 伸吾 坪谷 透 松山 祐輔 佐藤 遊洋 五十嵐 彩夏 小坂 健
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.143-152, 2019-05-31 (Released:2019-05-31)
参考文献数
32

目的:医療系大学生の社会関係資本及び社会的スキルの精神的健康に対する関連について検討することを目的とした.方法:質問紙調査による横断研究を行った.医療系大学生648名を対象に質問紙を配布し,回収された質問紙の有効回答414名を分析対象とした.分析は,属性(学校,性別,学年,同居形態,親の学歴),社会関係資本(認知的社会関係資本,構造的社会関係資本),社会的スキルを独立変数,対数変換した精神的健康度を従属変数として重回帰分析を行った.結果:重回帰分析から,学校の認知的社会関係資本(β=-0.13, P=0.02),友人・知人との集まり「週に数回」(β=-0.15, P=0.045),社会的スキル(β=-0.24, P<0.01)が精神的健康度の高さに関連していた.反対に,グループ学習「年に数回」(β=0.20, P<0.01),「月に数回」(β=0.15, P=0.01),「週に数回」(β=0.11, P=0.04)が精神的健康度の低さに関連していた.結論:医療系大学生の高い認知的社会関係資本及び社会的スキルのスコアはより高い精神的健康と関連していた.これらの関連については,さらに検討が必要である.
著者
今瀧 夢 相田 直樹 村本 由紀子
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
pp.1708, (Released:2018-01-31)
参考文献数
27

The present study examined how leaders’ evaluation and judgment of members are influenced by their “implicit theories” (e.g., Dweck, 1999). Participants were asked to play the role of team leader and then observed a team member performing poorly. They were asked to decide how much reward they should distribute to the failed member and to allocate the remaining time between him/her and a new member who had not yet worked on the task. As a result, participants who believe in malleable abilities (incremental theorists) increased the evaluation of the failed member when that member claimed that he/she made an effort, whereas participants who believe in fixed abilities (entity theorists) evaluated that member based only on outcome. Furthermore, entity theorists expected a new member to achieve an average level of performance and allotted more time to him/her, whereas incremental theorists expected a new member’s performance to be below average. There was no difference between their expectations of the failed member’s next performance. Results suggest that entity theorists may be better than incremental theorists at placing the right people in the right place.
著者
白木 照夫 平田 久美 小谷 良江 岡村 典子 浅田 知香 松本 久子 坂田 恵美 西藤 美恵子 藤岡 邦子 相田 保季
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.916-920, 2016

<p>【緒言】動物の訪問による動物介在療法や動物介在活動は,本邦の一般病院にも広く導入されてきている,一般病院の緩和ケア病棟(以下PCU)での活動に関する報告は少ない.【方法】当院PCUで,2013年6月より,NHO日本アニマルセラピー協会の協賛により,犬が病院訪問を開始した.今回われわれは,緩和ケアの一環としてこの活動の効果や問題点を検討した.【結果】3名のセラピストが,セラピー犬3頭をつれて月2回病院を訪問し,2016年9月末までに計73回の会に,のべ487名の患者が参加した.開催後には患者家族は癒しを感じ,医療者とのコミュニケーションの改善が得られた.安全衛生面でとくに有害事象は生じなかった.【考察】セラピー犬の訪問は,介入動物の調教や安全衛生が確保されれば,一般病院PCUにおいても支障なく導入できた.アニマルセラピーは患者や家族だけでなく,職員にとっても癒しを実感することができる.</p>
著者
相田 勇
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.71-101, 1977-11-30
著者
相田 潤 草間 太郎 五十嵐 彩夏 小関 健由 小坂 健 人見 早苗 渡部 千代
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.72-80, 2021 (Released:2021-05-25)
参考文献数
13

