著者
南部 雅幸 中島 一樹 川原田 淳 田村 俊世
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.99, pp.31-36, 2000-05-20
参考文献数
11
被引用文献数
2

高齢者の自立生活を促進し、看護・介護の負担を軽減する目的で, 情報通信ネットワーク技術を用いた高齢者支援環境の構築を提案した.支援の対象となる高齢者の住環境・経済環境を考慮し, 新規の設備投資を最小限に留めるため, 本システムでは, 電灯線を用いたネットワークシステムを採用した.本研究では, 電灯線LANを既存の住宅へ実装する際の問題となる, 通信速度等の評価を行った.さらに, このネットワークを用いて高齢者の生体機能モニタリングを可能とするWWW上のアプリケーションとして, 遠隔心電モニタを開発し, 獲得したデータの転送に関する実験を行った.その結果, 本システムは, 従来の専用線を用いたネットワークシステムと等価な機能を有するという知見を得た.
著者
木暮 祐一 松岡 央樹 芥川 正武 木内 陽介
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.222, pp.65-68, 2005-07-23
参考文献数
4
被引用文献数
2

医療従事者を支援するための遠隔患者モニタリングシステムの開発を行う.このシステムはICU/CCUなどで計測されている患者のさまざまな生体情報を, 第3世代携帯電話を用いて病院外でモニタリングするものである.遠隔情報サーバを生体情報モニタに接続し, モニタから得た情報を処理する.そして, 携帯電話のJavaアプリケーションを用いてサーバから情報を取り出す.本研究ではサーバと携帯電話間の開発を中心に行い, 本システムのモデルとなる環境の実現を行った.そして, 実際のモニタに蓄積されるデータの取得のための概要を示す.
著者
寺内 美奈 時田 佳子 菊池 浩平 堀内 靖雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.386, pp.37-40, 2004-10-28
参考文献数
4
被引用文献数
3

手指動作と表情,口形などの非手指動作によって意思や感情を伝える手話は,聴覚障害者の1つのコミュニケーション手段である.手話は対話言語であることから,話者同士がどのように話を進めていぐかを解析することは,手話の言語構造を明確にするとともに,手話学習への指針ともなりうる.そこで,著者らは手話のターンテイキング(発話交替)に着目し,日本手話における会話構造と話者交替のモデル化を試みている.そこで,ネイティブスピーカによる日本手話対話例文データを収録し,工学院大学で開発した対話映像解析支援システムMATを用いて,話者交替時での手指信号ならびに非手指信号の詳細な解析を進めている.本報告では,対話データの収集方法,対話映像の分析方法,解析の途中経過として得られた対話の特徴などについて述べる.
著者
筧 一彦 曽我部 優子 河原 英紀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.291, pp.31-38, 2005-09-16
被引用文献数
2

すでに表情の知覚に関する研究は非常にたくさんある。しかし、表情知覚が次元的であるかカテゴリカル的であるかについての決着はまだついていない。これに対して音声では感情レベルを連続的に変化させた発声が困難であるため、感情音声の知覚に関する研究はほとんどないと言ってよい。最近になってSTRAIGHT (VOCODERの一種で高品質の音声を合成可能とする)をベースとする音声の新しいモーフィング法が提案された。本報告ではこのモーフィング法を用いて音声感情の強さや一つの感情から他の異なる感情の間を連続的に変化させた高品質のモーフィング音声を実現し、感情音声の知覚的特性を検討した。最初に感情音声の知覚がカテゴリカルかどうかについて検討した。その結果を表情知覚のカテゴリカル性と比較し、検討を加えた。次に6個の基本感情とそれに平静を加えた7感情の間の関係を多次元心理空間上で検討した。最後に感情音声の知覚特性と表情のそれについて議論した。
著者
伊東 和廣 望月 要 大西 仁 中村 直人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.191, pp.49-52, 2009-09-03
参考文献数
5
被引用文献数
6

