著者
宮本 圭太 阪田 真己子
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. 人文科学とコンピュータ研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.82, pp.D1-D8, 2009-05-23
参考文献数
10

本研究は,ストリートダンスの 1 ジャンルである Locking ダンスにおける優劣の評価が何から発生しているかを,身体動作解析・感性評価という 2 つのアプローチから探り出すことを目的としている.実験では,熟練度の違う 4 人のダンサーに踊ってもらった各 6 種類の Locking ダンスの基礎技をモーションキャプチャにより三次元動作解析を行うとともに,その動画を呈示刺激とした感性評価実験を実施した.本稿では評定者の経験差,ダンサーの熟練度,およびモーションキャプチャシステムによって得られたダンサーごとの身体動作情報に注目し,どういった要素がどのように評価に影響しているかについて検討した.The purpose of the current study is to investigate how the qualitative evaluation occurs while watching a Locking dance, a genre of street dance, by analyzing physical data and KANSEI evaluation. In the experiment, a video of four differently-skilled dancers performing six types of basic steps each were taken. Several dance experienced and non-experienced person saw and evaluated those videos by the questionnaire of the semantic differential method. In the current study, the investigation was made of difference between the experience of rating person, dancers' skill level, and the physical data obtained by using motion capture system.
著者
山口 莉奈 正田 悠 鈴木 紀子 阪田 真己子
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.125-135, 2017

<p>本研究では,体育科教員がダンス授業に対して抱く「ダンス指導不安」にいかなる特徴があり,そうした不安が教員歴やダンス指導経験によっていかに異なるのかを調べた.調査1では,体育科教員を対象にダンス指導に対する不安を自由記述により調査した.その結果,ダンス指導不安 が5つのカテゴリーから構成されることが示され,理想の授業を実現するダンス技術がない不安や生徒との関係に対する不安が抽出された.調査2では調査1のカテゴリーを基に評定尺度を作成し,調査1とは別の教員に回答してもらった.その結果,ダンス指導不安が調査1と対応する 4因子により構成されることが確認された.調査1と同様に,生徒がダンス教育に求めているレベルやニーズを理解しながらも,それに対応するだけのダンス技術がないと感じている教員の葛藤が認められた.さらに,そうした教員の葛藤は,ダンス指導経験の有無に関わらず同程度に認 められることが示唆された.</p>
著者
岡本 雅史 阪田 真己子 細馬 宏通
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-07-18

まず、代表者岡本は、一人の話者の語りが中心となる演芸である落語と漫談に着目し、前者においてマクラから本題へと語りのモードが転換する場面において言語的な境界を示しつつも、非言語的・パラ言語的モダリティの層においてはその境界と時間的に一致しないことを明らかにし、語りの受け手に対する二重の境界設定がプロの噺家の語りの特徴であることを示唆した。一方、後者については、一人語りの中にも仮想的な対話場面の再現が万段において頻出することを示し、仮想的な語り手を導入する際の引用標識の戦略的な脱落が受け手の物語認知にとって有効な手段であることを明らかにした。いずれも社会言語科学会第41回大会で報告された。次に、分担者阪田は、観客も漫才対話を支えるコミュニケーションの参与者であると仮定し、観客の存在が、漫才師のパフォーマンスにいかなる影響を与えているかを検討した。プロの漫才師による実証実験を実施し、ボケ、ツッコミという役割によって観客による影響の受け方が異なること、オープンコミュニケーションの参与者として、漫才師と観客が相互参照的な関係にあることを明らかにした。研究成果は、電子情報通信学会ヒューマンコミュニケーション基礎研究会、および国際会議International Conference on Culture and Computingにて報告された。一方、分担者細馬は、漫才におけるボケとツッコミの身体動作と発話との時間関係に注目し、ボケによる笑いの認知点以外に、ツッコミとボケのマルチモーダルな行為関係が笑いに寄与している可能性について調査している。特に、センターマイクによって身体動作が制約を受けていた時代の漫才と、コンタクトマイクなどを用いて身体動作の自由度が増した時代の漫才を比較することで、近年の漫才が必ずしもマイクという資源の取り合いを前提としない動作を取り入れていることを分析している。
著者
阪田 真己子 倉坂 幸佳
雑誌
じんもんこん2011論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.8, pp.269-274, 2011-12-03

