著者
宗 哲 橋本 修 朝倉 安彦
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J84-B, no.10, pp.1901-1904, 2001-10-01

酸化チタン32 phr及び炭素粒子1 phrを含むエポキシ樹脂の50~110 GHzにおける複素比誘電率は,無反射曲線の近傍にあり,しかも周波数の変化とともにほぼ無反射曲線に沿って変化する.このため,厚さを変化させることにより,任意の周波数に対応した電波吸収体を実現できることが確認されている.本論文では,この材料の5~26 GHz帯における複素比誘電率を測定した結果,これらの周波数帯においてもその値はほぼ無反射曲線上に存在することを示すとともに,一例として5 GHz帯における電波吸収体を設計,製作し,40 dB以上の吸収性能を有する電波吸収体が実現できることを確認した.
著者
津田 尭哉 山本 真一郎 相河 聡 畠山 賢一
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J106-B, no.4, pp.260-263, 2023-04-01

近年,大電力機器用電磁遮へい材の要求が増している.本研究では,一面を開口面とした金属きょう体内に送信コイルを配置し,きょう体から漏洩する近傍磁界について検討した.また,電磁遮へい効果を向上できる穴あき金属板について検討した.
著者
藤田 俊之 小林 亜樹
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J106-B, no.1, pp.1-12, 2023-01-01

インターネットを介したサービスとしてソーシャルネットワーキングサービス(SNS)が普及し,特に短文を投稿するTwitterにはその時々の情報が投稿されており,災害時の状況収集ツールとしても期待されている.このとき,災害情報のみを抽出する採集手法が必要であり,本論文では採集者による教師データを必要としない自己教師あり準リアルタイムでの採集方式を提案する.本方式は,主題となる検索語のみを入力とし,ストリームデータであるtweet列から採集する自己教師あり分類器である.これまでのTweet分類では短文性による困難さが指摘され,災害情報の事後分析を目的とした研究では人手による検索語集合を用いたフィルタリングが主流であった.そこで,会話を文書と見做すことで判定精度を改善し,更に会話内の部分単位での分析過程を導入した.実データを用いた数種の実験で,既存手法に対して精度良く見落とし少なく,また,当初の自己教師生成待ち時間以後はほぼリアルタイムでの採集を行えることを確認し,会話内の部分単位での分析が有効であることも明らかにした.
著者
野崎 佑典 竹本 修 池崎 良哉 吉川 雅弥
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J106-B, no.3, pp.103-111, 2023-03-01

本論文では,軽量暗号Midori128に対する耐タンパ実装を提案する.提案手法は,RSMをベースとすることで,小回路規模でMidori128のサイドチャネル解析に対する耐タンパ性を向上させる.実験では,提案手法を適用したMidori128をFPGA実装し,その安全性について評価した.そして,提案手法はサイドチャネル解析に対する耐タンパ性を有しており,小回路規模で実現可能であることを明らかにした.
著者
吉田 政望 ガジェゴス ラモネト アルベルト 野口 拓
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J106-B, no.1, pp.13-26, 2023-01-01

アドホックネットワークでは,端末が使用できる電池容量や周波数帯域などの資源が有限である.アドホックネットワークにおいてブロードキャスト通信を行う場合,これらの資源の効率的な利用が求められる.不要なパケットを削減しネットワーク資源の浪費を抑えるための技術としてネットワークコーディングがある.ネットワークコーディングのパケット削減効果はネットワークトポロジーに依存する.本論文では,アドホックネットワークにおいてネットワークコーディングを用いる場合,ネットワークコーディングを適用可能なネットワークトポロジーであるかを判定し,効率的なブロードキャストを実現する方法を提案する.提案方式では,隣接ノードの移動性に応じてパケット転送方式を通常送信若しくはネットワークコーディングの間で動的に切り替えることで,パケット配送率の低下を抑えながらネットワーク全体のパケット数を削減することができる.計算機シミュレーションによる実験を行い,通常送信及びネットワークコーディングのみの場合,確率的ネットワークコーディングの場合と比較して,提案方式は効率的なパケット配送が可能であることを明らかにした.
著者
吉田 征弘 矢野 佑典 王 建青 石田 武志
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J105-B, no.12, pp.928-937, 2022-12-01

近年,複数の電子機器同士を組み合わせたシステムが増加しており,電子機器同士を接続する差動通信のEMC (Electromagnetic compatibility)の重要性が増している.差動通信系に到来する外来ノイズのふるまいを解析するためには,差動通信線に対する外来ノイズの結合と外来ノイズにより励起される妨害波の差動通信線の終端部におけるモード変換を考える必要がある.本論文では,電流プローブを用いた3ポートのSパラメータ測定によって,UTPケーブル終端と基板との接続部,プリント回路板上の素子などの任意の終端構造を含めた3導体系の電気特性を抽出する方法を2種類提案し,両方法から概ね一致するモード変換量が求められることを実験的に示すことによって,その有用性を示す.
著者
辻井 明日香 笠島 崇 羽多野 裕之 山里 敬也
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J105-B, no.12, pp.918-927, 2022-12-01

