著者
下島 昌幸 福士 秀悦 谷 英樹 吉河 智城 森川 茂 西條 政幸
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.7-12, 2013-06-25 (Released:2014-04-26)
参考文献数
25
被引用文献数
1 10 1

重症熱性血小板減少症候群は新種のブニヤウイルス(重症熱性血小板減少症候群ウイルス)による感染症で,致死率は約12%,主にマダニによって媒介される.これまで中国でのみ報告があったが,国内で昨年秋に亡くなられた方が本疾患に罹患していたことが判明した.後方視的調査の結果,これまでに計8名の方が罹患し内5名の方が亡くなられていたことが明らかとなった.いずれも国内で感染しており,病原体は以前から国内に存在していたと考えられる.
著者
松田 勝敬 森 大毅 粕谷 英樹
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.56, no.7, pp.477-487, 2000-07-01
参考文献数
25
被引用文献数
3

ささやき声の低次のフォルマント周波数が, 通常発声に比べてわずかに高いことが知られている。本論文ではこの現象について, 声門下部系の結合を考慮した声道の電気回路モデルをもとに音響的に説明することを試みる。モデルにおける, 3次元声道形状は磁器共鳴画像(MRI)から測定した。その結果, 声門上部構造のせばめと, 声道と声門下部系との結合が低い周波数のフォルマントを上昇させる主な原因であることが分かった。
著者
新美 直哉 重冨 俊雄 大野 雄弘 小田 有紀子 水谷 英樹 上田 実
出版者
Japanese Society of Oral and Maxillofacial Surgeons
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.144-147, 2001-02-20
被引用文献数
5 1

Amyloid is defined as a pathologic fibrous proteinaceous substance which, when deposited between the cells of tissues and organs, leads to various clinical conditions. Immunohistochemistry has allowed for better classification and understanding of the pathophysiology of amyloidosis.<BR>A 70-year-old man was referred to our department because of spontaneous purpura of the skin and hematoma of the oral mucosa. There was no chemical or hematologic abnormality on routine examination. Bence Jones protein was positive in the urine. Bone marrow examination, however, revealed an slightly increased proportion of plasma cells. It was unlikely that the Bence Jones protein was associated with multiple myeloma. Skin biopsy revealed depositions of amyloid, and Congo red stain for amyloid was positive. In addition, immunofluoroecent staining resulted in a diagnosis of AA amyloidosis.<BR>The patient was treated with a combination of colchicine, melphalan, and prednisolone; however, 7 months after initial presentation he died of cardiac failure. Autopsy revealed multiple-organ vascular amyloidosis, and a diagnosis of bullous amyloidosis was made.
著者
柏谷 英樹
出版者
公益社団法人におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.112-117, 2021-03-25 (Released:2021-11-14)
参考文献数
13

古来より植物の芳香が抗不安効果を持つことは経験的に広く知られてきた.今日でもその作用は民間療法として取り入れられている.しかしながら「香気が抗不安効果を生み出すメカニズム」については未だ不明である.本稿ではリナロール(ラベンダー精油の主要香気成分の一つ)の香気が持つ抗不安作用,その作用の嗅覚依存性,そしてベンゾジアゼピン感受性GABAA受容体の関与を中心に,その基盤となる脳内メカニズムについて最新の知見をもとに解説する.
著者
谷 英樹
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.99-108, 2011-06-25 (Released:2012-03-20)
参考文献数
37
被引用文献数
1 1

ウイルスは特定の生物の細胞内でのみ増殖可能な偏性細胞内寄生性微生物の一つとして定義付けられている.この性質を巧みに利用し開発されたウイルスベクターは,医学生物学の基礎研究から遺伝子治療への応用まで広範な分野で利用されている.私たちの研究グループではこれまでに,バキュロウイルスと水疱性口内炎ウイルス(VSV)の特徴を生かしたベクターの開発に取り組んできた.バキュロウイルスを用いた哺乳動物細胞用ベクターの開発により,従来のバキュロウイルスベクターより効率良く細胞や個体へ遺伝子導入することが可能となった.また,VSVを用いて,C型肝炎ウイルス,日本脳炎ウイルス,バキュロウイルス等のエンベロープ蛋白質を搭載したシュードタイプウイルスおよびこれらの遺伝子をVSVのゲノムに組み込んだ組換えVSVを作製し,エンベロープ蛋白質の性状および細胞内への侵入機構を解析した.
著者
松田 勝敬 森 大毅 粕谷 英樹
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.56, no.7, pp.477-487, 2000-07-01 (Released:2017-06-02)

ささやき声の低次のフォルマント周波数が, 通常発声に比べてわずかに高いことが知られている。本論文ではこの現象について, 声門下部系の結合を考慮した声道の電気回路モデルをもとに音響的に説明することを試みる。モデルにおける, 3次元声道形状は磁器共鳴画像(MRI)から測定した。その結果, 声門上部構造のせばめと, 声道と声門下部系との結合が低い周波数のフォルマントを上昇させる主な原因であることが分かった。
著者
谷 英樹 福士 秀悦 吉河 智城 西條 政幸 森川 茂
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.229-238, 2012
被引用文献数
2

