著者
月村 辰雄 中川 久定 葛西 康徳 川中子 義勝 中川 純男 佐々木 あや乃 多賀 茂 羽田 正 月村 辰雄 松浦 純
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
1999

本研究は,古典の受容に関してもっとも重要なファクターであると考えられる古典教育について,現代,世界の各地域でどのように意義づけられ,どのように教えられ,かつそれぞれの文明圏にどのような効果を及ぼしているのかを,内外の研究者を招いて共同討義によって明らかにし,その上でさらに考察を深めようとしたものである。本年度は4名の研究者を講演に招いた。その結果,近代の古典学の源流の一つともいえるベルリン大学における古典教育の具体像,近現代を通じて200年以上も古典研究のエリート層育成に力があったフランスのコンクール・ジェネラルというシステム,が明らかとなった。また,ホメロス以来の光輝ある古典の伝統と現代ギリシア語による一般大衆教育との鋭い対立という問題を抱えるギリシアの実情報告は,古典教育の持つマイナス面に対する意識を新たにさせた。(これは今後の検討課題である。)以上のより詳細な内容は,特定領域研究「古典学の再構築」研究成果報告書第7分冊,B03調整班報告書において発表される。
著者
羽田 正沖 西原 直枝 田辺 新一
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.74, no.638, pp.507-515, 2009-04-30 (Released:2009-11-24)
参考文献数
41
被引用文献数
5 11

To investigate the effect of thermal environment and the ventilation rate on productivity, a subjective experiment was conducted. The conditions were the combination of thermal environment: operative temperature of 25.5°C and 28.5°C; and the ventilation rate: 11m3/(h•p) and 90m3/(h•p). Eleven subjects participated in a 350min exposure and worked on three-digit multiplication tasks for 180min. The percentage of dissatisfied with air quality was higher in the higher temperatures and in the lower ventilation rates. The performance of the task was not significantly different among the conditions. The increase of the level of fatigue was more in the higher temperature condition. Correlation between the percentage of dissatisfied derived from perceived air quality and the fatigue level was obtained. The relationships of the task performance and the satisfaction vote of the indoor environment and the level of fatigue were obtained.
著者
小川 裕充 板倉 聖哲 桝屋 友子 田中 秀隆 朴 亨國 大田 省一 羽田 正 秋山 光文 浅井 和春 後小路 雅弘
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

設備備品につては、「西洋人アジア旅行記」5,663点(マイクロフィッシュ16,453枚)、「西洋人アジア伝道旅行記」231点(マイクロフィッシュ1,585枚)を一括購入し、ヨーロッパの世俗・宗教両面から伝統アジアを捉える旅行記を基本研究資料として公開している。絵画班:小川は、平成17年度、シンガポール亜州文明博物館新収の中国絵画コレクション50数点の悉皆調査を行った。また、板倉・田中・五十嵐とともに、オーストラリア所在中国・日本絵画調査を実施し、オーストラリア絵画のディジタル・ファイルを購入した。18年度は・板倉とともに、東アジア・東南アジア所在中国絵画調査を実施した。調査対象は台湾:石允文コレクションなど3個所、シンガポール:呉起駒コレクションなど2個所、香港:香港中文大学文物館・香港藝術館、計7個所であり、撮影作品数無慮7百点に上る。彫刻班:浅井・朴は、東京国立博物館収集東南アジア仏教彫刻スライド資料2万点のディジタル画像化、及びプリントアウトをすべて完了し、資料整理の基礎となる基本カード作成もほぼ半数の1万点に及ぶ。また、東博資料のデータの不備を解消し、画像資料をさらに充実させるべく実施した、インドネシア調査(17年度)では、調査撮影対象は、ボロブドゥル遺跡など約70個所、作品4千点に上り、データを再点検し、ディジタル画像資料3万点を追加した。タイ・マレーシア・カンボジア調査(18年度)では、調査撮影対象は、バンコク国立博物館など、約10個所、ディジタル画像資料1万6千点、作品数約2千5百点を追加した。絵画班・彫刻班の調査作品は、個人研究とは別に、班として目録を収載する。なお、絵画班:西・後小路・桝屋・井手、建築班:羽田・大田は、別途、調査研究を進めたため、基盤Aの研究成果としては、研究成果報告書に論文1点を全文掲載し、他は本概要にリストアップするにとどめる。
著者
羽田 正紀
出版者
社団法人 日本印刷学会
雑誌
日本印刷学会誌 (ISSN:09143319)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.078-083, 2010 (Released:2010-05-15)
参考文献数
13

Plastic films are used in many commercial products, and have recently, found greater application because of their environmental friendliness. Most converted manufactures request the function corresponding to it. The surface modification of the film is aimed at to give the function, and there is big domination because it need not improve plastic polymer. The film manufacturer has the ILC technology. This is one of the technologies that industrially process the surface treatment. It is a technology that can apply while manufacturing the films. Different functions can be introduced by changing the composition of the spreading liquid. Here, I describe the current state of ILC technology for film surface modification.
著者
羽田正著
出版者
東京大学出版会
巻号頁・発行日
2005
著者
羽田 正沖 西原 直枝 中村 駿介 内田 智志 田辺 新一
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.74, no.637, pp.389-396, 2009-03-30 (Released:2009-11-24)
参考文献数
39
被引用文献数
8 16

