著者
山本 正信 川田 聡 近藤 拓也 越川 和忠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.71-83, 1996-01-25
参考文献数
25
被引用文献数
78

本論文では, 3次元的に動作を行っている人間を動画像により追跡する手法を提案している. この手法は, まず人体の立体形状をあらかじめCADモデルで構成しておき, このモデルを追跡開始フレームで人体像に一致させておく. 追跡は運動パラメータの推定と, 得られたパラメータに基づくモデルの移動を交互に繰り返すことにより達成される. 運動パラメータは人体をロボットとみなしたときのアームパラメータである. パラメータの推定は時空間こう配法による直接推定である. 実際に, 階段を下りる, 椅子から立ち上がる, コーナを曲がる,などの動作の動画像追跡により本手法の有効性を確認している. また, 追跡結果をCGアニメーションにより再現し, 3次元の追跡であることを強調している.
著者
山森 一人 阿部 亨 堀口 進
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.350-353, 1997-01-25
被引用文献数
4

ニューラルネットワークにより実用規模の問題を解くためには, 並列学習法による高速化が必要である. 本報告では, 超並列計算機上に3種類の並列学習アルゴリズムを実装し, その性能について議論する.
著者
山森 一人 堀口 進
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.81, no.2, pp.370-377, 1998-02-25
被引用文献数
8

ニューラルネットワークを用いた情報処理は制御やパターン認識などの分野で広く応用されている.しかし, 問題が大規模化するに従ってニューラルネットワークの学習に必要な時間が膨大になる.近年, 大規模ニューラルネットワークの学習を並列計算機を用いて高速化する研究が盛んに行われるようになった.しかしながら, これらの並列化手法は並列計算機のアーキテクチャに強く依存している場合が多く, 誤差逆伝搬学習法の並列化性能については十分に検討されていない.本論文では, 誤差逆伝搬法がもつ3種類の並列性を利用した並列学習モデルを解析し, その並列学習速度について詳しく検討する.これらの並列学習に関する解析結果を用いて実際の並列計算機上へ各モデルを実装して並列学習法の性能評価を行う.
著者
服部 数幸 佐藤 幸男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.8, pp.1528-1535, 1993-08-25
参考文献数
12
被引用文献数
38

本論文は時系列空間コード化法に基づいた新しいレンジファインダのシステムについて述べている.光パターンを生成する光源としては半導体レーザを用いており,レンズ系によって生成されたスリット状の光をパターンに従い時系列的にスイッチングしながらガルバノミラーで走査して光パターンを生成している.レーザおよびミラーはCCDカメラの垂直同期信号と同期して動作し,カメラの1フレーム時間内に各光パターンが生成され,その投影像が撮像される.光パターンの生成,切換えにむだ時間がないため,約0.3秒で8枚の光パターンの照射と撮像が行われ,距離測定精度が約1%の512×256画素の距離画像を得ることができる.光学系は極めて小型に形成され(W:140mm,H:35mm,D:95mm),軽量であるため(680g),ロボットの視覚など広い用途が見込まれる.本論文ではレンジファインダのシステムの構成,専用画像処理システムについて述べている.またいくつかの計測結果を示し,本システムの有効性について論じている.
著者
島田 竜也 河口 尚広 加賀 健太 山田 博三 森 晃徳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.88, no.10, pp.2054-2068, 2005-10-01
参考文献数
11
被引用文献数
27

近年犯罪の著しい増加に伴い, 侵入者検知の研究・開発の必要性が叫ばれている. 本論文は, 安価で高機能な侵入者検知システム開発のための一つのシーズを提案するものである. 本論文で解決した機能は, (1)光源の移動を含め滑らかな照明の変化に対処できること(2)ゆっくり移動する侵入者の存在領域の明りょうな検出(3)途中で静止する侵入者の存在領域の明りょうな検出の三つの機能である. 機能(1)と(2)は, 互いに矛盾しているように見えるものである. 具体的手法は, 「侵入者を含まない現在の背景画像と現在の入力画像の差分画像から侵入者の存在領域を検出するもの」である. 現在の背景画像をいかに簡単かつ正確に更新するかが最も重要な点であり, 上記三つの機能を同時に実現する手法はなかった. 我々は, 「侵入者検出領域及びその境界では, 加重平均処理を背景画像に施さない」という手法で上記機能を実現した.
著者
ブンクムクラオ ウィチャイ 三木 信弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.83, no.11, pp.2171-2179, 2000-11-25
参考文献数
11
被引用文献数
5

