著者
イサダ サグァンウォントーン 四家 帝 山嵜 彰一郎 松嶋 智子 田中 宏和
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.348, pp.35-38, 2012-12-13

通信における送信情報のビットストリームは,短いビットストリームのパケットに分割されたパケット構造をもつことが多い.パケットの先頭にはパケットの同期確立のためのユニークワードが存在する.ユニークワードを検出できないと,そのユニークワードを含むパケットからの情報再生ができなくなり,再生品質が著しく劣化する.通常,無線通信の送信機では伝送誤り対策のため,情報パケットのストリームに対して,誤り訂正符号化により情報パケットのパロティ検査ストリームを生成し,両ストリームを送信する.受信機では,誤り訂正復号された受信情報パケットのストリームからユニークワードを検出する.著者らは以前,復号された受信検査パケットのストリームからもユニークワードを検出する手法を提案したが,本稿では,同期検出確率と伝送効率の関係を明らかにする.
著者
土井 泰次郎 藤田 一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.457, pp.1-6, 2005-12-09
参考文献数
13

知覚に相関した神経活動を探るために, 強制2択課題を用いて弁別閾値付近でのサルの知覚判断のゆらぎとニューロン活動のゆらぎとの相関を調べる研究が多くなされている.しかし閾値付近では自覚的な知覚がなくとも弁別の成績が良いことがあるので, より直接的に知覚に相関した神経活動を求めるにはサルに検出課題をさせる必要がある.そこで本研究ではサルに図形検出課題を訓練し, この課題を遂行中のサルの下側頭皮質からニューロン活動を記録した.サルの刺激検出の成否とニューロン活動のトライアル間変動の相関を信号検出理論にもとづいて評価したところ, 下側頭皮質のニューロン活動のゆらぎは刺激の検出の成否と有意に相関していた.この結果は, 下側頭皮質の神経活動が「刺激の形が見えている」というアウェアネスに関わっていることを示唆している.
著者
田中 慎吾 藤田 一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.542, pp.79-84, 2008-03-05
参考文献数
9

観察者から物体までの距離が変化するとその物体の網膜投影像の大きさが変化するにも関わらず、ヒトはその物体の大きさをほぼ一定であると知覚することができる。これは大きさ恒常性と呼ばれる知覚現象であり、脳は網膜投影像の大きさと物体までの距離を用いて、物体の大きさを計算していると考えられている。本研究では距離情報として両眼視差に注目し、サルV4野における両眼視差表現と大きさ表現の関係を調べた。単一細胞活動を記録した結果、約半数の細胞で両眼視差選択性と大きさ選択性の間に相互作用がみられた。この相互作用は、ヒトを被験者として行った心理物理学実験の結果と一致していた。これらの結果は、大きさ恒常性に対するV4野の寄与を示唆する。
著者
池添 貢司 森 理也 喜多村 和郎 田村 弘 藤田 一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.108, pp.59-64, 2012-06-21
参考文献数
11

一次視覚野(V1)の神経細胞は方位選択性を持ち、方位選択性の強さは細胞によって異なる。方位選択性細胞はその最適方位に従って皮質内で規則的に配列している。本研究では、サルV1で2/3層細胞の選択性の強さが細胞周辺の方位マップの構造、特に局所領域内の細胞が持つ最適方位の多様性と関係するかを検討した。本研究では、鎮痛不動化したサルにおいて方位刺激に対する個々の細胞の応答を2光子カルシウムイメージングで計測した。互いに似た最適方位を持つ細胞が集まる領域では様々な方位選択性をもつ細胞が集まっていたが、互いに異なる最適方位を持つ細胞が集まる領域では方位選択性の弱い細胞が集まっていた。この結果から、サルV1細胞の方位選択性は細胞周辺の方位マップと関係することが示唆される。
著者
福田 明 椋本 介士 吉廣 安昭 中野 啓 大市 聡 長澤 正氏 山岸 久雄 佐藤 夏雄 門倉 昭 YANG Huigen YAO Mingwu ZHANG Sen HE Guojing JIN Lijun
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.636, pp.7-12, 2004-01-23
参考文献数
21
被引用文献数
3

