著者
倉澤 茂樹 泉谷 憲正 武淵 さやか 塩津 裕康 横井 賀津志
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.481-489, 2019-08-15 (Released:2019-08-15)
参考文献数
18

応用行動分析学(以下,ABA)に基づき,2歳4ヵ月の自閉症スペクトラム障害(以下,ASD)児に早期の集中的な介入を行った.コンサルタントである作業療法士(以下,OT)は,母親だけでなく,障害福祉施設のOTおよび言語聴覚士とも連携し,不連続試行法および機軸的行動発達支援法を活用した介入を,1日30分以上,週10時間未満の範囲で実施した.2ヵ月後,数十種類のコミュニケーションスキルが獲得された.本報告は,ASD児への早期の集中的なABA介入の有効性を示唆する.加えて,行動コンサルテーションは,家庭内だけでなく地域の療育機関の連携を可能とし,集中的なABA介入の実現に寄与する可能性がある.
著者
関 由喜 大西 弘夏 小野瀬 輝 菅谷 憲夫
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.90, no.4, pp.486-492, 2016-07-20 (Released:2018-02-23)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

インフルエンザワクチンはインフルエンザ予防の基本であるがワクチン効果(vaccine effectiveness:以下VE)は一定せずに毎年異なっている.そこで我々は2013/14 シーズンと2014/15 シーズンに成人のインフルインフルエンザワクチンはインフルエンザ予防の基本であるがワクチン効果(vaccine effectiveness:以下VE)は一定せずに毎年異なっている.そこで我々は2013/14シーズンと2014/15シーズンに成人のインフルエンザワクチンの有効性をワクチン接種歴の問診とインフルエンザ迅速診断検査結果から診断陰性例コントロール試験を用いて計算した. 2013/14シーズンのインフルエンザVEはインフルエンザ全体(A型とB型)では54.9%(95%信頼区間(Confidence Interval:以下CI):24.2~73.2)で,A型に対しては56.6%(95%CI:19.1~76.7),B型に対しては56.8%(95%CI:5.8~80.2)と統計学的に有意なVEを認めたが,2014/15シーズンはインフルエンザ全体に対しても,A型に対してもVEが見られなかった.またB型は患者が少なく検討ができなかった. 2014/15シーズンにVEが低下した理由はシーズン中のインフルエンザ陽性患者の86.2%がA/H3N2であり,A/H3N2はワクチン製造過程に抗原性が変化しやすいこと,さらに自然界で大きな抗原連続変異を起こしたためと考えられた. 本法は日常診療の中で行えるがランダム化比較試験に匹敵する1)精度のある方法でありシーズン中にVE予測ができインフルエンザ予防対策の根幹になると考える.
著者
若林 大志 稲木 杏吏 廣正 智 森 博史 渡辺 悟 山瀬 喬史 赤谷 憲一 萱野 大樹 絹谷 清剛
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.255-258, 2018 (Released:2019-02-15)
参考文献数
19

手術不可能あるいは遠隔転移や局所再発を繰り返す悪性褐色細胞腫の治療として,131I-metaiodobenzylguanidine (MIBG)による内照射療法が行われる。131I-MIBGの腫瘍集積は極めて選択的かつ特異的であり,欧米では30年近い治療経験が蓄積されている。一方で,国内では放射線管理にかかる諸問題があり利用は限られていた。近年,悪性褐色細胞腫・パラガングリオーマに対する低用量131I-MIBG治療の多施設共同研究が先進医療Bとして実施され,2017年度には131I-MIBG治療の薬事承認取得を目的とした企業治験が国内で開始されるなど,131I-MIBG治療が我が国でも広がりつつある。本稿では131I-MIBG治療の現況と展望を紹介し,内照射療法の普及がよりいっそう進むことを期待する。
著者
亀ヶ谷 憲史
出版者
日本史研究会
雑誌
日本史研究 (ISSN:03868850)
巻号頁・発行日
no.633, pp.26-46, 2015-05
著者
三谷 憲正
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 : 国際日本文化研究センター紀要
巻号頁・発行日
vol.27, pp.91-110, 2003-03-31

朝鮮王朝末期の王妃「閔妃」は韓国および日本を通じ、これまで多くの資料と作品の中で語られてきた。が、現在一般的に流布している「閔妃」の写真から喚起される<像>をもってしてそれらの資料と作品を読んでいいのだろうか、という疑問がつきまとう。なぜなら、従来「閔妃」の写真、と言われて来たものは、実は別人のものである可能性が高いからである。これまで流布してきた「閔妃の写真」と言われるものは、もともと、「宮中の女官」あるいはそれに準ずる女性を撮ったものだったのではないか、と推測できる。実際不思議なことではあるが、戦前の「閔妃」に言及している日本語文献の資料は「閔妃」の写真は出て来ない。
著者
吉田 裕 糟谷 憲一 池 享 渡辺 治 加藤 哲郎 李 成市 中村 政則
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

