著者
橋口 博樹 西村 拓一 張 建新 滝田 順子 岡 隆一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.84, no.12, pp.2479-2488, 2001-12-01
被引用文献数
23

本論文は, 鼻歌から抽出される音高の差(音程)の時系列を検索入力として, それに類似する区間を楽曲の音響分析パターン時系列中から見出す検索手法の提案を行う.提案手法(Model driven path Continuous Dynamic Programming)は, スポッティング検索可能な連続DPを拡張した手法であり, 参照モデルの時系列自体が, 連続DPで用いられる傾斜制限の型を直接定めていることに特徴がある.本論文では, ポピュラー音楽20曲について鼻歌検索実験を行い, 本提案手法の有効性を示す.
著者
庄境 誠 中村 哲 鹿野 清宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.10, pp.2636-2644, 1997-10-25
被引用文献数
14 3

本論文では, 乗法性ひずみの補正に有効とされているケプストラム平均正規化法(CMN)について考察する. 従来のCMNは単一のケプストラム平均(CM)により正規化を行うため, 実環境に存在する多くの乗法性ひずみ要因を補正するには十分ではない. この問題を解決するため, 話者ごとにかつ音声/非音声で別々に求めたCMを入力ケプストラムから減じる, 新しい方法E-CMNを提案する. この方法は, さまざまな乗法性ひずみを一括して補正し, 入力スペクトルを正規化することが可能である. 更に, 加法性雑音と乗法性ひずみのある実環境に対応するため, E-CMNとHMM合成法を組み合わせた, 新しいモデル適応化手法E-CMN/PMCを提案する. 本方法は, 加法性雑音モデルに対する音声モデルの周波数帯域ごとのゲイン, すなわち, 乗法性ひずみをE-CMNにより音声のCMとして一意に推定できるため, 音声モデルと雑音モデルを繰返し計算なしに加算できるという意味で簡便な方法である. 最後に, E-CMN/PMCの自動車環境内での性能を評価する.
著者
松野 勝弘 李 七雨 辻 三郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.77, no.8, pp.1591-1600, 1994-08-25
被引用文献数
66

本論文では,物理モデルであるポテンシャルネットとKL展開を組み合わせた顔表情認識の手法について述べる.ポテンシャルネットは,ノードが2次元グリッド状に相互にばねで連結された構造をもつ.画像からの力によって各ノードが顔器官の特徴に移動するためネットは変形し,変形したネットの形状には顔の特徴が反映されている.ポテンシャルネットにより求めた高次元の特徴ベクトル空間から,認識に有効なより低次元の特徴ベクトル空間を構成するために,照合パターンの特徴ベクトルの集合をKL展開して正規直交基底を求める.次に,求めた正規直交基底で表現される低次元のカテゴリー空間を構成し,この空間で入力パターンと照合パターンの距離を求め,最小距離判別法により認識を行う.本手法を未知の人物に対する識別能力,照明条件変動に対する耐久性,位置ずれに対する安定性の観点から評価し,その有効性を示した.
著者
山本 眞司 田中 一平 千田 昌弘 舘野 之男 飯沼 武 松本 徹 松本 満臣
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.250-260, 1993-02-25
被引用文献数
59

肺癌早期発見のための専用CTを開発することを提唱し,その基本構想を明らかにした.次いで,このシステムに必須の診断支援用画像表示方式として,下記2方式を並列に用いることを検討し,良好な結果を得た.(1)40スライスからなる3次元情報を,病巣陰影の情報を損なうことなく2次元に投影表示する手段として,MIP(Maximum Intensity Projection)法を応用した.但し単なるMIP法では妨害臓器情報による弊害が大きいため,あらかじめこれらの不要情報をしきい値法にて除去する方式を開発した.(2)各スライス断面ごとに病巣陰影候補を自動認識し,陰影候補の見つかったCT断面のみをCRT表示することにより,表示断面を大幅に削減する方式を開発した.病巣陰影の自動認識には,我々が新たに開発したQuoit(輪投げ)フィルタを用いた.
著者
黒住 隆行 柏野 邦夫 村瀬 洋
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.84, no.8, pp.1817-1825, 2001-08-01
参考文献数
18
被引用文献数
10

