著者
永田 明徳 岡崎 透 崔 昌石 原島 博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.79, no.7, pp.1230-1235, 1996-07-25
被引用文献数
41

顔は個人の特徴を表す多くの情報を含んでいる. 顔面像をパラメータで表現することができれば, さまざまな応用を考えることが可能となる. 本論文では, 顔画像にワイヤフレームモデルをあてはめ, 顔画像における形状情報と, 濃淡情報を分離し, 主成分分析の手法を用いて, 直交した顔基底を求めた. この顔基底を用いることで顔画像の効率的な空間パラメータ記述が可能となる. また, 本論文に示す手法は顔画像の分析のみではなく, 得られたパラメータからの顔画像の再合成が可能である.
著者
川戸 慎二郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.77, no.12, pp.2334-2341, 1994-12-25
被引用文献数
22

本論文では,多数の視点からの画像を用いて,画像間の対応点探索を必要としない3次元情報抽出法を提案する.画像に現れた特徴点とレンズ中心を結ぶ直線(逆投影直線)を3次元空間中に引くと,その直線は物体上の特徴点を通過する.そこで,対象空間をボクセルに分割し,逆投影直線がその交差するボクセルに1票ずつ投票するものと考えて,視点の異なる多数の画像から投票し,得票値に対してしきい値処理すれば特徴点を含むボクセルが共通ボクセルとして抽出できると予想される.しかし実際には,(1)ボクセルサイズの問題,(2)近接点干渉の問題,(3)遮へいの有無による得票差の問題などがあり,単純ではない.我々は,各逆投影直線ではなく各画像がボクセルを支持するという考え方を取り入れて(1)の問題を解決し,1回目の得票結果に基づいて2回目の投票を行うという2段階投票により(2),(3)の問題を解決することを提案する.この投票方法はボクセルの大きさに影響されないので粗いボクセルから始めて順次必要なボクセルのみを再分割していくアルゴリズムの構成が可能である.合成画像と実画像を用いて実験を行い,対象物の3次元情報が抽出できることを確認した.
著者
鄭 址旭 小林 哲生 李 玉文 栗城 眞也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.85, no.6, pp.1084-1092, 2002-06-01
被引用文献数
5

本研究では,視覚刺激におけるテクスチャによるターゲットとグラウンドの分離・認知にかかわる脳内プロセスの解明を目指し,視野内におけるターゲットの呈示領域と分離・認知されるまでに要する反応時間との関係を調べた.また,課題遂行時の事象関連電位を頭皮上63箇所で同時計測し,更にスプライン・ラプラシアン解析を行い脳活動の検討を行った.その結果,ターゲットの呈示される領域によって反応時間に有意な差が生ずることが明らかとなった.また,課題遂行に伴い潜時の異なる四つの事象関連電位成分が観測された.事象関連電位のスプライン・ラプラシアン解析により,これらの成分の信号源は左右両半球の後頭葉,頭頂葉,前頭葉にあり,このうち反応時間との関連から,潜時約270ms以降の前頭葉の活動が主にターゲットの認知にかかわる脳内プロセスを反映していると推察された.
著者
青木 公也 金子 豊久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.86, no.1, pp.72-83, 2003-01-01
被引用文献数
6

本研究では人間と共存するロボット(福祉・ホームロボット)の外界認識システムに焦点を当て,その導入研究として距離情報とカラー情報を利用した3次元物体の検出について検討を行った.ステレオビジョンが任意に移動していく過程で蓄積されていく外界情報を利用し,指定された物体の位置・姿勢を検出するアルゴリズムを提案する.3次元モデルベーストマッチングに改良した遺伝的アルゴリズム(GA)を適用する.視点移動は GA に動的環境をもたらすと考え,多峰性問題と評価関数の変化に対応するために「種族」と「競争的共存」の概念の導入を図った.また,ロバストなマッチングを行うために3次元モフォロジー演算を利用した評価空間の生成手法を提案した.距離画像の各画素に距離データだけでなく,HSV カラー情報を付加することによって形状情報とテクスチャ情報を同時に評価する手法も提案する.最後に提案手法についてシミュレーション及び実画像での実験を行いアルゴリズムの有効性を示す.本アルゴリズムは探索対象とする物体形状の複雑さに柔軟に対応できること,センサによる距離情報取得の際の外乱に対してロバストであるという特長をもつ.
著者
林 健太郎 橋本 学 鷲見 和彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.84, no.8, pp.1762-1771, 2001-08-01
被引用文献数
19

