著者
シャクルトン ジョン 杉山 和雄 渡辺 誠
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.37-46, 1996-11-30

本研究は,前報の成果に基づき,日本のRV車に焦点を当て,RV車の類別化にはある種の認知の焦点が存在し,いわゆるプロトタイプ理論によってそれが説明できることを,類別に寄与した属性パターンから示したものである。まず第一に,被験者にRV車を自由にグルーピングして貰う実験を行い,まず一様性分析により分析した結果,各被験者のグルーピングに寄与したと思われる属性を非線形正準相関分析により抽出したところ,各グループの識別は,ある幾つかの際だった属性により成り立っているのではなく,各グループの有する諸属性の一般的な傾向の違いに基づいていた。類別化は,示される属性の複合的な関係に依存していることを明らかにしたのである。
著者
三浦 澄子 梨原 宏
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究. 研究発表大会概要集 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.51, pp.62-63, 2004-05-30

This research pursued the design method of a picture book for children with weak eyes impairments. We studied a suitable letter, illustration and story of a picture book for children. A new original letter that is a middle type between Gothic and Ming style was designed. A simple and heartful story that can be recognized easily was written. The compositions of illustration and color that can be visible easily were drawn. As a result, the two kinds of picture books were edited. We evaluated the books by experimental use. The children in the school for the blind in Miyagi Prefecture can read and enjoyed them. It is estimated that the books give good motivation and pleasurable image to sensory challenged children.
著者
寺沢 秀雄 折田 芳和 飯野 亜耶
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
pp.60-61, 2010-07

日常生活において私たちは,人の残した痕跡の違いを察し行動している.この痕跡を行動ログと呼ぶ.本研究では,その見え方を用いたユーザインタフェース(UI)デザインの方法を提示し,事例として人本来の感覚を用いたウェブサービスを考案することを目的とする.スポーツ鍛錬において,心(精神)技(技術)体(身体)は均衡を保つべき3要素として用いられることが多い.筆者らは,この3要素を組み合わせて系統的にUIデザインのアイデア発想を行う手法をコンセキメソッドと名づけた.体とは,人の経験の履歴である痕跡を示す.心とはウェブサービスの楽しさを示す.技とは技術動向を示す.行動ログの見え方を収集し,それを残した人の状況と思考を抽出し10種類に分類した.また,多くの人の心をつかむウェブサービスには,クラクラする楽しさが隠されていると仮定し,5種類に分類した.行動ログの見え方とクラクラする楽しさを組み合わせ,50個のウェブサービスのアイデアを考案した.魅力あるウェブサービスを構築するために,今後は本質的な人の経験から系統的にアイデアを導く手法が求められると考える.
著者
寺沢 秀雄 渡辺 衆 小泉 弘之 星村 隆史 酒井 宏明
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究. 研究発表大会概要集 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.55, pp.50-51, 2008-06-20

ワークショップは,企業や地域コミュニティなどの体験型の講座として用いられる.ユーザインタフェース(UI)デザインでは人と人工物との関わりを扱うため,人の活動の場における発見的探索が不可欠である.この学びのかたちのひとつとして,ワークショップはふさわしいと考える.本研究は,1)Found Behavior(FB)手法を体験型UIデザイン学習交流に適用するためのプログラムの作成,2)ワークショップの実施と検証を目的とする.優れたUIデザインとは,その過程において日常生活における対話経験を多く参照したものである. FB手法とは,この考えに基づき,人のふるまい観察に主眼を置いたUIデザインの方法である. ここでは,観察を次の2つに分ける.1)状況の観察(活動の場における人の工夫の発見):文脈におけるデザインで一般に用いられる現場の観察 2)人のふるまい観察(ついついしてしまう人の習性の発見):デザイナーの引き出しとも呼べる対話経験の参照を促す観察 FB手法を用いたワークショップは,即効的ではないが,UIデザイン発想の根拠を明示的に説明できるようになったという点で一定の効果があったと思われる.
著者
粂川 美紀 堀田 明裕
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.49-56, 2007-07-31

我が国の社会環境及び技術環境の変化は、デザインの概念および要求を変化させた。この変化の中で,特にデザインの新たな価値に関するデザイン・コンセプトの作成が重要となってきている。本研究はデザイン・コンセプトの構築手法を提案することを目的に、その構造化を試みた。文献調査によってデザイン、コンセプト、デザイン・コンセプトの定義を収集し、分析した。その結果、デザイン・コンセプトを構成している要因として行動、価値、手段が抽出された。この3要因を基にデザイン・コンセプトの改善と新たなデザイン・コンセプトの構築に関する2つのプロセスモデルを提案した。更に、このモデルを既存の事例と高齢者の装いに関する調査データによって検討し、その有効性を確かめた。
著者
滝本 成人
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究. 研究発表大会概要集 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.56, pp.276-277, 2009-06-20

