著者
竹内 勇剛 片桐 恭弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.123, pp.57-63, 1999-06-18
参考文献数
17
被引用文献数
6

人間は自分と類似した態度をとる他者に対して好意を抱く傾向がある.さらに類似した他者とのインタラクションを想定した場合,その者との作業の円滑な進行が実現する可能性を高める効果がある.本研究では,このような社会心理学的知見をもとに,人と擬人性を付与したエージェントとの間において人同士と同様な社会的インタラクションが成り立っていることを心理実験を通して実証した.本実験の仮説としては,人-エージェント間においても人同士と同様な社会的インタラクションが観察できると考えた.実験の結果,人の判断に同意する傾向を示すエージェントに対しても人は人同士の場合と同様に親和的反応を引き起こしていた.このことから仮説は支持され,人とエージェント間においても社会的インタラクションが成り立っていることが明らかになった.
著者
飯渕 良平 莅戸 立夫 水野 皓司 水野 皓司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.370, pp.25-30, 2003-10-21

スリット型プローブを用いたミリ波帯走査型近接場顕微鏡において,検査対象の異方性を考慮した新たな画像再構成法を提案し,その妥当性の検証を行った。提案した画像再構成法により,表面内において異方性を有するワイヤーグリッド等の異方性の画像化に成功した。
著者
浜野 哲子 縫村 修次 渡辺 文夫 莅戸 立夫 〓 鐘石 水野 皓司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MW, マイクロ波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.366, pp.1-6, 2000-10-13
参考文献数
6

ミリ波帯走査型近接場顕微鏡は, 波長以下の高い空間分解能によるの非破壊材料検査等の利用が期待されている.本近接場顕微鏡システムでは, 物体からの反射係数がコントラストとして画像化される.そのため, 例えば比誘電率などの, 直接反射係数に変化を与える物体の物性定数を, コントラストから評価することが可能である.本発表では, コントラストの定量評価実現に向けた検討として, 以下の2点について報告する.1)測定値の誤差を与える原因は有限サイズの平板誘電体にあることを突きとめ, 平板誘電体の表面波伝搬が低減されるようにシステム構造の改善を行なった.その結果, 10%以上あった測定不確定率が5%以内に低減された.2)コントラストの定量評価には, 物性定数と反射係数との相関関係を理論予測する必要がある.そこで, スリット型プローブを有する本近接場顕微鏡システムの等価回路を新たに構成し, その妥当性を実験的に確認した.
著者
湯浅 賢太郎 岡村 加奈 戸田 尚宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SIP, 信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.260, pp.25-29, 2006-09-20
参考文献数
7

現在普及しているX線CTは,高電圧で大電流を必要とするX線管球への電力供給や,管球とディテクタを患者の回りで回転させるための機構が必要であるため,装置全体が未だ非常に大きく専用の投影室が必要である.しかし移動が困難な患者のため,病室等へ装置を移動させ撮影を行うために診断装置の小型化,可搬型(ポータブル)化が強く望まれている.本研究では,近年開発されたフラットパネルディテクタ,及び開発中である超小型冷陰極X線管球を利用できると仮定した上で,現在のところ明確な概念のないポータブル(可搬型)CT診断装置の一つの形態を提供し,その形態の制約条件下でどの程度の画像再構成能力があるか検討を行った.
著者
加藤 圭造 伊藤 彰則
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.422, pp.43-48, 2013-01-30

エクストリームメタルで頻繁に用いられるグロウル・スクリームといった歌唱法は、エクストリームメタルだけに留まらず広く用いられており、現代の音楽シーンに必須の歌唱法の一つである。本研究ではこれらの歌唱音声が持つ音響的特徴量と聴覚印象の関連を考察することで、これらの歌唱音声に必要な音響的特徴がどの様なものであるかを明らかにすることを試みる。
著者
小野島 紀夫 笠松 章史 広瀬 信光 三村 高志 松井 敏明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.355, pp.1-5, 2007-11-20
参考文献数
3

