著者
清野 馨
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.291-298, 1991-06-05

東北、北陸、九州の各農試で試験年次を異にして栽培されたササニシキ、トヨニシキ、マンリョウ、レイホウの4品種について、養分吸収ならびに生育様式と収量構成因子との相関関係を検討し次の結果を得た。1)玄米重では東北の2品種が生育初期の窒素との相関が高かったが、しいな重、屑米重、玄米千粒重、登熟歩合、穂数、一穂籾数などは各品種ともに窒素以外の多量要素、微量要素と高い相関を示した。このことは、玄米生産において窒素が制御因子となっていない場合はもちろん、たとえ窒素が制御因子である場合においても、収量を構成する諸要素と、窒素以外の多くの無機成分の吸収との間には密接な関係があることを示すものである。2)養分吸収は各生育時期における含有率、含量のほかに生育期間(IからV)ごとの養分吸収濃度を指標としたが、含有率、含量との相関の高い穂数、屑米重に対し、玄米千粒重、登熟歩合などは、ある期間の養分吸収濃度との相関が高い傾向を示した。また、マンリョウ、レイホウは東北の2品種に比べて、養分含有率、含量との相関よりも、生育期間後との養分吸収濃度との相関が高い傾向にあった。3)東北、北陸の3品種では、登熟に関係する因子が水稲の生育初期における養分吸収様式と相関を示す事例が多く認められた。この地域の稲作における初期生育の重要性を示すものである。九州で供試したレイホウでは、III期(生育停滞期、ラグ期)の養分吸収濃度と相関を示す因子が多く、この期間の栄養管理の重要性を示唆した。4)しいな重、屑米重は窒素のほかリン、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ナトリウムなどの吸収様式と相関を示した。これらの養分がそれぞれ土壌中の含量、灌がい水温、水稲体内の陳謝異常、施肥法などにより他の養分とのバランスを崩した結果、発育停止籾の制限因子となっていることを推定した。したがって土壌、肥培管理の改善により発育停止籾の減少、増収、米質向上の可能性のあることを明らかにした。5)冷水灌がいがなされた東北の2品種ではナトリウムがしいな重と負の相関を、九州のレイホウでは中干し期間中のナトリウムが一穂籾数と正の相関を示し、ともに収量的に有利に働く傾向が認められるが、いずれの場合にもカリウムの吸収抑制に伴う代替作用と推察された。6)水稲の苗あるいは分げつ期の茎葉のカリウム、ケイ素、鉄、ナトリウム含有率が、生育後期の同養分含有率と高い相関を示すことが認められた。
著者
原 正之 石川 裕一 古市 幸生
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.1-7, 2003-02-05
被引用文献数
4

副資材無添加豚ぷん堆肥をエキストルーダーを用いて直径5mmのペレットに成型するための最適成型条件と品質劣化防止のための乾燥条件を検討し,合わせて製品ペレットの物理性およびハンドリング改善効果について明らかにした。1)エキストルーダーによる成型では,原料堆肥の水分条件および機械の軸回転速度条件が処理速度およびペレット強度に大きく影響する.直径5mmのペレット作成のための最適成型条件は,原料堆肥の水分がO.38〜0.40kgkg^<-1>,機械の軸回転速度条件については,混練軸15rpm,押出軸14rpmであった。この条件での処理速度は1.9kgmin^<-1>であり,成型時のバレル内平均温度は63℃であった。2)最適水分条件で成型されたペレットは,,袋詰め保管時に糸状菌の増殖による外観品質の著しい低下が認められた。こうした微生物の増殖による品質の劣化は,、ペレットの水分を15kg kg^<-1>以下にまで乾燥することで防止できる。直径5mmペレットを50℃で乾燥する場合の乾燥速度は0.0021kg kg^<-1>min^<-1>であり,製品水分を長期保管が可能な0.15kg kg^<-1>にするためにはおよそ2時間の通風乾燥が必要である。3)乾燥した直径5mmの製品ペレットの切断強度は4.3kg cm^<-2>,耐久性指数は0.98であり,流通および保管に耐える十分な強度を有する。製品ペレットの乾物1t当たりの容量は,長さ1cmのペレット.で原料堆肥の68%となり,成型による容量の圧縮効果が認められた。また,製品ペレット散布時の粉塵発生量は原料堆肥の1/10程度であり,成型化による防塵効果が認められた。
著者
若月 利之 小村 修一 安部 裕冶 泉 一成
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.335-344, 1989-08-05
被引用文献数
8