超音波を利用したセンサは車載用途や産業用途において障害物の検知センサとしてよく用いられる.一方で,検知距離及び検知速度の問題から駐車支援などの準停止,近距離用途に限られる.本論文では,超音波センサを用いた低速自動運転などに適用可能な障害物位置推定システムの開発を目標とし,短時間で広範囲測定が両立する検知手法を検討する.提案するシステムでは,送信部に検出平面に対して垂直にアレイ化した超音波センサを用いることで,扇状のビームを形成し,目的の範囲を1回の検知で網羅する.実証実験を実施した結果,提案するシステムを用いて20 km/hで走行する障害物(自動車)を15 m先かつ速度誤差約2.2%で検知することに成功した.また,受信センサアレイを用いた多辺測量により位置推定が可能であることを確認した.以上の結果より,提案するシステムは低速走行条件において有効であることを示した.
著者
和田 有紀子 道下 尚文 森下 久 山本 温 松本 一弘 菱川 哲也
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J105-B, no.11, pp.880-888, 2022-11-01

周囲環境からの影響の低減やデザイン性の向上といった観点から,アンテナや無線回路をスロット付金属きょう体の内部に含む無線通信装置が実用化されている.本論文では,スロット付金属きょう体の内部に折返しダイポールアンテナを備えたアンテナを提案し,金属きょう体上のスロットと折返しダイポールアンテナのインピーダンス特性と電磁界分布を調べ,動作原理を明らかにする.次に,その動作原理に基づき金属きょう体の薄型化とインピーダンス特性の広帯域化を検討する.その結果,金属きょう体幅を0.22λ0 (λ0:中心周波数の自由空間波長)から0.03λ0に減少させ,比帯域幅を7.6%から18.9%に拡大することができた.また,試作評価により,提案アンテナの広帯域動作を確認した.
著者
井上 一也 今泉 圭太 市毛 弘一 長尾 竜也 林 高弘
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J105-B, no.11, pp.872-879, 2022-11-01

携帯電話に代表される移動体通信や室内無線通信の発展により,複雑化した電波伝搬環境を推定する技術の重要性が高まっている.移動通信システムにおける通信環境はマルチパス環境であり,さまざまな環境下における伝搬損失特性を推定できる電波伝搬モデルが不可欠である.著者らは以前に,空間画像データ及び数値パラメータを入力データとして,機械学習に基づく伝搬損失推定手法を提案した.この手法では,入力データには数値パラメータと画像データを使用していた.東京中心部で測定されたデータによって構成されたデータセットによるシミュレーションでは,全結合ニューラルネットワーク(FNN)と畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を組み合わせたモデルにより,FNNのみを用いたモデルよりも高い精度で伝搬損失を予測できることを確認した.本論文では,入力データを適切に選択し,CNN・FNNモデル構造の再検討を行うことにより,高精度な伝搬損失推定を目的とする.また,AP研伝搬データベースのデータセットを使用して,提案手法の有効性を検証する.
著者
新井 宏之 橋口 弘 馬場 俊彦
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J105-B, no.10, pp.741-748, 2022-10-01

莫大なデータトラヒック量に対応可能な高速大容量通信の実現のため,第6世代移動無線通信では,光無線通信が検討されている.光波帯を無線伝送に用いる場合には空間減衰が大きいため,アンテナには高利得が求められる.また,高利得化により,アンテナのビーム幅が非常に狭くなることから,送受信のリンクを張るためにビーム走査が必要である.本論文では,このような機能を有するアンテナとして光漏れ波アンテナの利得の向上及びその励振方法に焦点を当てた議論を行い,今後の展望について述べる.
著者
干川 尚人 大島 達也 西辻 崇 白木 厚司 伊藤 智義
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J105-B, no.10, pp.792-801, 2022-10-01

コロナ禍は場所に依存しないリモートワークを急速に普及させ,更にオフィスの地方移転やワーケーションのような働く場所の地方分散を促進させた.これにより通信のエンドポイントをつなぐ地方の通信設備維持の重要性も大きくなっている.しかし,近年の人手不足の事情もあり,通信インフラ事業者では現地での物理的な作業が必要なケースでは遠方の拠点から技術者を派遣する形態が一般的になっており,オンライン監視でサポートできない物理異常の発見方法がサービス品質維持のために重要である.この課題に対して,我々はマシンルーム環境の監視を目的にセンサとアクチュエータを搭載した汎用ベースロボットによって,その解決を試みる.この論文ではまず地方の通信設備における労働力と物理異常検知の課題を述べ,その維持管理業務をサポートするための新たなベースロボットシステムを提案する.そしてこのコンセプトを実証するためのプロトタイプロボットを実装し,その予備実験結果を示す.
著者
千田 司 亀田 卓 末松 憲治
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J105-B, no.10, pp.781-791, 2022-10-01

