著者
酒井 秀晃 中村 雅子 五十嵐 善英
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.388, pp.41-48, 1999-10-25
参考文献数
7

公開鍵暗号に対するSemantic Securityの新しい定義を提案する.Semantic Securityとは,平文に関するどのような部分情報も部分解読困難であることをいう.従来のSemantic Securityの定義はChosen-Plaintext Attackに対しての定義であり,Chosen-Ciphertext Attackに対しては定義されていなかった.そこでChosen-Plaintext Attackに対してもChosen-Ciphertext Attackに対しても有効な定義を提案する.また,公開鍵暗号に対してSemantic SecurityとIndistinguishabilityが等価であることを示す.新しいSemantic Securityの定義とGoldwasserとMicaliによるSemantic Securityの定義の関係を示す.Chosen-Plaintext Attackに対して,ある公開鍵暗号が新しい定義の意味でSemantic Securityを満たしているならばGoldwasserとMicaliによる定義の意味でもSemantic Securityを満たしているが,その逆は成り立たない.
著者
北原 真冬 西川 賢哉 五十嵐 陽介 新谷 敬人 馬塚 れい子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.338, pp.133-136, 2008-12-02
参考文献数
11

理研母子会話コーパス,およびその収録に付随して行った読み上げ課題のデータを用いて,対乳児発話(IDS)と対成人発話(ADS)のピッチについて分析した.アクセントのピッチ,最高ピッチ,ピッチレンジなどにおいて,IDSはADSを上回る.また,アクセントの相対的位置が後方にずれる「おそさがり」の現象がIDSにおいてより大きいことが観察された.
著者
岡崎 泰久 野口 千樹 吉川 厚
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.82, pp.39-44, 2014-06-14

本研究では,板書のように書いていく過程が提示された場合と,最終結果だけが提示された場合が,学習者にどのような違いを生むのかを,学習者自身による主観評価と,アイトラッカーを用いた視線分析により,分析した.その結果,学習者の主観評価と視線の動きに関係があることがわかった.書く過程が提示されることを有用だと評価する人とそうでない人で,視線の動きに違いがあり,そうした実験結果に基づいて,書く過程を提示することが,理解に与える影響について考察した.
著者
遠藤 勇気 木竜 徹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.57, pp.15-20, 2011-05-13
参考文献数
7

筋力向上トレーニングは今や競技を問わず,アスリートにとって必要不可欠なものとなっている.一般的に,どのスポーツにおいても下肢筋を鍛えることは重要である.下肢筋の筋力向上トレーニングにおいて代表的なトレーニングのひとつが"スクワット運動"である.スクワット運動は沈み込みの深さの違いによって分類され,実際のトレーニング現場等においては徐々に沈み込みを深くしていくというトレーニング手法がとられている.しかし,沈み込みを深くしていく上での判断基準が不明確である.本研究では,被験者を熟練者群と未熟練者群とに分け,3パターンのスクワット運動を実施し,トレーニング中の筋活動を表面筋電図を用いて計測した.更に,非負値行列因子分解を用いて運動動作を表現する筋シナジーを抽出し,抽出した筋シナジーと各被験者群における%RMS平均波形から相関係数値を算出し比較を行なった.その結果,大腿二頭筋の筋シナジーパターンがトレーニング決定に有効な評価指標となる可能性が示唆された.
著者
平 明徳 三宅 裕士 亀田 卓 末松 憲治 高木 直 坪内 和夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.194, pp.51-56, 2013-08-29