FPGA(Field Programmable Gate Array)は, プログラマブルデバイスであり, いくつかの方式があって何回も回路を書換え可能である.特殊DSPを少量生産する場合, コストが安くできるという大きな利点がある.音声信号とデータ(DTMF信号)を同一の帯域に混在させて通信する無線通信方式があり, この方式では, データの帯域を消去して音声信号を聞きやすくするフィルタが要求される.我々が提案するアーキテクチャでは, 音声信号とデータの混在する信号を効率良くDTMF信号だけ消去できる高次帯域消去フィルタをFPGAで実現するために有用である.実際に設計したフィルタを実現する方法を示し, また実現した回路での実験結果を示す.
著者
農宗 千典 小沢 慎治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.3, pp.514-523, 1993-03-25
参考文献数
17
被引用文献数
36

単眼視による連続道路画像を処理し,道路中央からの偏位,道路に対するヨー角,ピッチ角,ロール角,路面からの高さという,5自由度カメラ姿勢と,道路のカープ曲率とこう配曲率を含む3次元構造とを,同時に計測する手法を提案する.時変の道路形状パラメータで表現された3次元道路モデルを作成し,前時刻における姿勢パラメータを用いて画像座標系に変換する.そして,モデルと入力画像との対応関係から各姿勢パラメータと道路形状パラメータの変動量を同時推定する.推定は線形方程式で行え,よって高速処理に向く手法である.合成道路画像を用いた定量評価と実画像による実験において,精度の良い推定結果が得られた.従来固定値とされる場合の多かったピッチ角やカメラ高などの推定が,自動操縦の場合重要とされる道路形状や偏位やヨー角の計測精度向上に寄与することも確認された.更に,高速画像処理装置により実時間(30画面/秒)で処理でき,本手法の有効性を確認した.
著者
菅谷 史昭 竹澤 寿幸 横尾 昭男 山本 誠一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.84, no.11, pp.2362-2370, 2001-11-01
参考文献数
9
被引用文献数
17

音声翻訳システムの新たな評価手法として翻訳一対比較法を提案し, ATR音声翻訳通信研究所が研究開発した音声翻訳システムで評価した.言語翻訳部単体, 音声認識部と言語翻訳部を結合した場合の翻訳一対比較法の評価結果を述べるとともに, 音声認識のシステム性能に与える影響を分析した.また, 評価結果を文ごとの平均単語エントロピーを使い分析し, 同システムで採用されたコーパスベース音声翻訳システム性能の特徴を明らかにした。また翻訳一対比較法の誤差解析を行った.
著者
尾上 耕一 西田 友是
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.86, no.2, pp.282-289, 2003-02-01
被引用文献数
4

本論文ではコンピュータグラフィックスを用いて砂漠の景観をリアルに表示するための方法を提案する.まず,砂漠地形のモデリングについて議論する.砂漠地形は主に砂丘とその表面にできる細かいしま模様である風紋からなっている.それぞれを形成するためのモデルについて述べる.次に砂丘と風紋を組み合わせて砂漠の景観をレンダリングする方法について提案する.レンダリングでは砂丘の表面上に小さな凹凸である風紋を表現するためにバンプマッピングの手法を用いている.この計算の効率化のためにLODの手法を用いる.また砂漠の景観をよりリアルに表示するために,砂丘の影,風絞の影,砂埃を考慮している.最後にレンダリング結果として砂丘表面上の風紋,砂丘の影,風紋の影,の有無を比較した画像を作成しそれぞれの効果を示した.
著者
有木 康雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.9, pp.2421-2427, 1997-09-25
被引用文献数
32

本論文では, ニュース映像から個々の記事を自動的に切り出す方法を提案している. ニュース映像の各フレームを, 離散余弦変換(DCT)で圧縮し, このとき得られるDCT特徴でシーンカットを検出する. カット検出の従来法では, 隣接するフレーム間の差分をもとにしているため, 画像の一部または全体の明るさが変化する場合に, 誤検出が生じていた. 本研究では, 同一シーン中の連続するフレームは類似しているという性質に基づいて, ニュース映像中のフレームをクラスタリングすることによって, この問題を解決している. ニュース映像は「スタジオから現場に移りスタジオに戻る」というシンタックス上の構造をもっている. この構造は, 検出したカット点フレーム集合においては, ループとして観測されるため, ループ検出によってスタジオを推定し, 記事を切り出している. NHKのニュース30日分に対して実験を行い, カット検出率87.9%, 記事切出し率99.2%を得た. また, 民放3社のニュース10日分に対して, 記事切出し実験を行いその有効性を示した.
著者
久保村 千明 亀田 弘之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.86, no.3, pp.418-428, 2003-03-01
被引用文献数
5