既知の音や映像(目的信号)が長時間の音や映像(蓄積信号)のどの時点にあるか探索する問題(時系列探索)において,高速かつ高精度に探索する手法を提案する.時系列探索における問題点は,音や映像の特徴にビデオのダビングや各種圧縮方式などによるひずみが発生することである.そのようなひずみが激しく起こると,探索精度が低下する.本論文では,そのようなひずみを吸収するための手法として,確率ディザボーティングを提案する.これは,ひずみの確率分布を学習により求め,その確率分布をヒストグラム上に表現するものである.ビデオのダビングや圧縮が起こった映像を探索する実験では,いずれのひずみにおいても探索精度の改善が見られた.例えば,ダビングを4回行った1時間の蓄積信号から5秒の目的信号を探索する場合では,従来法より探索精度が4.5%改善し,本手法の有効性が確認された.本手法により,様々なひずみに対して頑健なマルチメディア探索が可能になると考えられる.
著者
梶本 裕之 川上 直樹 前田 太郎 舘 [ススム]
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.120-128, 2001-01-01
被引用文献数
55

経皮電流刺激により皮膚感覚を提示する触覚ディスプレイを提案する.過去の多くの皮膚感覚ディスプレイでは言語報告によって表される種々の感覚(圧覚, 振動覚, 手触り等)を表現するTop-downの設計法がとられてきたが, それらの感覚は各種感覚受容器の活動を組み合せた結果であるため, こうして設計されたディスプレイはある限られた感覚を提示するにとどまっていた.これに対して我々の方針は, 感覚神経をその種類別に刺激するというものである.種類別刺激が可能であれば, それらを組み合せることであらゆる感覚を生成することができるだろう.これらの刺激を, 視覚との類似性から「触原色」と呼ぶことにする.刺激手段として皮膚表面からの電気刺激を用いる.電気刺激自体の歴史は古いが上記のような原色作成の試みはなく, 多くが単なる特殊感覚のad-hocな生成に終わっている.本論文では受容器選択的刺激のための二つの方法を提案する.一つはアレー状電極を用い, 各電極の重み付け変化で刺激深度を変化させる手法である.もう一つはこれまでの経皮電気刺激が陰極電流を刺激として用いていたのに対し, 陽極電流を使うことで神経軸索の方向に選択的な刺激を行う手法である.
著者
吉村 貴克 徳田 恵一 益子 貴史 小林 隆夫 北村 正
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.83, no.11, pp.2099-2107, 2000-11-25
被引用文献数
92

本論文では, HMMに基づく音声合成において, スペクトル, ピッチ, 継続長をHMMの枠組みで統一的にモデル化する手法について述べる.本システムでは, スペクトル・ピッチ継続長モデルとして, それぞれ連続分布HMM, 多空間確率分布HMM(MSD-HMM), 多次元ガウス分布を用い, 音素環境, アクセント, 品調などのコンテクストを考慮したコンテクスト依存モデルを構築する.コンテクスト依存モデルは, 決定木に基づくコンテクストクラスタリング手法によりクラスタリングされる.決定木構築の際, 節分割はMDL基準により行う.このこめ, 新たにMSD-HMMに対するMDL基準によるコンテクストクラスタリング手法を導出している.音声合成実験において, 自然性の高い合成音声が得られること, 更に自動学習によりシステムを構築可能であることを認識した.
著者
亀田 能成 美濃 導彦 池田 克夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.26-35, 1996-01-25
被引用文献数
74

1枚のシルエット画像から, その画像中に写された関節物体の姿勢を, モデルマッチングによって推定する方法を提案する. 対象となる関節物体モデルをあらかじめ計算機に構築しておく. 関節物体モデルが対象物体を正確に反映するものならば, 特徴点に基づく逆運動学的な解法やマッチング処理の内部にヒューリスティックな知識を埋め込まなくとも, 本方法により姿勢推定が可能であることを示す. 本論文で取り扱う関節物体は, 部品が関節によってつながった木構造をしているものと仮定する. その姿勢は関節のすべての角度を決定することで定まる. CG合成画像に対して本方法を適用し, その能力と特徴を評価した後, 実際の人体についても実験を行い有効性を確認した.
著者
高橋 勝彦 関 進 小島 浩 岡 隆一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.77, no.8, pp.1552-1561, 1994-08-25
被引用文献数
110