歯科衛生士不足が問題となっている.そこで産業保健分野で重要な職業性ストレスモデルに基づき歯科衛生士の離職原因となりうる要因(離職関連要因)を検討し,歯科医師との認識の違いを分析した.2017年度に宮城県内の歯科衛生士1,334人,歯科医師1,185人を対象に郵送の質問紙による横断研究を実施した.6つのストレスモデルに基づく質問を用い,歯科衛生士と歯科医師の回答の差をχ2検定で分析をした.歯科衛生士313人(回収率:23.5%),歯科医師213人(同:18.0%)の回答の内,欠損値のない各303人と174人のデータを用いた.歯科衛生士の離職関連要因は,「人間関係の問題」(78.2%)や「時間面の労働条件」(68.6%),「給与面の待遇」(58.4%)の回答が多かったが,歯科医師はそれらは有意に少なく「産休育休の問題」の回答が有意に多かった.人間関係の問題の内訳は,歯科衛生士は「院長との問題」,歯科医師は「スタッフ間の問題」が最も多く有意な差が認められた.労働条件の内訳は歯科衛生士・歯科医師ともに「勤務時間」が最も多かった.しかし,歯科衛生士は有給休暇や残業についての回答も有意に多かった.就業していない歯科衛生士は,非常勤で復職を望むものが最も多く,午後から夕方の勤務は避けたい者が多かった.歯科医師と歯科衛生士の間で離職原因の認識に大きな差が存在した.これらを解消することで,歯科衛生士の離職を防止し,復職を支援する環境につながる可能性がある.
著者
相田 勇
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.p367-390, 1981
被引用文献数
6

地震断層モデルを波源とする津波数値実験が,東海道沖においても有用であることは,1944年東南海津波の例によって認められた.ここでは数値実験によって,1854年安政東海津波,1707年宝永津波,1605年慶長津波,1498年明応津波の波源断層モデルのパラメータを求めた.いずれも東海道に問題を限って議論される.この中,安政,宝永津波については,かなり信頼度の高いモデルが確定された.しかし慶長,明応津波については,史料の乏しいことなどもあって,信頼度が低いことは否めない.これらの津波の特徴を比較すると,地域によっては明応津波が最も高く,災害予測の面から見落すことのできない津波であると考えられる.また局地モデルによる清水港の陸上遡上計算の結果,防波堤,埋立地などの港湾工事が,津波の高さを軽減するのにかなり効果を持っていることがわかった.また津波危険度の局地性についても,計算上の結果が得られた.Several tsunamis accompanying large earthquakes occurred in the coastal vicinity of the Tokaido district, Central Japan. All these tsunamis differed greatly in behavior. The numerical experiments are curried out for these tsunamis to prepare for tsunami hazards and to clarify some of the characteristics of earthquakes in this region. Linear shallow water equations are solved by a space staggered finite difference scheme which is telescoped at selected coastal regions. Many historical documents describing the 1854 Ansei-Tokai tsunami still remain and some investigators have used these documents to estimated the inundation heights at about 50 sites. The numerical experiment of the tsunami based on the published parameters of this earthquake explains satisfactorily the distribution of the real tsunami heights along the coast. Documents describing the 1605 Keicho and the 1498 Meio tsunamis are so scarce that estimates of the real inundation heights may be somewhat inaccurate. The source models for these tsunamis are also determined from among several hypothetical models. They are located south of the generating area of the 1854 tsunami. Descriptions of the inundations caused by the 1498 and the 1605 tsunamis in the district's typical harbors of Shimizu and Shimoda are not found in historical documents. The tsunami heights in these two harbors estimated by simulations of these tsunamis are considerably higher than those of recent tsunamis. Local model experiments including the effects of inundated water on land and quadratic bottom friction are made for the Shimizu harbor. It is clearly seen that the difference of the inundation pattern was caused by changes in the coastal geometry such as harbor construction. Attempts are made to zone tsunami hazards by estimating the hydraulic pressure caused by inundated water.
著者
田代 敦志 相田 潤 菖蒲川 由郷 藤山 友紀 山本 龍生 齋藤 玲子 近藤 克則
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.190-196, 2017

