著者
時下 進一 時下 祥子 政所 由美子 高橋 勇二 山形 秀夫
出版者
日本陸水学会
雑誌
日本陸水学会 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.69, pp.146, 2005

オオミジンコは溶存酸素量の低下に伴い血リンパ中のヘモグロビン量を増加させる。この発現制御は 哺乳類の低酸素誘導因子(HIF-1)のホモログであるARNT と HIF-1α により転写レベルで行われていることが示された。HIF-1による低酸素適応機構が生物に普遍的に存在すると考えられる。また抗 ARNT 抗体を用いた免疫染色の結果から、epipod が溶存酸素量の変化を感知している可能性が示唆された。ARNTおよびARNTとヘテロ二量体を形成するトラキアレスの胚における発現パターンから、 ARNT は低酸素応答以外にも様々なタンパク質と相互作用して環境応答に広く関与しているものと考えられる。
著者
西澤 晃彦 高橋 勇悦
出版者
東京都立大学都市研究センター
雑誌
総合都市研究 (ISSN:03863506)
巻号頁・発行日
no.40, pp.85-98, 1990-09

本稿では,1990年において墨田区住民を対象として実施されたアンケート調査の結果の分析を通じて,各住宅階層間の地域問題の認識過程の比較検討を行い,地域社会の構造とその変動を明らかにすることを目指す。墨田区社会の構成を概観するならば, 70年以降の新住民の侵入によって二重構造化が進展していると把握することができる。そしてこの二重構造は,住居形態によってセグリケートされ各々のライフスタイルを保持しながら,強化されていると見ることができる。それゆえに,本稿では,住宅階層論を援用して,各住宅階層が,出来事を認知しネガテイブな問題として評価する過程を比較していく。その際,一戸建て住宅や長屋居住者にはいわゆるインナーシティ問題群がより地域の問題として認識され,新住民を中心とするマンションやアパート居住者には,そうした問題は見過ごされる傾向にあることが仮説とされた。分析の結果は,概ね仮説が支持されるものであった。この結果が指し示すのは,インナーシティ問題が,特定の住宅階層の階層的な問題となりつつある傾向である。墨田区におけるインナーシティ問題の重みの低下は,恐らくは新住民の更なる侵入によって,強められていくと考えられる。その一方で,新たな問題群が生成し,行政課題となっていくであろう。しかしながら,このことがインナーシティ問題の消滅を意味している訳では勿論なく,それは地域社会とそこでの問題群の一層の多様化を示すものなのである。
著者
香月 有美子 鈴木 重明 高橋 勇人 佐藤 隆司 野川 茂 田中 耕太郎 鈴木 則宏 桑名 正隆
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.102-106, 2006 (Released:2006-04-30)
参考文献数
12
被引用文献数
6 6

Good症候群は胸腺腫に低γグロブリン血症を合併し,多彩な免疫不全状態を呈するまれな疾患である.我々はGood症候群に重症筋無力症(MG)を同時期に合併した症例を経験し,その免疫機能に関して評価した.症例は58才男性.四肢筋力低下,易疲労感のため受診し,抗アセチルコリン受容体(AChR)抗体陽性,胸腺腫からMGと診断.末梢血リンパ球数は正常であったが,著明な低γグロブリン血症(IgG 283 mg/dl, IgA 17 mg/dl, IgM 1 mg/dl)を認めた.拡大胸腺摘出術,副腎皮質ステロイド投与によりMGは寛解を維持しが,免疫グロブリンの定期的な補充にもかかわらず,呼吸器感染症やカンジダ症を繰り返した.経過中,副腎腫瘍,膵頭部癌と肝転移巣が判明し,細菌性肺炎により死亡した.免疫学的検討では,末梢血中のCD19+ B細胞が欠損していたが,各種マイトジェンに対するリンパ球増殖能は保たれていた.リコンビナントAChR蛋白により誘導されるT細胞増殖反応は低い抗原濃度でも観察され,MG患者に特徴的なパターンを示した.B細胞と結合する自己抗体を検出したが,本例では検出されなかった.Good症候群では免疫不全や自己免疫を含む多彩な免疫異常を呈することが示された.
著者
Zarkasie Kamaluddin 沢田 拓士 吉田 孝冶 高橋 勇 高橋 敏雄
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.87-90, 1996
被引用文献数
6

血清型2型の豚丹毒菌5株の液体培地における増殖性, 全培養菌液で調製した不活化ワクチンのマウスにおける免疫原性, 菌体表層蛋白のSDS-PAGEプロファイル, およびそのイムノブロット像を比較したところ, 多摩-96株は安定した増殖性を示し, 免疫原性が最も高かった. 菌体表層蛋白のSDS-PAGE像とイムノブロット像は供試株間でほぼ類似し, 66-64kDa蛋白が主要共通抗原として認められた.
著者
高橋 勇夫
出版者
高知大学海洋生物教育研究センター
雑誌
高知大学海洋生物教育研究センター研究報告 (ISSN:03879763)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.113-173, 2005-03-31
被引用文献数
1