ミリ波帯(60 GHz帯)を用いたワイヤレスボディエリアネットワーク(wireless body area network: WBAN)は人体遮蔽による干渉電力の減衰が大きいため,混雑環境下におけるWBAN間干渉を解決する手法の一つとして期待されている.一方,各ユーザの位置によっては,それぞれのユーザが干渉を受ける他のユーザ数(干渉数)に偏りが生じるため,通信機会の公平性が低下する.本論文では,WBAN内通信前にWBAN間で搬送波感知多重アクセス/衝突回避(carrier sense multiple access with collision avoidance: CSMA/CA)によるキャリアセンスを行うとともに,ビジー時間率を用いたコンテンションウィンドウ(contention window: CW)制御を行う通信機会公平化手法を提案する.まず,マイクロ波帯とミリ波帯のWBAN間干渉について調査を行い,ミリ波帯WBAN間における通信機会の不公平性が存在することを明らかにした.次に,提案した通信機会公平化手法について,フェアネスインデックス(fairness index: FI)と総通信時間の評価を計算機シミュレーションにて行った.その結果,総通信時間の低下を最低限に抑えつつ,WBAN通信の公平性を大幅に向上可能であることを示した.
著者
明星 慶洋 玉木 雄三 谷口 英司
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J105-B, no.9, pp.701-709, 2022-09-01

観測対象のケーブル導体にプローブ電極を近接させ,非接触の状態で電圧波形の観測を行う非接触電圧計測において,EMC分野での雑音や通信信号の計測を目的に,広帯域にわたり観測精度を向上させるための振幅・位相補償方式を提案する.非接触電圧計測はケーブル導体とプローブ電極との間に生じる結合容量(本論文では C0 と記す)を利用した計測手法であるが,観測波形に見られる誤差や周波数特性の主要因は,結合容量 C0 が微小量であることに依る.この状況において本報告では,電子機器の高周波信号や雑音波形の計測精度を高く保つため,AFE (Analog Front End)にて増幅素子を反転増幅に構成した位相補償回路に加え,AD変換後の信号処理における校正処理により,広帯域な振幅・位相補償を実現する手法について示す.これによりEMC分野における高周波信号やインパルス雑音の高精度な観測が可能となることを示す.
著者
宮本 進生 大西 綾乃 武内 良男 前山 利幸 長谷川 晃朗 横山 浩之
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J105-B, no.9, pp.710-718, 2022-09-01

近年,アンテナから収集した電磁波のデータに対して機械学習により無線通信の信号を分類する研究が注目を集めている.一方で,工場等の製造現場で産業機器等から発生する電磁ノイズは発生源となる機器により発生頻度やパターンが異なるため,これらを機械学習により分類しようとすると,限られた時間で収集した学習データに含まれない未知のパターンが運用中に発生する可能性が高い.それらを既知のパターンに分類すると,発生源の異なる電磁ノイズを混同し,取るべき対策の検討において誤りを生じさせる恐れがある.未知のパターンを見つけ出す方法として機械学習の新規性検出を利用することが考えられる.しかし実際の運用では,製造現場の限られた計算資源で,学習データに基づく電磁ノイズの分類と新規性検出のための機械学習を同時並行で実行するのは負担が大きい.そこで本論文では,分類の際に得られる事後確率値から未知のノイズを検出する方法を提案する.この手法が計算資源の消費を押さえつつ,未学習のパターンを高い精度で検出可能であることを,実測データを用いて実証する.
著者
岩井 浩 小川 晃一 小柳 芳雄
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J87-B, no.9, pp.1277-1286, 2004-09-01

本論文では,携帯端末アンテナの人体影響軽減を目的として,PDC方式で採用されている受信ブランチ判定規範に基づく送信ダイバーシチ方式を提案し,その有効性を理論と実験の両面から検証した.まず,ブランチ間の相関係数と不等中央値から,基地局側平均受信電力の改善量を解析的に見積もった.次に,携帯電話の通話状態における姿勢を精密に模擬した上半身リアルファントムと折畳み式携帯電話を模擬した端末モデルを用いて,携帯電話の実用状態における提案方式の適用効果を検証した.実験に用いた端末モデルは,ダイバーシチアンテナとしてほぼ同じ放射効率の外部アンテナと内蔵アンテナを備えており,この場合の基地局側平均受信電力の改善量は7.9 dBとなった.本方式では瞬時値変動による信号フェードの救済は期待できないものの,人体による送信アンテナの動作利得低減に対して大きな改善効果が期待できることを明らかにした.
著者
堀口 嵩浩 橘川 雄亮 古谷 航一 福井 範行
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J105-B, no.8, pp.637-639, 2022-08-01

