- 著者
-
石山 裕菜
及川 昌典
及川 晴
鈴木 直人
- 出版者
- 一般社団法人 日本教育工学会
- 雑誌
- 日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
- 巻号頁・発行日
- vol.43, no.4, pp.409-420, 2020-03-20 (Released:2020-03-30)
- 参考文献数
- 37
本研究では,表現筆記はクラスメイトとの葛藤の解決を促すことで,人間関係やストレスを改善させ,学力の向上を導くこと,また,文章がそれぞれの項目(他者視点,因果,内省,感情,まとまり)において構造化している場合,効果が促進される可能性があることを検討した.79名の小学生にクラスメイトとの葛藤体験について1日おきに15分間,合計3回書き綴らせた.ストレス反応が減少し,一部のテストパフォーマンスが向上した.また,感情を多く筆記した児童はそうではない児童と比較して算数の知識理解の項目の得点が高かった.よって,クラスメイトとの葛藤表現筆記は,小学生のストレス反応の減少だけでなく,テストパフォーマンスの向上を促す可能性が示唆されたが,より効果的な筆記に関してさらなる詳細な検討が必要である.