本論文では照明変化の多い半屋外環境下で,着座した人物の顔方向を単眼視により推定するために,顔上の特徴点を追跡する手法を提案する.本追跡手法では分離度フィルタ及び更新型テンプレートマッチの両方を用いて,それらのマッチ位置を重み付け統合する.この重み付けパラメータを適切に設定することにより頑健で高精度な追跡を実現できることを示す.更に,本追跡手法を用いて顔上の目と鼻の位置を追跡し,顔の3次元方向を推定するリアルタイムシステムの構成を示す.本システムを用いて正面から50度以上の横向き顔を検出した結果,87%の検出率を達成した.
著者
平子 賢一 藤田 広志 原 武史 遠藤 登喜子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.78, no.9, pp.1334-1345, 1995-09-25
被引用文献数
52

乳房X線写真上で,乳癌との相関が非常に高い微小石灰化陰影を検出するための「3重リングフィルタ」を用いた新しい手法を提案する.微小石灰化像周辺は,その濃度値が中心に向かってほぼ一定に落ち込むような「円すい形」構造のパターンをもつものと近似できる.よって,3重リングフィルタは,自動抽出された乳房領域における濃度こう配情報を特徴量に変換し,微小石灰化像と類似したパターンをもつ領域を抽出(検出)するものである.本論文では,3重リングフィルタの原理を説明すると共に,その効果を検証するために,人工的に作成した模擬パターンを使用したシミュレーションを行った.その結果,悪性石灰化像のように形状が不整である検出対象にも適応できることを確認した.また,臨床データ102例を対象として解析実験を行った結果,その診断性能は真陽性率が90.3%であり,このとき画像1枚当りの偽陽性数は0.83個であった.更に本検出法が,従来法で問題となっていた背景トレンドの影響を受けにくく,検出性能が向上している点を確認した.以上の総合的な検討結果より,新しく提案した手法が微小石灰化検出のために有効であることが明らかとなった.
著者
高橋 桂太 久保田 彰 苗村 健
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.88, no.3, pp.573-584, 2005-03-01
被引用文献数
25

Light field rendering (LFR)とは, あらかじめ取得された多視点画像から自由視点画像を合成する, イメージベーストレンダリングの基本的な手法である.この手法では, 合成画像において焦点ぼけのような現象が現れることが知られている.現実のシステムでは, この"焦点"が合う範囲が非常に狭い場合が多いという問題点がある.本論文では, LFRの合成画像における"合焦"の度合を, 安定に判定する新しい尺度を提案する.また, この尺度を用いて, "合焦"距離が異なる多数枚の画像から, "焦点"が合っている領域を統合することで, シーン全体を鮮明にとらえた"全焦点"画像を合成する手法を提案する.更に, 画像合成の実験を行い, 提案手法によって, 最終的な合成画像の品質が向上することを確認した.
著者
松田 憲幸 柏原 昭博 平嶋 宗 豊田 順一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.326-335, 1997-01-25
被引用文献数
13

プログラミングを行うためには, プログラマは少なくとも, プログラムの動作について明確に理解しておく必要がある. しかしながら初心者の場合プログラムの個々の命令の振舞いを理解できても, プログラム全体の動作を正しく理解できなかったり, プログラム仕様から動作を想定できない場合がよく見られる. このような初心者を対象とする場合, 動作とプログラムコード動作とプログラム仕様の対応関係について説明することが重要となる. 本論文では動作の理解が特に難しい再帰プログラムを対象に, プログラムの動作を介したプログラミングを支援する知的教育システムについて述べる. 筆者らは再帰プログラミングのモデルを想定した上で, 学習者にとって理解が容易となるようにプログラムの動作を表現し, これをプログラムの振舞いと呼んでいる. 本論文ではこの振舞い表現を用いて, 再帰プログラムの設計過程および理解過程を支援する方法について論じる. 特に, 雛形を用いた解法による設計過程の支援ならびに, 振舞い表現の可視化による理解過程の支援について述べる. 更に振舞い表現の評価実験についても述べる.
著者
田村 正統 益子 貴史 徳田 恵一 小林 隆夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.85, no.4, pp.545-553, 2002-04-01
被引用文献数
19