CCDカメラ等によって得られる動画像から人間の身振り手振りを認識する手法を提案する.入力画像系列から,垂直・水平・時間方向のエッジ特徴を抽出し,これらを時空間的にリダクションすることによって得られる時空間ベクトル場を用いて各ジェスチャーの標準パターンを表現する.認識対象画像系列と標準パターンとのマッチングにはスポッティング認識手法を用いる.スポッティング認識は,(1)ジェスチャーの時間区間のセグメンテーションが不要,(2)フレームワイズ,すなわち入力画像フレームに同期して認識結果を生成する,といった特長をもつ.7種類のジェスチャーを認識対象として実験を行った結果,本手法によってほぼ正しくジェスチャーを認識できることがわかった.特に時間方向のエッジ特徴を用いた場合は,標準パターン作成時の認識時での被験者の衣服・背景の変化に対し,ロバストであることが確認された.また,本手法を画像処理ボードとワークステーションを組み合わせたシステムにインプリメントし,4種類のジェスチャーをリアルタイムに認識するシステムを構築した.
著者
小杉 信
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.6, pp.1132-1139, 1993-06-25
参考文献数
11
被引用文献数
69

顔画像のモザイクパターンとニューラルネットを組み合わせた顔の認識法を提案する.顔画像の場合,顔の輪郭や目・鼻・口などの形状,ならびにこれらの位置関係が顔の重要な特徴であるが,顔は陰影が柔らかで正確な形状抽出が困難であり,更に,互いによく似ているため,従来,多人数の顔の認識はほぼ不可能であった.そこで,線分形状ではなく顔の濃淡情報に注目し,顔画像の中心部を12×12に粗くモザイク化し,これをニューラルネット(3層BPN)に入力して多人数の識別を試みた.この結果,学習後の中間層の各ユニットは,モザイク画像の各所から濃淡情報をきめ細かく集めることにより,互いに共通の特徴をもつ顔画像,例えば男女,を自動的に分類した.また,100人の上半身動画像から得た各人一つの正面向き平常顔を学習後,同じ録画像から任意にサンプルした平常顔ならびに微笑顔をテストし100%の認識率を得た.更に,学習の対象外,すなわち,見知らぬ顔に対しては,「その他検出」専用の出力ユニットを設けることにより,見知らぬ顔に対するエラー率を約1/2に低減することができた.
著者
藤村 恒太 横矢 直和 山本 和彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.382-390, 1993-02-25
被引用文献数
25

本論文では,医用画像処理における今後の重要な課題の一つである動画像処理のアプローチとして,医用分野で大半を占める形状およびその動き・変形が滑らかな非剛体物体の動画像を対象とした物体の追跡と動きの解析について述べる.物体の輪郭形状に対するフレーム内とフレーム間での制約をエネルギー関数として定義した動的輪郭モデルを用い,多重スケールでの動的計画法を用いたエネルギー最小化により対象物体の輪郭を抽出・追跡し,その動きを解析する.ここで提案する多重スケールでの動的計画法は,スケールに応じて動的計画法の探索近傍を変化させるもので,粗いスケールでは粗い近傍を,細かいスケールでは細かい近傍を定義し,粗いスケールから細かいスケールへとエネルギーの最小化を行う.これによって物体の大きな動き・変形に対処することができる.本手法を「条件付け学習の神経機構の解明を目的とするナメクジの行動解析」の動画像と超音波心臓動画像に適用し,非剛体物体追跡の有効性を確認した.なお,前者の適用例では,動きの解析として,輪郭に沿った曲率の正の極大点を物体の変形に不変な特徴として抽出し.その移動量を計測した.これによって,物体の大まかな動きの測定が可能となった.
著者
新見 道治 野田 秀樹 河口 英二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.81, no.6, pp.1132-1140, 1998-06-25
参考文献数
8
被引用文献数
40

本論文は新たな画像深層暗号化法を提案するものである.これまでに, 離散コサイン変換を用いた画像深層暗号化法が提案されている.この方法によると, 埋め込めるデータ量は, 濃淡画像をダミー画像とした場合, たかだかダミー画像の13%程度である.一方, 本手法は2値画像のノイズ状の領域に秘密データを埋め込もうとするものである.ノイズ状の領域であるか否かは, "複雑さ"なる尺度を利用することにより判定する.本手法では視覚的に簡単な複雑な領域に変換できる"コンジュゲート"演算を利用して秘密データを加工することにより, どんなデータでも埋込みが可能となる.実験では8ビットのダミー濃淡画像に対して, 原画像の約36%のデータ量のJPEGファイルを, 35dB程度の視覚的に見劣りがしない状態で, 埋め込むことができた.
著者
赤松 茂
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.8, pp.2031-2046, 1997-08-25
被引用文献数
175