筆者らは,流星バースト通信(MBC)の南極地域におけるデータ収集システムとしての性能を探るために, 2001年12月からトーン実験,データ伝送実験と名づけた2種のMBC実験を開始した.無線局は中山(中国),昭和,ドームふじ各基地に置かれている.本稿では,実験の概要と今後の計画を簡単に紹介する.
著者
山本 紗織 寺谷 望 中村 有美香 渡辺 成美 林 延徳 竹内 勇剛
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.176, pp.31-36, 2012-08-11
参考文献数
11

一般に普及しているビデオチャットシステムを利用した遠隔コミュニケーション環境では,多人数での対話参加者間の視線によるインタラクションを成り立たせることができない.そのため,話者によるアドレッシングや次話者への発話権の円滑な交替が困難となり,多人数対話機能はほとんど利用されていない.このような問題に対して,申請者は視線による自然な発話アドレッシングとセレクトを明示化した多人数ビデオチャットシステムPtolemaeusを開発し,このシステムによって実現できた視線によるインタラクションが円滑な遠隔多人数対話を実現できる可能性を実証した.
著者
北沢 強 夏目 武
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SSS, 安全性 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.313, pp.5-10, 2012-11-15

現社会環境における各種情報の急速な展開とその氾濫は周知の一般的な認識であり、人的社会的管理と規制を超える課題である.日本における国家戦略として基本計画e-japanやu-Japanが作成され一つの国家的指針が示されているが、現状の動的に急速に進化している情報産業とそれらに賦課され潜在する課題に対する具体的対処の方策が見えない.ここではこれらの情報資源を保全管理する基盤としての大規模情報システムの信頼性安全性機能、即ちRAS技術の動向を探り、この課題の解決への道を考察する.事例としてIBM社の大規模システムの展開進化した大型情報汎用システム、IBM zEnterprise 196への道のりをRASの技術的進歩の過程を通して.論旨を展開する.これを題材としたのは常に世界規模の又産業界の情報システム全般にわたる先端技術の提供のリーディングエッジとしての役割を担ってきているからであり、RAS技術として完成領域にあり、これが社会的要請とニーズに一つの解として呼応し、現産業界における規範となり得るからである.この動向分析を通して現社会の情報資源の保全に関する残された課題への技術的側面からの方策を検討する.
著者
高橋 行俊 篠永 英之 杉山 敬三 福家 直樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PS, 光スイッチング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.71, pp.39-44, 2003-05-22
参考文献数
8

離島の遠隔医療システムと小中学校ネットワークの構築を目的に2.4GHz帯無線LANシステムを用いて行われている鹿児島県奄美大島本島・離島間遠隔医療実験プロジェクトの紹介と、同様無線LANシステムを用いて10km以上離れた大学キャンパス施設間を結ぶネットワーク構築を目的に行った伝送実験の結果について報告する。
著者
加藤 弓子 廣瀬 良文 釜井 孝浩
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.282, pp.13-18, 2007-10-18
参考文献数
12
被引用文献数
2

感情音声に特徴的な声質のうち,「激怒」や「明るく元気」といった力の入った発話スタイル中に局所的に見られる「荒れた力み声」(pressed harsh voice)に着目し,その出現位置について音韻,基本周波数,アクセント句内の位置等の言語情報との関係について検討した.その結果,当該モーラの子音および母音,アクセント句内のモーラ位置,アクセント位置,フレーズ内のモーラ位置が「荒れた力み声」の発生頻度に関与する可能性が示された.さらに,数量化II類を用いて音韻と言語情報より発話中の「荒れた力み声」の発生位置を予測し,音声合成時に特徴的声質を利用して感情表現を制御する可能性を検討した.
著者
黒田 浩之 沢田 史子 満岡 周士 藤原 民雄 大薮 多可志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OME, 有機エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.300, pp.11-16, 2004-09-09
参考文献数
6
被引用文献数
2