This research is joint design development with the TAKAFU knife village cooperative in Fukui Echizen. The dissatisfied opinion to a commercial home bread knife was investigated. The trial product kitchen knife for an experiment was made nine kinds. The cut experiment of bread and French bread was conducted using the subject. Use of the edge of a sickle was tried at first. But not moving smoothly became clear and the technical problem in work became clear. Next, processing of serrated edge was tried to a part of straight blade. Again, the cut experiment was conducted using the subject. The result has checked the predominancy of the half serration braid. The kitchen knife was manufactured with traditional craftsmanship of Echizen.
著者
張 化燮
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.55-64, 2005-01-31

本研究は、幾何学的形態による動的イメージ生成過程に、ある特定の視覚要素が重要な手がかりとして働いていることに着目し、それらの抽出を試みた。まず、動的ィメージの生成が想起と操作といった認知記憶システムの働きと不可分の関係にあるということから、言葉の意味解釈を行って我々の記憶に保持されていると考えられる、動きに関わる情報の全体的な類型を調べた。そして、その結果に基づいて作品に対する印象評定を行い、因子分析による解釈を求めた。その結果、動的イメージ生成過程には「方向、間隔、角度、大小、位置、多少」といった6種類の視党要素が密接に関連していることが明らかになった。6種類の視党要素は、想起と操作過程を媒介する役割を果たして様々な動的イメージを引き起すと推測され、今後、操作過程との関係に関する検討が必要であると考えられる。
著者
立石 良幾 杉山 和雄 渡辺 誠 シャクルトン ジョン
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究. 研究発表大会概要集 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.45, pp.190-191, 1998-10-30

The use of graphical sysmbols (icon) is a common way to convey message to the user. Recently, digital camera has been spreaded rapidly, however the graphical sysmbols are not standardized yet. Product information symbols should be standardized so that a single symbol conveys a single message regardless of the kind of product. Each infonTration symbol should be clearly discemible from others, additionaly to have a clearly understood meaning, and not requiring too much effort by consurrlers to learn what they mean. Therefore it was considered of benefit to research on the icon that should be used to convey the messeges for a digital camera.
著者
氏家 良樹 松岡 由幸
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.9-16, 2008-05-31

曲線デザインにおいては,形状全体の特徴を巨視的に認知するヒトの特性から,形状要素の組合せによって発現するマクロ形状情報の適切な把握と操作が重要である.しかし,CADを用いた現行の曲線デザインにおいては,微視的な形状特徴を定量的に表現する情報の提示が主流であり,マクロ形状情報の把握と操作はデザイナの経験や直観に依存している.このような背景より,筆者らは,マクロ形状情報「複雑さ」を対象として,マクロ形状情報の定量化法構築とマクロ形状情報を操作可能な曲線形状生成法の構築に関する研究を進めてきた.本報では,解像度を考慮したマクロ形状情報「複雑さ」の定量化法として提案した曲率積分および平滑化手法の定義,事例適用による有用性の検証,および同定量化法を導入した曲線形状生成法のデザインへの応用について述べる。そして,提案した手法による解像度を考慮した「複雑さ」の定量化の可能性と,曲線形状生成法による曲線デザイン支援の可能性について示す.
著者
伊藤 恵士 桐谷 佳恵 小原 康裕 玉垣 庸一 宮崎 紀郎
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.21-26, 2007
参考文献数
13
被引用文献数
2

商品購入時のパッケージデザインの重要性をふまえ、日本酒のパッケージデザインのあり方を考察するため、まず本研究では、日本酒ラベルの現状を探った。日本酒ラベルのデザイナーのインタビューからは、1)デザイナーと蔵元との間のイメージの不一致、2)吟醸酒などのクラスを意識したデザインがされていない、3)蔵元の保守的傾向、が問題点として上がった。そして、現行の日本酒ラベル689点に加え、20年前の日本酒ラベル245点、瓶などの形状が日本酒に似た焼酎と泡盛から、それぞれ207点、113点のラベルを収集し、デザインを分析した。その結果、クラス別に差別化が行われているとは言いがたいが、多少の傾向の違いはみられた。数量化理論剛類の結果から、現行ラベルは「単純一複雑」、「調和一独立」の観点から記述できる事がわかった。そして、過去のデザインの特徴と合わせて考えると、複雑で独立的なデザインから、調和あるいは単純な方向への2つのデザイン潮流も見いだされた。
著者
永井 由美子 須永 剛司 山内 裕平 松井 功 小川 俊二 高橋 敏也
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究. 研究発表大会概要集 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.46, pp.230-231, 1999-10-15

