著者
金子 健太郎 尾形 優 熊谷 英樹 山本 真千子
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.4-11, 2012-08-20 (Released:2016-07-08)
参考文献数
9
被引用文献数
3

蒸しタオルによる足部への温罨法 (以下,蒸しタオル法とする) の生理学的効果と,既報の足浴による効果とを比較した.若年健常男子 19名 (平均年齢 21.3 ± 3.4歳) を対象に,心拍数と血圧,体表温 ・ 皮膚血流量,心拍変動 (heart rate variability :HRV),圧受容器反射感受性 (baro-reflex sensitivity : BRS) 指標を測定した.蒸しタオル法は,安静臥床位 15分後に,加温 ・ 加湿したフェイスタオルを両足にそれぞれ4枚で 15分間被覆する方法で実施した.各測定値の観察は,蒸しタオル法前から蒸しタオル法後 30分間まで連続して行った.その結果,蒸しタオル法は,全身循環に負荷をかけることなく,末梢循環を促進,維持させ,自律神経活動では,交感神経活動を賦活化させることなく,副交感神経活動を亢進させることが確認できた.また,蒸しタオル法と足浴法を比較した結果,ほとんどのパラメーター間で統計学的に有意差は認められなかった.したがって,蒸しタオル法は少なくとも今回の方法に従えば,足浴に代わる方法として用いることが可能であると考えられた.
著者
陸 金林 安藤 裕司 粕谷 英樹
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.48, no.9, pp.642-648, 1992-09-01 (Released:2017-06-02)
参考文献数
20
被引用文献数
2

本論文では音声音源波形を生成するために拡張したRosenberg-Klattモデル(RKモデル)を述べ、音声信号から半自動的にモデルパラメータを精度よく推定する方法を提案する。また、音声音源特性と発声様式の関係を調べる。弱い発生などによく見られる相対的に強い基本波成分を生成するため、RKモデルに一つのパラメータを追加する。音源パラメータの推定は声門逆フィルタリングとモデルパラメータの抽出の2段階からなっている。声門逆フィルタに用いられるホルマント周波数とバンド幅の推定には、我々が最近提案した複数閉鎖区間線形予測分析法(MCLP)を用いる。男性2名が異なる強さと高さで発声した母音サンプルを用いて音源パラメータを分析した。その結果、モデルパラメータの幾つかは発声の強さ及びピッチ周波数と系統的に関係することを示した。
著者
松田 勝敬 粕谷 英樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.73, pp.39-46, 1999-05-20
被引用文献数
9

ささやき声では、通常発声に比ベ低い周波数のフォルマント周波数が変化することなどが知られている。しかし、その原因はらかにされていなかった。本稿では、喉頭内視鏡やMRIを用いてささやき声における音声器官の変化を測定した。その結果をもとに電気回路によるささやき声のモデルをつくった。モデルによってささやき声のシミュレーションをおこない、ささやき声における周波数構造の変化の原因を明らかにした。また、得られた結果をもとにフォルマント型音声合成法における、ささやき声の精密な合成方法を提案する。
著者
阿部 隆之 谷 英樹 松浦 善治
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.608-615, 2009 (Released:2010-02-16)
参考文献数
27

バキュロウイルスは,環状の二本鎖DNAを遺伝子に持っている昆虫を宿主とするウイルスであり,現在,大腸菌発現系と同様にさまざまな組換え蛋白質の発現系システムとして広く汎用されている.その一方で,近年,複製はしないが,広範囲な哺乳動物細胞にも感染できることが示され,新しい遺伝子導入ベクターとしての有用性が期待されている.これまでに,筆者らは,バキュロウイルスのウイルスベクターワクチンとしての評価を検討したところ,バキュロウイルス自身に哺乳動物細胞に自然免疫応答を誘発できることを見いだした.近年同定された,自然免疫認識分子であるToll様受容体は,さまざまな病原微生物由来の構成因子を認識し,炎症性サイトカインやインターフェロンを誘発して生体防御反応に寄与することが知られている.さまざまなToll様受容体およびそのシグナルアダプター分子であるMyD88を欠損した免疫細胞内では,バキュロウイルス感染に伴う炎症性サイトカインの産生が著しく減少することが示されたが,インターフェロンの産生は正常であることが確認された.Toll様受容体非依存的にインターフェロンを産生する分子としてRNAヘリケースであるRIG-IおよびMDA5が同定され,さまざまなRNAおよびDNAウイルス感染に対するインターフェロンの発現制御に関与していることが報告されている.しかしながら,バキュロウイルスによるインターフェロンの産生はこれらRNAヘリケースにも非依存的であることが示され,既報のシグナル経路とは異なる機序にてインターフェロンの産生が制御されている可能性が示唆された.
著者
粕谷 英樹 鈴木 久喜 城戸 健一
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.355-364, 1968-11-30
被引用文献数
43