アレナウイルスはアレナウイルス科に属するウイルスの総称で,細胞内で増殖し,ウイルス粒子内に宿主細胞のリボゾームが取り込まれ,これが砂状に見えるのでラテン語の砂粒(arenosus) にちなんで命名された.感染症法において1類感染症に指定されているラッサ熱を引き起こすラッサウイルス,南米出血熱の原因ウイルスとしてフニンウイルス,グアナリトウイルス,サビアウイルス,マチュポウイルス,チャパレウイルスなどが,ヒトに強病原性のアレナウイルスとして知られている.いずれも一種病原体に指定されている.また最近では,2008年にアフリカ南部地域で小規模なウイルス性出血熱が流行し,新規のアレナウイルス(ルジョウイルス)が同定された.日本では1987年のラッサ熱患者の1症例を除きアレナウイルスによる出血熱患者の発生はないが,他のウイルス性出血熱と同様に,いつ我が国で輸入症例が発生してもおかしくない状況であることから,病状や致死率を考えると診断や治療を行えるように整備しておく必要がある.本稿では,アレナウイルス感染症について,基礎研究から診断方法,ワクチン開発までを広く概説する.
著者
谷 英樹 浦田 秀造
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.51-62, 2018
被引用文献数
2

アレナウイルスはアレナウイルス科に属するウイルスの総称で,ほぼヒトに病原性を示さないリンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)から,ヒトに高い病原性を示すラッサウイルス,フニンウイルス,マチュポウイルス,チャパレウイルス,ルジョウイルス,サビアウイルス,グアナリトウイルスまで数多く存在する.上記のうちLCMV以外は,世界保健機関(WHO)の定めるリスクグループ4の病原体であり,これに基づき日本でも一種病原体に指定されている.日本ではこれまでにラッサ熱患者の一輸入例を除き,患者の発生は認められていないものの,2014-16年に起こった西アフリカ地域でのエボラウイルス病アウトブレイクのように,いつ我が国で輸入症例が発生しても不思議ではない状況にある.病状や重篤性を考えると,流行地域でのワクチンや治療薬の整備は喫緊の課題であり,流行地域以外の国においてもこれらを整備しておくことは重要である.しかしながら,高病原性アレナウイルス感染症に対する基礎研究や治療薬の開発は,病原体の性質上,高度安全研究施設での取り扱いが必須となり,なかなか進んでいない.本稿では,最近のアレナウイルス全般の基礎研究と抗ウイルス薬の開発状況について概説する.
著者
大山 吉幸 古河 俊哉 森 利枝 中村 匠吾 田熊 翔 池田 政輝 草ヶ谷 英樹
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.151-156, 2020

<p><b>背景.</b>有瘻性膿胸は内科的治療のみでは治癒が期待しがたく,手術も考慮されるが,年齢や合併症などにより手術が困難な症例もしばしば経験される.<b>症例.</b>85歳男性.右膿胸のために入院となり,胸腔ドレナージと抗菌薬治療を開始した.第5病日より気瘻が出現したため,CTを再検したところ右肺上葉に瘻孔が確認された.ドレナージを継続するも気瘻は持続した.高齢かつ全身状態不良で手術も困難であったことから,EWS(Endobronchial Watanabe Spigot)により右上葉支を充填したところ,気瘻は減少した.しかしそれでも気瘻が持続していたため,感染制御後に自己血癒着を追加したところ気瘻は消失した.<b>結語.</b>本症例のように手術が困難な有瘻性膿胸の症例において,EWSと自己血癒着の併用は有用である可能性があり,文献的考察を加えて報告する.</p>
著者
古谷 英樹 大河原 壮 浅沼 成人 日野 常男
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1-2, pp.30-39, 2005-04-20 (Released:2012-09-24)
参考文献数
28

