著者
高橋 泰
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会(日本)講演会要旨
巻号頁・発行日
vol.30, pp.5, 2008

久米武夫氏は日本の宝石学の先駆者の一人であり、御木本幸吉氏の義弟である。御木本が明治時代に銀座に出店した際、顧客に外国人が多いことに気がついた御木本幸吉氏の命を受けアメリカにジュエリーデザインの研修に派遣された経歴を持つ。この経験により、久米氏は日本における宝石学の先駆者として活躍し、数々の宝石関連の著書を残している。彼は昭和14年、東京地学協会発行の地学雑誌に「宝石奇譚」を記しているが、同年5月6日付けで宝石標本を宝石参考品として出品している。その時の久米武夫コレクション(仮称)は、山梨県立宝石美術専門学校が寄贈品として所蔵している。お孫さんに当たる久米祐介氏により平成14年に教材として寄贈されたもので、標本個数244点のカット石を主体としたコレクションである。内訳は、天然石165点、合成石50点、模造石24点、処理石5点である。このコレクションは当時の宝石業界においてとり扱われていた宝石類を示すものであり、既に扱わなくなった宝石種や現在に至るまで流通し続けている種類を知ることができる。このコレクションの中からコランダム、真珠、サンゴ等数種類の宝石をピックアップし紹介してみたい。
著者
高橋 典嗣
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会誌
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.123-128, 2017

<p>地球に衝突すると大規模な環境変化が危惧される直径1 km以上の地球接近小惑星(Near Earth Asteroids : NEA)の衝突を事前に察知するため,そのすべてを検出して軌道を決めることを目標にスペースガードの観測が始められた.現在は,そのほとんどが検出されたと推察され,新たな目標に「大都市に衝突すると壊滅してしまう自然災害となる直径150 m以上で地球に0.05 AU(約784万km)以内に近づくNEAを潜在的に危険な小惑星(Potentially Hazardous Asteroids : PHA)と定義し,そのすべてを検出すること」と改められた.その直後,2013年2月15日にロシアのチェリャビンスク州に落下し,大きな自然災害を発生させた小惑星の直径は,僅か17 mであった.小惑星衝突による自然災害から地球を守るため,地球に接近するより小さな小惑星(Small PHA : SPHA)の観測,新たなリスク評価,具体的な対策の検討が求められている.</p>
著者
高橋 有里 村上 繁子 長澤 敦子 三浦 奈都子
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.50-58, 2013-08-20 (Released:2016-07-08)
参考文献数
15
被引用文献数
1

本研究は,筋肉内注射における注射部位反応の状況,および具体的な注射方法の影響を明らかにすることを目的とした.一施設の精神科外来で患者と看護師を対象とし,独自に作成した記録表を用いて調査し,持効性注射製剤とそれ以外の注射薬に分けて分析した.その結果,持効性注射製剤では,太い針で,殿部が選択され,微量の空気を注入する方法が実施され,マッサージはされない傾向にあった.注射液の皮膚表面上への漏れ,出血,圧痛,硬結が19.2%に観察され,持効性注射製剤か否かで差はなかった.注射液の皮膚表面上への漏れは,注射針の太さ,注射部位,空気注入,マッサージに有意な関連はなかった.硬結は10.9%で確認され,頻回に注射をしている者に多かった.硬結形成した事例は,前回注射時に,注射液の皮膚表面上への漏れや内出血,突然のしびれがあり,皮膚の色素沈着や萎縮,硬結部位に注射すると痛み,出血,注射液の皮膚表面上への漏れを生じていた.
著者
高橋 正雄
出版者
医学書院
雑誌
総合リハビリテーション (ISSN:03869822)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.395, 2000-04-10