黒ボク土,赤色土,マサ土,ゼオライト,炭素減資材(ジュート,木箱等)を層状,階段状に充填して多段土壌層構造をもつ生活排水浄化装置(多段土壌層法と呼ぶ)を作り,その浄化能力を約2年間にわたって試験した.その結果,本研究で提案した多段土壌層法を用いた浄化装置のうち,黒ボク土,マサ土およびゼオライトを積層した装置は,平均濃度,BOD 220 mg/l,COD 88 mg/l,T-N 56 mg/l,T-P 22 mg/l の生活排水を,2年間の実験期間中目詰まり現象は起きなかった.また,炭素源としてジュート袋を挿入した装置は窒素除去能が89%に向上した.多段土壌層法による以上の家庭排水装置は,高い浄化能を長期間安定して維持した.すなわち,2年間の平均で4装置ともBODは4 mg/l 以下,CODは3~7 mg/l,T-Pは装置4を除き0.5 mg/l以下,T-Nは装置2を除き7~16 mg/lであった.したがって,浄化処理水の水質として現在立てられている最高水準の目標値,BOD 10 ppm以下,COD 15 ppm 以下,T-N 10 ppm 以下,T-P 1 ppm 以下を満足するものであることを認めた.
著者
上堂薗 明 石田 英子 ダルマワン 増永 二之 若月 利之
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.73, no.6, pp.755-763, 2002-12-05
被引用文献数
3

土壌を生態系の構成要素の一つであるということに重点をおき,集水域生態系における地形・地質・植生などの自然環境因子と,地域住民の野外経験や認識をベースとした知恵にも基づく種々の土地利用という人為的因子の相互作用が,いかに土壌特性に影響を与え,全体としての集水域景観を形成しているかを明らかにすることを試みた.現地調査は,インドネシア共和国,母系制で知られるミナンカバウ族が人口の大半を占める西スマトラ州,アナイ川中流部に位置するシピサン村において実施した.シピサン村住民は,土壌の肥沃度と土壌生成について地形に着目して総合的に理解していた.平坦部においては,水の流れによって山地部と傾斜部から養分に富む土壌が流れてくることにより,土壌が肥沃になると認識していた.集水域内の各地形や土地利用間の関連,生態的特性をダイナミックに認識していた.適度な焼畑は適度の土壌侵食を引き起こし,低地土壌や水田土壌を生成するのに役立つという土壌生成に関する認識は,侵食を有効的に利用する在地の知恵や技術である.在地の地形に着目した土壌肥沃度評価,焼畑地における土壌侵食と土壌堆積に関する認識は,実験室における土壌の理化学分析結果から判断してその正当性が示された.土地利用に着目すると,低地部では水田が拓かれており,村落の周りには自給的あるいは商業的な目的のためのプカランガンやクブンがあり,多年生の樹種と一年生の野菜類などの混作が行われていた.樹種が多様なクブンの景観は,一次林のような多層構造を見せていた.山地部のクブンは,粗放的な管理となっており,標高が高くなるに従い,森林伐採が点在している二次林,多層の林層構造の発達する一次林域となっていた.樹冠が密閉して多層構造の発達する山地部の一次林では土壌侵食は少なく,雨水などによる強い溶脱を受けているために,土壌中の塩基量が少なく,貧栄養で強酸性を帯びていた.一方,水田域や村中心部の畑地は,アナイ川とシピサン川経由で,上流域の肥沃な火山灰土壌が供給されることと人為的な影響,つまり人間による土づくりによって肥沃度が維持されていると考えられた.在地の土壌に関する知恵や知識と技術は集水域単位をベースとし,その景観を創出・保全していることが明らかとなった.
著者
小泉 幸男 赤塚 敬彰 佐伯 多希子 東口 伸二 關谷 次郎
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.117-123, 2002-04-05

