著者
高山 博之 吉田 明夫
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.409-418, 2005-03-20 (Released:2010-03-11)
参考文献数
12

When a larger earthquake than the preceding ones occurs successively in a clustered activity, it seems a further larger earthquake is apt to be observed afterwards (Yoshikawa et al., 2000). We investigate alarm rate, success rate, and probability gain for the occurrence of an earthquake with M5 or larger in such sequential activities. We use the JMA catalogue during the period from 1995 to 2000. First, we select out clusters of shallow (depth≤30km) earthquakes withM≥2.5 in and around Japanese islands. We name the first earthquake in a cluster E0, and the one larger than E0 that occurs first in the succeeding activity E1, and term such clusters that contain E1 earthquake E1-class clusters. E2 earthquake and E2-class clusters are defined in the similar way. We calculate the alarm rate, the success rate and the probability gain, when M≥5 earthquakes are forecasted using E1-class clusters and E2-class clusters, respectively. We also examine how the alarm and success rates change when criterion of selecting clusters and upper limit of distance and time interval are varied. It is shown that, for E1-class clusters, the alarm rate is 24 to 30% and the success rate is about 5%. For E2-class clusters, the alarm rate is 10 to 15% and the success rate is 10 to 14%, and we get a value as large as 5702.2 for the probability gain in the best case that both the criterion and the upper limit of selecting clusters are set to be 5km-5days. The large values of the alarm and success rates and the probability gain indicate that the algorithm for forecasting M5 earthquakes proposed in this paper is practically effective as well as statistically significant.
著者
吉田 明夫 高山 博之 細野 耕司
出版者
日本水文科学会
雑誌
日本水文科学会誌 (ISSN:13429612)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.111-117, 2013-11-30 (Released:2014-01-16)
参考文献数
7

紀伊半島から四国にかけて東西に走る中央構造線の南側ゾーンの地震発生層は異常に浅い。ここで“異常に”と言ったのは,一般に地形高度と地殻内の地震発生層の深さとの間には,標高が高いほど浅くなるという相関関係が認められるが,このゾーンには和歌山平野や徳島平野等の低地が存在するにもかかわらず,火山フロント沿いの山地の地震発生層と同じくらいに浅いということを表わしている。地震発生層の下限の深さは,地殻物質が脆性から粘弾性に変わる温度によって規定されていると考えると,地震発生層が浅いということは地殻内の温度が相対的に高くなっていることを示す。なぜ,中央構造線の南側のゾーンは高温になっているのか。これについては,同ゾーン内の和歌山の群発活動域において熱水の上昇が推定されていることを参考にすると,そこには地下深部から高温の流体が上昇していることが考えられる。
著者
高山 博
出版者
公益財団法人 史学会
雑誌
史学雑誌 (ISSN:00182478)
巻号頁・発行日
vol.101, no.11, pp.1883-1920,2048, 1992

The baillis and seneschals were the key men in the field administration of Medieval France. It has been generally understood that despite their different denominations in the south and the north, they had almost identical functions in the royal administration. The author calls this general understanding into question, and makes clear differences in their administrative functions. He suggests that we should treat the baillis and seneschals as different officials, because the region of bailliages and that of senechaussees were under different administrative systems. He proposes a new framework to understand the administrative structure of Philip IV.
著者
松村 秋芳 高山 博 高橋 裕
出版者
日本人類学会
雑誌
Anthropological Science (Japanese Series) (ISSN:13443992)
巻号頁・発行日
vol.116, no.2, pp.202-206, 2008 (Released:2008-12-27)
参考文献数
29
被引用文献数
3

高等学校理科の検定済教科書における自然人類学に関連した記述(1952年以降)について調査した。これまでの学習指導要領の改訂の機会に学会の新しい情報がどの程度改訂版の教科書に盛り込まれてきたかについてしらべたところ,更新された記述内容は必ずしもその時代の新しい知見を反映していなかった。最近2回の学習指導要領の改訂では,霊長類としてのヒトという視点から基礎事項の記述が充実してきていることが見出された。人類の起源と進化について理解し,生物としてのヒトの本質を知るために,どのような教材が適切か,どの程度最新の知見を考慮すべきかは難しい問題だが,複合領域としての特性を生かした記載がなされるよう,配慮がなされる必要があると思われる。
著者
高山 博文 増田 康男 仲山 貴司 植村 義幸 Narentorn YINGYONGRATTANAKUL 朝倉 俊弘
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F (ISSN:18806074)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.132-145, 2010 (Released:2010-03-19)
参考文献数
16