1887年,ニーチェが43歳の時に発表した『道徳の系譜』(木場深定訳,岩波書店)は,ニーチェ自身,自分の思想を知ろうとする人には最も包括的で重要なものと語っていた作品であるが,そこには,病者や障害者を蔑視するような表現が見られる. 『道徳の系譜』の第三論文の中,ニーチェは,「病人は健康者にとって最大の危険である」,「人間の大なる危険は病人である」と,病者の危険性を繰り返し強調する.病者は「俺が他の誰かであったらなあ!でも今は何の希望もない.俺はやっぱり俺である.どうすれば俺は俺自身から抜けられるのか」と思っているため,「このような自己侮蔑の地床に,いわば本当の沼地に,あらゆる雑草,あらゆる毒草は成長する」のである.「そこには怨念や執念の蛆虫どもがうようよして」おり,「最も悪性の隠謀―上出来の者や勝ち誇った者に対する受苦者の隠謀の網が張られている」.「あたかも健康や上出来や強さや誇りや権力感情がそれ自体においてすでに背徳的な事柄であり,従っていつかは贖われなければならないもの,しかも苦しい目をして贖われなければならないものででもあるかのように」―.
著者
新矢 博美 芳田 哲也 高橋 英一 常岡 秀行 中井 誠一
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.75-88, 2003-02-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
25
被引用文献数
3 5

The effects of fencing uniforms (U) on thermoregulatory responses were analyzed in both practical field investigation (PFI) and laboratory experiment (LE) . In PFI, six fencers (college-aged) performed regular fencing practice wearing U and wearing a short-sleeved shirt and pants (T) in summer. Rectal temperature (Tr), chest skin temperature (Tch), mask temperature (Tmk), heart rate (HR) and sweat rate (SR) were measured during fencing practice. In LE, seven male college-aged subjects performed three sessions of 20-min cycling at light intensity (250 W/m2) in a room temperature maintained at 28 WBGT (wet bulb globe temperature) . Esophageal temperature (Tes), mean skin temperature (Tsk), mean body temperature (Tb), HR, and SR were measured during exercise wearing U and in a semi-nude condition (N) . In both PFI and LE, increases in Tch, Tsk, Tb, Tes, Tr and SR were significantly (p<0.001) greater when wearing U than when wearing T and N. In PFI, the maximal value of Tr correlated significantly with the maximal values of Tch (r=0.513, p<0.001) and SR (r=0.635, p<0.001) during practice wearing U and T. In LE, positive correlations between Tsk and Tes (r=0.797, p<0.001), and between Tb and SR (r=0.658, p<0.02) were found at the end of exercise wearing U and N. In PFI, although the Tsk decreased within a few minutes of a decrease in Tmk, a significant relationship between the decrease in Tmk and Tsk or Tr was not observed during fencing practice. These results demonstrate that when wearing U, a higher skin temperature induces core temperature elevation, and higher skin and core temperatures are associated with increases in SR and HR during exercise in a hot environment. Thus, wearing light clothing during exercise, and taking off the fencing jacket and mask during rest periods would be recommended to reduce the heat stress during fencing practice in hot environments.
著者
高橋 雄造
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会誌 (ISSN:13405551)
巻号頁・発行日
vol.117, no.1, pp.45-48, 1996-12-20 (Released:2008-04-17)
参考文献数
15
著者
矢部 沙織 高橋 博之 後藤田 裕子 森 孝之 井川 裕之 工藤 ひとみ 松本 哲 紅粉 睦男 関口 雅友
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.34-40, 2015-01-30 (Released:2015-02-04)
参考文献数
16
被引用文献数
1

62歳男性.30歳時に糖尿病を発症しインスリン治療を開始され,10年前より1日4回のインスリン強化療法を施行していた.62歳時,糖尿病性壊疽のため左足第I趾切断術目的に当院の心臓血管外科に入院.術後創部治癒は良好であったが,空腹時血糖値が50~500 mg/dl台と激しく変動したため,血糖コントロール目的に当科転科となった.インスリンを増量したが,600 mg/dl以上の高血糖が数日間持続した.腹部の診察をしたところインスリン注射部位に,径4 cm大の皮下硬結を2カ所認めた.皮膚生検の結果,インスリン頻回注射部位に形成された皮下限局性アミロイド沈着と診断した.注射部位変更後,血糖コントロールは著明に改善し,総インスリン量は減少した.長期インスリン治療患者に対しては注射手技指導を徹底し,さらに血糖コントロール不良例では,皮下限局性アミロイド沈着の形成を念頭に置いた丹念な身体診察が重要である.