雅楽をはじめとする日本の伝統芸能では「間」をうまくとることが求められる.しかし,「間」は日本の伝統芸能や日常行動を特徴づける重要な存在でありながらも,その実態は捉え難いものである.そこで,本研究では,日本の伝統芸能の中で最古に成立したとされる雅楽の舞における「間」のとり方を,舞人と龍笛奏者の関係性から実証的に検討することを目的とする.
著者
山口 莉奈 正田 悠 鈴木 紀子 阪田 真己子
雑誌
第78回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, no.1, pp.913-914, 2016-03-10

山口・正田・鈴木・阪田(2015)は、平成20年3月に告示された新中学校学習指導要領保健体育における「ダンス」単元の必修化に伴って、現職教員が授業実施に対する不安を抱いており、その不安が大きく分けて5つの項目から構成されることを示した(例えば「生徒に対する不安」、「指導法に対する不安」など)。本研究では、この5項目をもとに、現職教員の不安を定量化するためのダンス指導不安評価尺度を作成するとともに、ダンス指導不安を抱えて研修会を受講した現職教員が持つ不安がいかなる特徴を持つのかを探究した。これにより、ダンス指導不安を引き起こす具体的な要因を特定し、それに対する有効な解決策の提案が可能となると考えられる。
著者
大島 優 正田 悠 阪田 真己子 鈴木 紀子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.189, pp.41-45, 2014-08-15

数名での対話形式を取りながらも,第三者への情報伝達を目的・可能としたコミュニケーション構造は「オープンコミュニケーション」と呼ばれている.ラジオのように,聞き手であるリスナーに直接見られることなく,音声のみ伝わる場合でもオープンコミュニケーションは成立する.これは,ラジオが数名での対話形式を取りながら,リスナーである第三者へ情報伝達を行っているためである.本研究では,聞き手に視覚情報が呈示されないオープンコミュニケーションであるラジオの話者の振る舞いに着目し,聞き手に視覚情報が呈示される状況(公開録音)との比較からその特徴を明らかにする.またラジオパーソナリティの経験者ペアと初心者ペアの比較を行い,ラジオパーソナリティ独自の"スキル"という観点からも考察を行う.
著者
崔 雄 八村 広三郎 伊坂 忠夫 遠藤 保子 関口 博之 吉村 ミツ 丸茂 美恵子 阪田 真己子
出版者
群馬工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究の目標は、時間の流れとともに消失してしまいがちな舞踊の情報を、モーションキャプチャによる身体動作と各種の生体情報の同時計測によって計測・保存し、モーションキャプチャだけでは解析できない舞踊での演技者の足を使う方法(足づかい)、などを定量的に分析することである。さらに、モーションデータから類似する身体動作を検索するシステムとデジタルアーカイブされた能のモーションデータをインターネット環境に公開して、VR環境で観覧できるシステムの構築も行った。その結果、舞踊動作データの数値的解析だけでなく、VR環境におけるデジタルアーカイブを行うことによって、舞踊家や舞踊研究者は対象の舞踊についての新たな情報をフィードバックとして得ることができると期待される。
著者
八村 広三郎 赤間 亮 矢野 桂司 遠藤 保子 西浦 敬信 崔 雄 古川 耕平 阪田 真己子 李 亮 中村 美奈子 丸茂 美惠子
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

モーションキャプチャ技術などを利用して,無形文化財のデジタル・アーカイブと,そのデジタルデータを利用して,動作解析,動作認識,コンテンツ制作などに利用するための広汎な研究を行った.具体的な成果は,複数演技者による舞踊動作における同期現象の解明,祇園祭山鉾巡行の記録とVR再現,仮想ダンスコラボレーション,身体動作データベースと身体動作の類似性に基づく,データ検索手法,舞踊譜Labanotation を用いた舞踊動作の記録と動作の再現のためのシステムLabanEditorの開発.また,これの能の仕舞動作への適用.ストリートダンス身体動作の教育支援システム,などである.