著者
安東 竜一 影嶋 富美 高口 均 奥田 茜 藤村 岳史 相沢 健太 高木 洋平 高田 正保 中村 保典 藤田 直子
出版者
日本応用糖質科学会
雑誌
応用糖質科学:日本応用糖質科学会誌 (ISSN:21856427)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.213-221, 2013
参考文献数
14
被引用文献数
3

米澱粉における変異遺伝子と澱粉の利用特性との相関を解明することを目的として,結合型スターチシンターゼI (GBSSI) に加えて他の澱粉生合成関連アイソザイム(スターチシンターゼI (SSI) ,SSIIIa,枝作り酵素I (BEI)) が同時に欠損あるいは活性が低下したモチ性変異体米系統 (ssl<sup>L</sup>/gbssl,ss3a/gbssl,bel/gbssl) の澱粉の食品への利用特性について分析し,GBSSIのみ欠損した変異体 (gbssl) と比較した。ssl<sup>L</sup>/gbsslは粘度上昇温度が上昇したが,ピーク粘度は低下した。ss3a/gbsslは平均粒径が小さくなり,粘度上昇温度が低下し,ピーク粘度が低下した。bel/gbsslはピーク粘度が上昇した。ssl<sup>L</sup>/gbsslとbel/gbsslでは加熱膨潤度が増加した。ss3a/gbsslとbel/gbsslではアセチル化アジピン酸架橋を施した後に吸水率が増加した。団子のタレによる利用評価では,ss3a/gbsslが保形性と口溶けのバランスに優れて良好な利用適性を示したものの,酸性フルーツソースでは澱粉粒の崩壊が促進され,保形性が大きく低下した。アセチル化アジピン酸架橋を施したモチ性変異体米澱粉では,酸性条件下での澱粉粒の崩壊が適度に抑制され,タレ・ソース用途において,保形性と口溶けの向上を両立させることができた。
著者
島倉 淳泰 高田 正信
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.2, pp.335-343, 2013 (Released:2014-02-10)
参考文献数
12
被引用文献数
1

動脈硬化症の診断に用いられる血管機能検査には心臓足首血管指数(CAVI),脈波伝播速度(PWV),足関節上腕血圧比(ABI)がある.CAVIとPWVは血管の硬さを表す指標であるが,PWVは測定時の血圧の影響を受け,CAVIは血圧の影響を殆ど受けない.CAVI,PWVともに高血圧,糖尿病,脂質異常症,メタボリックシンドロームなどの生活習慣病,虚血性心疾患,慢性腎臓病,脳血管障害の患者で上昇している.ABIは末梢動脈疾患の検出に有用であり,また異常例では心血管系リスクが高くなる.
著者
高田正夫著
出版者
潮流社
巻号頁・発行日
1962
著者
鳥羽 美香 藤木 理代 塚原 丘美 田村 明 小澤 良太 青石 哲也 菅野 昌明 高田 正義
出版者
名古屋学芸大学健康・栄養研究所
雑誌
名古屋学芸大学健康・栄養研究所年報 = Annual Report of Institute of Health and Nutrition, Nagoya University of Arts and Sciences (ISSN:18821820)
巻号頁・発行日
no.5, pp.39-47, 2012-09

スポーツ選手の栄養サポートを行う部活動NSTA(Nutrition Support Team for Athlete)は、愛知県内のA 大学ラグビー部の学生寮にて、朝食・夕食の食事提供を行っている。この活動が始まった2005年から2009年の5 年間に、選手を対象に行った身体測定、体力測定結果の推移を見た。その結果、間欠性持久力を評価するYo-Yo Intermittent test の成績が有意に上昇した。一方、10m、30m スプリントタイム、スクワットジャンプパワーといった瞬発力を評価する項目や、身体計測値に変化は認められなかった。持久力の上昇には、練習後の速やかな糖質摂取による貯蔵グリコーゲン回復が必要であり、NSTA による食事提供の寄与は大きいと考えられる。
著者
大村 浩久 高田 正 石田 英雄 松本 正隆
出版者
九州大学
雑誌
九州大學農學部學藝雜誌 (ISSN:03686264)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.69-77, 1978-09