A field measurement was conducted to investigate the thermal environment of an office with preset temperature of 28°C in summer. A questionnaire survey on the workers was also conducted during the measurement to evaluate the effect of the thermal environment on productivity. The air temperature tended to be higher in the area with high density of heat sources. The air temperature could reach over 30°C at the time when the air-conditioning system started its operation in the mornings. Fluctuation of the supply air temperature was observed after the room temperature reached to the setting. To elevate the preset temperature in the existing buildings, systematic and operational adjustments of HVAC systems may be necessary for proper thermal environmental control. From the questionnaire, over 70% of the workers were thermally dissatisfied in July and August. The correlations were obtained that when the workers are thermally satisfied, the self-estimated performance is higher and the level of fatigue is lower.
著者
羽田 正
出版者
東京大学出版会
雑誌
UP (ISSN:09133291)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.8-13, 1996-06
著者
深沢 克己 高山 博 羽田 正 松嶌 明男 勝田 俊輔 千葉 敏之 宮崎 和夫 樺山 紘一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

本研究では、近世・近代のヨーロッパにおける宗教的寛容と不寛容の生成・展開について考察することを主たる目的としながらも、イスラム世界・ヨーロッパ中世の専門家を交えることで、この問題を比較史的にも検討することを課題とした。この研究テーマについて各研究分担者がそれぞれにおこなった調査研究の成果を年二回の研究会において全体で討議し、その結果として、次のような共通理解に到達することができた。宗教改革を契機として成立した近世ヨーロッパの宗教的寛容は、国家の役割に従って分類するならば、宗派別の住み分け、法令による異宗派の共存、法律の制定を伴わない実質的な寛容の三つに類型化できる。しかし寛容の堅固な基礎は日常的次元での共存と相互理解にあり、それを可能にする社会の意識改革あるいは文化変革にある。宗教的寛容の歴史的研究においては、この問題への国家による対応のみならず、社会的次元での寛容の実践のあり方、またそれを支える人々の内面的根拠にも分析のメスを入れることも重要であり、両者を総体として論じることが要請される。このように考えるならば、歴史としての宗教的寛容という問題は、近世近代のヨーロッパのみならず、イスラム世界やアジアをも含めた世界史の問題として、あるいは古代・中世という近代的寛容の精神をいまだ知ることのない歴史世界についての考察にも応用可能であるばかりか、まさに宗教的不寛容が蔓延する現代社会において、その解決法を歴史的に探るという意味でもまた有益である。
著者
佐々木 あや乃 羽田 正 枡屋 友子 佐々木 あや乃
出版者
東京外国語大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
1999

11世紀に成立した、フェルドゥスィー作の『シャーナーメ(王書)』は、イラン人が自らの文化を強く意識した代表的作品であり、ペルシア語世界屈指の古典である。栄耀栄華を誇っていたペルシアが7世紀中葉にアラブに征服された後、沈黙の2世紀を経て、シュウービーヤと呼ばれる文化的ナショナリズムのうねりが起こってきた中で、ペルシア語文化圏に伝わる神話や伝説・語りを通して、フェルドゥスィーがまとめあげたのが、この『シャーナーメ』なのである。これまで、11世紀の成立時から現代に至るまでの各時代において、『シャーナーメ』の有した社会的意義を明らかにすることを目的とした研究を行ってきた。14年度はイラン本国に焦点を絞り、イラン文部省(高等教育省)、イラン国会図書館、フェルドウスィー大学(在マシュハド)等の協力を得て、以下の調査を行った。(1)イラン国内の『シャーナーメ』写本の所在についてのデータをまとめる。(2)イラン・イスラーム革命(1979年)の前後で、イランの国語教科書にとりあげられた『シャーナーメ』に変化がみられるか、変化があるとすればいかなる変化がみられるのかを探る。イラン文部省(高等教育省)で、革命前・後、革命後現政権が落ち着きを見せ始めた1990年代、及び現在の4期にわたり、小・中・高校の国語教科書を閲覧、調査にあたる。(3)イラン国内のマイノリティー(ペルシア語を母語としない人々)にとっての『シャーナーメ』とは何かについての研究を進めた。A.エンジャヴィー氏の『フェルドゥスィーの書』3巻をもとに分析を進め、現地での各マイノリティーヘのインタビュー等も含め、『シャーナーメ』とマイノリティーとの関わりを探索する。(4)『シャーナーメ』らしさが表れている物語の翻訳を試みる。中学・高校の教科書に必ずとりあげられている「ロスタムとアシュクブースの物語」では、戦闘場面の勇壮さが鋭い音とリズムの組み合わせ、スケールの大きな比喩表現を用いて描かれている。勇士たちの言葉の掛け合い、嘲笑や挑発までもが見事に表現しつくされた物語であり、傑作中の傑作であるといえよう。