人間は音声言語を使ってコミュニケーションする場合でも,相手の表情から様々な情報を読み取り,それによって音声情報を補うことでコミュニケーションを円滑にしている.特に音声の補完を行う場合には,話者の口唇の動きから聴覚だけで聞き取れなかった情報を補っていると考えられる.本稿は,発話内容の聞き取りにおける,発話者の顔面の視覚情報の役割を実験的に検証したものである.実験では,短文を発話する映像を用いて,「音声のみ」を聞いた場合と「音声+顔映像」を提示した場合とで音声聞き取りの正確さの比較を行った.この時,音量の異なるノイズを音声に重ね合わせることで,聞き取りの難易度と,顔映像の聞き取り貢献の関係を探った.同時に,被験者の視線の動きをアイマークレコーダで計測し,視線の動きと音声補完との関係を調べた.その結果,ノイズを付加しない場合には,顔映像を提示しても音声の聞き取り率は向上せず,被験者は発話者の目元を注視する傾向が認められたのに対し,ノイズがある場合には,顔映像を提示することで音声の聞き取り率が向上し,被験者は発話者の口元を注視することが多いことが明らかになった.このことは,音声言語を主体とするコミュニケーションにおいても,音声情報が劣化した場合には,視覚情報を利用して音声を補完していることを示している.
著者
高木 幸子 平松 沙織 田中 章浩
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.283, pp.51-56, 2011-11-03
参考文献数
19

本研究の目的は,日本人による感情を含んだ表情と音声を組み合わせた刺激セットを作成するため,音声動画を収録し,評価実験を行うことであった.日本人では,基本6感情を表した表情・音声動画を21人のモデルで収録し,8名(男女各4名)を選出した.これらのうち,基本6感情の表現に焦点を当て,576(8(モデル数)×6(感情の種類)×4(発話内容)×3(繰り返し))の動画を,表情のみ・音声のみで被験者99名に呈示し,カテゴリカルな感情判断を求める評価実験を実施した.その結果,正答率は表情と音声の両方において喜び感情がもっとも高く,恐怖感情はもっとも低いことが示された.また,表情と音声の比較においては,概ね表情の方が音声よりも正答率が高いことが示唆された.さらに,恐怖感情については表情よりも音声において正答率が高いことが示唆された.本稿では評価実験における正答率および回答率を混同行列にまとめ,統計的分析結果についての解釈を行い,作成した刺激の信頼性を評価するとともに,日本人の表情と音声による感情理解の傾向を考察した.
著者
瓜生 幸太郎 花沢 俊明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.227, pp.17-20, 2012-09-27
参考文献数
4

会話において人は,言語情報だけではなく,身振りや声,表情など非言語情報と含めて総合的に相手の意図を判断する.その中で,身振り手振り,うなずき,姿勢,表情といった非言語行動は大きな役割を持つ.我々は,他者から説明を受けた際に生じる被説明者の頭部領域の動きから被説明者の理解度の把握ができないかと考えた.本研究では,説明者と被説明者の動きの同調や動きの傾向から非言語行動による被説明者の理解を知るため,説明者と被説明者の動き情報の相互相関を用いて,定量的な被説明者の理解の把握及び指標の算出を試みた.
著者
相澤 侑斗 片桐 恭弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.238, pp.11-14, 2012-10-06
参考文献数
10

表情や環境などの視覚的情報や音声などの聴覚的情報を基に他者の心理的状態を推測し、他者とコミュニケーションを行なっている。特にヒトは霊長類現生種の約半数の内で眼裂横長度及び強膜露出度が最大であり、唯一強膜に色素がなく白色である[1]ことからもヒトの眼はコミュニケーションに特化した形状であることがわかる。しかしながら、この眼裂のみに着目した研究は少なく、小文ではこの眼裂の変化に着目し基本6表情の判別実験の結果からどのような傾向が見られたかを記述する。
著者
宮澤 史穂 高木 幸子 田中 章浩
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.455, pp.149-154, 2013-03-04

本研究は,複雑な高次感情について概念構造(研究1)と,認知および表出(研究2)の2つの側面から検討を行った.研究1では質問紙を用い,高次感情にどの程度基本6感情が含まれているかを,それぞれ7段階で回答させた.研究2では参加者は,基本6感情を表す表情と音声を組み合わせて,指定された感情を最も適切に表すような発話動画を作成することを求められた.その結果,本研究で扱った6種類の高次感情は,概念構造と,認知および表出において共通した4つの基本感情の組み合わせに分類された.したがって本研究では,少なくとも一部の高次感情は,基本6感情の組み合わせによって説明できることが示唆された.
著者
藤原 健 大坊 郁夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.412, pp.59-64, 2013-01-24