NATMで施工された覆工コンクリートでは,トンネル天端付近において軸方向に伸びるひび割れがしばしば確認されている.このひび割れは地圧によるものと類似するため,維持管理段階における健全度評価を困難なものとしている.本研究では,このひび割れの発生メカニズムを明らかにするため,実際の坑内環境と施工条件を模擬した模型試験とそのシミュレーション解析を実施した.この結果,吹付けコンクリート面の凹凸などによる外部拘束がない現在の覆工コンクリートにおいて,ひび割れの発生に寄与すると考えられるコンクリート自身が発生させる内空側と地山側との収縮量の差(内部拘束)を数値解析で適切に表現するためには,「湿気-応力連成解析」を行う必要があることを示した.
著者
高山 博之 黒木 英州 前田 憲二
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
Papers in Meteorology and Geophysics (ISSN:0031126X)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.127-134, 2007 (Released:2007-11-01)
参考文献数
15

すべり速度・状態依存摩擦構成則を平面および3次元の形状をしたプレート境界面に適用し,東南海および南海地震の発生順序に関するシミュレーションを行った。平面のプレート境界では,プレートの形状の影響がないので,東南海・南海地震のそれぞれのアスペリティの大きさおよび摩擦係数(a-b)の大きさの影響を調べた。アスペリティの大きさおよびa-bの絶対値が同じ場合(基本モデル)は,どちらかが先に起こる傾向は見られないことがわかった。アスペリティの大きさまたはa-bの絶対値が異なる場合は,いずれも小さい方が先に起きた。前者は応力の集中の早さの違いに起因し,後者は応力降下量の大きさの違いに起因する。プレート境界を3次元の形状にした場合についてもシミュレーションを行った。東南海と南海のアスペリティの大きさとa-bの大きさを同じにし,両アスペリティのa-bの絶対値を基本モデルと同じにした場合は東南海から先に起き,10%小さくすると南海から先に起こるようになった。これは東南海の東端からの応力の集中の早さと紀伊半島沖の安定すべりによる南海側での応力集中の早さの関係がa-bの値の大小で入れ替わるためと考えられる。
著者
高山 博文 増田 康男 仲山 貴司 植村 義幸 YINGYONGRATTANAKUL Narentorn 朝倉 俊弘
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.132-145, 2010

NATMで施工された覆工コンクリートでは,トンネル天端付近において軸方向に伸びるひび割れがしばしば確認されている.このひび割れは地圧によるものと類似するため,維持管理段階における健全度評価を困難なものとしている.本研究では,このひび割れの発生メカニズムを明らかにするため,実際の坑内環境と施工条件を模擬した模型試験とそのシミュレーション解析を実施した.この結果,吹付けコンクリート面の凹凸などによる外部拘束がない現在の覆工コンクリートにおいて,ひび割れの発生に寄与すると考えられるコンクリート自身が発生させる内空側と地山側との収縮量の差(内部拘束)を数値解析で適切に表現するためには,「湿気-応力連成解析」を行う必要があることを示した.
著者
中村 雅基 金沢 敏彦 佐藤 利典 塩原 肇 島村 英紀 仲西 理子 吉田 康宏 趙 大鵬 吉川 一光 高山 博之 青木 元 黒木 英州 山崎 貴之 笠原 順三
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
気象研究所研究報告 (ISSN:0031126X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.1-28, 2002
被引用文献数
5

中部日本におけるP波およびS波の3次元速度構造を地震波走時トモグラフィーを用いて求めた。その際、定常観測点で得られる自然地震を対象とした観測値だけでなく、人工地震や海域における臨時観測点等を用いた観測値を積極的に利用した。得られた成果は以下の通りである。沈み込むフィリピン海プレートと思われる高速度域が検出された。フィリピン海プレートは、少し高角度で沈み込み始め、その後なだらかになり、最後は高角に沈み込んでいる。35°N、136.5°E付近では、フィリピン海プレートが分かれている。将来発生が懸念されている東海地震の固着域の北西隣は、プレート間カップリングが弱い。35.6°Nから35.8°N、137.5°E、深さ100kmから200km付近で、非地震性のフィリピン海プレートが検出された。
著者
吉田 明夫 高山 博之
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地學雜誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.103, no.6, pp.696-705, 1994-12-10
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

