著者
山内 勝也 高田 正幸 岩宮 眞一郎
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.192-202, 2003-04-01
被引用文献数
12

分かり易く覚え易いサイン音をデザインするための基礎的知見を得るために,既存のサイン音を用いて,機能イメージに関するカテゴリ判断実験と擬音語表現を用いた自由記述表現実験を行った。機能イメージに関しては,主成分分析により「警報-操作」「報知」「呼出」「警告告知」「終了」の五つのイメージに集約した後,擬音語表現と音響的特徴との対応関係な検討した。その結果,警報感を伴う音は「ピピピピ」等に擬音語表現される繰り返しを伴う音あるいは「ブー」と表現される継続時間が長く倍音の豐富な音,操作のフィードバックに適するのは「ピッ」で表現される短い音,報知に適するのは立ち上りが緩やかで拗音を伴って表現される音,呼出感の強い音は「ビリリリ」等で表現される変化速度の速い周期的変動音,警告告知のイメージを伴う音は「ブー」など有声子音を用いた基本周波数が低く周波数成分が豐富な音,終了のイメージを伴う音は「ピー-ピー」等のように長音を伴った繰り返しで表現される音か,長い減衰時間を持ち「チーン」などと長音と撥音を伴う表現がされる音である等の傾向を得ることができた。
著者
大村 浩久 高田 正 石田 英雄
出版者
九州大学
雑誌
九州大學農學部學藝雜誌 (ISSN:03686264)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.69-75, 1976-12

Three kinds of fish jelly products, "Kamaboko"(fish cake), "Chikuwa"(rolled fish cake) and "Satsuma-age"(fried fish cake) were then examined. The following range of constituents were estimated by chemical analysis. "Kamaboko": moisture 74.5~80.3(77.3±0.3)%; protein 7.0~13.0(10.3±0.7)%; fat trace~0.3(0.2)%; ash 2.1~3.2(2.7±0.1)%; sugar 2.9~9.8(6.3±0.9)%; starch 1.3~5.5(3.3±0.6)%; calorie 71~91(81±3)Cal.; saccharin and AF-2 not detected; sorbic acid 0~1.2(0.8±0.1)g/kg. "Chikuwa": moisture 62~73(68±2)%; protein 11.6~15.6(12.8±0.7)%; fat trace~0.3(0.2)%; ash 3.3~3.6(3.4±0.1)%; sugar 6.4~19.3(12.5±2.1)%; starch 1.7~5.6(3.4±0.8)%; calorie 94~139(116±8)Cal.; saccharin and AF-2 not detected; sorbic acid 0.3~1.4(0.8±0.2)g/kg. "Satsuma -age": moisture 64.9~70.0(68.7±1.0)%; protein 9.2~11.5(10.4±0.5)%; fat 2.8~4.1(3.6±0.2)%; ash 2.3~3.0(2.7±0.1)%; sugar 7.0~10.4(8.3±0.6)%; starch 5.2~6.9(6.2±0.3)%; calorie 125~148(132±4)Cal.; saccharin not detected; sorbic acid 0~1.45(0.82±0.21)g/kg; peroxide value 45.7~163.5(109.9±20.9)meq/kg. In several samples of "Kamaboko" and "Chikuwa", saccharin was not detected, while its use had been indicated on their label. Artificial colors, red No. 106 or/and yellow No. 5 were detected in some samples of "Kamaboko," too. Sensory tests suggested that expensive "Kamaboko" contained much protein and was evaluated better, whereas economical one of poor protein content contained much starch and had lower evaluation. Concerning "Chikuwa," too, evaluation seemed to have some relation with price and especially with starch content, while not towards protein content. However, there was no relationship of evaluation with price, constituents or peroxide value.常法に従い,カマボコ,チクワおよびサツマ揚げの調査を行なった.カマボコの平均成分は,水分77.3%,蛋白質10.3%,脂質0.2%,灰分2.7%,糖分6.3%,澱粉3.3%,熱量81カロリーであって,昭和47年度調査したものにくらべ,蛋白質および脂質含量ならびに熱量が若干低く,また対照よりは蛋白質および脂質が少なく炭水化物が多かった.サッカリンおよびAF-2は検出されなかったが,ソルビン酸は1業者を除いて使用され,その量は0.2~1.2g/kg,平均0.8g/kgであって昭和47年度調査したものよりも低かった.赤色に着色したものは,食用赤色106号単独またはそれと食用黄色5号とが併用されていた.一方チクワは,同一業者ではあるが,水分68.0%,蛋白質12.8%,脂質0.2%,灰分3.4%,糖分12.5%,澱粉3.4%,熱量116カロリーであって,カマボコよりも水分が少なく,蛋白質,糖分および熱量が高かった.昭和47年度調査したものにくらべて水分,蛋白質および脂質含量は低いが糖分および澱粉が多く,対照よりは水分含量は低いがとくに炭水化物含量が高く,したがって熱量も若干高かった.サッカリン,AF-2は検出されなかったが,ソルビン酸はいずれも使用され0.3~1.4g/kg,平均0.8g/kgであった.これに対してサツマ揚げは,水分68.7%,蛋白質10.4%,脂質3.6%,灰分2.7%,糖分8.3%,澱粉6.2%,熱量132カロリーであって,対照よりは,水分,蛋白質ならびに脂質含量は低いが炭水化物含量は高く,熱量はほぼ同等であった.サッカリンは検出されなかったが,ソルビン酸は0.6~1.45g/kg,平均0.82g/kg,過酸化物価は最低45.7から最高163.5と試料により広く変動した.官能テストの結果,カマボコでは一応蛋白質が多い高価なものが比較的高い評価を受け,一方廉価な試料は蛋白質は少くて澱粉が多く,その評価は低かった.チクワにおいても高価なものの評価は高いようであるが,蛋白質含量にはほとんど影響なく,むしろ澱粉の多いものの評価が低かった.サツマ揚げの評価と価格ないし成分あるいは過酸化物価との相関は認められなかった.
著者
片岡 寛子 高田 正幸 岩宮 眞一郎
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.76, no.10, pp.562-571, 2020-10-01 (Released:2021-03-10)
参考文献数
20