日本の天頂付近に8時間程度留まることが可能な準天頂衛星(QZS)を活用し,高精度な位置情報とポケベル程度の簡単なデータ/メッセージを双方向通信できる準天頂衛星システム(QZSS)の開発が進められている.本稿では,長拡散符号を用いたスペクトラム拡散(SS)を用いて,高い拡散利得の確保と数100万に及ぶ多数のユーザ収容を目指すSS-CDMA方式におけるタイミングジッタの影響について検討を行った.限られた送信電力で,端末とQZS間で直接通信を行うためにSSは非常に有効であるが,多重ユーザ数が大きくなることからユーザ間の符号直交を確保することが重要となる.本稿では全端末がQZSSの測位信号により時間・周波数領域で同期する送信タイミング制御方式を提案し,各ユーザに巡回シフトした直交M系列を割当てた場合の伝送特性について,計算機シミュレーションによる評価を行った.その結果,1チップシフトの符号をユーザに割り当てるフルロードに近い条件(1024拡散,1000ユーザ多重)において,タイミングジッタ量を1/8チップ以下に抑えれば,特性劣化を0.5dB以下とできることを明らかにした.
著者
伊津美 孝子 真嶋 由貴恵 前川 泰子 嶌田 聡 田中 典子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.39, pp.37-39, 2011-05-07
参考文献数
3
被引用文献数
1

本研究の目的は,新人看講師を対象にeラーニングを活用後の看護技術修得状況を実技試験の結果から検証することである.方法は,新人看護師30名に,試験方法を説明し,その1ヶ月後「自己自由学習活動に関する自記式質問紙調査」を行った.その結果eラーニングを活用した看護技術の修得状況は,活用しなかった技術と比較すると高い修得結果を示した.eラーニングの活用は,看護技術修得に効果的な影響を及ぼす可能性があることが示唆され,今回のeラーニングシステムが特徴的な機能の効果があったと考えられる.
著者
小嗣 真人 三俣 千春
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MR, 磁気記録 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.249, pp.59-63, 2012-10-11
参考文献数
10

我々は鉄隕石の磁気特性と金属組織を調査するために、物質科学に立脚した物性の解析を行った。光電子顕微鏡(PEEM)を用いて磁区構造を測定したところ、α相とγ相の界面境界において互いに正対する磁区構造が発見された。これは人工のFeNiでは期待されないユニークな磁区構造であった。マイクロマグネティックスシミュレーションで検証を行った結果、界面に偏析したL1_0型FeNi規則合金(テトラテーナイト)に起因することが結論づけられた。講演ではL1_0-FeNIの人工創成と磁気機能評価に関する最新の情報も合わせて発表する予定にしている。
著者
長谷川 勇
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SS, ソフトウェアサイエンス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.173, pp.55-60, 2008-07-24
参考文献数
10
被引用文献数
2

近年のツールの需要増加に対して,開発現場へのツールの供給は十分ではない.本論文では,ツールの供給不足の問題を解決するために,純粋構文木による構文解析器の共通化と,構文木間での木構造の変換を用いることで,あるプログラミング言語G_1のツールを他の言語G_2に適用可能にする手法を提案する.本手法は従来開発が困難であった構文解析器の開発を,純粋な構文解析器の再利用と,一般的な手法による木構造の変換に置き換えることで構文解析器開発の難易度を下げ,ツールのその他の部分をそのまま利用することで開発工数を20%以下に抑えることができる.また,実際のオープンソースソフトウェアに本手法を適用し,その有効性を示す.
著者
田中 直毅 齊藤 泰一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.524, pp.435-440, 2008-03-06
参考文献数
8

匿名P2Pネットワークにおける情報漏洩は,WinnyなどのP2Pファイル共有ソフトを使用するユーザのPCから発生しており,各個人の機密情報や個人情報をAntinnyと呼ばれる暴露ウィルスがP2Pネットワーク上に拡散するものである.特にP2Pファイル共有ソフトWinnyによる情報漏洩拡散の被害は急増しており,対策技術は社会的な必要性を増しつつある.しかし,法的な問題もあり現在の対策技術の有効性は疑わしいとされている.本研究では,既存の対策技術の有効性について検討した上で,それらを改良した新しい方式を提案する.本システムは,Winnyネットワーク上に存在するファイルの要約情報であるキーを偽造することによりWinnyネットワークの検索機能を撹乱させ検索性能を低下させることにより漏洩情報の拡散を防止することを目的としたものである.
著者
二宮 利仁 鉄谷 信二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.292, pp.107-112, 2009-11-12
参考文献数
5

