著者
渕井 亮 鍾 寧
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. KBSE, 知能ソフトウェア工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.386, pp.43-48, 2011-01-17
参考文献数
7

近年の情報技術の急速な発展に伴い株券電子化が実施され,株式投資がより身近なものとなっている.投資者はより多くの収益を得るために正確な予測を必要としている.既存の株価分析手法であるテクニカル分析は,未来を予測するのではなく,現在の状態を確認して売買を判断する指標である.そこで本研究では,データマイニング手法の一つであるサポートベクターマシン(SVM: Support Vector Machine)を利用し,分類問題と回帰問題の両面から株価の値動き方向性予測を行う.また,テクニカル分析と組み合わせて分析を行うことで,精度の高い方向性予測を目標とする.
著者
大森 馨子 五十嵐 由夏 和氣 洋美 厳島 行雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.432, pp.7-10, 2012-02-02
参考文献数
6

痴漢場面で触られることの多い身体背面部に提示された触覚情報の判断とその回答に対する確信度について,手のひらに提示された場合との比較検討を行った。さらに,触覚情報の動きの有無によって触判断や確信度が異なるのか検討した。その結果,手のひらで触判断を行う場合にくらべ,身体背面部における触判断の正確性および確信度は低下することが明らかとなり,触覚情報のみで判別することは難しい可能性が示唆された。また,動きの有無によって正答率に差は見られないが,確信度については動きがある場合に高まることから,動けばそれが何であるか分るはずだといった思い込みによって,誤認が増加している可能性が示唆された。
著者
榎本 正
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SSE, 交換システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.98, no.566, pp.43-48, 1999-01-28
参考文献数
8
被引用文献数
1

帯域遅延積が大きい通信路はロングファットパイプと呼ばれている。このロングファットパイプではTCPの性能が低下するといわれている。一方、イントラネットワークあるいはインターネットのバックボーン回線は高速化しつつあり、全国に配置されたサーバー間での高速データ転送等はロングファットパイプの領域に達すると考えられる。本稿では、TCPの動作を解析モデルを使用して定量的にとらえることにより、ロングファットパイプでの性能低下の原因をあきらかにし、その対策案について考察する。
著者
杉井 信之 土屋 龍太 石垣 隆士 森田 祐介 吉元 広行 鳥居 和功 木村 紳一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SDM, シリコン材料・デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.407, pp.33-36, 2009-01-19
参考文献数
9

薄膜BOX-SOI(SOTB)は,低不純物濃度チャネルでランダム不純物統計揺らぎ(Random dopant fluctuation: RDF)が小さいために,平面型CMOSとしては最もしきい値電圧(V_<th>)ばらつきが小さい.本研究では,RDFばらつきを低下させた後でのばらつき要因について検討し,より低いばらつきを実現するために必要な点を議論する.短チャネル効果抑制とシリコン(SOI)膜厚の均一性が重要である.また,よく指摘されている,PMOSに比べてNMOSのばらつきが大きい原因がチャネル不純物による可能性が高いことを示す.
著者
木村 泰子 恵比根 佳雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.355, pp.63-67, 2005-10-13
参考文献数
7

IMT-2000方式における基地局アンテナの水平面内ビーム幅はサービスエリアであるセクタ分割角より狭くすることにより加入者容量が増大することは知られている.すでに設置されているIMT-2000用基地局アンテナは, セクタ分割角と水平面内ビーム幅を一致させて用いているため, 加入者容量の向上を図るためには基地局アンテナの交換が必須となる.しかし, アンテナの交換はサービスの中断が伴うとともに, アンテナ設置コストの増大を招き経済的な問題も生じる.これらの問題を解決するために, 金属導体をアンテナ近接に配置することでビーム幅を調節する方法はすでに報告されている.しかし, これらは垂直偏波素子のみのアンテナであった.本報告では, 垂直偏波と水平偏波の偏波共用アンテナの検討を行うために既存の3セクタ用偏波共用120°ビームアンテナに金属でできた反射器を配置することで水平面内のビーム幅に与える影響をモーメント法で解析した.そしてその解析結果より, 反射器を調整することで偏波共用90°ビームアンテナになることを明らかにした.
著者
戸塚典子 伊藤彰則
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.10, pp.1-6, 2013-12-12