Two types of fish jelly products, "Chikuwa" (rolled fish cake) and "Sumaki-Kamaboko" (fish cake rolled with straw) manufactured in Fukuoka prefecture were examined on respective 10 brands in January of 1975. The following ranges of constituents were indicated by chemical analysis. "Chikuwa" : Water 63. 1~73. 6 (69. 4± 1. 1) % ; protein 11. 7~16. 7 ( 13. 8±0. 5) % ; lipid 0. 3~0.9 (0.6±0.07) %; ash 2.4~4.4 (3.3±0.2) %; starch 2.0~40.2 (6. 1 ±0. 9) %, sugar 8. 3~18. 2 (13. 0±0. 9) %, energy 97~132 (112 ±3. 8) kcal ; sorbic acid, 0. 64~1. 68 (1. 28±0. 13) g/kg except one brand; saccharin sodium 0 in 7 brands and 0. 03, 0. 47 or 0. 16 g/kg in 3 respectively; A F_2 and hydrogen peroxide were not detected, while positive intestinal flora in one brand. "Sumaki -Kamaboko": Water 71.0~77. 3 (73. 5±0.7) %; protein 10. 1-15.8 (11.4±0. 5) %; lipid 0. 3~1. 0 (0. 5±0. 07) %; ash 2. 3~3. 6 (3. 0±0. 1) %; starch 0~7. 4 (5. 0±0. 7) %; sugar 7. 5~14. 7 (11. 5 ± 0. 7) %, energy 54~104 (83 ± 6 ) kcal ; sorbic acid 0. 18~1. 58 (0. 78±0. 2) g/kg in 7 brands and 0 in 3 brands ; saccharin sodium 0 in 7 brands and 0.01, 0.06 or 0.06 g/kg in 3 respectively ; AF_2 and hydrogen peroxide were not detected, while pseudo - positive intestinal flora in 2 brands. Red No. 106 was employed in 7 brands and No. 104 in one brand, but not in others. A strict relationship between evaluation by sensory test and constituent was not estimated. However, it was shown with some exception that the evaluation was generally dependent on higher protein and lower starch content through certain physical properties such as sense of touch. A rough correlation of evaluation to price was also observed. Although t h e distinct feature was not estimated for products in Fukuoka prefecture, they seemed to contain much starch.昭和49年度においても,それぞれ福岡県内10ヵ所の生産者から試料を購入し,官能テストならびに成分分析により,チクワについては3年連続して調査を行なつた.またスマキについてもあわせて調査した.チクワの成分は,水分63.1~73.6(69.4±1.1)%,蛋白質ll.7~16.7(13.8±0.5)%,脂質0.3~0.9(0.6±0.07)%,灰分2.4~4.4(3.3±0.2)%,澱粉2.0~10.2(6.1±0.9)%,糖分8.3~18.2(13.0±0.9)%,エネルギー97~132(112±3.8)キロカロリーであつて,過去2回の調査によるものとほとんど差はなく,対照にくらべて水分含量がやや低く炭水化物含量が高い傾向が認められた.ソルビン酸は1試料を除いて0.64~1.68(1.28±0.13)9/kgの範囲に検出され,一方人工甘味料はサッカリンナトリウムが3試料に認められた.またAF2,過酸化水素のような殺菌料はすべての試料に検出されなかつたが,大腸菌群は1試料にのみ陽性であつた.スマキでは,水分71.0~77.3(73.5±0.7)%,蛋白質10.1~15.8(11.4±0.5)%,脂質0.3~1.0(0.5±00.07)%,灰分2.3~3.6(3.0±0.1)%,澱粉0~7.4(5.0±0.7)%,糖分7.5~i4.7(11.5±0.7)%,エネルギー54~104(83±6)キロカロリーであつて,チクワにくらべて水分含量がやや高いが蛋白質ならびに炭水化物含旦が低く,また含量の範囲も狭かつた.澱粉無添加試料の蛋白質含量は最も高く,これを除くと10~12%の範囲にあつて,対照にくらべてほとんど差はなく,一般に炭水化物含量が高く脂質含量は低かつた.ソルビン酸は7試料に0.18~1.58(0.78±0.2)9/kg,サッカリンナトリウムは3試料に0.Olあるいは0.069/kg検出された.AF2および過酸化水素はすべての試料で陰性,大腸菌群は2試料に凝陽性であつたが,人工着色料は,赤色106号が7試料,赤色104号が1試料に使用されていた.これらチクワやスマキなどの成分あるいは価格と官能テストによる評価との間に厳密な相関関係を見出すことはむつかしかつた.しかし,例外的に一部逆の場合もあるが,こしや触感のような物性を介して蛋白質および澱粉含量が影響する傾向も認められた。
著者
高田 正史 北條 美能留 上園 保仁 澄川 耕二
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.160-164, 2008-05-25 (Released:2011-12-01)
参考文献数
11
被引用文献数
1 2