本論文では,不特定話者の音声合成単位である"平均声"モデルから,任意話者の特徴をもつ音声を合成する手法を提案する.提案手法は,HMMに基づくテキスト音声合成システムに基づいている.HMMに基づく音声合成システムでは,多空間上の確率分布(MSD)に基づくHMMを用いてスペクトル及びピッチパラメータを同時にモデル化しており,HMMのパラメータを適切に変換することにより合成音声の声質や韻律特徴を変換できる.本論文では,MLLRアルゴリズムをMSD-HMMに拡張し,ピッチ及びスペクトルモデルの話者適応を行うことにより,目標話者の少量の文章を用いて,声質のみでなく韻律情報も適応できることを示す.主観評価試験により,ピッチ及びスペクトルを同時に話者適応することにより,平均声モデルを数文章で適応したモデルから,特定話者モデルからの合成音声に近い音声を合成できることを示した.
著者
財田 伸介 久保 満 河田 佳樹 仁木 登 大松 広伸 森山 紀之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.87, no.1, pp.134-145, 2004-01-01
被引用文献数
22

近年,マルヂスライスCTの開発により全肺野の3次元断層像を短時間,高精度に得ることが可能になった.特に体軸方向の分解能の飛躍的な向上により3次元的な画像解析に期待が寄せられている.本論文ではマルチスライスCT画像から肺の葉間数を抽出するアルゴリズムについて述べる.臨床において葉間数は肺区域の同定に重要とされる臓器である.葉間数は非常に薄い膜状の構造をしている.本手法は,葉間数の存在する領域の特定と葉間数の強調処理を行って抽出する.これらには葉単位に分類された肺血管からの3次元距離値を用いることで葉間数の存在する領域の特定を行う.次に強調された面陰影の法線ベクトルを用いた領域拡張処理を行い葉間数を抽出する.本手法を臨床画像20例に適用し,精度を評価して有効性を示す.
著者
小澤 憲秋 青木 俊徳 加藤 寧 根元 義章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.84, no.8, pp.1608-1617, 2001-08-01
被引用文献数
7

本論文では,衛星画像における雲域自動分類手法を提案する.提案手法は可視画像と輝度温度画像を用いて,雲域とそれ以外の領域を自動的に分類する.画像を小さな領域(局所領域)に分割することにより,局所領域中での各カテゴリーの特徴ベクトル分布がガウス分布を用いて近似できると仮定し,分布を二つのクラスタに分割する.更に,各クラスタをその後のカテゴリー分類に利用するのに適当であるかどうかの判断を行うための「一致度」を導入し,それを満足するクラスタの平均ベクトルとEMアルゴリズムを用いて分類を行う.一致度を利用することによって特徴空間中のベクトル分布が明確になることを示すとともに,クラスタリングも適切に行えることを示す.提案手法の特徴は,特徴ベクトルが各カテゴリー間を結ぶように連続的に分布することに着目する点にある.各カテゴリー間を結ぶ直線を考え,その直線と各クラスタの平均ベクトルの距離が近いものだけを利用することによって,画像ごとに動的にしきい値を決定する.最後に,提案アルゴリズムををNOAAとひまわりの画像に適用する.専門家が手動で分類した結果等と比較し,良好な分類結果が得られることを示す.
著者
内藤 貴志 塚田 敏彦 山田 啓一 山本 新
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.81, no.9, pp.2019-2026, 1998-09-25
被引用文献数
16

車両を対象とした認識には, 車両の検出と車種の認識および車両の同定がある.車両の同定は車両そのものを特定することで, その代表的なものは車両のナンバープレート認識である.ナンバープレート認識は, これまでの交通流計測から, これからは有料道路における課金のための車両同定, 駐車場における契約車両の判定, 更に特定車両の到着監視などへの応用展開が期待されている.筆者らは, これらへの適用を考え, 直射光のあたる昼間から低照度の夜間まで環境の明るさが広く変化する条件下で, 走行中の車両に対してもぶれが少なく, かつハレーション部のない画像を得るための撮影方式を開発した.本方式は, 入射光をビームスプリッタにより光強度が異なるように透過光と反射光の2方向に分光し, それをそれぞれのCCD素子で撮影した2枚の画像を合成して, 移動物体でも画像のぶれなく, かつ広いダイナミックレンジの画像を得るものである.試作した撮像装置では, 1.5×10^4のダイナミックレンジをもつシーンをシヤッタースピード1/1000秒で高速に撮像することができる.併せてナンバープレート認識手法を開発し, 試作した撮像装置を用いたナンバープレート認識のプロトシステムも開発した.このシステムは466枚の走行車両画像に対して98.7%の認識率を達成し, ナンバープレート認識システムとしても有効であることが示された.
著者
村本 健一郎 松浦 弘毅 椎名 徹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.77, no.12, pp.2353-2360, 1994-12-25
被引用文献数
13