本研究では、競争/協調という文脈と、ポシティブ/ネガティブという感情が、笑顔あるいは悲しみ表情の刺激人物に対する会話動機評価にどのような影響を与えるのかについて検討を行った。具体的には、68名の男女大学生を対象に、競争/協調のプライミングおよび感情誘導を兼ねて音楽刺激の提示とエピソード記述を行ったうえで、刺激人物(笑顔 or 悲しみ表情)とどの程度会話したいかについて回答を求めた。その結果、笑顔の人物に対する会話動機で2要因の交互作用が有意となり、競争条件のポシティブ感情群は協調条件のポジティブ感情群よりも会話動機を低く評価していた。また、競争条件のネカティブ感情群は笑顔の人物に対する会話動機を高く評価していた。悲しみ表情の人物に対する会話動機については、競争/協調あるいは感情の効果は有意とならなかった。これらの結果について、適応的気分効果仮説から考察された。
著者
岡田 大樹 梅野 健
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.145, pp.59-64, 2014-07-21

与えられた2値乱数系列が真の乱数系列であるかどうかを仮説検定する,複数の検定法により構成される検定ツールがあるが,その著名な検定ツールに米国商務省標準技術局が公開しているNIST Special Publication 800-22がある.その検定ツールを構成する検定法の一つに,離散フーリエ変換検定法がある.離散フーリエ変換をより一般化した変換について考察し,それをもとにして作る新たな離散変換(カオスユニタリ変換)を離散フーリエ変換と置き換えるという変更を離散フーリエ変換検定法に加えることで,チェビシェフ写像などを生成法の基にするカオスな擬似乱数系列等を検定可能とする,擬似乱数系列の持つカオス的特徴(=非乱数性)を棄却検定する検定法を構成した.
著者
埴淵 俊平 伊藤 京子 西田 正吾
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.383, pp.59-64, 2011-01-14
参考文献数
20

近年笑顔認識技術の向上・市販化により,今後人と人,もしくは人と人工物がコミュニケーションをする際に笑顔情報を利用したインタフェースデザインが検討されると考えられる.本研究では,笑顔がもつ他者の受容が適用可能なコミュニケーション場面とそのインタフェースデザインを検討することを目標とし,笑顔の送り手-受け手といった関係性を顕在化した場面を適用することで,内部観察的に笑顔の受容が会話に与える影響を分析することを目的とする。具体的に笑顔表出者が笑顔メッセージを受け手に送信する過程を笑顔アイコンを用いて視覚化した2種類の会話場面(対面・非対面会話)によって分析する.会話実験より,笑顔がもつ受容は5つの主成分に影響を与え,また爽快な印象が自分の笑顔表出量と相関があり,社会的な印象が他者の笑顔表出量と相関がある可能性が示唆された.
著者
片岡 桂太郎 萩原 将文
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.730, pp.91-96, 2003-03-11
参考文献数
28

本論文では,自然言語を人間の記憶と結びつけて扱うための手法として,意味記憶とエピソード記憶を統合的に扱える新しいニューラルネットワーク(意味記憶及びエピソード記憶ニューラルネットワーク - Semantic memory and Episodic memory Associative Neural Network: SEANN)を提案する.提案ネットワークでは意味ネットワークによって表された意味記憶部分を,文章概念記憶ニューラルネットワークを領域表現を用いた多方向連想メモリに記憶させる.そして,別の文章概念記憶ニューラルネットワークにエピソード記憶部分を記憶させ,エピソード記憶に関連した事項を,領域表現を用いた多方向連想メモリを通じて,意味記憶部分より想起させるのものである.計算機実験では,一つの単語から複数の意味記憶が想起できること,提案ネットワークにおいて意味記憶がエピソード記憶に関する想起を行えることを確認し,自然言語処理に対する提案ネットワークの有効性を確認した.
著者
開田 翔一 松村 健太 加藤 祐次 清水 孝一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.514, pp.29-33, 2015-03-16

手指や手のひらの血管像による個人認証はすでに一般的に行われているが,手首血管の光透視像による個人認証を実現した例は知られていない.手首は,近年出現している腕時計タイプのウェアラブル機器の装着が容易であり,これに認証機能を付加できれば有用と考えられる.そこで我々の開発してきた光透視像技術を応用し,腕時計型デバイスで手首血管透視像による個人認証を行うことを考えた.成人手首部で得られた血管透視像に対して,ウェアラブルデバイスでも実装可能な簡易なアルゴリズムで画像処理を施し,画像相関による個人認証を行った.その結果,腕時計型デバイスでも,有効な個人認証が行える可能性を実証した.