マメ科植物では垂直光屈性や平行光屈性など葉が運動をすることが知られている.著者らはイオウ欠如処理をしたダイズの葉が強い平行光屈性を示すことを見出したのでこれについて解析した.第3葉が展開中のダイズを,10日間イオウ欠如処理し(S0区),健全植物(S1区)と比較すると,外観的には欠乏障害はほとんど認められず,乾燥重でもほとんど差がなかった.S0区の第2葉,第3葉のクロロフィル量,光合成活性,S,N,Ca含量は新鮮重当たりでわずかに低下した.イオウ化合物については,硫酸イオン,ホモグルタチオンがS0区で大きく減少していたが,脂質態Sとタンパク態Sの減少はわずかであった.以上の結果,イオウ欠如処理10日目はイオウ欠乏の初期状態であると結論した.ダイズの葉は光照射に応答して上下運動,回転運動を行った.光受容部位は葉枕であり,葉枕への上部からの光照射に対して,中央小葉では上下運動が,左右小葉では回転運動が主であった.この上下運動と回転運動は光照射開始後約1時間で一定値に達し,その運動量はS0区の葉の方がS1区のそれより大きく,強い平行光屈性を示した.このような現象は処理開始後5日目ですでに認められた.自然光下ではこれらの上下運動や回転運動の組み合わせで,光屈性の異常(強い平行光屈性)を示すものと考えられる.
著者
林 哲央 日笠 裕治 坂本 宣崇
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.9-14, 2003-02-05
被引用文献数
1

北海道の施設栽培条件において軟白ネギのリン酸施肥量を検討した。初期生育を高めるためには1000mg kg^<-1>程度の土壌有効態リン酸量が望ましいが,その後の生育は土壌有効態リン酸量が500mg kg^<-1>程度で大きく,この有効態リン酸量で十分な収量が得られた.これは同じAllium属作物のタマネギ栽培における有効態リン酸量よりも低水準である。土壌有効態リン酸量とリン酸施肥量との関係を検討し,土壌有効態リン酸量が200mg kg^<-1>未満ではリン酸施肥量は250kg ha^<-1>,200〜500mg kg^<-1>では100kg ha^<-1>,500mg kg^<-1>以上では無施肥と設定した.ただし,本結論の対象は主に褐色低地土であり,黒ボク土は対象から除いた.北海道道南地域の施設軟白ネギ生産地における農家ハウスの土壌有効態リン酸量は多くの場合500mg kg^<-1>よりも高く,多施肥されている圃場も多い.従って,本施肥法は軟白ネギ栽培ハウスの土壌有効態リン酸量を500mg kg^<-1>以内に抑制し,多くの農家ハウスにおいて土壌有効態リン酸量を長期的に適正な範囲で維持することを可能にする.
著者
在原 克之 渡辺 春朗
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.103-111, 1997-04-05
被引用文献数
2

In order to solve the problems with paddies, in the case of soil dredging for the establishment of strong gley paddy fields from rivers we examined the growth and yield of paddies as well as problems occurring after their construction. The results are summarized as follows. 1) The total sulfur content of the sediment was 4-25 g kg^<-1>, and, when the soil was oxidized with hydrogen peroxide, its pH(H_2O_2) was 3. We concluded that the sediment was an acid sulfate soil because the Ex-MgO content was higher than the Ex-CaO content. 2) In the stockpile, the clayey sediment accumulated on the surface horizon whereas the sandy sediment accumulated on the subsurface horizon. After sediment accumulation over 6-8 months, oxidation of acid sulfate materials contained in the clayey sediment occurred only in the surface horizon. 3) One year after paddy-field construction, the sandy paddy soil showed a lower pH(H_2O) than both the clayey and loamy paddy soils, although the pH(H_2O) of the sandy paddy soil increased for a few years after the construction of the paddy fields. The pH of the loamy paddy soil, on the other hand, declined. 4) In the sandy paddy fields, salt damage in the first crops was frequently found after land construction, whereas in the loamy paddy fields, salt damage was hardly found in the first crops but very poor yields occurred from the second and third crops. 5) There were differences between plant heights and the number of tillers on the border at soil pH(H_2O) 4.5 ; plants were short, and the number of tillers was low in fields below pH(H_2O) 4.5. The yield, which showed the same tendency as above, was less than 1 500 kg ha^<-1> in the field with pH(H_2O) 4.5. 6) In paddies with sandy soil, salt damage was limited to the first crops, although the growth of rice plants in the paddy was restrained because the high solid ratio interrupted the growth of rice plants in the paddy.
著者
平内 央紀 三枝 正彦
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.41-46, 2006-02-05
被引用文献数
2