イヌの健康増進、特に大腸癌の予防・抑制を目的として、スフィンゴミエリン(SM)の有効利用のための条件およびSM分解への腸内細菌の関与についての基礎的知見を得るための実験を行った。まず、マウスにSMを経口投与したところ、1,2-ジメチルヒドラジンで誘発した結腸・直腸の異常陰窩病巣(前癌病巣)の形成が抑制されることが確認された。マウスおよびイヌの糞中のスフィンゴ脂質を分析したところ、消化管内には内因性のSMおよびその分解生成物がかなり流入することが示唆された。しかし、それだけでは大腸癌の予防・抑制には不十分であり、食餌性のSMを補強することが重要と考えられた。また、大腸粘膜上皮細胞への取り込みのためには、SMはセラミド、特にスフィンゴシンに分解される必要があるが、かなりの量のSMおよびセラミドが糞中に排泄されたので、腸管内での分解は不十分と考えられる。一方、抗生物質によってマウスの腸内細菌を除去しても糞中のSM量は変化しなかったので、マウスはスフィンゴミエリナーゼ(SMase)をもつ腸内細菌を保有していないと考えられた。しかし、抗生物質の投与によって糞中のスフィンゴシンが減少したので、マウスの腸内にはセラミダーゼをもつ菌が存在すると推測される。イヌの場合は、個体によってはSMaseおよびセラミダーゼをもつ腸内細菌が存在することが明らかとなった。しかし、そのような菌をもつ個体は少なかった。SMaseおよびセラミダーゼをもつ菌を保有するイヌでは、糞中のSMが少なく、スフィンゴシンが多かったので、このような菌は腸管内でSMやセラミドの分解に寄与していると考えられる。以上より、SMの投与と同時にこれらの酵素をもつ菌をイヌに導入すればSMの効果が高まると思われる。
著者
沢木 佳弘 成瀬 文和 上田 実 藤内 祝 水谷 英樹 金田 敏郎
出版者
特定非営利活動法人 日本口腔科学会
雑誌
日本口腔科学会雑誌 (ISSN:00290297)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.557-566, 1990-07-10 (Released:2011-09-07)
参考文献数
26
被引用文献数
3

The purpose of this study is to investigate the features of maxillofacial bone fractures due to sports accidents, because few detailed cases in the literature could be found.Sixty patients hospitalized for treatment in the department of oral surgery, Nagoya University Hospital in the period 1967-1988, were analysed.The incidence of this group among all facial bone fractures was 14.7 %, and sex ratio ofonset was 14: 1 with male predominance. By age distribution, the highest occurence was in the 20-29 age group. The incidences of soft tissue traumas complicated with fractures and multiple fractures by sports accidents were less than by other causes.In conclusion it appears that sports-related maxillofacial fractures are less serious than the injuries due to other causes.For prevention of sports injuries it is necessary to investigate the individual factors of every fractures and the concept of “Sports Dentistry” must be established.
著者
粕谷 英樹 鈴木 久喜 城戸 健一
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.355-364, 1968-11-30 (Released:2017-06-02)
被引用文献数
5

For the purpose of determining the characteristics of phonetic quality of voewls, the trend in the changes of formants and pitch of vowel with age and sex of speaker has been investigated by analyzing a large number of samples of five japanese vowels. Conclusions obtained are as follows. (1) Most of the formants considerably change with the age of the speaker. Principal articulatory factor in the change of formants is the difference in the vocal tract length. On the other hand, the third formant of /i/ which depends mainly upon the front part of oral cavity, and the first and second formants of vowels /o/ and /u/ which constitute comparatively lip-rounded articulatory configuration do not change so much. For each case of children, youth and female adults the ratio of the measured formant of the open and back vowel /a/ to the mean value of the corresponding formant of male adults is approximately constant. Hence we can estimate the vocal tract length of the speaker from the mesured formants, using Eq. (2). (2) The differences between the first and second formants of male and those of female become distinct after 11 years old, while the difference between the third formant of male and that of female becomes distinct after 9 years old. absolute differences of formants, particularly of the third formant, are useful to discriminate the sex of the speaker. This is important in the case of children since pitch is useless in the distinction of the sex of the speaker before 12 years old (the voice change). (3)There is obvious difference between the pitches of children, youth, female adults and male adults, but it is difficult to infer the age of the speaker from his pitch. (4) Generally speaking, there is a correlation between formant and pitch, but there is no correlation if the speech samples are taken from the speakers of the same age. The correlations of formants and pitch come from the correlations between the age and the formants and the correlation between the age and the pitch. (5) Perfect discrimination of the vowels can not be made by the first and second formants only. There are some confusions between certain vowels (/a/ and /o/, /e/ and /u/) on the first and second formant-plane. But, thre is little confusion between the vowels in the three dimentional space composed of the first, the second and the third formants or of the pitch, the first and the second formants. The pitch or the third formant, not to mention the first and second formant, is an indispensable parameter for the discrimination of the vowels regardless of the age and sex of the speaker.
著者
桑木 共之 山中 章弘 李 智 礒道 拓人 山下 哲 大塚 曜一郎 柏谷 英樹 宮田 紘平 田代 章悟 山口 蘭 石川 そでみ 桜井 武 加治屋 勝子 上村 裕一 二木 貴弘 Khairunnisa Novita Ikbar 有田 和徳 垣花 泰之
出版者
鹿児島大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

快情動は疾病予防や健康増進に有益であることが経験的に知られている。その脳内神経回路を明らかにすることによって、経験則に生物学的エビデンスを付与することが本研究の目的であった。快情動によってカタプレキシーを引き起こすことが知られているオレキシン欠損マウスを用い、カタプレキシー発作直前または同時に活性化される脳部位を網羅的に探索したところ、側坐核の活性化が顕著であることが明らかになった。今まで不明であった快情動を研究する際のターゲットとなる脳部位を絞り込むことができたが、健康増進との関連解明にまでは至らなかった。