For the purpose of determining the characteristics of phonetic quality of voewls, the trend in the changes of formants and pitch of vowel with age and sex of speaker has been investigated by analyzing a large number of samples of five japanese vowels. Conclusions obtained are as follows. (1) Most of the formants considerably change with the age of the speaker. Principal articulatory factor in the change of formants is the difference in the vocal tract length. On the other hand, the third formant of /i/ which depends mainly upon the front part of oral cavity, and the first and second formants of vowels /o/ and /u/ which constitute comparatively lip-rounded articulatory configuration do not change so much. For each case of children, youth and female adults the ratio of the measured formant of the open and back vowel /a/ to the mean value of the corresponding formant of male adults is approximately constant. Hence we can estimate the vocal tract length of the speaker from the mesured formants, using Eq. (2). (2) The differences between the first and second formants of male and those of female become distinct after 11 years old, while the difference between the third formant of male and that of female becomes distinct after 9 years old. absolute differences of formants, particularly of the third formant, are useful to discriminate the sex of the speaker. This is important in the case of children since pitch is useless in the distinction of the sex of the speaker before 12 years old (the voice change). (3)There is obvious difference between the pitches of children, youth, female adults and male adults, but it is difficult to infer the age of the speaker from his pitch. (4) Generally speaking, there is a correlation between formant and pitch, but there is no correlation if the speech samples are taken from the speakers of the same age. The correlations of formants and pitch come from the correlations between the age and the formants and the correlation between the age and the pitch. (5) Perfect discrimination of the vowels can not be made by the first and second formants only. There are some confusions between certain vowels (/a/ and /o/, /e/ and /u/) on the first and second formant-plane. But, thre is little confusion between the vowels in the three dimentional space composed of the first, the second and the third formants or of the pitch, the first and the second formants. The pitch or the third formant, not to mention the first and second formant, is an indispensable parameter for the discrimination of the vowels regardless of the age and sex of the speaker.
著者
太田 玲子 範 瑀軒 網谷 英樹 飯塚 拓巳 山田 夏鈴 加藤 陽佳 石栗 広志 深瀬 真由美 村木 靖 西村 秀一
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.96, no.2, pp.34-38, 2022-03-20 (Released:2022-03-29)
参考文献数
14

手指消毒薬の開封後の使用期間は施設により異なるが,開封から半年と定める所が多い.しかし,アルコール製剤の開封後の殺菌効果については明確な指標はなく,情報も少ない.我々はその根拠となるデータを得るために当院の医療現場で実際に6カ月間使用され残ったゲル状アルコール製剤(ゲル状製剤)を回収し,そのまま室温で保存した後(開封直後から開封後34カ月,残量60から350 mL),その主成分であるエタノール濃度をガスクロマトグラフィー法で測定した.その結果,経過時間,残量に関わらずエタノール濃度はすべて開封直後と同等であった.この結果を検証するためにStaphylococcus aureusとPseudomonas aeruginosaを用いて各製剤の殺菌能を測定し,開封直後の製剤と比較検討した.殺菌能測定ではゲル状製剤の対照剤として液状製剤についても測定した.方法は製剤と菌液を30秒と5分間反応させた後に生菌数を求め,精製水を用いた対照実験に対する減少率とlog10 reduction(対数減少値)で評価した.その結果,殺菌能も経過時間,残量に関わらずすべて開封直後と同等で,エタノール濃度と同様な結果であった.今回の検討でゲル状製剤は開封後半年,あるいはそれ以上経過しても開封直後と同等のエタノール濃度とS. aureusとP. aeruginosaに対する殺菌能を保持している可能性が示唆された.
著者
金子 健太郎 熊谷 英樹 尾形 優 竹本 由香里 山本 真千子
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.35-41, 2009-12-05 (Released:2016-08-25)
参考文献数
14
被引用文献数
7