When we develop tools and system that include complicated information system, "designing" and "using" need to connect with each other. On this ongoing project, "future black board system" for a junior high class room, we approach "activity based design." It leads to develop good design for users. From beginning of this project until now, we go and research the junior high slass room, then results took in the system. And further, designers need to take part designing curriculum that contains using the system.
著者
Shu-Yuan Lin Jen Yen Kwoting Fang
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.5_11-5_20, 2012 (Released:2012-02-22)
参考文献数
16

The purpose of this study is to facilitate the discovery of categories for packaging-design benefits and brand equity in order to further examine the impact relationship among categories in the two dimensions, as seen from the perspectives of packaging design experts. Finally, this article will develop research propositions that were used as a basis for formulating hypotheses in empirical studies. Research results showed that the dimension of packaging-design benefits included 13 categories that are aesthetic, cultural, symbolic, convenient, environmental, informative, visibility, protective, innovative, identifiable, systematic, memorable and displayable qualities. In the brand equity dimension, the literature review and coding analysis obtained 22 categories. In examining the categories relationship between packaging-design benefits and brand equity, this study found 68 category relationships between the two dimensions. Furthermore, analysis from the perspective of packaging design experts showed that the relationship between packaging-design benefits and brand recognition was the strongest and also the most important. Packaging design experts considered the influence of packaging-design benefits on brand awareness and brand association equally important. However, in terms of brand association, the relationship strength and importance of packaging-design benefits and non-product-based association was low compared to product-based association.
著者
三橋 俊雄 宮崎 清 坂本 勝比古
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.82, pp.49-56, 1990-11-30
被引用文献数
1

本小論は,大正期から昭和戦前期における農村・農家副業としての工芸生産に関する史料を解析し,今日の地域産業おこしに対する基本的視点を見定めようとしたものである。本小論の検討内容ならびに結論は,次のように要約される。(1)疲弊する農村救済策としてなされたこの時期の農商務省による副業奨励施策は,時代の推移につれ,その中心を,地域資源を活用した地域工芸の創生に移していった。(2)初期商工省工芸指導所ならびに高崎におけるブルーノ・タウトは地域工芸のあるべき理念・方法を提示した。両者は,ともに,伝統的・地域固有資源の再認識に基づく工芸デザイン活動が地域社会に根づいていくことこそ,調和ある社会発展にとって不可欠であることを説き,実践した。(3)初期工芸指導所および高崎におけるブルーノ・タウトの活動には地域産業自体の「内発的」活性化に向けての要件が含まれ,今日の地域工芸産業の振興に関しても示唆する点が多い。
著者
宮木 慧子 石村 真一
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.147-156, 2001-11-30
被引用文献数
1

本論は、有田(伊万里)焼のワラ荷造りにおける「輪巻き」と「菰包み(小口切り)」の特色ある形態に関する造形要素について考察することを目的とする。絵画資料および現地調査によって得られたワラ荷造りの造形要素等を考察した結果、次の結論を得た。(1)「菰包み」・円筒形俵タイプは、日本の伝統的包装技術である俵、苞、菰、縄の技術文化の発展とみられる。形態については、海上輸送を主体とする衝撃に強い小型陶磁器専用包装として発展してきた。(2)精緻な「輪巻き」は、造形要素である太縄(ドグラワ)の格別な意匠に特徴がある。意匠の独自性は、大型陶磁器を対象として、遠距離海上輸送における保護機能を最優先して発展した可能性が強い。さらに、調査の結果、輪巻きタイプの成立は、陶磁器包装にみる樽掛け縄の事例や、輪巻きの呼称が示すように、近世、酒の海上輸送用容器として発展した酒樽の〓の意匠や、樽の梱包文化との連関が類推される。
著者
吉岡 聖美
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.39-46, 2010-07-31
被引用文献数
1