フェンタニル単独で除痛が困難であったがん性腹膜炎による腹痛に対して,少量のモルヒネを追加し,腹痛が著減した2症例を報告する.症例1は15歳の女児で,卵巣癌の腹膜播種による腹痛に対して最初の3カ月間はフェンタニル300μg/日で良好な鎮痛が得られていた.その後,腹痛が増強したので1週間で持続フェンタニルを2,400μg/日まで増量し,フェンタニル100μg/回のレスキューを16回/日使用し,ケタミンを併用したが,腹痛はまったく軽減しなかった.モルヒネ(50 mg/日)の持続静脈内投与を追加した後に,腹痛は著減した.症例2は33歳の女性で,胃癌の腹膜播種による腹痛に対して,フェンタニルの持続投与を2週間で9,600μg/日まで増量し,フェンタニル200μg/回のレスキューを25回/日使用し,ケタミンを併用したが,鎮痛効果不十分であった.モルヒネ(150 mg/日)の持続静脈内投与を追加した後に,腹痛は著減した.2症例では,フェンタニルへの耐性が発現していたと考えられた.
著者
高田 正泰
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

原発性乳癌の予後因子である腋窩リンパ節転移の有無を治療開始前に予測する数理モデルの開発・評価を行った。国内2施設から291例の症例データを得て予測モデルを作成し、韓国ソウル大学病院の174例を用いて評価を行った。予測モデル作成は決定木アルゴリズムの一つであるAlternating Decision Tree(ADTree)を採用した。構築されたモデルは、学習用データでROC曲線下面積(AUC)=0.770、独立した評価用データでAUC=0.772と高い汎用性を示した。モデルによる予測確率20%以下をリンパ節転移低リスクと仮定すると偽陰性率は5.3%であった。また、ADTreeモデルはデータ欠損にも耐性を示した。さらに同一データでの精度比較では、既存モデルはADTreeモデルに及ぼなかった。本結果を国際学会にて報告し、現在論文投稿中である。さらに、Web上で予測確率を計算可能なサイトを作成し、多施設共同で前向き評価試験を遂行中である。術前化学療法による病理学的完全奏効(Pathological complete response,pCR)を治療開始前に予測する数理モデルの開発・評価を行った。国内のがんセンター・大学病院より得られた150例のデータを用いて予測モデルを作成し、臨床試験から得た173例のデータにより評価を行った。モデル作成にはADTreeアルゴリズムを用いた。ADTreeモデルは、学習用データでAUC=0.766,評価用データで0.787と高い予測精度を示した。予測確率20%以下をpCRの可能性が低い群と仮定した場合、偽陰性率は7.7%であった。ADTreeモデルはエストロゲン受容体(ER)陽性のluminal type乳癌においてAUC=0.779と高い予測精度を示した。一方、ER陰性HER2陰性のTriple negative乳癌では、AUC=0.531と予測精度改善が必要と考えられた。同一データでの精度比較では、既存モデルはADTreeモデルに及ばなかった。本結果を国際学会にて報告し、現在論文投稿中である。さらに、Web上で予測確率を計算可能なサイトを作成し、多施設共同で前向き評価試験を計画中である。閉経後ER陽性乳癌患者を対象としてアロマターゼ阻害剤(exemestane)による術前療法を行った臨床試験で、臨床的治療効果の予測因子を探索した。その結果、年齢、腫瘍径、ER発現度、増殖マーカー(Ki-67)と治療効果との関連が示唆された。さらに、Body mass index (BMI)が低値(BMI<22kg/m2)の群は、中間値(22≦BMI<25kg/m2)や高値(BMI≧25kg/m2)群に比較して、奏効率が低い事が示された(21.7%,56.0%,60.6%,p=0.01)。さらに多変量解析でもBMI低値は独立した効果不良の予測因子であった。この結果を論文報告し国際学会で発表した。
著者
高橋 義行 高田 正司 小田中 芳次 井園 佳文 長岡 広行 沼田 京太 藤田 俊一
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.378-382, 2002-11-20
参考文献数
11
被引用文献数
1