落下中の降雪粒子の雪質を測定することは,降雪時における電波減衰を解析するために重要である.雪質は降雪粒子の密度(含水量)に大きく依存しているので,雪質は密度により表すことができる.本研究では,落下中の粒子の密度を長時間にわたって自動的に測定することを目的として,まず,画像処理による降雪観測法を用いて,落下中の個々の降雪粒子の粒径と落下速度を測定した.このとき同時に地上に落下したすべての粒子の重量を電子天びんを用いて測定した.粒子の粒径と落下速度のデータより得られる単位空間を通過するすべての粒子の体積の値とそれらの粒子の重量のデータより,落下中の粒子の密度の計算をした.更に,粒子の密度に影響を与える因子について考察することにより,画像処理データだけを使って,降雪強度を推定する手法を提案し,実際に適用した結果,実測値との良い相関が得られた.
著者
麻生 武彦 江尻 全機 宮岡 宏 小野 高幸 薮 哲郎 六車 和彦 橋本 岳 安陪 稔
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.69-78, 1994-01-25
被引用文献数
4

我々は,これまで過去2度にわたり行われた南極昭和基地におけるオーロラの単色光両眼ステレオ観測データをもとに,オーロラ発光の3次元構造を推定するオーロラトモグラフィの研究を行ってきた.基本的な手法は代数的方法の範ちゅうに属し,オーロラの特性を考慮した発光モデル関数のパラメータを,非線形最小2乗法により推定するものである.従来,データ解析ならびに再構成の信頼性,望ましい観測点配置等についての数値シミュレーションにより検討を行ってきた.これらの知見をもとに,地球磁気子午面に沿った比較的長い基線長でのオーロラ観測が1991年11月から12月にかけて,アイスランドにおいて行われた.ここでは,観測の概要,オーロラトモグラフィ解析のアルゴリズム,ならびに得られた解析結果について述べる.
著者
柳沼 良知 和泉 直樹 坂内 正夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.79, no.4, pp.547-558, 1996-04-25
被引用文献数
27

本論文では, ドラマの映像情報とそれに対応する文書情報であるシナリオとを結合することによって映像編集を行う方式を提案する. すなわち, 意味的内容を反映したシナリオ文書を従来のテキストエディタにより編集し, あらかじめ行っておいた映像, 音声, シナリオ文書間の時間的対応付け(同期)結果を用いて, 編集されたシナリオ文書に対応する映像, 音声の部分を選び出し, 並べ直すことで, 映像, 音声の編集を行う. これにより, 映像情報に比べて抽象度が高くデータ量の少ないテキスト情報を用いて映像の編集ができると共に, シナリオ文書に記述されている意味的内容に従って, より高次な映像の編集ができるという利点が得られる. 本論文では, 更に, 複数のドラマ映像を用いて行った実験および評価について議論し, 本手法がドラマ映像の編集, 加工に有効であることを示す.
著者
宮川 勲 若林 佳織 荒川 賢一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.87, no.5, pp.1120-1132, 2004-05-01
被引用文献数
14

本論文では,魚眼カメラが取得した画像系列から平面運動と3次元形状を同時に復元するための因子分解法を提案する.ただし,光軸を平面に垂直とした魚眼カメラが平面運動することを前提としている.本手法は,この平面運動で画像系列を獲得する魚眼投影モデルに基づいている.実験では,撮影ロボットを使って取得した室内画像に本手法を適用し,平面運動と3次元形状を同時に,かつ,高精度に復元する手法として有効であることを示す.更に,形状復元の精度評価から,形状復元の精度は仰角に依存することを確認し,本手法の適用範囲を明らかにする.
著者
渡辺 賢 岩井 儀雄 八木 康史 谷内田 正彦
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.J80-D2, no.10, pp.2713-2722, 1997-10-25