水稲用育苗培土のケイ素供給能の評価法を検討するとともに,ケイ酸資材施用の要否基準を決定するため,36種類の育苗培土を用いて育苗試験を行った. 1)育苗培土の可給態ケイ素量は,リン酸緩衝液法では77〜662mg kg^<-1>,湛水静置法では12〜189mg kg^<-1>,上澄液法は12〜166mg kg^<-1>,酢酸緩衝液法では12〜582mg kg^<-1>と,培土によって大きく異なっていた.育苗培土の可給態ケイ素量と水稲苗のケイ素濃度との相関係数は,リン酸緩衝液法で0.86と最も高かった.なお,リン酸緩衝液法ではリン酸吸収係数が1,500以上とそれ未満の育苗培土を区別することで,より正確な可給態ケイ素の評価が可能となった. 2)酸性化多孔質ケイ酸カルシウム水和物の苗箱施用により,苗の地上部および地下部乾物重が増加する傾向が見られた.リン酸緩衝液法による可給態ケイ素量の少ない育苗培土(100mg kg^<-1>前後)と中庸の育苗培土(400mg kg^<-1>前後)では酸性化多孔質ケイ酸カルシウム水和物の施用によって水稲苗のケイ素濃度が有意に増加した.本試験の結果から,育苗培土の可給態ケイ素量の評価方法は,リン酸緩衝液法が現在用いられている評価法としては最も適していることが明らかとなった.また,育苗培土のリン酸緩衝液法による可給態ケイ素量が,非火山灰土壌を原料とする培土(リン酸吸収係数1,500未満)では200mg kg^<-1>,火山性土壌を原料とする培土(リン酸吸収係数1,500以上)では350mg kg^<-1>未満の場合に,ケイ酸資材を施用することが望ましいと考えられた.
著者
實示戸 雅之 池口 厚男 神山 和則 島田 和宏 荻野 暁史 三島 慎一郎 賀来 康一
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.467-474, 2003-08-05
被引用文献数
23

耕地土壌表面における窒素収支を,投入窒素量と収奪量の差から求めた土壌残存窒素が余剰降水量に全量溶けたと仮定する年間平均溶脱水窒素濃度推定値を用い,都道府県別に評価した.その結果,以下のことが示された.1.年間亜平均溶脱水窒素濃度推定値の全国平均は7.8mg NL^<-1>,北海道を除く府県平均で8.8mg NL^<-1>,北海道で2.9mg NL^<-1>である.都道府県間のばらつきが大きく,30mg NL^<-1>を超えるなど極端に高い県と,値がマイナスを示す県とに分かれた.2.溶脱水窒素濃度推定値が高い府県では家畜ふん尿窒素負荷が高い場合が多い一方で,これらを含む多くの県において化学肥料窒素施用量のみでは溶脱水窒素濃度推定値を説明できなかった.3.現状の化学肥料窒素施用量の3割を削減することで,平均溶脱水窒素濃度推定値の全国平均が7.8→5.4mg NL^<-1>(-31%)に,府県では8.8→6.3mg NL^<-1>(-38%)に低下した.4.高度処理が可能なふん尿について窒素成分を除去し系外に排出する効果はそれほど大きくないが,これは前提となる処理可能量自体の問題と思われる.5.すべての休耕地を利用することにより,溶脱水窒素濃度推定値が全国平均で7.8→5.9mg NL^<-1>(-24%),府県平均では8.8→6.6mg NL^<-1>(-25%)と大きな削減効果が,さらに化学肥料削減の併用でさらに大きな効果が推定された.6.ただし今回の試算は,都道府県単位としたこと,年間平均溶脱水窒素濃度の性格,アンモニア揮散を窒素負荷減少要因と見なしたことなど,重要な精度低下要因が内包されており,改善の余地が残されている.
著者
上田 和雄 山岡 熟
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.26, no.11, pp.464-466, 1956-03-05