高度な情報検索システムは,文字表記の揺れ(異表記)に対応する能力を備えもつことが必要である.例えばキーワード「バイオリン」を検索した場合,情報検索システムはキーワードの異表記である「ヴァイオリン」をも検索できなければならない.しかしながら現在利用されている情報検索システムは,入力されたキーワードに対する異表記を十分に処理することは不可能である.また,1999年情報検索システムの評価プロジェクトの一環であるNTCIRワークショップにおいて,日本語検索における片仮名異表記の処理の必要性が指摘されている.このような状況にかんがみ,片仮名異表記処理能力を備えもつ情報検索システムを構築した.本論文では片仮名異表記処理能力を備えもつ情報検索システムに関して,片仮名異表記の分類・書換え規則,情報検索モデルとそれに基づく片仮名異表記処理能力を備えもつ情報検索システムの概要,システムの処理手順,最後にシステムの評価とその考察について述べる.
著者
李 晃伸 河原 達也 武田 一哉 鹿野 清宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.83, no.12, pp.2517-2525, 2000-12-25
被引用文献数
47

大語彙(い)連続音声認識のための新たなphonetic tied-mixture(PTM)モデルを提案する.このモデルは各音素モデル(monophone)の各状態がもつ64個のガウス分布集合をtriphoneの対応する状態に割り当て, 重みのみを変えて共有することで合成する.通常の状態共有triphoneに比べて音響空間を効率良く表現でき, また巨大なコードブックを要する従来のtied-mixtureモデルよりも学習が容易である.2万語の新聞記事読み上げタスクにおいて評価した結果, triphoneでの最大性能に近い7.0%の単語誤り率をより少ないパラメータ数で達成した.処理効率の点においては, 音響スコア計算に用いるガウス分布を上位3%にまで削減しても精度がほとんど低下しなかった.いくつかのガウス分布の足切り計算(Gaussian pruning)手法を提案及び比較した結果, 最終的に音響ゆう度計算を約5分の1にまで削減できた.
著者
宮川 道夫 小林 康之 鳥羽 啓 石井 望
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.83, no.12, pp.2810-2821, 2000-12-25
被引用文献数
10

注視位置情報を利用したヒトとコンピュータとの円滑な情報伝達を目的とし, 無拘束で自由な体の動きを許容した注視点検出手法を開発した.PSDカメラにより眼球回転中心を, またCCDカメラにより角膜の曲率中心をステレオ計測し, ビデオ信号処理と推定演算により注視点を求める.無拘束状態で注視点を検出するため, カメラと眼球間の距離に応じて眼球反射光が広がりをもち輝度値も低下する.検出精度が低下しないよう, AGC回路や輝点の中心座標を算出するパルス中心位置計測回路を備え, 精度の高い注視点検出を可能としている.また, コンピュータ使用時の頭部変動量をPSDカメラで測定・評価し, 頭部の最大移動量を算出した.その結果, コンピュータ使用時の頭部変動は本システムの計測範囲内に収まることを確認した.
著者
川崎 順治 飯島 泰蔵
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.77, no.4, pp.774-780, 1994-04-25
被引用文献数
37

例えば,白黒2値表示した画像にディザ法をかけると,私たちは,擬似的に中間調が見えてより鮮明な画像として認識していることを経験する.これは,人間が細部に注目しない場合は対象全体を大まかにとらえて,より多値の鮮明な画像を認識できるということである.本論文は,このような外界・網膜・脳を通じて階層的に行われる視覚神経の自然な情報処理の様相を,視覚モデルによってとらえ理論的に明らかにし,実験的に確認した.まず,パルス密度変調されたディジタル画像を外界の入力画像とし,網膜のレベルで視点・視野を考えぼけを含んだ画像として扱い,脳のレベルで関数方程式の解として復元画像を導出した.この解はエルミートの多項式をもち,級数和の項数が漸近級数類似の特性をもつことが示された.すなわち,比較的小さな有限項の最適近似項数で,入力画像を予想どおり原画像のアナログ画像に復元して認識できることが明らかになった.本質を理解しやすくするために1次元モデルとして取り扱われたが,基本的には2次元モデルに拡張されると考えられる.
著者
岸 啓補 森島 繁生
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.83, no.12, pp.2716-2724, 2000-12-25
被引用文献数
11

サイバースペースにおける仮想人物の合成やコミュニケーションシステムの実現に向け, コンピュータグラフィックスによる人物画像合成等が注目を集めている.本論文では, 特に人物のCGの中でも合成が難しいとされる頭髪の表現方法について述べる.人物画像において頭髪は視覚的に重要であるにもかかわらず, 簡単な曲面や背景の一部で代用されることが多い, 頭髪をマッピング技術を用いて表現する手法が成果をあげているが運動の表現には不適当である.そこで頭髪の表現にテクスチャやポリゴンを用いずに空間曲線を用いる.更に頭髪の部分的な集まりである房単位にモデル化することでヘアスタイルデザインを簡略化する.本論文では, この新しいヘアスタイルデザインシステム, 房のモデル化手法, レタリング手法, 4分岐法による衝突判定, 運動表現について述べる.また, 実際にこのヘアスタイルデザインシステムを用いて頭髪をデザインし, 風になびかせるアニメーションを実現した.
著者
鈴木 雄仁 斎藤 英雄 小沢 慎治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.8, pp.2186-2193, 1997-08-25
被引用文献数
13