近年,従来のTV動画だけではなく,インターネット,携帯電話等による動画コンテンツを配信する環境が整い,動画コンテンツの配信が容易に行えるようになってきており,動画コンテンツを多く目にする機会が増えている.同じ,動画コンテンツを見る機会も多く,どのような動画コンテンツが飽きにくいかが,制作者にとって必要となっている.本研究では,同一コンテンツの視聴の飽きることに対して,主観評価,視線を用いた客観的評価により,解析を進めた.実験では,同一コンテンツを22回,40回と連続して視聴させる.主観評価で得られた結果と客観評価の結果から,「色」と「文字量」において飽きやすい映像では被験者同士の視線が集まりやすいことが分かった.さらに,「映像の種類(物・サービス)」「人物の有無」「カット数」についても述べる.
著者
草野 吉雅 中村 一尊 沖野 健太
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SR, ソフトウェア無線 : IEICE technical report (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.252, pp.135-140, 2010-10-20
参考文献数
11

本稿ではマクロセル内に小型低出力基地局を設置するLTE(Long Term Evolution)/LTF-Advanced HetNet(Heterogeneous Network)に適した置局戦略と運用技術を議論する.低送信電力によって基地局価格や電力消費量,基地局サイズを小さくできるため,小型低出力基地局を用いるとマクロ基地局と比べ柔軟かつ低コストでシステム・キャパシティを向上させられる.低出力に起因する小さいセル径のため,推奨される置極戦略は,小型小出力基地局をトラフィック需要の高いエリアに設置することと,送信電力を希望するカバレッジの広さに応じて定めることである.小さいセル径であっても小型低出力基地局設置による利得を増加させるには,CRE(Cell Range Expansion)とeICIC(enhanced Inter-Cell Interence Coordination)が鍵となる技術である.CREはユーザを受信電力が最大でない基地局にも接続できるようにし,マクロ基地局から小型低出力基地局への負荷分散を増やすことでシステム・キャパシティを向上させる.eICICはCREによって小型低出力基地局に接続するようになったユーザが受ける強い干渉を制御するための技術であり,LTE Release 10において標準化が行われている.本稿ではCREとeICICをLTEおよびLTE-Advancedに適用する際の指針とその性能利得を示す.
著者
金川 元信 福水 健次
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.286, pp.147-154, 2013-11-12

近年のカーネル法の発展のひとつとして,確率分布を再生核ヒルベルト空間(RKHS)上の点として表現することによりノンパラメトリックな統計的推論を実現する「カーネル平均埋め込み」と呼ばれる方法論が盛んに研究されており,状態空間モデル,確率伝搬法,強化学習を含む幅広い対象に対して応用されている.この枠組みでは確率分布そのものを推定する代わりに,RKHS上での確率表現を直接的に推定することによりノンパラメトリックな統計的推論を実現する.しかしながら,推定されたRKHS上での確率表現から対応する確率分布の分布統計量を計算する方法は現在までにほとんど研究されていない.本稿では確率密度関数,信頼区間,モーメントといった分布統計量をRKHS上の確率表現から推定する方法論を示し,それらの推定量の収束性を証明する.
著者
大島千佳 中山功一 伊藤直樹 西本一志 安田清 細井尚人 奥村浩 堀川悦夫
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.1-6, 2013-08-24

シンセサイザのボコーダの機能を利用し,発声をリアルタイムに長調や短調の音楽に変換することによる,気分の変化について調べた.音楽はさらに MusiCuddle というシステムを利用し,ユーザの発声と同じ音高から開始された.実験の結果,気分の変化に関して,短調と長調の和声フレーズの条件の間で,「陽気な」 「悲観した」 に差異が認められた.ここから,憂鬱な気分であっても,自分の発声が強制的に楽しい気分を誘う音楽に変換されると,気分が楽しくなることが示唆された.