著者
手嶋 秀毅 十川 博
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.157-164, 1989-02-01
被引用文献数
7

In order to clarify the influence of emotional stress on T cells, we examined changes in the ratios of T cell subsets in the stressed mice, the patients with alopecia areata, and the student nurses before taking examinations for the national license. T cell subsets were measured using by flowcytometry and fluorescent monoclonal antibodies. The results are as follows. (1) In the restriction stressed mice, the ratio of T cell subsets are changed in the peripheral blood and the thymic gland. Percentage of suppressor T cells was decreased in the stressed mice and the changes are removed by administration of diazepam before restriction. (2) After administration of the autonomic drugs, adrenalin, acetylcholine, yohinbin and hydrocortisone, the ratios of T cell subsets are changed in the peripheral blood of mice. (3) In the peripheral blood of patients with alopecia areata, the ratio of the helper T cells to suppressor T cells is changed to be high during existance of uncontroled aloperia. But in the improved patients after psychotherapy, the ratio is decreased to the normal level. (4) After the examination stress, the ratio of OKT 8 positive cells is found to be elevated in the peripheral blood significantly. Other somatic parameters responsed to the examination stress.
著者
永田 利彦
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.51, no.7, pp.609-614, 2011-07-01

摂食障害を併存症の観点から,気分スペクトラム障害や強迫スペクトラム障害としてとらえることが提唱されてきた.一方,社交不安障害(social anxiety disorder:SAD)は,併存率の高さの割に注目されてこなかったが,スピーチ恐怖症から全般性社交不安障害へと概念が拡大し,薬物療法の有効性も知られるようになった.通院中の女性摂食障害患者266例を対象に,社交不安障害の併存の有無によって比較した予備的な結果では,91例(34%)が社交不安障害を併存し,ほとんどが全般性社交不安障害で,社交不安障害が摂食障害に先行した.社交不安障害が併存すると自傷や自殺未遂の率が高く,境界性パーソナリティ障害として紹介されることも多かった.薬物療法を行ったのは38%にとどまったが薬物療法と精神療法の組み合わせが46%に有効であった.摂食障害全体を社交不安障害として説明できるわけではないが,1つの治療モデルとして重要である可能性が示された.
著者
大田垣 洋子 米澤 治文 志和 資朗 斎藤 浩 中村 研
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.225-231, 2005
参考文献数
22
被引用文献数
1

摂食障害患者103例について自尊感情と摂食態度,感情状態,罹病期間,BMIとの関連をローゼンバーグの自尊感情尺度,EAT,BITE,POMSを用いて検討し,さらに病型間の自尊感情の比較を行った.摂食障害患者の自尊感情は,摂食態度や感情状態との関連を認めたが,罹病期間やBMIとの関連は認めなかった.また重回帰分析において,自尊感情と摂食態度との関連が確認された.病型間の比較では,ANではむちゃ食い/排出行動のある群,BNでは排出行動のない群で自尊感情が低かった.摂食障害の本質として自己同一性の確立を巡る葛藤があり,この葛藤をうまく解決できないため自立が困難となり自己評価が低下し,その無力感や絶望感を体重のコンロトールによって処理し達成感を得ようとしていることはよく知られている.自己評価の基準は一般的な社会の中でコンセンサスが得られている価値よりも,むしろ自分自身がもっている価値ないし理想とされる.
著者
加藤 佑佳 中野 明子 山本 愛 岡村 香織 小海 宏之 吉田 麻美 園田 薫 安藤 悦子 岸川 雄介 寺嶋 繁典
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.51, no.8, pp.721-730, 2011-08-01

2型糖尿病者を対象にProblem Areas in Diabetes(PAID)scaleを実施し,フロア効果がある6項目を除いて因子分析を行ったところ単因子構造が確認された.このPAID尺度とProfile of Mood States(POMS),Tokyo University Egogram New version(TEG)との関連を検証した結果,PAID尺度はPOMSの「Tension-Anxiety」「Depression-Dejection」「Fatigue」との有意な関連がある一方,TEGとは関連がみられなかった.よって,PAIDとPOMSを併せて用いることは,糖尿病の負担感と関連する心理的状態をより詳細に把握することができ,各人に応じた心理的援助を提供する際に有効であると考えられる.
著者
江花 昭一
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.45, no.9, pp.655-661, 2005-09-01
被引用文献数
4