In reference to the previous report, in this paper, we investigated the effet of "Arashi" to the chemical and physical properties of paddy field soil in Ando soil area of low yield. The results obtained were as follows : (1) "Arashi" seemed to change chemical and physical properties of the paddy soil in accordance with the kind of geological formation. (2) With the above treatment (Arashi), a large amount of humus in the Ando soil was changed into the rotted product, and true humic acid was decreased. This product seemed to raise the productive power of the field. (3) On the other hand, free iron oxide relatively decreased, the rotted product was decomposed, and hydrogen sulfide was developed; consequently an increase of rice-yield in this Ando soil was not necessarily expected.
著者
奥村 正敏 東田 修司 山神 正弘 下野 勝昭
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.274-281, 1994-06-05

インゲン連作土壌を充填したポット条件下で.52作物種の作付が後作インゲンの根腐病発生におよぼす影響を検討し,以下の結果を得た.1)野菜,緑肥,ハープ,花き等の作物種を栽培後,作物体を搬出した処理では,全作物種が根褐変を抑制した.根褐変指数の低下率が20%以下にとどまったのは供試作物全体の約44%であり,これらの根腐病抑制効果は小さいと考えられ,21〜30%の低下率を示した作物種は,ニンジン,ナガネギ,ハツカダイコン,マリーゴールドなど全体の33%,低下率が31%以上で大きい抑制効果を示した作物種は,ニラ,チンゲンサイ,ペルコ,アルファルファ,スペアミント,コカブなど全体の23%であった.抑制効果の科間差は認められなかった.2)インゲン根腐病に対する抑制効果と緑肥類を除く作物根のメタノールの抽出物の病原菌(F. solaniとF.oxysporum)に対する抗菌活性との間には,ミツバ,ニンジン,シュンギク,ニラなど数種の作物で正の対応関係が存在したが,全体的にみると,両者の間には一定の対応関係が認められなかった.3)緑肥類10種については,作物体の搬出処理のほかにすき込み処理も設けた.その結果,アルファルファ,ペルコ,マリーゴールドではいずれの処理系列でもインゲン根腐病に対する抑制効果が大きかった.搬出処理に比べてすき込み処理で効果が大きい作物はアカクローバ,トウモロコシ,ソルゴーであった.他の作物でもすき込みによって効果が高まったが,その程度は小さかった.なおインゲンの残渣物すき込み処理でも抑制効果が認められた.4)インゲン根腐病を抑制した緑肥作物種のなかでは,病原菌に対する抗菌活性が(1)アカクローバ,アルファルファのように強いもの,(2)マリーゴールド,レバナ,エンバクのように中庸なもの,(3)トウモロコシ,ペルコ,ソルゴーのように弱いものに分類された.
著者
辻 藤吾
出版者
日本土壌肥料學會
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 = Journal of the science of soil and manure, Japan (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.464-471, 2000-08-05
参考文献数
7
被引用文献数
1