We show that seismic activity decreased clearly in a wide area before the 1953 Boso-oki earthquake and the 1972 Hechijojima-toho-oki earthquake. In both cases the seismic quiescence extended to the Tokyo Metropolitan area. Marking precursory activity appeared several years before the Boso-oki earthquake in the Chiba prefecture and in the sea region off-Ibaraki prefecture. It is also noted that the seismicity in the Kanto region as well as in the sea region south off-Boso Peninsula decreased conspicuously after the Boso-oki earthquake. On the contrary an increase of the seismicity was observed after the Hachijojima-toho-oki earthquake, although deep seismic activities decreased remarkably. We show that seismic quiescences preceding the Boso-oki earthquake and the Hachijojima-toho-oki earthquake were detectable before their occurrences, and no other statistically significant quiescence has appeared in the south off-Kanto region since 1926. It is proposed that the occurrence of a large earthquake may be predicted by monitoring changes of the seismicity in a wide area.
著者
伊東 裕司 高山 博 日比谷 潤子 渡辺 茂
出版者
三田哲學會
雑誌
哲学 (ISSN:05632099)
巻号頁・発行日
no.98, pp.p123-139, 1995-01
被引用文献数
1

実験1 方法 材料 手続き 被験者 結果および考察実験2 方法 材料 手続 被験者 結果および考察実験3 方法 材料 手続 被験者 結果および考察総合考察In this study, we examined intersubject agreement of the judgment whether a face and a voice were of the same person or not. In Experiment 1, we presented subjects photographs of six male models and their voices, and asked to make six pairs of a face and a voice that they thought as the same person's. In Experiment 2, subjects judged whether each of the 36 pairs of a face and a voice was obtained from the same person or not on sevenpoint scales. These two experiments revealed that the subjects judgments agreed considerably although some idiosyncrasy was suggested. In Experiment 3, subjects judged 12, traits such as masculinity and soberness, of each of the six faces and the six voices. Results of Experiments 2 and 3 showed that differences in the trait judgment correlate with judgment of face-voice matching. Common mechanisms underlying both judgment, are suggested.
著者
深沢 克己 高山 博 羽田 正 松嶌 明男 勝田 俊輔 千葉 敏之 宮崎 和夫 樺山 紘一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

本研究では、近世・近代のヨーロッパにおける宗教的寛容と不寛容の生成・展開について考察することを主たる目的としながらも、イスラム世界・ヨーロッパ中世の専門家を交えることで、この問題を比較史的にも検討することを課題とした。この研究テーマについて各研究分担者がそれぞれにおこなった調査研究の成果を年二回の研究会において全体で討議し、その結果として、次のような共通理解に到達することができた。宗教改革を契機として成立した近世ヨーロッパの宗教的寛容は、国家の役割に従って分類するならば、宗派別の住み分け、法令による異宗派の共存、法律の制定を伴わない実質的な寛容の三つに類型化できる。しかし寛容の堅固な基礎は日常的次元での共存と相互理解にあり、それを可能にする社会の意識改革あるいは文化変革にある。宗教的寛容の歴史的研究においては、この問題への国家による対応のみならず、社会的次元での寛容の実践のあり方、またそれを支える人々の内面的根拠にも分析のメスを入れることも重要であり、両者を総体として論じることが要請される。このように考えるならば、歴史としての宗教的寛容という問題は、近世近代のヨーロッパのみならず、イスラム世界やアジアをも含めた世界史の問題として、あるいは古代・中世という近代的寛容の精神をいまだ知ることのない歴史世界についての考察にも応用可能であるばかりか、まさに宗教的不寛容が蔓延する現代社会において、その解決法を歴史的に探るという意味でもまた有益である。
著者
吉田 明夫 高山 博之
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.103, no.6, pp.696-705, 1994-12-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

We show that seismic activity decreased clearly in a wide area before the 1953 Boso-oki earthquake and the 1972 Hechijojima-toho-oki earthquake. In both cases the seismic quiescence extended to the Tokyo Metropolitan area. Marking precursory activity appeared several years before the Boso-oki earthquake in the Chiba prefecture and in the sea region off-Ibaraki prefecture. It is also noted that the seismicity in the Kanto region as well as in the sea region south off-Boso Peninsula decreased conspicuously after the Boso-oki earthquake. On the contrary an increase of the seismicity was observed after the Hachijojima-toho-oki earthquake, although deep seismic activities decreased remarkably. We show that seismic quiescences preceding the Boso-oki earthquake and the Hachijojima-toho-oki earthquake were detectable before their occurrences, and no other statistically significant quiescence has appeared in the south off-Kanto region since 1926. It is proposed that the occurrence of a large earthquake may be predicted by monitoring changes of the seismicity in a wide area.
著者
高山 博
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

ローマ帝国がガリアを支配していた時代からドイツの領邦が強化される中世後期の時代まで、ドイツの王権と諸侯との関係がどのように変化し、王や諸侯の統治システムがどのように変化していったかを検討した。次の7つの時期、すなわち、(1)フランク支配以前(古ゲルマン時代)、(2)フランク時代、(3)東フランク王国と領邦の時代、(4)ザクセン朝の時代、(5)叙任権闘争の時代、(6)シュタウフェン朝の時代、(7)中世後期、に分けて作業を進めた。