医療施設に勤務する心理士は, 初診時のインテーク面接, 心理的査定, 心理療法などの活動を担っている.したがって医師が心理士に求めるものの第一は, それらの業務の遂行に必要とされる専門的知識と技術である.また医療施設に勤務する心理士は, 医師, 看護師と並んでチーム医療の柱である.したがって医師が心理士に求めるものの第二は, チーム医療の運営への協力であり, そのために必要な知識と技術である.さらに医療施設での心理士の業務は, 医療の一環という面をもち, 心理士も潜在的には診療の補助者と位置づけられる.したがって医師が心理士に求めるものの第三は, 診療補助者として必要な法的, 医学的知識である.上記の課題を十分に達成するためには, 医療福祉分野の心理士の国家資格制度が整備されなければならないものと考えられる.
著者
中尾 睦宏 野村 恭子 竹内 武昭 山地 清久 矢野 栄二
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.46, no.12, pp.1037-1042, 2006-12-01
被引用文献数
1

本研究では,帝京大学病院の外来データベースを用いて,ベンゾジアゼピン系薬剤(BZP)の科別処方状況を,選択的セロトニン再取込阻害薬(SSRI)ならびにセロトニン・ノルアドレナリン再取込阻害薬(SNRI)と対比させながら,比較検討した.帝京大学病院の診療科を内科,外科,神経内科,精神科,その他の科の5群に分け,各科のBZPとSSRI・SNRIとの処方割合(B/S比)を計算した.病院全体の年間処方は644,444件であったが,うちBZPが11.9%,SSRIが1.6%,SNRIが2.3%であった.BZP処方の中では,内科群が26.8%を占めていた.内科群のB/S比は13.0と最大で,外科群7.6,神経内科群4.8,精神科群2.5と続いた.うつ患者の多くが内科を受診するという文献報告もあり,特に内科領域で,BZPからSSRIやSNRIへの処方切り替え可能な症例が多くいるかもしれない.
著者
野村 恭子 中尾 陸宏 竹内 武昭 山地 清久 佐藤 幹也 矢野 栄二
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.41-47, 2007-01-01

帝京大学医学部附属病院を受診し何らかの投薬を受けたすべての外来通院患者34,422名を対象に,ベンゾジアゼピン(BZP)系薬物の処方期間について調査を行った.コンピューター・オーダリング・システムから性別,年齢,BZP,診療科(内科系,外科系,精神科・心療内科系,その他)を抽出し,患者単位のデータベースを作成した(2002年7月から2003年6月).その結果,BZPを処方された患者は5,959名(17%)であったが,投薬期間が4カ月以上の群(長期処方群4,470名)と3カ月以内の群(短期処方群1489名)の臨床学的特徴を比較したところ,長期処方群では短期処方群に比べて男性が多く,年齢が高く,また診療科では内科系とその他の科で長期処方が多い傾向にあった(いずれもp<0.05).BZP系薬物は長期連用で健康障害を与えることが知られており,その処方につき大学病院での教育プログラムが重要である.
著者
郷久 鉞二
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.197-202, 1998-03-01
被引用文献数
2

過去20年間に心身症外来で扱った更年期障害患者402例について分析した。(1)更年期障害患者の58%に、性欲の減退がみられた。(2)セックスレス夫婦は, 50代の更年期障害患者で25%, 60代で80%であった。(3)にもかかわらず, 性障害患者の27%が50歳以上で占められていた。(4)更年期障害患者の65%がホルモン補充療法を受けており, 受けた群の方が受けなかった群より予後が良く(p<0.01), (5)特に心身症型では受けた方が予後が良かった(p<0.01)(6)身体症状としては性器の症状が最も多く, 心因として, 孤独, 生きがい, 家族関係と密接な関連があるものが多かった。以上から, 更年期女性にとって, 性役割が非常に重要であることがわかった。