著者
青木 善治
出版者
大学美術教育学会
雑誌
美術教育学研究 (ISSN:24332038)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.1-8, 2019 (Released:2020-03-31)
参考文献数
17

対話型鑑賞の研修会に参加した教師は,鑑賞の魅力を体感し,自分の見方や考え方,感じ方が決して全てではないという当たり前のことにも改めて気づくことができた。これは,教師にとって,子どもを共感的にとらえたり,学習活動を不断に見直し,改善し,子どもと共に創造したりする上で重要な要因である。今回の研修事例が示すように作品を共にみて対話型鑑賞をすることによって,子どもの作品でも鑑賞の魅力を味わい,多様な見方や感じ方を体感することができる。しかも,同一学校に勤務している職員同士でなくとも可能である。鑑賞活動は創造性のみならず新しい意味や見方,感じ方,自己肯定感をも育む魅力的な学習活動であることを示した。
著者
森 葉子 植田 康次 櫻井 有紀 青木 明 岡本 誉士典 神野 透人
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.162-165, 2021-10-25 (Released:2021-11-02)
参考文献数
7

食品中のシアン化合物の簡便,迅速な測定法を確立する目的で,日本産業規格(JIS)工場排水試験法で採用されている通気法を参考に,小型インピンジャーを用いる前処理について検討を行った.その結果,シアン化物イオンとして10 ppmに相当するアミグダリンをビワ種子粉末に添加して実施した分析法の性能評価では,真度83.9%,併行精度1.18%,室内精度4.67%の良好な結果が得られた.本法を用いて,市販されている食品中のシアン化合物を調査した結果,10食品中のビワ種子粉末3食品において10 ppmを超えるシアン化合物が検出された.
著者
青木 茂治
出版者
地理空間学会
雑誌
地理空間 (ISSN:18829872)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.175-188, 2009

本稿では,これまで研究事例として取り上げられなかった地方都市とその周縁地域における落書きの実態と特徴について提示することを目的とし,茨城県北部のトンネル内にみられる落書きの観察と分析を試みた。それにより,落書きはその描写内容から,表現型・記念型・イタズラ型・縄張り型に分類され,これらのうち,表現型と縄張り型の落書きが最も多くみられることが明らかとなった。表現型の落書きでは,監視性が高い大都市ではあまりみることのできない形態のものがみられることがわかった。落書きの描かれる場所や位置の検討から,落書きは「暗闇の空間」に対する行為者の意識の違いによって弁別的な分布を呈することが示された。落書きの発生はトンネルの構造的要因や周囲の環境などによって左右されることについても言及した。さらに,類似性を有する落書きが広範囲にわたってみられることから,行為者の移動性の高さをうかがうことができた。
著者
青木 学聡
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

オープンサイエンス、研究データ管理の視点から、イオンビーム科学・工学における巨大原子座標を中心とした各種データを扱うための共通基盤の研究を行った。長年の歴史を持つ古典的なイオン衝突シミュレーションの互換性の維持と利便性の向上のため、入出力データに対するプリ・ポストプロセスの開発を行った。また、従来と単原子イオンビームとは異なるクラスターイオンの衝突シミュレーションの事例を収集、整理し、クラスターイオン衝突における解析手法を提示した。
著者
高津 康正 眞部 徹 霞 正一 山田 哲也 青木 隆治 井上 栄一 森中 洋一 丸橋 亘 林 幹夫
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学研究 (ISSN:13447629)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.87-94, 2002-06-01
参考文献数
17
被引用文献数
1

21種のグラジオラス野生種について特性調査および育種素材としての評価を行ったところ,草丈,葉数,葉・花の形態,小花数および開花期等には種によって大きな違いがみられた.また草丈が10cm程度で鉢物に利用可能なもの,現在の栽培種にはみられない青色の花被片を有するものなど,育種素材として有望な野生種が見出された.香りを有する種は全体の52.3%を占め,香りのタイプもチョウジ様,スミレ様などさまざまであることが示された.さらにこれらの野生種について到花日数,小花の開花期間,稔実日数および1さや当たりの種子数を調査し育種上重要な情報を得ることができた.フローサイトメトリーによる解析の結果,野生種においては細胞あたりのDNA含量が多様で,種によってイネの0.9〜3.5倍のゲノムサイズを有するものと推定された.本法による倍数性の判定は困難であるが,種の組合せによっては交雑後代の雑種性の検定に利用可能であることが示唆された.
著者
青木 龍克 後藤 久貴 末次 宏晃 水光 正裕 内山 迪子 小林 恭介 田中 奈津美 鳥越 雄史
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.37-39, 2019-03-25 (Released:2019-05-16)
参考文献数
7

人工関節置換術(THA)後に腸腰筋インピンジメントを生じ,前方より直視下腸腰筋切離を行った2例を報告する.【症例1】61歳女性.58歳時に右THAを施行し,術後1年で下肢伸展挙上(SLR)時の鼠径部痛が出現した.カップの前方突出を認め,腸腰筋エコーガイド下ブロックが著効し,腸腰筋インピンジメントと診断した.腸腰筋切離を行い,術後1週で疼痛は改善し,SLRが可能となった.【症例2】66歳女性.64歳時に右THAを施行し,術後1年でSLR時に大腿前面の痛みが出現した.明らかなカップの設置不良はなかったが,腸腰筋ブロックで疼痛改善を認め,術後2年3か月で腸腰筋インピンジメントと診断した.腸腰筋切離を行い,術後3週で疼痛は改善し,SLRが可能となった.【考察】腸腰筋インピンジメントに対してはカップの再置換術も選択肢となるが,カップの設置に大きな問題がない場合や,カップ再置換のリスクが高い場合には,腸腰筋切離の良い適応と考えられる.