高速FMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)レーダにレーダ信号帯域外の連続波(CW: Continuous wave)電磁ノイズを印加した場合,ノイズ周波数に対応した距離値と相対速度値に誤検出が生じる.本論文では,高速FMCWレーダのCW電磁ノイズによる誤検出の相対速度値の定式化を行い,実測値との比較によりその妥当性を示す.
著者
石田 武志 戸澤 幸大 藤原 修
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J105-B, no.8, pp.596-603, 2022-08-01

ESD試験器の火花を介した気中放電は放電電流が試験ごとに変動するため,IEC 61000-4-2では,気中モードでの校正波形を規定していない.Pommerenke氏らは,火花を介さない水銀接点リレーを用いた気中モードに対するステップ応答の測定法を提案し,これが気中モード試験器の校正法になりえることを示唆した.筆者らの先行研究では,接触・気中の両試験法とも結果の再現性を確保するには試験器の構造を反映するアドミタンスを規制すべきとの観点から,三機種の異なる気中モード試験器の理想スイッチを介したステップ応答を測定アドミタンスから導出し,試験器固有の属性をあきらかにした.本研究では,気中モード試験器に対する校正要件を根本から考察するために,IEC規格の基因となった人体気中放電に対する放電電流のステップ応答を,測定アドミタンスとIEC規格に基づく簡易等価回路からそれぞれ導出し,両者の計算波形とスペクトルを,三機種の現用ESD試験器の測定アドミタンスと簡易等価回路から求めたステップ応答のそれらと比較する.つぎに,人体気中放電と三機種の試験器の気中モードに対する放電電流の測定波形を,ステップ応答の計算波形と対比し,人体と試験器のIEC規格に基づく簡易等価回路から求めたステップ応答が校正要件を検討する際の草案の基礎になることを示す.
著者
上橋 俊介 西本 浩 富塚 浩志 佐野 裕康 半谷 政毅
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J105-B, no.5, pp.446-453, 2022-05-01

フェージングによる信号強度低下を簡易な処理で軽減できる技術として,差動時空間ブロック符号化(DSTBC)伝送が検討されている.また,高い周波数利用効率を得るため,セル間で同一の周波数を用いる単一周波数繰り返しは,主にセル境界での同一チャネル干渉(CCI)が課題となる.一般に移動局では設置スペースなどの制約で多くのアンテナを搭載することは困難であり,送信側で複数アンテナを用いるDSTBC伝送ではより多くのCCIが観測される.このような環境では,従来のアレー信号処理による干渉抑圧では劣決定問題となるために十分な受信性能が得られない可能性がある.本論文では,少ない受信アンテナ数の条件においても動作可能なDSTBC伝送向けのCCI抑圧方式を示し,更に多数の干渉波が到来する複局同時送信システムへの拡張法も示す.計算機シミュレーションにより複局同時送信システムにおけるセル境界付近での干渉抑圧性能を評価し,受信アンテナ数の2倍を超える干渉波が到来する環境においてもチャネル行列の拡張,合成処理を行うことで決定問題に帰着させ,適切に干渉を抑圧可能であることを示す.
著者
石上 忍 石崎 利弥 小林 圭太 川又 憲 張間 勝茂 祷 真悟
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J105-B, no.6, pp.458-465, 2022-06-01

本論文では,現在の妨害波測定に使用されている市販の広帯域アンテナの使用可能帯域を一つのアンテナで実現するための超広帯域アンテナの設計と開発について述べた.まず本アンテナの原理について述べ,更に試作したアンテナについて,複素アンテナ係数,絶対利得,及びアンテナ反射特性の測定結果を示した.その結果,本提案アンテナは,500 MHzから20 GHzまでEMC用のアンテナとして使用可能であることがわかった.
著者
水谷 智一 道下 尚文 佐藤 浩 小柳 芳雄 森下 久
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J105-B, no.6, pp.474-483, 2022-06-01

本論文では,移動体通信用アンテナとして,細径かつ低姿勢な無指向性の直交偏波共用アンテナについて検討している.水平偏波素子であるHaloアンテナとその上下に同じ構造を有する2個の無給電素子の内部に垂直偏波素子であるダイポールアンテナを挿入した構成を提案している.シミュレーション及び測定結果により,提案アンテナは,比帯域幅が8.1% (VSWR ≤ 2)であり,所要帯域内の中心周波数の波長λ0に対して提案アンテナの素子径及び素子高はそれぞれ0.14λ0及び0.49λ0であった.また,所要帯域内で20 dB程度の直交偏波間アイソレーションが得られた.垂直偏波の無指向性が崩れる傾向にあるが,CMA解析を通じて,直交偏波無指向性を改善する可能性を見出すことができた.