若年健常男子 19名 (平均年齢 21.3±3.4歳) を対象に,心拍数と血圧,体表温 ・ 皮膚血流量,心拍変動 (heart rate variability : HRV),圧受容器反射感受性 (baro -reflex sensitivity : BRS) を用い,仰臥位による足浴の生理学的効果を検討した.HRVから低周波成分 (low frequency : LF) と高周波成分 (high frequency : HF) を算出し,副交感神経活動指標を HF,交感神経活動指標を LF/HFとした.足浴 (湯温40℃,15分) は安静仰臥位 15分後に実施し,足浴前から足浴後 30分間 (足浴後 0~ 15分 : 足浴後 1,足浴後 15~ 30分 : 足浴後 2) 連続して測定値の観察を行った.足浴前と比べた結果を以下に示す.心拍数は足浴後1,2で有意に減少した.血圧は,収縮期血圧,拡張期血圧ともに足浴後 2において有意に減少した.HFは足浴後 1,2で有意に増加した.LF/HFは足浴中で有意に増加した.BRSは足浴後 1で有意に増加した.足部,胸部体表温と足部皮膚血流量は,足浴中から足浴後1,2にかけて有意に増加した状態を維持した.足浴は全身循環に大きな負担をかけることなく,かつ末梢循環を促進,維持させ,自律神経活動に関しては,足浴後に副交感神経活動を賦活化させ,交感神経活動を抑制することが確認された.
著者
神谷 英樹 滝川 久美子 杉山 秀樹 榎崎 茂 間根山 彰一
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
人間ドック (Ningen Dock) (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.756-762, 2012 (Released:2012-07-13)
参考文献数
8

目的:健康診断における心臓聴診の重要性の評価.方法:対象は2009年4月~2011年3月までに,当センターで健康診断を受診した5,492例(平均47.8±12.0歳,男2,296例,女3,196例).全例に心臓聴診を行い心雑音の有無を評価した.その結果を,病歴,胸部X線検査(XP),心電図検査(ECG)と比較検討し,精密検査結果の追跡を行った.結果:49例(0.89%)に心雑音を認め,うち,未診断例は35例(0.64%)であった.この35例中,XPは29例に施行し要精査例は2例(7%),ECGも29例に施行し要精査例は4例(14%)であった.XP,ECGのいずれか,または両方で異常を認めた例は6例(17%)であった.未診断35例中19例で精密検査結果が追跡可能で,手術適応例(重症)は3例(僧帽弁閉鎖不全症(MR)1例,大動脈弁閉鎖不全症(AR)1例,動脈管開存症1例),専門医の管理を要する例(中等症)は7例(MR 3例,AR 2例,大動脈弁狭窄症2例),軽微な異常は4例(MR 2例,AR 1例,詳細不明1例),異常なしは5例であった.重症と中等症の10例中,ECG異常はなくXP異常は心拡大1例のみで,残り9例は心雑音以外の異常を認めず,心臓聴診のみで診断可能であった.結論:心臓弁膜症や先天性心疾患診断のため,健康診断において心臓聴診は重要である.
著者
粕谷 英樹
出版者
日本喉頭科学会
雑誌
喉頭 (ISSN:09156127)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.57-63, 2002-12-01 (Released:2012-09-24)
参考文献数
13

Speech analysis methods can be divided into two classes, parametric and nonparametric. The parametric method includes a speech production model in the analysis process, while the nonparametric method does not. The former is exemplified by the well-established linear prediction analysis and the latter often utilizes short-term Fourier analysis. Recent progress in speech analysis methods can be found in an ARX (Auto-regressive with exogenous input) method, a parametric approach, as well as STRAIGHT (Speech Transformation and Representation using Adaptive Interpolation of weighted spectrum) method, a nonparametric approach. The ARX method incorporates a sophisticated ARX-based speech production model, making it possible to separately estimate glottal flow parameters and formants. Basic and clinical applications of the ARX method are presented in the field of voice and speech disorders, including acoustic evaluation of dysarthria, esophageal voice and dysphonia.
著者
桑木 共之 高橋 重成 森 泰生 大塚 曜一郎 柏谷 英樹 戌亥 啓一 陳 昌平 黒木 千晴 米満 亨 上村 裕一
出版者
鹿児島大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