宮崎県佐土原町の圃場において, キャベツを定植した灰色低地土の緩斜面圃場(A1 : 1.7°, 5a)で1997年5&acd;7月の梅雨期に地表水の流出が計13回観察された.この圃場にダイアジノン粒剤の定植時処理(a.i. 300 g/10 a), その55日後にTPN (400 mg/l)とジメトエート(430 mg/l)の混用液(239 l/10 a), その8日後にTPN, ダイアジノン(400 mg/l)とジメトエートの混用液(224 l/10 a)を散布した.表流水によって流出したTPNの96%(流出直後)から47%(終了直前)は, 浮遊物質(SS)とともに流出した.一方, ダイアジノンとジメトエートはそれぞれ33&acd;44%および1%とほぼ一定の割合でSSとともに流出した.また, 同年9&acd;10月の台風時期にはA1圃場の傾斜を1.15°に調整した圃場(A2)と黒ボク土の圃場(B, 5 a, 傾斜1.15°)にダイコンを播種して地表水の流出頻度を比較した.その結果, 灰色低地土では4回, 黒ボク土では台風時の降雨によって2回の地表流出が認められた.灰色低地土のA1圃場では平均降雨強度5 mm/hr前後以上で, A2圃場では10 mm/hr以上の降雨によって, また黒ボク土のB圃場では20 mm/hr以上の降雨によって地表水の流出が生じた.さらに, 人工降雨装置を用いた屋内小規模地表流出試験系でも灰色低地土からは黒ボク土よりも容易に表流水が発生した.
著者
岩宮 眞一郎 高田 正幸
出版者
九州大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

工業製品から発せられる音の感性的側面(音質)の経済的価値を評価するために,マーケティングリサーチの分野で用いられるコンジョイント分析を利用した検討を行った。本年度も,掃除機とドライヤーの稼動音を対象とした。先ず,市場調査により,これらの機械製品を特徴付ける属性(性能,デザイン,音,価格など)と水準を設定した。音属性の水準を設定する際には,A特性音圧レベルやシャープネス(音の鋭さの指標)の2種類の音響指標の値を基準としたが,A特性音圧レベルが変化したときにはシャープネスは一定であり,その逆も同様であった。全属性のさまざまな水準を直行計画により組み合わせた27種類の製品プロファイルを被験者に呈示し,各製品に対する選好度を回答させた。実験は2種類ある音属性を入れ替えて個別に行った。実験の際,音属性の各水準に対応する稼動音を被験者に聴取させた。実験には50名(男女各25名)が参加した。得られた選好度の回答結果にコンジョイント分析を適用し,製品を特徴付ける各属性の重要度や属性毎の各水準に対する効用値を求めた。各属性の重要度を比較すると,掃除機の場合,音属性をA特性音圧レベルおよびシャープネスとしたいずれの実験結果でも「価格」「付加的機能」「メーカー」の順に重要度が大きい。また,「タイプ」「集塵方式」「音」の各属性の重要度は「メーカー」属性よりもやや低い。ドライヤーの場合は「価格」「タイプ」「メーカー」「マイナスイオン発生機能」「音」の順に重要度が大きかった。音属性の1水準の変化に対する経済評価値を求めた結果,掃除機では5dBAのA特性音圧レベルの変化に対して3347円,0.25acumのシャープネスの変化に対して3692円と評価された。ドライヤーでは,6dBAのA特性音圧レベルの変化に対する評価額が591円であった。これらの評価額は価格属性4水準の平均の約11〜13%に相当し,昨年度行った仮想評価法による評価結果と近いものであった。さらに,稼動音を呈示せずに同様の実験を行った。得られた重要度や経済評価値と音を呈示した実験の重要度や経済評価値にはやや差があり,稼動音を聴取させる代わりに行った教示の影響が示唆された。
著者
高田 正三
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学医学部紀要 (ISSN:00756431)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.43-58, 1991-07