本研究ではミリ波帯動作する超高速シリコン系デバイスの開発に向けて、サブ100nmゲート長SiGe/Si高電子移動度トランジスタ(HEMT)の作製を行っている。これまでにゲート長60nmのデバイスでは電流利得遮断周波数70GHzを達成している。今回、触媒化学気相堆積法(Cat-CVD)により形成したシリコン窒化膜(SiN)を用いた絶縁ゲートHEMTを作製評価した。Schottkyゲート構造のデバイスと比較して、ゲートリーク電流の抑制による大きなゲート電圧スイングを実現し、優れたデバイス静特性が得られた。しかし、高周波デバイス特性では絶縁ゲートHEMTの方がSchottkyゲートHEMTよりも劣っていることが明らかになった。容量-電圧測定から絶縁ゲートHEMT構造の電気的特性を調べた結果、電流輸送チャネルが2種類存在することが分かった。1つはSiGe/Si埋め込みチャネルで、もう1つはSiN/Si表面チャネルである。絶縁ゲートSiGe/Si HEMTの高周波デバイス特性をさらに向上するためにはエピタキシャル構造やデバイスデザインの検討が必要である。
著者
雨宮 隆
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.17, pp.89-91, 2013-04-25

2次元平面に分散させた酵母細胞の解糖反応を調べることで,クオラムセンシングに関して新しい知見を得ることができた。すなわち,酵母細胞は空間的な不均一性をもって,同期的振動反応を起こす。特に,孤立した細胞の振動反応は極めて弱く,定常的な解糖反応に近い。細胞がクラスター化した集団においては,同期の程度が極めて高い。さらに,同期現象を通して,個々の細胞は,振動反応をある一定の周期へと収斂させる。酵母の解糖系における細胞密度依存性の協同現象であるクオラムセンシングの生物学的な意義についても議論する。
著者
太田 喜元 藤井 輝也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.386, pp.55-60, 2009-01-14
参考文献数
8
被引用文献数
5

近年,低速移動や静止した環境下で使用される無線端末が急増している.このような端末は,自ら走行する場合とは異なり,周囲の環境変化による伝搬変動を大きく受ける.そこで,屋内環境下で端末が静止している場合に,周囲の環境変化を与えるパラメータ(人の数,大きさ,歩行速度等)を直接考慮できる新たな伝搬モデルを提案した.提案モデルでは,運動体である人を直径Δwの円盤とし,端末に到来する電波を完全に遮断・吸収する完全吸収体モデルを仮定し,その値を個人の胴回りからおおよそ0.3mとした.本稿では人体による電波の遮蔽特性を実験的に明らかにし,人体を完全吸収体の円盤として扱う場合の等価半径について検討する.
著者
長田 典子 和氣 早苗 大須賀 美恵子 井口 征士
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.113, pp.25-28, 2003-06-06
参考文献数
4

最近のテレビ番組で,ストーリーの山場にコマーシャルを挿入する手法が見受けられるが,集中を削がれるため,とりわけ子供に対する影響が懸念される.そこでコマーシャルの挿入タイミングが子供の集中力に及ぼす影響について検討を行う.呼吸・脈波・瞬目に関する生理心理計測実験を実施したところ,呼吸率と呼吸振幅の変化を4つの集中度パターンに分類できた.また瞬目についても集中度との関連が明らかになった.実験結果から,高まった注意集中が削がれることにより,次の注意集中の高まりが遅れることが観測された.そしてCMを効果的に提示するという観点からも,CMはストーリーの山場より完結後に挿入されるのが望ましいとの見解を得た.
著者
下條 清史 坂本 一憲 鷲崎 弘宜 深澤 良彰
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SS, ソフトウェアサイエンス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.481, pp.97-102, 2012-03-06
参考文献数
7

Fault-Localizationはテスト結果からテスト失敗の原因となるコードの箇所を推定する手法で,デバッグ作業の支援に有効である。しかし、テストケースが十分でない場合,バグを十分に局所化できないため、Fault-Localization結果が信頼できない.本稿では,実際の開発形態に沿ったインクリメンタルな運用のもとでプログラム構造を用いてFault-Localization結果を改善する手法を提案する.Fault-Localization結果のトップランキングの高精度化とバグの修正を繰り返していく手法により,効率的なデバッギングの実現可能性を示す.
著者
揚村 敬子 吉永 幸靖 藤村 直美
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.437, pp.37-42, 2008-01-18
参考文献数
8
被引用文献数
3

視覚障害者は日常生活の中で目の見える人にほんの少し手助けしてもらえば済む問題に遭遇することがある.本研究では視覚障害者がそのような問題に遭遇したときに即座にかつ手軽に支援を受けることができるよう,インターネットの映像通信を利用した遠隔支援法を提案する.それと同時に多数のオンラインサポータを集い,巨大なボランティアネットワークで視覚障害者をサポートできる体制を考え,それを実現するためのシステムを構築する.本論文では先行研究や,独自に行った検証実験を通して視覚障害者にとって使いやすいシステムの考察を行う.
著者
小柳 諒輔 小島 昇 夏目 季代久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.69, pp.21-25, 2013-05-27