音声操作インタフェースがロボットなど移動機構を持つ機器に搭載されると,ユーザが音声によってロボットをリアルタイムで操作するという状況が考えられる.しかしこのような場合,ユーザの言い間違えやシステムの誤認識などによってロボットがユーザの意図せぬ動作をする可能性がある.我々は,そのような動作が発生した際に迅速に修正する手法として,ユーザの意図せぬロボット動作が発生した際のユーザ発話のパラ言語的特徴に着目し,これらをロボットの制御に応用することを提案する.本研究では,被験者実験によって実際にロボットを操作している音声を収集し,ロボットがユーザの意図通りに動作している時とそうでない時で発話速度,基本周波数 (F0),インテンシティに変化が表れるかどうか分析を行った.
著者
疋田 真一 長田 俊治 笠井 健
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.387, pp.13-16, 2002-10-11

頭部直線運動時には前庭性(LVOR)および視覚性眼球運動が同時に働くことにより視覚の安定が維持される.耳石器官の信号と視覚情報の相互作用のしくみを解明するため,視覚入力としてLVORの働く向きと逆方向へ移動する目標が与えられたとき,および暗闇の中で移動目標を想起したときの眼球運動速度を調べた.その結果,視覚入力に依存した追跡性の眼球運動が生じること,視覚情報による耳石器官信号の抑制の程度には個人差があることがわかった.また,目標消去後も頭の運動(目標の動き)と同位相の眼球速度成分が観察された.したがって,視覚情報のメモリ効果は耳石器官の信号と同じかそれを上回るものだと考えられる.
著者
上原 依子 青柳 肇 釘原 直樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.60, pp.195-200, 2011-05-16
参考文献数
12

他者の援助が必要な困窮状態にあるとき,適切に援助を要請出来ないことは,不都合な結果を招きかねない.本研究では,援助要請を抑制する心理的要因の一つとして,対人感受性の高さ,および一般的信頼の低さに起因する,他者の行動に対しての評価判断の慎重化を扱った.とりわけ,低信頼者かつ対人感受性高群において,「他者の心的状態を察知する判断能力はあるものの,信頼出来るという決定的な判断や信頼行動に踏み切れない」という,従来の信頼研究では見過ごされてきたパターンの実証を試みた.本研究では大学生470名に対して質問紙調査を実施し,評価者の一般的信頼と対人感受性に関する尺度得点が,いじめの相談場面における教師への評価におよぼす影響を検討した.その結果,低信頼者は感受性が高く,高信頼者は感受性が低いときに,苦境場面におけるサポート者をより好意的に判断するという相補的な結果が得られた.よって,援助要請が必要となる苦境場面において,対人感受性の強さがサポート者に対しての印象評価にネガティブな影響をおよぼすという予測は高信頼者においてのみ実証され,低信頼者においては予測とは真逆の結果となった.
著者
藤田 彬 松崎 拓也 登藤 直弥 新井 紀子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.366, pp.17-21, 2014-12-16

機械翻訳器の日常会話翻訳に対する性能を評価する試みについて紹介する.前もって日本語に機械翻訳された英語の対話文完成問題を被験者が解き,その得点を用いて翻訳器の外的な評価を行った.300名超の被験者を集めた大規模な調査により,評価対象とした翻訳器のうち一つが「人間が文脈を考慮せずに行った翻訳」と同等の性能を有することが明らかになった.本発表では,この調査の内容及び結果を詳述するに加え,一般的に用いられる内的な評価(自動・手動)との比較結果を紹介する.また,人間の対話理解において重大な障害をもたらす翻訳誤りとそうでない誤りを分類し,定量的に分析した結果を報告する.
著者
川合 裕之 北尾 光司郎 今井 哲朗
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.376, pp.147-152, 2012-01-18

LTE (Long Term Evolution)など複数の送受信アンテナを用いたMIMO (Multiple-Input Multiple-Output)送受信を行う高速移動通信システムのサービスが次々と開始され,MIMOによるより広いエリア構築が課題となっている.本報告では漏洩同軸ケーブル(LCX)を用いたMIMOエリア構築の一検討として,線路沿線に敷設されたLCXを用いた列車内LTE MIMOスループット特性を計算機シミュレーションにより評価する.そして,列車内の移動局の位置やLCXの高さなどをパラメータ化して評価を行うことにより,MIMOによる速度向上効果が得られる移動局・LCX配置やSIR (Signal-to-Interference Ratio)条件などを明確化する.
著者
臼井 幸弘 高橋 寛幸 吉開 範章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 : IEICE technical report (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.505, pp.19-24, 2002-12-06
参考文献数
5
被引用文献数
11