オフィス空間において,植物を設置することにより癒しや空気汚染軽減など様々な恩恵を人間は享受している.その他に微量ではあるが二酸化炭素の吸収が挙げられる.本研究においては,実験チャンバーを用いて植物の二酸化炭素吸収効果を調べた.さらに,オフィス空間に実際に植物を設置しその効果を調べた.無人時においては,ある程度の二酸化炭素を吸収するものの,在室者により排気される呼気を吸収するにはかなりの植物鉢を設置する必要があるとの結論が得られた.本研究においては,二酸化炭素濃度の変化特性より,植物の吸収効果を評価する手法を提案し,ポピュラーな10種類の室内植物の評価を行った.最も高い能力を有していたのは,ポトスと青ワーネッキーであることが判明した.二酸化炭素吸収効果は,屋外のみならず,室内,とりわけオフィス環境において有効であると思われる.
著者
長坂 哲 酒井 正彦 坂部 俊樹 草刈 圭一朗 西田 直樹 NAGASAKA Satoshi SAKAI Masahiko SAKABE Toshiki KUSAKARI Keiichirou NISHIDA Naoki
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告SS, ソフトウェアサイエンス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.227, pp.55-60, 2010-10

Malbolgeは最も難解なプログラミング言語として知られている.本研究では,飯澤らが提案したプログラミング手法に基づいて,Malbolgeが弱チューリング完全性を持つこと示す.そのために,チューリング完全性を持つ正規形のNプログラムをMalbolgeコードに変換できることを示す.ここで,本稿で示す性質が弱チューリング完全性であるのは,Malbolgeが固定されたメモリ空間およびレジスタ長の仮想機械により意味が定められているためである. Malbolge is known as one of the most esoteric programming languages. In this paper, we prove that Malbolge is weakly Turing complete. The proof is based on the Malbolge programming method proposed by Iizawa, et al. We give a transformation from the normal form N-programs known to be Turing complete into Malbolge programs. Completeness that this paper shows is weak one due to the fact that the semantics of Malbolge is hard coded into a virtual machine of which memory space and register length are fixed.
著者
今井 悠貴 森川 大輔 平原 達也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.266, pp.43-48, 2012-10-19
参考文献数
14

超小型動電型スピーカユニットを耳栓スピーカとして用い,48chの頭部伝達関数(HRTF)を相反法を用いて高速に計測するシステムを構築し,その性能を検証した.相反法による高速HRTF計測システムでは500Hz〜20kHzの帯域のHRTFを30sで計測でき,計測したHRTFと従来の直接法で計測したHRTFとのスペクトル誤差は4dB以下であった.また,時間がかかるために直接法では計測が困難であった頭部を横に向けた状態のHRTFと,特殊な音源を用いなければ計測が困難であった近接場のHRTF,および距離を変えたHRTFを,相反法による高速HRTF計測システムで計測した.
著者
磯本 征雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.237, pp.37-42, 2011-10-08
参考文献数
2

近年のe-Learning技術には,様々な異なるタイプの学習者にも個々の事情に合わせて、同時並列に個別学習支援する能力がある.筆者は,このe-Learningの強力な能力を活用してマルチメディア学習教材を用いて多角的教授戦略を実践できる個別学習支援モデルを設計し,その個別学習支援の事例研究として物理学・数学・情報科学にまたがる複合領域のe-Learning用学習教材"宇宙旅行シミュレーション"を開発した.しかし,このe-Learning学習教材は複雑で高度な内容であるため,学習者には知識習得の学習過程において系統的な学習支援による誘導が必要であった.こうした複雑な概念の系統的な学習過程に対する学習支援方法を改善し,個別学習におけるこの宇宙旅行シミュレーションの困難の克服を試みた.本稿では,知識の構造的理解を促すe-Learningの仕組みについて研究結果を議論する.
著者
森田 昌彦 村田 和彦 諸上 茂光 末光 厚夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.733, pp.103-108, 2004-03-11
参考文献数
2

伝統的な多層パーセプトロンは,入出力関係が文脈に強く依存する場合や2つの独立な入力情報を統合する必要がある場合,学習・汎化能力が著しく低下する.別の言い方をすれば,2変数の関数の近似能力は極めて乏しく,学習サンプルとほぼ同数の中間層素子が必要である上に,サンプル数をいくら増やしても汎化誤差はほとんと減らない.このことを数値実験で示すと共に,その本質的原因を論じる.また,このような多層パーセプトロンの限界が,入力素子の選択的不感化という簡単な手法によって乗り越えられることを示す.
著者
芹澤 光範 杉原 真
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.474, pp.303-308, 2010-03-19
参考文献数
8