Sulfur absorption and critical contents of sulfur in disordered rice plants during their initial growth were investigated. The results obtained were as follows; 1) The total sulfur content of rice shoots which were inhibited at the time of late planting by the application of a paste-like fertilizer showed 0.12% in dry matter. When this growth was recovered by using the same fertilizer as that used by a farmer, sulfur content was raised to as high as 0.28% in dry matter, together with a remarkable increase in dry matter. 2) A similar response was observed for the early planting of rice in a farmer's paddy with enhanced increments of total sulfur, from 0.09 to 0.40% in dry matter, by the application of magnesium sulfate, the major component of the commercial fertilizer. Also, dry matter increments were twice as high as those recovered by the surface drainage. 3) Surprisingly, the yellow stunting of the initial growth disorders were found by the incorporation of a chloride fertilizer into the plow layer as a basal. Such nutritional disorders were restricted during the tillering stages and the total sulfur content of the shoots decreased to as low as 0.13% in dry matter. However, the higher absorption of inorganic sulfate between the maximum tillering stage and young panicle formation period contributed greatly to the recovery of sulfur deficiency in the rice. 4) Total sulfur contents as well as N/S ratios were significantly correlated to the relative yields. These critical levels were 0.12 to 0.13% of total sulfur and 25 to 21 of N/S ratios when the relative yields were 50 to 55%. The levels were considered practical indicies as far as the present growth disorders are concerned.
著者
辻 藤吾
出版者
日本土壌肥料學會
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 = Journal of the science of soil and manure, Japan (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.472-479, 2000-08-05
参考文献数
13
被引用文献数
3

Sulfate transformation under submurged conditions was investigated by the incubation of Submurged soils applied with granular and paste-like high analysis fertilizers. Secondly, soil samples collected from the fixed paddies for the soil fertility survey, both of farmers and experimental stations, were analysed for humus and sulfur. The results obtained were as follows; 1) Paste-like and granular fertilizers were applied in a layer and mixed in the whole layer respectively, followed by the extraction of soluble and available sulfur with appropriate extractants. As a result, both soluble and available sulfur decreased as the Eh of soils decreased, indicating appreciable amounts of sulfate were transformed to sulfide. 2) Five soils of fixed paddies in which the humus contents differed appreciably were selected to check the changes in available sulfur within 15 y. As a result, humus contents showed relative increases within 15 y, however, the content of available sulfur tended to decrease. The ratios of available to total sulfur significantly decreased within 15 y, indicating the influences of soil pH and/or farmers' practices of fertilizer selection upon the ratios. 3) Soil samples, especially of well-drained paddy in an experiment station, decreased the available sulfur within 20 y. It can be concluded that the greater Eh is reduced in the soils, the higher level of sulfide formed, thus the rice plants will become deficient in sulfate due to the formation of unavailable iron sulfides. This will be much enhanced considering the recent trends of lower levels of available sulfur, which coincidentally inhibited the initial growth of rice in early planting cultivation in our district.
著者
辻 藤吾
出版者
日本土壌肥料學會
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 = Journal of the science of soil and manure, Japan (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.454-463, 2000-08-05
参考文献数
7
被引用文献数
4

The author investigated the regional growth disorders of early-planted rice, of which initial growth is severely and peculiarly inhibited, causing yellow stunting of lower leaves and no increase in stem number after approximately 30 to 40 d of transplanting, to paddies supplemented with a basal paste-like fertilizer at the row sides. No specific responses were found among rice varieties. The field experiments and soil analysis of paddies were carried out; firstly to reproduce the disorders in the late planting of rice, and secondly, to diagnose the components of a commercial fertilizer which has been effectively used by a farmer to recover the disorders. The results obtained were as follows; 1) Disordered paddies contained appreciable amounts of ammonium nitrogen in the soil, indicating no effects of nitrogen deficiencies to rice plants. 2) The specific growth disorders of yellow stunting were also found in the late-planted rice cultivation. Furthermore, the application of a granular fertilizer at the row sides showed less growth disorders as compared to the paste-like fertilizer when they were treated in the same experimental paddy. 3) An experiment to separate the farmers practical fertilizer into a few nutrients for diagnosis showed that any nutrient other than sulfate contributed less to recover the disorders. Consequently, in the following early rice planting experiment, in which the growth disorders by paste-like fertilizer were also induced, the application of magnesium sulfate responded well for recovery within several days under a submurged condition, whereas the recovery by surface drainage took more than 10 d. As a conclusion, the author suggests the disorders will be induced primarily by developed soil reduction, hence causing nutritional disorders in rice plants related to temporary sulfate starvation in the soil.