現在顔に関する研究がさまざまな分野において非常に重要になっている. これには画像中の顔領域のみを切り出す必要がある. しかし, 従来までの研究では, 任意背景の顔画像に対しては背景のエッジ等に顔の輪郭を誤推定してしまい, 安定に顔領域を抽出できなかった. 本論文では任意背景の顔画像から顔輪郭を推定するために, まず頭部はだ円曲線形状をしており, 頭髪によりその内部は均一な濃度分布になっていると仮定し, 頭部輪郭線に当てはまるだ円を遺伝的アルゴリズムを用いて求める. 次に頭部輪郭線の情報をもとにして顔の顎部分の輪郭線を推定することにより顔領域輪郭の粗推定を行う. そしてこの輪郭線から, SNAKESを用いてより細かな顔輪郭を抽出する手法を提案する. 更に, 本手法を任意背景顔画像に適用してその有用性を示す.
著者
梶本 裕之 川上 直樹 前田 太郎 舘 暲
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌D-II (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.120-128, 2001-01

経皮電流刺激により皮膚感覚を提示する触覚ディスプレイを提案する。過去の多くの皮膚感覚ディスプレイでは言語報告によって表される種々の感覚(圧覚、振動覚、手触り等)を表現するTop-downの設計法がとられてきたが、それらの感覚は各種感覚受容器の活動を組み合わせた結果であるため、こうして設計されたディスプレイはある限られた感覚を提示するにとどまっていた。これに対して我々の方針は、感覚神経をその種類別に刺激するというものである。種類別刺激が可能であれば、それらを組み合わせることであらゆる感覚を生成することができるだろう。これらの刺激を、視覚との類似性から「触原色」と呼ぶことにする。刺激手段として皮膚表面からの電気刺激を用いる。電気刺激自体の歴史は古いが上記のような原色作成の試みはなく、多くが単なる特殊感覚のad-hocな生成に終わっている。本論文では受容器選択的刺激のための二つの方法を提案する。一つはアレー状電極を用い、各電極の重み付け変化で刺激深度を変化させる手法である。もう一つはこれまでの経皮電気刺激が陰極電流を刺激として用いていたのに対し、陽極電流を使うことで神経軸索の方向に選択的な刺激を行う手法である。
著者
間瀬 久康 佐藤 智夫 宮崎 保光
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.149-154, 1993-01-25
被引用文献数
2

レーザ走査型膜電位計測装置を試作し,コイ心室活動電位を4点より計測し,ガラス微小電極による計測と比較した.膜電位感受性色素として膜電位変化により蛍光放射強度を変化させるWW781を用いた.WW781を0.1mg/mlの割合で生理食塩水に溶解した染色液で,コイより摘出した心室を20分間染色した.光源としてHe-Neレーザ(λe=632.8nm,1.0mW)を用い,音響光学偏向器で1次元のビーム走査を行った.染色後の心室表面にレーザ光を照射し,膜電位感受性色素より生じる蛍光放射強度を1.0msごとに計測した.心室表面上のビームスポット間隔は1.0mmであった.蛍光の受光はホトダイオードで行い,励起光の反射と蛍光の分離は,シャープカットフィルタで行った.活動電位の立上りにおいて,蛍光放射強度は5%程度増加した.最も離れた2点間において,蛍光放射の増加開始時刻に4msの差があった.この時間差はガラス微小電極による計測結果と同程度であった.
著者
平井 俊男 岩橋 直人 樋口 宜男 匂坂 芳典
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.78, no.11, pp.1572-1580, 1995-11-25
被引用文献数
15

日本語合成音の自然性向上を目指して,音声の基本周波数(以下,F_0)制御のための規則を自動的に抽出する方法を提案した.本方法は,(1)十分な量の音声データのF_0時系列パターンを藤崎モデルによりパラメータ化し,(2)このパラメータの値を言語情報から推定する規則,すなわちF_0制御規則を統計分析手法により抽出する,という二つのステップからなる.この方法を話者1名による読上げ文200文に適用し,得られたF_0制御規則を解析することで,言語情報とパラメータ値との関係を導出した.その結果,(1)先行フレーズのモーラ数が少なくなるほど当該フレーズ指令は小さくなること,(2)アクセント句内の高く発音される部分のモーラ数が多くなるほどアクセント成分が小さくなるという関係があること,が明らかとなった.(2)の関係は,従来少数サンプルの分析結果で得られていた知見を詳細化したものとなっており,本手法によって妥当なF_0制御規則の抽出を自動的に行える可能性があることを示したものと考えられる.