<p><b>目的</b> 高齢者における残存歯の実態と背景にある要因を明らかにすることを目的として,個人の所得や暮らしのゆとりといった経済的な状況で説明されるかどうか,それらを考慮しても高齢者の残存歯数がジニ係数により評価した居住地の所得の不平等と関連するか検討した。</p><p><b>方法</b> 介護認定を受けていない65歳以上の高齢者を対象として2013年に全国で約20万人を対象に行われた健康と暮らしの調査(JAGES2013,回収率71.1%)において,新潟市データを分析対象とした。自記式調査票を用いて新潟市に住民票がある8,000人に郵送調査を実施し,4,983人(62.3%)より回答を得て,年齢と性別に欠損が無かった3,980人(49.8%)の有効回答を使用した。中学校区別の所得格差(ジニ係数)と残存歯数の地域相関を求め,ジニ係数別の残存歯数を比較した。次に,目的変数を残存歯数,説明変数を個人レベルの変数として,性別,年齢以外に,教育歴,等価所得,暮らしのゆとり,世帯人数,糖尿病治療の有無,喫煙状況を用い,地域レベルの変数として,中学校区ごとの平均等価所得とジニ係数とした順序ロジスティック回帰モデルによるマルチレベル分析を行った。</p><p><b>結果</b> 57中学校区別のジニ係数と残存歯数の地域相関は,相関係数−0.44(<i>P</i><0.01)の弱い負の相関を認め,ジニ係数が0.35以上の所得格差が大きい地域は他の地域と比較して有意(<i>P</i><0.001)に残存歯数が少なかった。残存歯数を目的変数とした順序ロジスティック回帰モデルにおいて,性別と年齢を調整後,個人レベルでは教育歴,等価所得,暮らしのゆとり,喫煙状況,地域レベルではジニ係数,平均等価所得が有意な変数であった。一方で,すべての変数を投入したモデルでは,個人レベルの教育歴と地域レベルの平均等価所得において有意な結果は得られなかった。</p><p><b>結論</b> 所得格差が比較的小さいと考えられる日本の地方都市においても,個人レベルの要因を調整後に地域レベルの所得格差と残存歯数の間に関連が認められた。高齢者の残存歯数は永久歯への生え変わり以降,長い時間をかけて形成されたものであり,機序は明らかではないが,所得分配の不平等が住民の健康状態を決めるとする相対所得仮説は,今回対象となった高齢者の残存歯数において支持される結果であった。</p>
著者
相田 慎 箕輪 はるか
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

原発事故時による放射能リスクへの国民の不安は和らいでいるものの、企業・行政・報道への不信感は根強く、不安が解消されたとは言い難い。人々は、折に触れてこの問題について語らっていたであろうが、これは「人によって見解が異なる切実な問題」であり、「語ることへの躊躇い」があったと予想される。本研究課題では、日常会話に表出する(放射能リスク等の)科学の話題を「日常の科学コミュニケーション」と捉え、その場面獲得手法を提案し、話題が科学へ遷移する前後を詳細に分析する。 そして、「日常の科学コミュニケーション」の過去から今後とを観察し、放射能リスクという「時と共に変わりゆく問題」が変化する局面を俯瞰する。
著者
相田 勇
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.449-460, 1975-12-10 (Released:2010-03-11)
参考文献数
13
被引用文献数
1 3

On May 21, 1792, a gigantic collapse of Mt. Mayuyama in Shimabara Peninsula, Kyushu, occurred. Following this event, a severe tsunami of about 10 meters in height was generated by the landslide and attacked the coast of Ariake-kai, killing more than 14, 500 persons. Many historical documents tell us the phenomena of this tsunami in fair details, so that we attempted to reconstruct a numerical model of the tsunami consistent with the historical data. In the numerical computation, a finite difference method with a leap-frog system is adapted, and two kinds of source input are tried; one is the prescrived water mass transport normal to shore line and the other the vertical displacement of sea bottom. When the transport of 18, 000m3/min (current speed-20m/sec) per unit length of shore on the center line of landslide area is assumed to be continued during 2 to 4 min, the computed waves agree fairly well with the real tsunami behaviors, the height of tsunami in various places along the coast and the order of the maximum crest in the sequence of a wave train. Therefore, it seems probable that the extraordinary flow of water normal to the shore occurred by some physical mechanisms of the mountain collapse.The energy of this tsunami is estimated to be about 5×1019erg, and this is about 1/100-1/1000 of the available potential energy of the slided material due to the collapse of the mountain. It is significant that the tsunami energy is several times larger than that of the 1968 Hyuganada Earthquake (M=7.5). The wave spreaded over a wide area and gave distructive damages to the coast more than 120km on both side of Ariake-kai.