Transient Receptor Potential (TRP)イオンチャネルの1つであるTRPA1チャネルが環境ガス中に含まれる低酸素および有害物質のセンサーとして働き、これらを体内に取り込んでしまう前に忌避行動、覚醒や呼吸変化を引き起こす早期警告系として役立っているのではないかという仮説を検証した。仮説は実証され、しかも鼻腔内の三叉神経に存在するTRPA1が重要であることが明らかになった。
著者
伊藤 致 深澤 浩 内藤 滋人 窪田 彰一 伊藤 幸子 平辻 知也 鶴谷 英樹 関口 誠 河口 廉 高間 典明 磯部 直樹 瀬田 享博 櫻井 繁樹 安達 仁 外山 卓二 星崎 洋 大島 茂 谷口 興一
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.33, no.Supplement5, pp.68-73, 2001-12-31 (Released:2013-05-24)

【目的】陽性F波を呈する逆行性通常型心房粗動の心電図学的特徴を検索することで,回路の推測が可能か否かを検討した.【対象】陽性F波を呈する心房粗動と診断され,心臓電気生理検査を施行,起源が逆行性通常型および左房起源型心房粗動と診断された連続17症例.【方法】興奮波が三尖弁輪部を時計方向に旋回し,冠静脈洞入口部位での心房ペーシングでconcealed entrainment現象を認めた例を逆行性通常型心房粗動(R群:13例),心内電位で冠静脈洞遠位の左房から右房側へ興奮伝幡を認め,右房ペーシングでconcealed entrainment現象を認めなかった例を,左房起源型心房粗動(LA群:4例)と診断した.これら2群でのF波を比較した.【結果】1)V1のF波は,R群で陰性F波を,LA群では陽性F波を有意に認めた(R:81.8%,LA:0%,p<0.05).2)V6のF波は,R群で陽性F波を,LA群では陰性F波を有意に認めた(0.9%,LA:25%,p<0.05).3)I誘導では両群ともすべて陽性F波を認めたが,aVL誘導では関連はなかった.4)両群のF波成分を比較したところ,F波高はR群が高い傾向(R:0.22±0.06mV,LA:0.13±0.06mV,p=0.0503)にあり,F波幅はR群が有意に長かった(R:144±36mse,LA:92±24msec,p<0.05).5)肢誘導R,S波高に両群で有意差はなかった.【結語】1)陽性F波を呈する非通常型心房粗動は,V1およびV6誘導のF波を検討することで旋回が逆方向性通常型心房粗動なのか左房起源型心房粗動なのか推測できることが示唆された.2)F波成分は,左房起源型心房粗動では波形が小さく,その上降部と下降部が左右対称であったのに対し,逆方向性通常型心房粗動では,緩徐に上がり,急峻に下がるF波が特徴であると思われた.
著者
大河 原壮 古谷 英樹 長島 康祐 浅沼 成人 日野 常男
出版者
Japanese Society of Pet Animal Nutrition
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.25-26, 2005

酪酸生成ルーメン菌<I>Butyrivibro fibrisolvens</I>の経口投与よる,大腸癌の抑制効果について調べた。まず,酪酸生成能が高い新規菌株をヤギから単離した。本菌をマウスに経口投与したところ,糞中微生物による酪酸生成量が増加した。また,本菌の投与により,発癌物質で誘発した大腸前癌病変の形成が抑制された。本菌の投与区では大腸内容物中のβ-グルクロニダーゼ活性が低下していたので,このことも前癌病変形成抑制効果の一因であろうと考えられた。以上の結果から,<I>B. fibrisolvens</I>をプロバイオティクスとして利用することにより,大腸癌を予防・抑制できる可能性があると考えられた。