脊髄損傷者に,社会復帰後の生活状況をアンケート調査し,社会復帰に影響を及ぼす要因を検討した。対象は頸損54例,胸損43例,腰損21例の計118例で,退院後,87%が自宅生活をし,日常生活動作や車いす動作で介助を要するものが,それぞれ41%,31%で,介助者の多くは配偶者・親・子供で86%を占め,介助者のうちの65%が50才以上であった。社会福祉サービスの利用は19%と低く,住宅改造は72%,就労は41%,有配偶者率は51%で,11%が結婚し,11%が離婚していた。車の保有率は76%で,免許証取得者は73%であった。脊髄損傷者の社会復帰に影響を及ぼす要因は,損傷部位,年齢も大きな因子であるが,介助者の存在・住宅改造の有無・就業の有無・運転の可否・配偶者の有無などの社会的要素も大きく関与し,これらは個人的努力はもちろん,社会的合意のもとに,公的制度により解決が図られるべきものと考える。
著者
藤沢 望 岩宮 眞一郎 高田 正幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.750, pp.19-24, 2004-03-23
被引用文献数
5

擬音語からイメージされる音の心理的性質を調べ,擬音語表現との関係を探った.擬音語20語を刺激とした類似性判断実験と多次元尺度構成法から得られた3次元解に対し,一対比較法,SD法で得られた音の大きさや音色に関する尺度値を用いて重回帰分析を行い,刺激布置の解釈を試みた.その結果,I軸は音の「長さ」,III軸は音の「高さ」と「美的因子」に対応しており,H軸では正方向に濁音・半濁音を含む擬音語,負方向に繰り返し表現による擬音語が多く位置していた.また, 「長さ」と長音,「高さ」と母音/i/,「美的因子」と有声・無声子音など,特定の心理尺度と擬音語表現には対応が見られ,過去の研究結果と一致していた.
著者
藤沢 望 尾畑 文野 高田 正幸 岩宮 眞一郎
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.62, no.11, pp.774-783, 2006-11-01
被引用文献数
1

音を表す言葉である擬音語は,その表現が音の特徴と密接に関連している。本論文では,文字表記された2モーラの擬音語からイメージされる音の印象と擬音語表現の関係を明らかにし,擬音語から印象を予測する手法を示した。SD法による印象評価実験の結果と林の数量化理論第I類分析により,擬音語の子音や母音,濁音といった音韻的特徴が印象に与える影響をカテゴリ数量として求めた。2モーラの擬音語に対する印象は,各カテゴリ数量の和で予測でき,"キン"のようにカ行の子音及び母音/i/を含む擬音語からは「かたい」印象の音がイメージされ,"ブー"のように濁音を含む擬音語からは「きたない」印象の音がイメージされる。
著者
中森 貴理雄 萩原 洋一 高田 正之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.939-942, 1990-06-15
被引用文献数
3

上界が未知の自然数を表現する方式を考察し 変動式多重分割による新しい方式を提案する.一般に 自然数の表現には 指数部可変長の浮動小数点表現(URR など)の指数部を利用することが考えられるが それらの方式では分割の多重度が固定されている.本論文の方式では 数値が大きくなるほど多重度が大きくなり 比較的少ないピット数で大きな自然数を表現することができる.本論文の方式は次数が1 2の場合は既存の自然数表現方式と同じものであり 本論文は既存の方式の優秀さを示すことにもなっている.