本論文では,単眼カメラから手を撮像し,得られた画像特徴量から指文字を認識するシステムの構築を目的とする.手のような関節物体は自由度が多く多彩な変形をするため,その形状を認識する際には,対応付け問題,オクルージョン問題などのさまざまな問題が発生する.そこで,本研究では撮像の際にカラーグローブを装着することにより,手の特定領域の検出を正確かつ容易にし,オクルージョンにも対処できる方法を提案する.また,実画像データをもとに計算機で生成したCAD理想モデルを用いた決定木の学習結果と,実画像を用いた学習結果の検証についても併せて紹介する.
著者
土井 美和子 福井 美佳 山口 浩司 竹林 洋一 岩井 勇
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.9, pp.2042-2052, 1993-09-25
被引用文献数
9

文書の構造化作業の負担を軽減することを目的に,文書構造の抽出技術を開発した.技術文書では全国大会の予稿集12,000件,ビジネス文書では例文集,社内事務文書約500件を調査し,構造抽出規則を導き出した.開発した文書構造抽出技術は,技術文書であれば,章,節などの階層構造と,図表への参照構造を抽出する.ビジネス文書であれば,手紙文,記事文などの階層構造を抽出する.技術文書とビジネス文書の区別も文字列の解析により行う.誤り率は,規則化に用いたのと別の予稿集や社内文書で評価した結果,技術文書で10.0%,ビジネス文書で23.0%であった.また,参照構造の抽出誤り率は8%であった.文章中に埋め込まれた式や図表などを扱えるように改良を行った後のフィールドテスとでは,技術文書で5.4%,ビジネス文書で15.4%であった.また手作業よりかなり短い時間で構造化を行えることも事例により確認した.開発した文書構造抽出技術はレイアウト属性と結合することにより自動レイアウトシステムとして商品化した.本抽出技術はレイアウト以外にも,既存文書のハイパテキスト化などに今後非常に有効である.
著者
横矢 直和
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.8, pp.1667-1675, 1993-08-25
被引用文献数
34

3次元シーンの理解には距離情報が不可欠であり,さまざまな距離測定法が考えられているが,最も汎用的で対象に何ら影響を与えない受動的手法に両眼ステレオ法がある.両眼ステレオでは対応点探索が問題であり,一般に画像上での明るさの変化点等の特徴点でしか距離が求まらない.このため,密な距離マップを得るためには後処理として曲面再構成処理が必要で,その場合にはオクルージョンや不連続部の検出が問題となる.本論文では,ステレオ画像から不連続を保存しながら直接,対象の密な距離マップを生成する手法について述べている.対応点間での特徴の類以度を評価する項と画像内での視差の区分的連続性を表す制約条件から,ステレオ対応問題を視差に関するエネルギー汎関数の最小化問題として定式化し,弛緩法によって,不連続部を保存しながら反復的に密な視差マップを計算する.視差推定過程でエネルギーの局所最小点に陥るのを回避するための簡易的な手法として,ピラミッド型ステレオ画像を用いた接続法を採用している.
著者
田中 完爾 木室 義彦 山野 健太郎 平山 満 近藤 英二 松本 三千人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.88, no.9, pp.1759-1770, 2005-09-01
被引用文献数
20

ロボットが作業環境内における自己位置を推定するために, 安価かつロバストなランドマークが望まれる. 本論文では, このような要求を満たすものとして, RFIDタグを利用する自己位置推定法を提案する. 従来の位置推定用RFIDシステムでは, 空間配置が既知のタグを用いたり, 各タグに位置情報を記録したものが多い. これに対し, 本手法では, オフィスや家庭などでユーザが多目的に使用するタグを想定し, タグの配置が不規則かつ未知の場合を対象とする. タグの発信時刻や発信強度のばらつき, 障害物による電波遮へい, 不測のタグの配置変更などの不確かさのもとで, タグの信号と自己位置との関係をサポートベクタマシンを用いてロバストに学習する方法を示す. また, 提案した自己位置推定法を利用して, ユーザがタグに関する専門的な知識を必要とせずに, 最適なタグ配置作業を行うための方法を提案する.