コンピュータによって顔画像の個人認識を行う技術の最近の研究動向について述べる. まず, これまでに多くの研究が行われてきた正面顔画像による個人識別を目的とした顔パターンの表現法について紹介すると共に, 更にこれらを顔の姿勢変化による見え方の変化を許容する方向に拡張しようとする研究の動向について述べる. また米国においてそのようなロバストな顔認識技術の確立を目指した研究の推進の原動力の一つとなっている顔認識技術開発計画FERETの動向についてもあわせて解説する. 更に, コンピュータによる顔の認識をコンテンツによる映像データベースの検索や編集というメディア処理の要素技術の一つとしてとらえ, 顔が伝える感性的な情報に対する人間の認知特性をコンピュータによる顔の認識に反映させることを狙いとして, 人間による顔認識過程をモデル化しようとしている試みについても紹介する. 最後に, 個人識別やデータベース検索など, 顔に対するさまざまな高次視覚情報処理を実現する前提として重要な, シーン画像から顔パターンを抽出する機能の実現についての研究の現状を述べる.
著者
中井 宏章 渡邉 睦 三宅 啓夫 高田 敬輔 山下 馨 新盛 英世 石原 謙
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.83, no.1, pp.280-288, 2000-01-25
被引用文献数
36

我々は, ビデオカメラで撮影した被験者の就寝時映像から, 動画像処理により呼吸を自動計測するシステムを試作している.本システムは, 完全に無拘束でリアルタイムに呼吸状態をモニタリングでき, 高齢者や乳児の睡眠中の突然死や無呼吸症候群の早期発見・診療補助に用いることができる.呼吸計測は被験者胸部の画像変化をフレーム間差分で検出することにより行い, 同時に統計的判別による就寝状態判定も行う.また, 呼吸計測に最適な関心領域(ROI)を自動設定することにより, オペレータの操作なしに長時間の呼吸計測が可能となった.本論文では, 本システムの詳細について述べるとともに, 特別養護老人ホームにおいてフィールドテストを行った結果について報告する.
著者
谷口 行信 南 憲一 佐藤 隆 桑野 秀豪 児島 治彦 外村 佳伸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.84, no.6, pp.1112-1121, 2001-06-01
被引用文献数
28

映像の効率的なブラウジングのためには, 映像にインデックスを付与する作業が必要である.本論文は5種類の映像解析技術-ショット切換検出, カメラワーク検出, テロップ検出, 音楽検出, 音声(人の声)検出-を統合した映像インデクシングシステムSceneCabinetについて述べる.映像解析技術に基づく自動インデクシングアプローチは従来から提案されているが, 自動付与できるインデックスは限られる上, その精度は100%でない.このような映像解析の不完全性を補うために, 本システムは自動付与されたインデックスを効率的に修正したり, 関連情報を人手で簡単に付与するためのユーザインタフェースを提供する.具体的には, タイムラインと代表画像一覧を組み合わせることで, 効率的にインデックスの修正や付与ができるようにする.本システムを用いると, 手作業の場合に比べて約半分の作業時間でインデックス付与できることを評価実験により示す.更に, 映像ストリーミング技術を統合したWebページ作成ツールについて述べ, その応用事例を挙げることで本システムの有効性を示す.
著者
長谷川 修 森島 繁生 金子 正秀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.8, pp.2047-2065, 1997-08-25
被引用文献数
68

「顔」は人間にとって非常に身近な存在であると共に, 顔の持ち主である一人一人の人間における個人的な情報, コミュニケーションに係わる情報を始めとした, 言語的手段では表現しにくいようなさまざまな情報を担っている. 近年, 工学分野では主としてコミュニケーションメディアやヒューマンインタフェースへの応用の観点から,「顔」の工学的取扱いに対する研究が活発に行われている. 具体的には, ユーザである人間を対象とした視覚機能をコンピュータにもたせるための顔の認識技術と, コンピュータあるいはコミュニケーションメディアに表現力豊かな顔をもたせるための顔の合成技術である. これらの研究成果は, 従来個別に検討が行われていた顔関連の心理学, 人類学, 美容, 歯科等さまざまな分野においても活用されつつある. 本論文では, このような観点からコンピュータによる顔情報処理に焦点を当て, まず要素技術としての顔画像合成と表情認識について最近の技術動向を概観する. 次に,「顔」の諸特性について考察した後に, 人と人との対面コミュニケーションの支援, 人と機械との間の顔情報を介したコミュニケーションという二つの立場から「顔」の工学的応用について述べる. また,「顔」情報処理の研究のためのツールやデータベース等についても紹介する.
著者
斉藤 豊文 鳥脇 純一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.3, pp.445-453, 1993-03-25
被引用文献数
85