The ayu Plecoglossus altivelis altivelis, is an amphidromous fish with a life span of only one year. This is one of the most important species for both commercial fisheries and sport fishing in Japan. Hatching occurs about two weeks after spawning in thelower reaches of rivers in autumn and yolk-sac larvae drift down into the coastal waters, where they remain throughout the larval and early juvenile stages. In spring, juveniles ascend the rivers, where they feed attached algae on rocks and grow over the summer. They mature the following autumn, and spawn in the lower reaches of rivers after a downstream migration by adult.Much works has been on the ecology of the ayu in a river, but little is done about the early life history of ayu before 1980s. Studies on the early life history of ayu have progressed since the 1980s when the main nursery ground of the ayu was found to be in the shallow waters such as the surf zone. In recent years, some studies on larval and juvenile ayu proved us the information on growth, migration and so on forth in the coastal waters. However, the habitat, development, mortality and so forth in the early stages are not yet fully understood. Since 1985, I have conducted the survey of larval and juvenile ayu in the Shimanto Estuary, and found that a number of the larvae and juveniles of ayu remain in the estuary, and achieve higher growth rates. This indicates the importance of the estuary as a nursery ground for ayu.In the present study, I try to detail the early life history of ayu, especially for migration, mortality and development, which are still unknown, in the Shimanto Estuary, and clear the significance of the estuary for ayu.
著者
高橋 勇 小西 達裕 伊東 幸宏
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.63-73, 2001 (Released:2002-02-28)
参考文献数
19
被引用文献数
2 1

In this paper, we discuss a planning and plan recognition approach to generate advice in a Micro- World. A Micro-World should be able to guide a learner who is in impasse. When a learner meets some trouble, a Micro-World should guide the learner by giving some advices. In order to generate appropriate advice, it should have an ability to construct a correct plan to achieve the learner’s goal, and to recognize the learner’s plan by observing the learner’s actions. Therefore we discuss the ability of planning and plan recognition in a Micro-World. We point out some problems concerning to unobservable actions and bad effectual actions, and propose methods to solve the problems. Then we introduce our experimental system. We take chemistry as our domain subject and the system can let a learner learn a chemical experiment with acid-base reactions.
著者
高橋 勇 宮川 勝年 小高 知宏 白井 治彦 黒岩 丈介 小倉 久和
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J90-D, no.11, pp.2989-2999, 2007-11-01

従来,不正な剽窃行為は学習者間で行われていた.しかし,近年ではWebページの一部をコピー&ペーストして不正なレポートを作成する学習者が増えている.このような不正なレポートへの対策には,剽窃元のWebページの探索から剽窃箇所の学習者への提示までを含めたトータルな支援システムが必要である.本研究では,Web検索機能,剽窃評価機能,剽窃箇所特定機能の三つの機能からなる支援システムの枠組み,及び,n-gramを用いた類似度評価手法を応用したシステムを提案し,実装した.更に,これを用いてWebから擬似的に作成した剽窃レポートと,実際の授業で回収されたレポートを用いた評価実験を行った.その結果,前者の実験ではすべての剽窃元Webページが検出され,後者の実験では,本システムで剽窃の可能性が高いと判断されたレポートは,手作業・主観的評価による評価でも剽窃と判断されることが示された.
著者
鈴木 直義 松浦 博 湯瀬 裕昭 池田 哲夫 渡邉 貴之 武藤 伸明 岡本 恵理 佐藤 智子 福田 宏 柴田 義孝 橋本 浩二 青山 知靖 葛岡 英明 高橋 勇
出版者
静岡県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

看護師のフィジカル・アセスメントスキル学習や書道の学習など、動作を伴う学習の遠隔指導支援を目的として、(1)学習時の各種の動作に伴う圧力などの客観的フィードバック情報を学習者や指導者に効果的に提供する方法、(2)打診音を自動識別し実習者に指標を提示するeラーニングシステム構築のための検討、(3)概念モデリングを学習者自身に行わせる方法の熟練者育成へ導入、などの研究成果を得た。
著者
高橋 勇 阿南 貞雄
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.348-353,392, 1974
被引用文献数
1

アトピー性皮膚炎, 慢性湿疹, 急性湿疹を有する患者および健常人より皮膚生検を行い, 蛍光抗体法により IgE 結合細胞の検索を行つた.IgE 結合細胞は検索例全例において, 真皮上層, 中層にみとめられ, 細胞膜あるいは胞体内に IgE を保有し, 種々の染色像を呈した.蛍光の強さは出現する IgE 結合細胞の数に比例するが, 血清 IgE 濃度とは相関がみられなかつた.トルイジンブルー染色により, この細胞はマスト細胞であることが確認された.そこで, 切片単位面積あたりの IgE 結合細胞および全マスト細胞数を算出しその比をみると, アトピー性皮膚炎54.2%, 慢性湿疹41.2%, 急性湿疹29.6%, 健康人では18.9%となり, アトピー性皮膚炎および慢性湿疹では IgE 結合細胞の増加がみとめられた.