本論文では,抽象絵画における直線表現要素の違いと印象評価の関係を検証し,併せて,病院空間に展示された場合の印象評価について比較検証することを目的とする。方法は,直線表現の異なる抽象絵画を用いた画像を鑑賞し,得られた印象評価の評定値について分析を行った。これにより,傾きのある直線・長方形を強調したマレーヴィチ絵画は,"イライラする""激しい""動的な"という印象評価が大きくなった。境界を強調しないロスコ絵画は,"穏やかな""退屈な""静的な""リラックスした"という印象評価が大きくなった。垂直線・水平線を強調したモンドリアン絵画は,"軽い"という印象評価が大きくとなった。また,病院空間という特有の空間に絵画が展示されると,直線表現要素の違いによって固有の印象評価に差が生じた。この研究結果から,抽象絵画における直線表現要素の違い(垂直線・水平線・斜線)が印象評価に影響することが示唆された。
著者
SATO Kiminobu KON Yuichi KUSHIDA Risa IZUMISAWA Aya TSUJI Nahoko
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.109-116, 2011-01-31

This paper carries out a classification of the existing interactive exhibits at a science museum. Various interactive exhibits are examined to identify their characteristics, which are used for evaluation purposes to create a matrix for evaluation of each exhibit. The Quantification Method III is used to elucidate the overall characteristics of the target exhibits. Cluster analysis is applied to these results so as to sort into groups. By plotting the target exhibits on 'the degree-of-freedom' and 'the development of understanding vs. the opportunities of learning' axes, it is possible to ascertain the characteristics of these exhibits. It is clear that six groups can be formed, each with different characteristics. Visitor interviews and video recordings are taken of visitors'utterances and behavior to examine how the visitors engage with the exhibits. From the data is compared to examine the relationship between the characteristics of the exhibits and the evaluations of the visitors, the popular exhibits tend to be 'physical entertainment' type exhibits where 'interaction between the exhibit and the visitor' and 'communication between visitors' occurred in more or less the same proportion. In other words, the exhibits that evoke interaction with the exhibit as well as communication between visitors in good balance are considered to be very enjoyable.
著者
堀田 明裕
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.57-66, 1997-07-31
参考文献数
17
被引用文献数
2

本論は大学におけるデザイン教育の問題の分析と、今後の方向に関する提案を目的としている。戦後我が国に導入されたデザインの考え方は、経済や技術、あるいは生活スタイルなどの影響を受けて大きく変化してきた。この変化に対するデザイン教育の問題として、デザイン教育の検討体制、技術と技能、美的評価、教育におけるコンピュータ使用の位置づけ、教育と研究の関係、大学の基本的役割について分析した。これらに基づいて、今後のデザイン教育の目標を構想能力と造形能力の獲得とし、その方法として実技教育と知識教育の融合とした。また、教員の役割として、各自の教育上の特色を持つこと、教育技術の向上、教員間のデザイン評価に関する討論と学生への公開、研究作業への学生の参加を提案した。更に、今後のデザイン教育の共通基盤構築の視点から、デザインにおける美的評価の論理や教科書作成の必要性を提案した。
著者
生田目 美紀 北島 宗雄
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究. 研究発表大会概要集 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.56, pp.90-91, 2009-06-20

This paper reports an eye-tracking experiment conducted to compare alternative representations on web pages. The experiment simulated a directory-based information search task to understand how it is performed when directories are represented in text, labeled-pictograms, or unlabeled-pictograms. The eye movement data were analyzed by the parametric ANOVA to understand how the method of directory search adopted by the hearing group and the deaf group might be different under the influence of the differences in directory representations. The result demonstrated that only in the labeled-pictogram representation, the hearing group and the deaf group performed equally well in terms of the eye movement measures.
著者
田中 隆充
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究. 研究発表大会概要集 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.56, pp.154-155, 2009-06-20

地域には観光ガイドブックやインターネットの情報等にはない、地元の人にしか分からない由来や体 的な歴史がある。それらの情報は現場にいかなければ分からないことや住んでいなければ分からない情報も多々ある。これらの情報は本来、代々伝えていくことが重要であるが、これらをアーカイブ化し、共有することも大切な要素と考えた。また、その情報の貴重性を伝えるために、情報の演出の仕方を考える必要がある。そこで、その場にいてその場の過去の映像や音声を体感することで、その地域の特色や本質的な歴史観を見いだすことができるのではないかと考えた。そこで、それらを具体的に示す方法の一つとして、携帯電話のQRコード読み取り機能を用いて、使い手がインターネットに手軽にアクセスし、そこから過去の画像等を携帯電話側に読み込ませることで、携帯電話の画面やイヤホンから表示できるコンテンツを実 的に制作した。本研究においては岩手大学構内に 力所のQRコードパネルを2006年度から2007年度の 年間に設置し基礎的な実 を行った。そして、2008年度は国立公園に指定されている岩手県浄土ケ浜に設置することで、観光の最前線での試みを行い始めた。