本論文では,直方体ボクセルをもつ3次元ディジタル画像に対しても適用可能なユークリッド距離変換アルゴリズムについて報告する.本方法は,可変近傍で,かつデータ依存型アルゴリズムに基づく,従来とは異なった型のユークリッド距離変換のアルゴリズムである,次のような特徴をもつ.(1)すべての点に対して厳密なユークリッド距離変換が得られる.(2)ごくわずかの修正で一般にn次元画像に適用できる.(3)各座標軸方向の解像度が異なる(長方形ボクセルの)画像にも適用できる.(4)各座標軸方向の1次元処理に分解できるため,SPIDER2のDTEUと比較し,計算時間はむしろ速くなる.(5)入力画像を保存する必要がない場合は,1行または1列分の作業画像を用意すれば,距離変換を実行することが可能である.最後に,本方法の応用として,肝臓の連続切片顕微鏡像の解析について示す.
著者
丹野 義和 前原 文雄 関谷 里美 伊藤 学 露峰 浩 長谷川 文雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.84, no.6, pp.1102-1111, 2001-06-01
被引用文献数
9

放送のディジタル化に伴う大量のディジタル映像コンテンツを供給するためには, 大容量の映像蓄積方式と高速な検索が課題である.本論文では, このためのペタバイト級の大容量映像アーカイブシステムとその検索方式について述べる.アーカイブシステムは7,200巻(15,000時間)の容量を有するテープ装填(てん)ロボットを中心に, HDDサーバ, DVDサーバそれぞれを目的別に配置することによって, 蓄積及び配信の効率を向上させるとともに, 遠隔地からの検索, 映像伝達, 遠隔編集を可能とした.また, 一連画像データのシーン変化点検出方式と, 抽出したシーン変化点を基準とするブラウジング映像生成方式, それに基づく多画面動画同時再生表示による視覚検索方式の開発をした.ここでは自動装填ロボットを中心とした大容量アーカイブシステムと多画面動画同時再生表示での拘束でかつ効率的な検索方式について報告する
著者
福井 和広 山口 修
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.8, pp.2170-2177, 1997-08-25
参考文献数
18
被引用文献数
125

本論文では, 顔認識に向けて動画像中から瞳, 鼻孔, 口端などの顔特徴点を高速かつ高精度に抽出する方法を提案する. これらの特徴点を基準とした顔の切出し精度は, テンプレートマッチングに基づく顔認識法の性能に大きく影響する. また処理速度に関しては, 動画像に対して識別の試行回数を増やす観点あるいは顔辞書の実時間生成という実用的な観点から高速性が要求される. これまでにさまざまな抽出法が提案されているが, 個人差, 表情変化, 顔向き, 照明変化などの影響のために安定な抽出が難しく, 抽出精度と処理速度の面で十分には満足できるとは言えなかった. 提案する方法は, 形状抽出とパターン照合の組合せにより, 少ない計算コストで高い位置精度を実現している. 具体的には, 分離度フィルタにより瞳, 鼻孔, 口端などの特徴点の候補を抽出する. 次に部分空間法を使ったパターン照合により候補から正しい特徴点を選択する. 評価システムを構築してさまざまな条件の顔画像に対して実験を行った結果, 合計1700枚の静止画像に対して99%の特徴点の抽出率, また動画像に対してハードウェアを用いずに10回/秒の抽出速度, 9880フレームに対して97%の抽出率を達成できた.
著者
佐藤 雄隆 金子 俊一 五十嵐 悟
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.84, no.12, pp.2585-2594, 2001-12-01
被引用文献数
28

近傍明度の符合変化を評価するための周辺増分符合相関画像を新たに提案し, これに基づいて, (1)出現物体の明度分布によらず, (2)背景の明度変化の影響を受けない, 画像時系列からの出現物体のロバストな検出・分離抽出手法を提案する.周辺増分符合相関画像は, 着目画像の近傍明度の増減傾向のみに基づくために, 系列にわたる明度変動に対して強いロバスト性をもち, 明度変化を伴っても本来のテクスチャパターンのみの類似を検出するという特性を実現している.また, 複雑な前処理やパラメータ設定などを必要とせず, 直接的に高密度の差分画像を得ることができる.いくつかの条件を想定した実画像を用いた実験により, 実際に明度変化に対してロバストな差分抽出が行えることを確認し, 有効性を示した.また, 情景中の出現物体領域を抽出する処理への応用実験を行い, 比較的単純なフィルタ系列を後処理として加えることにより, 良好な輪郭及び連続性を保った領域分割が可能であること確認した.