保育施設から発生する音の影響を体系的に把握することを目的として,音環境実測調査と近隣住民に対する意識調査を行った。幼児の声や運動会の音は,多くの回答者に好感が持てると判断されたが,それらを不快に感じる回答者もいた。不快な音は,特になしとの回答が多かったが,保育士の声や送迎車の音などに対する指摘も見られた。実測調査と意識調査の対応から,保育施設から発生する音に対する好感や不快感は,その発生時間の長さやA特性時間平均音圧レベルの大きさに必ずしもよらないことが分かった。また,保育施設で行われる行事への参加経験や参加の意思がある人ほど,保育所の新設により肯定的であることが示された。
著者
安東 竜一 影嶋 富美 高田 正保 中村 保典 藤田 直子
出版者
一般社団法人 日本応用糖質科学会
雑誌
応用糖質科学:日本応用糖質科学会誌 (ISSN:21856427)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.168-174, 2015

米澱粉における変異遺伝子と澱粉の利用特性との相関を解明することを目的として,既報のモチ性変異体米系統に続き,澱粉生合成関連アイソザイム(スターチシンターゼIIIa(SSIIIa),SSIVb,枝作り酵素IIb(BEIIb))が欠損したウルチ性変異体米系統(<i>ss3a</i>, <i>be2b</i>, <i>ss3a</i>/<i>ss4b</i>, <i>ss3a</i>/<i>be2b</i>)から得た澱粉の食品への利用特性について分析し,ウルチ性の野生型である日本晴と比較した。日本晴≪<i>be2b</i><<i>ss3a</i>≪<i>ss3a</i>/<i>ss4b</i>≒<i>ss3a</i>/<i>be2b</i>の順で糊化・膨潤し難い物性を示し,特に二重変異による糊化・膨潤の抑制が顕著であった。be2bの消化率は,未糊化状態では48.4%と難消化性を示したが,糊化状態では日本晴と同等であった。鶏唐揚げ衣への利用適性評価では,日本晴と比較して,変異体米澱粉の食感は調理直後では好ましかったものの,保存後では劣る傾向にあった。しかしながら,澱粉にまで精製せずに,米粉として用いることで,二重変異体米において保存後の食感が改善された。
著者
岩宮 眞一郎 関 学 吉川 景子 高田 正幸
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.292-299, 2003
被引用文献数
2

テレビ番組や映画などで, ある映像シーンから別の映像シーンへ場面を転換するとき, 様々な切り替えパターンが用いられる. 本研究では, 効果音が各種の切り替えパターンの印象に与える影響を, 印象評定実験によって明らかにした. 一般に,「明るい」印象の連続的なスケール状の効果音が, 各種の切り替えパターンと調和する. とりわけ, 上昇系列の音列と拡大系の切り替えパターン, 下降系列の音列と縮小系の切り替えパターンの調和度が高い. 本研究で認められた音と映像の調和感は, 音と映像の変化パターンの一致に基づく構造的調和によるものと考えられる. さらに, 音と映像の調和度が高い視聴覚刺激は映像作品としての評価も高い. これは, 音と映像が一体となって互いの効果を高め合う協合現象によるものと考えられる. 音と映像の構造的な変化パターンの一致が調和感をもたらし, 視聴覚情報が一体のものとして理解されることで, 評価が高まるのであろう.
著者
高田 正規
出版者
The Human Geographical Society of Japan
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.19, no.6, pp.669-680, 1967-12-28 (Released:2009-04-28)
参考文献数
7
著者
岩宮 眞一郎 関 学 吉川 景子 高田 正幸
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.292-299, 2003-12-15 (Released:2010-03-12)
参考文献数
12
被引用文献数
2 2