現在のコンピュータシステムにおいて,高速な処理を行うためのキャッシュメモリの導入及び,複数のタスクを切り替えながら実行するマルチタスク処理が必要不可欠なものとなっている.マルチタスク処理においてタスクスイッチ時にダーティラインを主記憶へ退避させる必要がある.本研究では,性能オーバーヘッドを低減することでプロセッサの性能が向上すると考え,性能オーバーヘッドの原因となるキャッシュメモリ中のダーティラインに着目する.タスクスイッチによる性能オーバーヘッドを実験的に知ることで,性能オーバーヘッドを低減させるスケジューリングが開発可能になると考えられる.本稿では,タスクスイッチ実験を行い,タスクスイッチによって追い出されるダーティラインに起因する性能オーバーヘッドの定量的評価を行った.実験の結果,性能オーバーヘッドはプログラム及び,タイムスライスの影響を受け,タスクスイッチを行わなかった場合よりも最大で37%程度の実行サイクルが増加することが分かった.
著者
坂本 裕紀 菅原 俊治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.89, pp.19-24, 2014-06-19

本研究では、一部の家庭に太陽光発電設備および家庭用蓄電池設備が導入されたことを想定し,地域内の近隣家庭同士の電力売買市場を想定した,家庭用蓄電池の充放電計画手法を提案する.導入促進には,家庭にとって設備導入が有益であることを示す必要があり,そのため自律的に動作する設備による電力が経済的に利用可能な機能が必要である.本機能は家庭に設置される制御端末「スマートメーター」に実装され,スマートメーターは家庭の電力消費量,ソーラー発電量,電力価格の推移を記録することで価格差を考慮した充放電計画を作成する.市場を通じた電力取引価格について,売買価格差を導入した場合を想定し,また電力需要量の状況に応じて蓄電池の利用量を制限することで,電力需要量の乱高下を抑制するために"ノルム"を導入する.本手法をシミュレーションによる実験で評価した.その結果,提案手法によって電力需要の平坦化が可能となり,その達成度は環境により異なることがわかった.また環境に依存せず,家庭の利得の向上が可能であることがわかった.
著者
坂本 裕紀 菅原 俊治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.113, pp.7-11, 2013-07-04

本研究では、各家庭の利得向上を目的として、家庭に設置される制御端末「スマートメーター」による地域内の近隣家庭同士の電力売買市場を想定した,家庭の利得向上を目的とする家庭用蓄電池の充放電計画手法を提案する。充放電は,市場の電力需要に比例して決定される電力価格に対して安価なときに充電,高価なときに放電するよう計画される.当手法をマルチエージェントシミュレーションによる実験で評価した.その結果,地域の環境によって電力需要の平坦化をもたらす最適な学習パラメーターが存在することを示す.また,家庭用蓄電池やソーラーパネルを導入することで,各家庭の利得は導入していない家庭と比較して,向上することが分かった.
著者
高橋 俊彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CST, コンカレント工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.284, pp.25-30, 2010-11-11
参考文献数
14

Ford and Fulkersonのラベリング法(labeling method)はネットワークの最大フローを求める古典的アルゴリズムである.このアルゴリズムは,ネットワークの辺容量がすべて整数(有理数)の場合に停止性が保証されるが,ネットワークが無理数容量の辺を持つ場合,フロー増加パスの選び方によっては終了しないことがある.現在までに,そのようなネットワークの例が幾つか示されているが,いずれも無理数容量の辺の容量は特定の値であった.本報告では,最簡かつ最小であり,さらに無理数の容量の値が任意であるようなネットワークを与える.この例は実数値容量ネットワークの多くがフロー増加の無限系列を持つことを示唆する.
著者
神戸 雅一 上野 正巳 伊藤 誠悟 瀧口 浩義 小林 透 近藤 好次
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. KBSE, 知能ソフトウェア工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.709, pp.13-18, 2004-03-08
参考文献数
7
被引用文献数
5

Webコンピューティングという伝統的なコンピューティング環境からモバイルコンピューティング環境,ユビキタスコンピューティング環境とコンピューティング環境の変化がある.本稿では,Webコンピューティングにおけるアクセス管理手法であるXACMLのコンセプトをユビキタスコンピューティングに応用する際の考察を行う.考察にあたり,XACMLで想定されている動作主体を,ユビキタスコンピューティング環境上でのサービス実行端末とサービス実行端末の機器情報を格納する多機能ICチップ,ユーザの所持するICカードヘの機能分散を仮定し,本手法における効果および課題を抽出する.