私たちの日常の行動は主観的な嗜好性よって左右されている。最近、嗜好性に関連する脳波研究が行われ初めて来た。研究のほとんどは、どちらの顔が好きか、等視覚的な嗜好性の研究である。その研究では、前頭部θ波と、後頭部γ波が嗜好性に関与していると報告された。一方で、音楽は私たちにリラックス効果があり、ストレスを軽減してくれる。音楽療法は記憶障害患者、障害者に使用される。その効果は、好きな音楽を聴いた時、最大となる。従って、個々人の音楽嗜好性調べる事は脳波を用いる音楽療法にとって重要である。5名の健常男性(23.5±0.5歳(平均±標準偏差))に実験に参加して貰った。彼らは、30-35秒音楽を聴き、10秒間好き嫌いを判断した。その間、脳波測定を行った。音楽は、5-8ジャンルの20曲を聞いて貰った。脳波は高速フーリエ変換した後、4-8Hzのθ波、8-12Hzのα波,12-30Hzのβ波,30-50Hzのγ波の各周波数パワー値を計算した。さらに、パワー値をフィーチャーに1次元の交差判定を線形判別分析(LDA)を用いて行った。その結果、嗜好判断時、前頭部θ波パワー値は、好き判断時、嫌い判断時に比べて有意に高かった。一方、音楽聴取時及び嗜好判断時、後頭γ波のパワーは好き判断時より嫌い判断時の方が有意に高かった。交差判定の結果から、後頭γ波、前頭α波、γ波をフィーチャーにした場合、判別正解率が高かった。以上のことより、後頭γ波が嗜好判断に関わる脳波かもしれない。
著者
百瀬 翔太 降旗 建治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.266, pp.25-30, 2012-10-19
参考文献数
11
被引用文献数
1

人間の可聴域上限を超える高周波成分が可聴音と共存することで,人間の心理・生理面に様々な良い影響を与える効果(ハイパーソニック・エフェクト)があるという報告がされている.本報では自律神経系の活動に注目し,自律神経機能のバランス指標となるLF/HFと,脳波α波を指標として,両者を比較することで楽音中に含まれる高周波成分が生理的側面におよぼす影響を検討した.その結果両方の指標において,高周波が共存する楽音提示中は提示前と比べてよりリラックス状態になり,高周波を除外した楽音提示中は提示前と比べてよりストレス状態になるという傾向が示された.よってこれらふたつの指標には整合性があり,高周波成分による自律神経系への影響も,生理に様々な影響をおよぼすハイパーソニック・エフェクトのうちのひとつの効果なのではないかということが考えられる.またこれより,高周波成分による脳内の状態の変化を呼吸器系の変動から推測できる可能性が示唆される.
著者
谷島 正信 黒田 知紀 島田 政明 中尾 正博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.135, pp.123-128, 2010-07-14
参考文献数
3

アクティブフェイズドアレーアンテナは,ビーム指向方向を電子制御可能であり,また,多地点間通信が可能なビームホッピングアンテナとして注目を浴びている.2008年2月に打上げられた「きずな」(WINDS)にKa帯APAAとして搭載され,高速衛星通信実験に供されており,実験成果も着実に出てきている.本論文では,WINDS APAAの構成,機能性能と,これまでの通信実験結果を述べる.
著者
鈴木 拡 湊 真一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.54, pp.1-7, 2009-05-19
参考文献数
11
被引用文献数
1

二分決定グラフ(BDD)は,論理関数のグラフ表現であり,大規模な論理関数データでも比較的コンパクトなデータ構造として表現できる.さらに,BDDの特殊な型であるゼロサプレス型BDD(ZDD)は組合せ集合データの表現・処理に適しており,情報科学における様々な問題に応用できる.その一つの例が制約充足問題である.制約充足問題を解くために多くのアルゴリズムが考案されているが,その一方で,解集合の解析や新たな制約を加えて別の制約充足問題を解くということは,また別の問題として残っている.そこで,BDDまたはZDDで解全体を同時に表現することで,それらを効率よく行う方法を述べる.本稿では,古くから親しまれてきたペントミノパズルを取り上げ,これを制約充足問題として定式化した上でBDDとZDDに基づいた解法を示す.