ネットワーク上でのコミュニティ活動を活性化する上で、信頼形成のための評判システムが重要であることを示す。そして、ネットコミュニティの中でも信頼形成が重要となるネットオークションについて、評判システムを組み込んだ実験結果を示す。まず、ネットコミュニティの形成・運用のための要件を挙げ、それに必要となる、コミュニティが持つべき機能をまとめ、信頼形成が重要であることを示す。そして、ネットオークションに、信頼形成の手段として評判システムを取り入れた実験で、評判システムがある場合とない場合での比較を行い、取引商品価値の変動等から、評判システムが市場の活性化に効果を持つことを示す。
著者
鏑木 時彦 大毛 勝統
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.308, pp.13-18, 2009-11-19
参考文献数
18
被引用文献数
3

声門を通過する呼気の流量は、音声の実質的な音源となる。本研究では、発声時の呼気流量を精度良く推定するため、空気の粘性の影響を考慮した流体解析と、音源-声道フィルタ間の相互作用を考慮した発声モデルを検討する。空気の粘性の影響は、声帯表面の境界層という形で現れる。これは流速の急勾配であり、声門の実効的な流路の大きさや流れの剥離に影響を与える。音源-声道フィルタ相互作用は、音源波が声道を伝搬し声門付近に音圧勾配を作ることで、再び呼気流や声帯振動などの音源機構に影響を与えるものである。本論では、これらの機構を取り入れた音声生成モデルについて述べ計算結果を示す。
著者
永井 秀利 中村 貞吾 野村 浩郷
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.688, pp.25-32, 2003-02-28
参考文献数
16
被引用文献数
2

我々は,マイクで拾えない程度の微発声または無発声で発声された発話の内容を認識し,これを計算機への自然言語入力として用いることを研究している。人が発声を行う場合,実際には声に出さなかったとしても,声を出した場合に類似した筋肉の活動が生じると思われる。そこで我々は,それを表面筋電位から捉えることにより,発話内容を認識することを目指している。本稿では,日本語の5母音の認識に活用するために,表面筋電測定位置として口裂周辺の4個所を選定した。その表面筋電波形を計測して分析を行った結果,この4個所でも母音認識の手がかりがかなり得られることや,声の強弱などの発声時の特徴も波形に反映されていることが確認できた。
著者
山口 啓 吉田 学 今田 美幸 金 順暎 松尾 真人 上原 秀幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.38, pp.129-134, 2013-05-16

我々は,対人関係におけるコミュニケーション支援に向けて,対人感情や対人認知からなる心理因子(つながり感と呼ぶ)の定量化を目指している.これまで,つながり感の変化に着目したWebアンケートを実施し,ユーザの属性で分類したセグメント毎につながり感予測式(線形重回帰式)を作成してきた.本稿では,Webアンケートデータから作成したつながり感予測式の妥当性を検証するために,遠隔会議システムを使った被験者実験を実施し,被験者のつながり感の予測を行った.検証の結果,5種類のつながり感因子のうちの3種類に対し,つながり感予測式を概ねそのまま活用できる見込みを得たので報告する.
著者
赤羽 慎 藤田 侑介 王 龍標 甲斐 充彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.52, pp.99-104, 2014-05-24

近年IT技術の発展により,デジタル音楽は様々なメディアから入手可能となった.その音楽の量は膨大であるため,何らかの手がかりにより効率的に音楽にアクセスすることが必要である.それは音楽情報検索(MIR)により実現することができる.本研究ではMIRのタスクの一つである楽曲のジャンル分類に関して取り扱う.ジャンル分類は,デジタル化された楽曲データの音情報から特徴量を抽出し,あらかじめジャンルのタグ付けされた事例データから識別器を構築することで実現できる.音声認識において有効な特徴量は通常,10-100[ms]程のフレームから抽出されるため,音楽の短期的な性質しか捉えることが\できない.音楽に使われている楽器などの情報を得るためには,音楽をもっと長期的なスパンで捉えることが必要である.先行研究[1],[3]では,統計量に基づく楽曲レベル特徴量を用いることで音楽を長期的に捉える事を試みている.本研究では,フレームより長い楽曲より短いセグメントレベルの特徴量を用いた楽曲ジャンル推定方法を提案する.