1.平成14〜17年度の各年度に、分担研究者がそれぞれの分担研究を推進するために、韓国及び日本各地において史料調査・収集を行った。2.分担研究者が集う共同研究会を18回開催し、日本史、朝鮮史、日朝関係史に関する報告・討論を行った。また研究の進め方、総括のために分担研究者による会議を7回行った。3.共同研究の総括と、韓国の日本史・朝鮮史研究者(ソウル大学校等に所属している)との研究交流のために、2002年8月23日〜25日、2003年8月22日〜24日、2004年8月20日〜22日、2005年8月26日〜28日に、第5回〜第8回の日韓歴史共同研究プロジェクトシンポジウム(2002年・2004年は一橋大学において、2003年・2005年はソウル大学校において)開催した。日韓両国における歴史研究の現状と課題に関して相互に認識を深めるため、日本史、朝鮮史、日朝関係史上の重要な論点を逐次取り上げて、率直に議論を行っていくという方針により、毎回の準備と報告・討論が行われた。報告数は第5回〜第8回を通じて20本であり、韓国側は12本、日本側は8本である。4.シンポジウムを通じて、日韓両国の研究者のあいだで、「東アジア世界」という視座を設定して、日本社会と朝鮮社会を比較するという方法が有効であることを確認しあうことができた。今後も比較研究をさらに推進・深化させるために、平成18年度に向けて「日本・朝鮮間の相互認識に関する歴史的研究」という共同研究を準備することとなった。5.糟谷憲一が編集担当となり、第5回〜第8回シンポジウムの報告書を作成し印刷した。
著者
菅谷 憲夫
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.111-114, 2005 (Released:2005-11-22)
参考文献数
24
被引用文献数
2 2

最近の数年間で,インフルエンザは,外来やベッドサイドで迅速診断を実施し,抗ウイルス剤で治療する疾患となった.日本では,現在,ノイラミニダーゼ阻害薬のオセルタミビル(商品名タミフル),ザナミビル(商品名リレンザ),およびアマンタジン(商品名シンメトレル)が,インフルエンザ治療に使用されている.世界的に見ると,これだけ広くノイラミニダーゼ阻害薬による治療が普及している国はないが,それだけに,今後は,ノイラミニダーゼ阻害薬の副作用と耐性発現の注意深い監視が肝要である.
著者
田村 大輔 三浦 琢磨 上原 里程 菅谷 憲夫
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.79, no.7, pp.427-432, 2005-07-20 (Released:2011-05-20)
参考文献数
17
被引用文献数
2 2

日本では, 不活化インフルエンザワクチンの接種量は, 1歳以下の乳児では0.1mL/回を2回接種することと規定されている.乳児の接種量は欧米の0.25mL/回と比較して少量であり, それが乳児のワクチン効果が低い原因ではないかと推測してこの研究を行った.本研究では, 8~11カ月の1歳未満の乳児26例 (94±0.9カ月) に0.1mL/回, 12~17カ月の1歳児の22例 (13.4±1.3カ月) に0.2mL/回をそれぞれ2回接種し, 総計48症例で抗体価上昇について比較検討をした.その結果, 赤血球凝集抑制 (Hemagglutination Inhibition: HI) 試験で, 発病予防に有効と考えられる40倍以上の抗体価を獲得した割合は, 乳児では1歳児と比べて有意に低値であった (Aソ連型;23%vs77% (p<0.001), A香港型;39%vs73% (p=0.03), B型;0%vs32% (p=0.002)).4倍 (2管) 以上の抗体価上昇の割合では, A香港型では有意差を認めなかったが, Aソ連型とB型においては乳児では有意に低値であった (Aソ連型;74%vs91% (p=0.04), A香港型;54%vs78% (p=0.09), B型;0%vs39% (p<0.001)).獲得された抗体価の平均値はA香港型では有意差を認めなかったが, Aソ連型とB型においては乳児では有意に低値であった (Aソ連型;19倍vs56倍 (p<0.001), A香港型;21倍vs43倍 (p=0.09), B型;8倍vs14倍 (p<0.001)).本研究での乳児と1歳児での抗体反応の差は, 年齢差ではなくワクチン接種量の差 (0.1mL vs 0.2mL) を反映したものと考えられる.乳児に対する現行の接種量ではワクチンの有効性は期待できず, 乳児も0.2mL/回に増量することが必要と考えられた.
著者
有馬 一 手崎 貴友 太田 一志 関谷 憲晃 大矢 真 衣笠 梨絵 竹内 直子
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.357-362, 2022 (Released:2022-12-16)
参考文献数
10

毒キノコであるニセクロハツによる重症横紋筋融解症を経験した。70歳代の男性が,自分で採取したニセクロハツを摂食した。嘔吐,下痢で発症し,続いて横紋筋融解症をきたした。当院搬送時の血清クレアチンホスホキナーゼ濃度(以下CK)は38,100IU/Lであった。 人工呼吸療法,大量輸液療法と昇圧薬の持続投与で循環動態を維持しながらオンライン血液濾過透析(以下OHDF)と持続的濾過透析で有害物質の除去を試みたが,血管透過性の亢進が続き,全身の浮腫が進行した。当院入院4日目にはOHDFを中断するとショック状態になってしまうため,連続してOHDFを施行した。しかし,最大CKは203,800IU/Lに達し,血圧の維持が困難となり,摂食から160時間後に死亡に至った。 OHDFは横紋筋融解による有害物質を取り除くことができるとされる。しかし,本症例では連続したOHDFでも除去しきれなかった。
著者
細谷 憲政 飯豊 紀子
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.83-86, 1969-03-01 (Released:2009-11-16)
参考文献数
12

白ネズミを用いXy投与の影響を, 体重の増加, 生殖状況, 肝XDH活性について観察した。1. 含飼中Xyを10%以上に投与すると下痢を起こすが, 毎週5%ずつXyの含存を増大して20%にし, さらに20% Xy飼料を用いて4カ月飼育しても白ネズミの体重増加曲線は無添加群とほとんど差異がみられなかった。2. 白ネズミにXyを増大して投与するとある許容量限界で下痢症状を呈するが, 速やかに適応し, さらに肝細胞質のXDH (NAD) 活性も誘導される。3. 交配時ならびに妊娠時にXyに適応させても出産に影響はみられず, また仔白ネズミの発育にも影響はみられなかった。また仔白ネズミの食べ始めた日よりXy含有飼料にて発育した場合には親白ネズミと同様のXyによる適応現象が観察された。