テレビ番組や映画などで, ある映像シーンから別の映像シーンへ場面を転換するとき, 様々な切り替えパターンが用いられる. 本研究では, 効果音が各種の切り替えパターンの印象に与える影響を, 印象評定実験によって明らかにした. 一般に,「明るい」印象の連続的なスケール状の効果音が, 各種の切り替えパターンと調和する. とりわけ, 上昇系列の音列と拡大系の切り替えパターン, 下降系列の音列と縮小系の切り替えパターンの調和度が高い. 本研究で認められた音と映像の調和感は, 音と映像の変化パターンの一致に基づく構造的調和によるものと考えられる. さらに, 音と映像の調和度が高い視聴覚刺激は映像作品としての評価も高い. これは, 音と映像が一体となって互いの効果を高め合う協合現象によるものと考えられる. 音と映像の構造的な変化パターンの一致が調和感をもたらし, 視聴覚情報が一体のものとして理解されることで, 評価が高まるのであろう.
著者
岩宮 眞一郎 渡邊 正智 高田 正幸
出版者
公益社団法人 日本騒音制御工学会
雑誌
騒音制御 (ISSN:03868761)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.425-436, 2008-12-01 (Released:2020-01-29)
参考文献数
7

オートバイの排気音に関するアンケート調査及び音質評価実験を行い,通常オートバイを利用するライダーと利用しない非ライダーの排気音に対する意識の違いを検討した。ライダーは,力強い走りを連想させる低音域が優勢で迫力感あふれるアイドリング音,音量が大きく高音域が優勢な走行音を好む。ライダーの評価には,音から連想されるオートバイのイメージの影響がみられた。非ライダーの評価にはそのような影響はなく,排気音全般に対して不快な印象を持ち,音量が大きいほど排気音を嫌っていた。ライダーが理想とする排気音と非ライダーが不快感を覚える排気音の擬音語に共通の表現がみられることからも,両者の意識の違いが分かる。
著者
松坂 昌宏 小林 豊 萩原 紫織 望月 真太郎 高田 正弘 井出 和希 川崎 洋平 山田 浩 諏訪 紀衛 鈴木 高弘 横山 美智江 伊藤 譲 北村 修 小野 孝彦 米村 克彦
出版者
一般社団法人 日本腎臓病薬物療法学会
雑誌
日本腎臓病薬物療法学会誌 (ISSN:21870411)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.15-27, 2017 (Released:2018-04-19)
参考文献数
10

静岡腎と薬剤研究会は腎臓病薬物療法について学習する機会が限られていた静岡県の病院・薬局薬剤師の取り組みの現状を把握し、課題を見出すためにアンケート調査を行った。対象は第1回静岡腎と薬剤研究会に参加した病院・薬局薬剤師とした。アンケートは多肢選択式20問とし、腎機能評価や疑義照会の他、処方箋やお薬手帳への検査値の記載に関する質問を作成した。回答者は病院薬剤師42名、薬局薬剤師20名の合計62名であった。調剤時の処方鑑査の際に腎機能を表す検査値を確認する薬剤師は53名(85%)であり、薬物投与量を確認する際の腎機能評価にeGFRを使用する薬剤師は40名(65%)であった。体表面積未補正eGFRを使用するのは40名中17名(43%)と半数以下であった。腎機能を評価した上で疑義照会をしている薬剤師は48名(77%)であり、病院薬剤師42名中37名(88%)に対して薬局薬剤師20名中11名(55%)と異なっていた。その理由に検査値の入手方法と確認頻度に違いがみられ、病院薬剤師38名(90%)が検査値をカルテから入手するのに対し、薬局薬剤師18名(90%)は患者から入手していた。確認頻度では薬局薬剤師15名(75%)が検査値を入手できた時に確認しており、腎機能評価が不定期に実施されていた。疑義照会内容は過量投与が48名中45名(94%)と最も多く、薬物相互作用は7名(15%)と少なかった。処方箋に腎機能を表す検査値の記載を希望する薬局薬剤師は20名中17名(85%)であり、検査値を記載している施設の病院薬剤師は42名中7名(17%)であった。お薬手帳に検査値の記載を希望する薬局薬剤師は13名(65%)であったが、検査値を記載している施設の病院薬剤師は3名(7%)と少なく、病院薬剤師の取り組みが進んでいないことが明らかとなった。以上の結果から、地域の腎臓病薬物療法の質的向上には、腎機能評価に関する研修会の実施や薬局薬剤師が検査値を入手しやすいように薬薬連携の推進を図ることが重要である。